『植物図鑑』片手に過ごす辺境伯生活※現在十六話まで改訂済 キャラ挿絵追加 作:とおりすがりのふに族団長
王国の第二補給部隊の暴走に始まり、国境堺の街で亡くなったとされていた『ヒューム伯爵家』の面々が次々と発見されるという事態に発展した今回の事件。
対応は王国軍に引き継いだが、館に戻った俺達には次の難題が待っていた。
第三王子「ベイリー」殿下の訪問である。遠目でも分かる豪華な馬車と大きな旗は直系の王族が貴族の邸宅を訪問している証である。
今ここに来る可能性がある王族は彼しかいない。
「国境から帰って来たと思ったら、館が近衛騎士団に占拠されていたでござる。」
馬車を降りるなり寸劇を始める俺。アイリーンさんの視線が氷点下の冷たさだけどキニシナイ。
近衛兵の何人かが「いや、占拠してねーし」とツッコんでるのもキニシナイ。
「そうか、自分なりに正しい事をしたつもりだったが、伯爵家のお家騒動に首を突っ込んだばかりにじーさんは権力闘争に敗れたんだな・・・まさに慚愧の極み」
俺はアイリーンさんと逃げるから、頑張れよじーさん。と叫んで踵を返してアイリーンさんの手を取ろうとするが、待っていたのはデコピンだった。
「何時ものノリでふざけるのはお止め下さい。この方々、職務中に笑ったら『罰金』なんですよ」
俺からのパスを綺麗に受け取って近衛さん達を笑わせにかかるアイリーンさん。俺の分かり易い寸劇には『まだまだ』って感じだったが、クールビューティメイドからの一撃には、陥落者がちらほら見える。
しかし、それ以上に反応してたのは彼らの本丸、馬車の扉を開けて姿を現した「ベイリー」殿下だった。
「あははは!ホントに諜報部の報告通りの方なのですね。」
豪華な馬車からふわりと空中をあるくように飛んで俺達の目の前に着地する殿下。これは彼の身体能力が高いわけでは無く、王族が持つ特権『風の精霊の加護』による現象だ。
「初めまして。王位継承第三位ベイリー・オ・オンディーヌと申します。お疲れの所大人数で押しかけて申し訳ございません。」
「もったいないお言葉です。私は「キョウスケ・カタヤマ」。辺境伯『代行』を務めさせていただいております。ご尊顔を拝し、恭悦至極に存じ上げたてまつりまする」
ついつい、時代劇のノリで受け答えしてしまった。
「まずは此度の一件に関して謝罪と感謝を。疑念は抱きつつも有効な手を取れなかった結果、領民を苦しめた結果は王家の落ち度と言わざるを得ません」
頭を下げる王子に俺は慌てる。立場上やってることなんだろうけど子供に謝罪されるの精神衛生上きついっす。
「いえいえ、俺は自分に出来る事をやっただけなんですよ。だから頭なんて下げないで下さい。殿下位の歳の子に頭下げられるとこっちの心がキツイです!」
本音全開で焦る俺に周囲の近衛さんたちがとうとう爆笑してしまう。
その様子を暫しポカンとした顔で見つめてる殿下。
「成程、確かに普通の子供はこんなに頭下げないですよね。ではこの話はこれで終わりにしましょう」
ヨシ!!殿下が折れてくれたので、玄関付近のメイドさん達にハンドサインを送る。
「どうせ、色々とお話が有るでしょうから続きは中でしましょう。宜しければ未知の果物をお出ししますよ」
確実に能力のことは知れらてる前提で殿下を招き入れる。結構あちこちで振舞ったから仕方ないね。
「はい、それは是非とも味わいたいと思っていました」
お、殿下は年相応にフルーツ好きなクチか・・・それならワンチャン言ってみるか。
「ちなみに殿下、この後のお話が『辺境伯家お取り潰し』で俺解任みたいな話なら出す果物のランク2つ上げますけどどうします?」
「そんな話はありませんが、果物のランクは2つアップでお願いします♪」
全国民が愛する美少年スマイルでキッパリと要求される殿下であった。
どうでも良いですが、最近『ジャガイモ警察』なるものを知りました。
異世界設定は大変だ...( = =) トオイメ
ここからのほほん路線に戻して行きたい