『植物図鑑』片手に過ごす辺境伯生活※現在十六話まで改訂済 キャラ挿絵追加 作:とおりすがりのふに族団長
通常の畑で使用する種やら野菜やらの陳情はほぼ落ちついて、今度は家畜の餌の為の牧草などの陳情が増えて来た。
中でも、領内一の牧場が牧草が足りずに大変という陳情に俺達はユニゾンで頭を抱えた。
困ったことに軍隊は農作物に加えて家畜や馬に必要な牧草まで持って行ってしまったらしい。
牧草となると、必要量が膨大になるので事実確認も兼ねて、現地に行こうという話になり、アイリーンさんと共に馬車で陳情のあった牧場に向かっているという次第である。
「一難去ってまた一難・・・これって畑の作物よりヤバくない?」
「はい、完全に想定外の出来事です。まさか大牧場から草を持って行くなんて・・・それに不自然に感じます」
地図を見ながらアイリーンさんが解説してくれる。
今回俺達に救援を依頼してきた農場は、軍が通った中央から西の国境への街道からは途中で少し外れて北上する必要がある場所にある。
「軍馬用の草が欲しいなら西の国境付近の軍用の蔵に十分に貯えがあるはずなのに・・・これは戦後に問題になるかもしれません」
「俺はここの国民じゃないから分からないんだけど、今回の略奪に近い行為は国王主導だと思う?」
俺の質問に彼女はきっぱりと首を横に振る。
「あり得ません。国王も第一王子様も勇猛な人物ですが、人民を絞り上げるという発想を是とするとは思えません。この点は我らの主も同じ意見でした」
だからこその事実確認の為に俺達セットでの視察。代行と言う立場を得てるとは言え,ポッと出の俺では協力が得られないこともあるだろう。
「それと一つ気になったんだけど、陳情書に書かれてる「時渡り様のお力添えを」って俺の事だと思うんだけとどういうこと?」
「それはですね、伝承なので事実かどうかは不明なのですが・・・過去に恭介様の様に不思議な力を持った人の話を吟遊詩人が『時渡り』と呼んで語り継いでいるんです。近年は創作が多いですけど」
何と・・・俺みたいな転生者が過去に存在していたとは。
「ち、ちなみに伝承の『時渡り』さんたちはどんな力を使ってたの?」
「主に伝承として残っているのは2名で、それぞれ別の種類の力で正反対な行いをしています」
簡単に概要を聞くと、ホントに正反対で『聖剣を持って邪竜を打ち取った勇者』、『異形の生物を操って国を乗っ取った悪役』として伝わっているらしい。
共通してるのは、どちらも常識外の『道具』を持っていた点。最初アイリーンさんに適当に魔法と説明して即バレしたのは先達が伝承として残っていたかららしい。
「最初は私も内心身構えていましたが、恭介様が邪な心を持っている方で無い事は直ぐに分かりましたから」
「それは普通に嬉しいけど、そもそも俺の能力なんて大した悪事出来ないと思うけど?」
「はぁ・・・ある意味恭介様らしいお答えですね」
少しジト目で俺の意見に嘆息するアイリーンさん。
いや、確かに『図鑑』には毒草などの危ない植物も多々あるが、あくまでそれを『召喚』出来るだけであって、それを加工して利用するスキルは備えていない。
「しかし、牧場のサイロ一杯の牧草なんて作れるかな~」
「そこは難しいでしょうね。牧場の草の消費量は尋常ではありませんから。そこは出来た量で対応を考えましょう。恭介様は神様じゃ無いんですから。」
牛一頭で一日青草50Kg以上と考えると気が遠くなる。草だからコストは低いけど量が量だからなぁ。1トンは行けると思うけど2トンは厳しい感じがする。
そんな会話をしていたら御者さんから合図が入ったので外の景色を見る。
いうだけあって滅茶苦茶広い牧場だが・・・やはりあちこち荒らされた形跡があり、牧草を育成してると思しき場所も刈り取られの荒れ放題って有様である。
草を貯蔵するレンガ造りのサイロが複数あるけども中身はどれほどあることやら。
「こりゃ苦労しそうだなぁ」
アイリーンさんも表情を曇らせながら頷く。
さて、『図鑑』の力でどこまで力になれるかな?
~ 神様の反省会 ~
「武器系は高い能力あったハズなのに何で皆直ぐ脱落してしまうん?次回に向けて原因を見つけねば!」
神様からの問いかけに天使は少し資料を確認した後に返答する。
「一番は武器を持つのに慣れてないから『武器を抜くタイミング』が精神的な意味でも物理的な意味でも遅いのが原因とレポートされてます」
「だったらあんなキラキラした顔で『武器』を持って行くんじゃないよ!!」
反省会をするつもりが、安易な選択をする転生者達に怒りをぶつけてしまう神様。
「じゃあ皆さんが持ち慣れた『スマート●ォン』とかどうでしょう?」
「ダメに決まってんだろ!!」
改善はしたいが、パクリは容認できない神様であった。