『植物図鑑』片手に過ごす辺境伯生活※現在十六話まで改訂済 キャラ挿絵追加 作:とおりすがりのふに族団長
さっそく牧場(正確には牧場含めたこの辺り一帯)主であるメルバーン子爵家一同から出迎えを受ける俺達。
大げさな出迎えは不要と伝えていたが、そこは向こうも貴族。家族全員と、それぞれの専属使用人総出で出迎えてくれた。
本物の貴族相手に『代行』としてちゃんと振舞えるか心配だったが、ちゃんと前日にしつこくメイド軍団から『指導』を受けたので何とか乗り切れた。(死ぬほど弄られたけどな...( = =) トオイメ)
しかし、話には聞いてたけど夫人もお子さんも多すぎ( ゚Д゚)。
奥さんが6人に娘さん10人男子は小さい子2名以外のこの場に居ない4名は現在遠征軍に帯同中とのこと。
皆容姿のレベルが高くて、特に娘さん達と挨拶するたびにドギマギしてるのを隠すのに必死だった。
挨拶終わって貴賓室に通されて当主さんを待ってる間に、アイリーンさんからは『全然隠せてませんでしたよ。だ・い・こ・う様♡』とキツいお言葉とローキックを頂いた。
でも仕方なくない?10~20位までの女の子10人いて、全員アイリーンさんレベルなんだから。
いや、待てよ。『アイリーンさんレベル』本当にそうか?最近ずっと一緒にいるから評価点が下がってはいないか?ここはフラットな気持ちで再評価せねばなるまい。
まぁ、改めてどの位のレベルかと言われたら困るけど・・・容姿だけでも『綺麗なのは当然として、顔ちっさ、腰ほっそ!』+『美味しいお菓子や手作り動物のぬいぐるみ作ってあげたり、上手い事弄れば可愛い姿も見せてくれる』クール可愛い一挙両得の美少女と考えると先程の評価は改めるしかない。
最初は同格に考えてた子爵令嬢達には申し訳ないが、アイリーンさんには一歩劣ると表現するのが正しいか・・・謹んで訂正しよう。
という思考を完全に声に出してしまっていた為に、いつの間にか部屋に入って来たメルバーン子爵は大爆笑してるわ、顔真っ赤にしたアイリーンさんによる『口アイアンクロー』を受けるわ、危うく本作が第四話で終わる所だった。
~ 閑話休題 ~
「真面目な話をする事を思い出して頂けたようで何よりですが、『閑話休題』と言えば話の流れが元に戻る訳ではありません!!」
あきれ返って明後日の方向向きながらも、ツッコミ役をやってくれる。俺達のやり取りを見ながら、爆笑から回復したメルバーン子爵が俺達の前に腰掛けて説明を始めてくれる。
「ここから草や食材を持って行ったのは王国軍の第二補給部隊です。彼らは滅多に発行されない『戦時下特例権』を持ち出して当家に協力を要請してきました。おかしいとは思いましたが、馬車の数もそれほど無かったので楽観視していたのですが・・・」
「実際は大量に物資を持って行かれたと・・・筆頭は家畜や馬に必要な青草、干し草・・・と言うわけですか?」
「はい、いざという時の為に地下に予備のサイロを用意していなければ大変なことになっていました」
持って行かれた物のリストに俺とアイリーンさんの目が点になる。
「牧草(箱詰)×99 青草ロール×99、干し肉×80・・・なんで100を超える品目が一つもないんだ?」
全部が全部99個持って行かれているわけではないが、草が100を超えていないのはおかしい。わざわざ箱のサイズで分けているのは不自然だ。
というか現代に生きる方々ならもうお察しの事だろう。これは某国民的RPGソフトの主人公たちが使う『道具袋』だ。テントやコテージを99個入れられるわけだ。
「同期か先輩なのかは知らないけど、随分派手な事してるなぁ・・・メリットが読めないけど」
輸送部隊を率いてる位の高い貴族(確か伯爵家だった気がするけど名前まで覚えてない)に雇われてるとして、アイテムをこんな使い方して貴族と持ち主は何が目的なのかね?
おっと、さっきから俺一人で分かったような顔して一人言喋ってしまっていた。二人に相手方にもう一人俺みたいなやつ(時渡りって言ったかな?)が居る可能性を語ってみた。
「何と、名前さえ違えば重量関係なしに運べるとは・・・流石『時渡り』の方が扱う魔道具の効果は常識外れですな」
「一見、無害そうな道具ですが、何でも入れられるというなら、恐るべき道具ですね。」
念の為、魔法で転送とか『道具袋』と類似した魔法or魔道具無いかと『魔法アカデミー』出身のアイリーンさんに見解を求めるが、転送魔法は設置と運用コストが膨大で大量の荷物の輸送は向いていないからNG。魔道具の場合はここまで便利なものは存在しないらしい。やはり『神のアイテム』は別格なんだな。
となると次は目的だが、中々三人一致する見解が出ない。
一旦切り上げて草の召喚作業に入ろうかと提案しようとしたら部屋の外から執事さんが子爵を呼ぶ声。何やら急ぎの要件らしい。
5分後、手紙を持って俺達の元に戻って来た子爵の顔は怒りに震えていた。乱暴に投げられた10通の手紙を許可を得てから一つ一つ二人で読んでいく、が一つ目を読んだ時点&10という数で全ての察しが付く。
「うーわ、ご丁寧に娘さん10人分の縁談の手紙とは・・」
ちょっと発してる殺気が怖すぎて、アイリーンさんの表情を窺う事は出来なかった。
最初から何となく予想はしていたが、この仕事は草を召喚して牧場運営を元に戻すだけでは終わりそうに無い。
~神様鑑賞中~
「まさか一つの世界に『特典持ち』が複数出るとはな」
「調べてみたら、10年前に転生した『先輩』さんですね。出来たら転生者同士の戦いは見たくないのですが・・・」
「戦いと言っても『植物図鑑』と『道具袋』・・・吟遊詩人が依頼されたらキレそうな具材だな」
「神様は当然、恭介さんを応援するんですよね?」
「あんなキレイな娘10人囲おうとしてる・・・じゃなかった、牧場運営を妨害して結果周辺住民を苦しめるなぞ言語道断!坊主には代行としてしっかり働いて貰いたいね!」
「結局怒りポイントは『女の子』なんですね。神様なんだから好きに2人目3人目娶れば良いじゃ無いですか?」
「ウチ、奥さんが怖すぎて・・・」
「ア、ハイ」
神様も色々世知辛いと知る天使さんであった。
恭介のアイリーンさん可愛いエピソード①。
いわゆる『動物パン』を作って振舞ったら、自身に配られた「クマ型」のパンを食べる決意を固めるのに2時間かかり、食べたら当然硬くなってたので涙目になった。
その後、物凄いプレッシャーを受けてパン一つを焼く羽目になったが可愛い笑顔と絵描きが得意なメイドさんによる絵が手に入ったのでヨシとした恭介であった。
後日、その絵が見つかって守るのに偉い苦労をしたのは別の話。