『植物図鑑』片手に過ごす辺境伯生活※現在十六話まで改訂済 キャラ挿絵追加   作:とおりすがりのふに族団長

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第五話 クールに敵の影を捕捉したと思ったら死にかけた件について

アイリーンさんの怒りが収まるのを待って、輸送部隊を率いてる伯爵家の情報を確認する。

『ヒューム伯爵家』国の首都からすこし北上した所に、メルバーン領とは比較にならない規模の牧場&穀倉地帯を持つ貴族であり、国軍を支える第二補給部隊をほぼ自前で運営している。(第一部隊は近衛部隊が兼務)

「伯爵家の中でも名門でしたが、10年前から、直系親族が次々に亡くなって、跡取りを残すために、壮年の当主が女狂いになったともっぱらの噂です。」

「壮・年・期!?ドラ息子共にあてがうとかじゃ無くて、オッサン当主一人が美少女10人囲おうとしてるっつー話なの!?」

怒りを抑えたマジな表情で頷く二人。

身内に起きた不幸は分かるがやり過ぎ・・・って待てよ?

「アイリーン。ちょっと調べたい事があるから『調査票』出してくれる?」

『調査票』とは『伯爵』以上の貴族に与えられる国の諜報部への依頼書兼回答書である。特に決められた名称がある訳じゃないから俺が勝手に命名した。

造形としては羊皮紙に小さな宝石(魔力が込められた魔石)が埋め込まれてるだけの代物。仕組みは以下の通り。

①羊皮紙に質問書いてサインを書くと、羊皮紙が諜報部に転送される。書いた人の手元には魔石だけが残る。

②しばらくすると回答が魔石の持ち主に転送されて来る。(時間が掛かる場合は回答が2回になる)

「はい、此方に」

さん付けをしない時は『辺境伯代行』として振舞うのが俺達の間のルール。

彼女は何の疑問も口にする事なく、小型の『アイテムボックス』から取り出した羊皮紙とペンをテーブル上に用意すると一礼して席を立って俺の後ろに立つ。

つられてメルバーンまで立ち上がって笑いそうになる自分を必死に抑えてペンを走らせる。

問い合わせ内容は『ヒューム伯爵家で勤続10年になる人の情報』。ヒューム伯の周囲で変化が合ったのが10年前なら、あっちの『転生者』はその辺りで彼に近づき、当主一人を残して元々居た『家族』と『部下』を残らず『始末』したんじゃないか?

ハズレたらアイリーンからキツいお小言ラッシュだけど、これに関しては確信に近いものがある。

サインをすると、羊皮紙が青い光に包まれて消えて、俺の手の中に青く光る『魔石』だけが残る。

待つこと約5分。返事の羊皮紙が転送されて来た。

「ビンゴ!アイリーンさんにメルバーンさん。もう良いよ」

『辺境伯代行』モードを解いて二人に声を掛ける。

「いやはや、今の堂々たる所作、若き日の『辺境伯』のようでしたぞ!!」

興奮ぎみに賛辞をくれるメルバーン子爵。嬉しいけど、あのエロじーさんに似てるとは複雑な気分だ。

「それで恭介様。人探しの調査で返信が一枚。『袋』の持ち主は絞れたようですね」

「ああ、その名は『ジョージ・マケイン』。俺の世界的には『ジョージマ・ケイ』って所だな」

似顔絵もついてたが、明らかに『ジョージ』って顔じゃない。

「どうみてもこの東方の国の顔立ちですね(な)」

「だよねぇ~。後は彼を捕らえれば終わりだね。今から向かって間に合うかな?」

「国境警備隊に足止めするように魔法で文書を送りました。子爵から速達用の馬車をお借りすれば一日で追いつきます」

ヒューム伯がどの程度共犯者なのか?あるいは被害者なのか?って所は俺の管轄外だから国の捜査の上でしっかり処分を受けて貰えば良い。

俺にとっての問題はこの『ジョージ』先輩である。

国が発行した書類で度を越した『辺境伯』内での物資や人材の徴発。これは後々発覚すれば確実に国家への反逆と見なされるだろう。

だが、『辺境伯』は大きな権限を認められた地方長官という立場。

最初アイリーンさんは『戦後、問題になる可能性』を指摘していたが、公衆の面前で『袋』を見つけて中から大量の『証拠』が出てくれば俺が裁いてしまっても問題ないだろう。

「そうと決まれば『草』だけ作って出発しよう・・・う!?」

言いかけた所で、部屋の扉の前に唐突に現れた少女に目を奪われる。

短髪のアッシュブロンドに褐色の肌が特徴的な少女・・・メルバーン子爵の娘さんの一人で名前は「ヴァネッサ」だったな。

さっきは赤ロングスカートのドレスだから分からなかったけど、短いスカートに代わってるせいで、その足の長さが強調されており見るものを魅了する。(チラ見したらアイリーンも同じとこ見て目を奪われた)

この世界における南国の女性の特徴だと聞いて、正直話半分で流してたけど、ここで実物を魅了されることになるとは。

メルバーンさんが親として娘を諫めようとするのを手で静止してヴァネッサに発言を促す。ホントは怒らないといけない所かもしれないけど、生足ガン見した後にカッコつけるのはちょっと気が引ける。

「あの、不躾な願いなのは重々承知の上でお願い申し上げます。辺境伯代行様が『時渡り』の奇跡を見せて頂きたいのです。」

片膝ついて頭下げて頼み込むヴァネッサ。ああ、そういうことか。父親の方に顔を向けると「好奇心強い娘ですみません」と言いたげに苦笑してる。

「『ミス・ヴァネッサ』奇跡と呼べるほどかは俺には分からないけど、存分に見て貰って構わないよ」

彼女の手を取って立たせながら許可を与えると、先ほどのしおらしい態度は何処へやら、飛び跳ねて喜んで俺の腕を取って草置き場に案内しようとする。

困り顔のメルバーン子爵とやっと再起動したアイリーンが後に続いた。

 

~ 蔵 ~

「恭介様!こちらです。思う存分出しちゃってください♪」

最初は手を取るだけだったのに、いつの間にか左腕に抱き着いているヴァネッサの案内で刈った草を入れる蔵に案内される。普段は草や飼料で一杯だろうに、今はガラガラである。

「さてと、始めるか」

右手に『図鑑』を出す。それだけで目をキラキラとさせるヴァネッサ。アイリーン程じゃ無いけど中々破壊力ある胸の感触を左腕に感じるけど鉄の意志で気にしないようにする。

後ろから感じる2つの殺気もキニシナイ。オレ、仕事スル(必死)。

この『図鑑』は見た目は普通の本で、開いても白紙。そこに俺の意思が乗って初めて『図鑑』として機能する。今回は青草を思い浮かることで青草の絵と説明文が浮かぶ。

説明文と育成方法は今回見る必要がないので『青草の絵』を指で押して、出力地点を見つめて大体の生産量を考えて意思を込めることで種か現物としてこの世界に出力される。今回は一回に100キロ単位で出力する。

地味な光景だと思うけど、ヴァネッサは凄い凄いとはしゃいでいる。

さっきまで俺に殺気ある視線を向けていた子爵もこの光景に言葉を失っている。

やはりチートなんだなーと思いながら結果として2トンちょい出せた。

馬車の中でアイリーンさんに「可愛い女の子に応援されると違いますね~」と氷点下の視線で言われたけど気にしない。あくまでシリアスに仕事をこなしますよ。

後、椅子に座って足伸ばしても足は伸びないよとツッコミ入れたら、対決前に死にそうな目に合った。

 




褐色美少女って良いですよね(唐突)
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