結とかのんの始まり物語   作:cinnamon

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みなさんお久しぶりです。1週間ぶりのcinnamonです。
今日からいつも通りの更新に戻ります。よろしくお願いします
そへでは本編に行きましょう。


第三十五話 月の兎

 

 

 

 

 

 

時刻は夕刻から夜。

辺りが暗くなって晩御飯の用意が出来たと呼出をもらったのでいざ来てみたら……

 

「なんか卓上が凄いことに!」

 

 

僕は料理の知識が皆無だが、これは分かる。

全部絶対美味しい。

 

料理が所狭しとならんでいるのは、なんというか、圧巻だ。

 

「ほら、さっさと手ぇ洗ってきなさい。早く食べるわよ」

「…………すみれママ」

「誰がママよ!」

 

この人、普段「ギャラクシー☆」とかやってるから許されてるけど、実は女子力高めのハイスペック美人なんじゃないか?

食べる前だというのに既に洗い物をまとめているし。

そういうのって確か後片付けが楽になるようになる主婦の知恵的な奴だよね?

やはりすみれさんは母では……?

 

「いただきまーす!」

 

僕とすみれさんがつまらないやりとりをしている内に、かのんとサニパの2人は手を洗ってきたようでもう手と手を合わせて食べる体制に入っている。

 

待て待て俺も食べるから。

 

「それじゃ、私たちも食べましょ」

「ハイデス……」

 

可可さんすごく落ち込んでるけどあれは何故……?

 

「あーんっ……ん!?おいしい!これ、全部2人で作ったの!?」

「…………いや冗談抜きで本当に美味しいな」

 

水餃子を口に運んだかのんに続いて感動の声が漏れる。

 

「でも、美味しく感じるのは島の食材が良いからだと思います。ねぇー?」

「ヴェッ!?……いやぁそのぉ……」

 

何その微妙な顔。

 

「この中華は可可の故郷の料理なんですよ。ねぇー?」

「…………可可は作ってないデス」

「いいから。話し合わせておきなさい。笑顔で堂々としているのもショービジネスの世界では必要なことなんだから」

「それは嘘付きデス!」

「2人でキッチンに立ったのは本当でしょ!?」

 

騒がしくなってきたなぁ……あ、このエビチリ美味しい。

 

「やはりムカツキマス!」

「なによ!?アンタの代わりにワタシが料理してあげたんでしょ!?」

 

仲良しだなぁ……。

 

「仲良しねぇ」

「「すみません……」」

 

頭あげられないです、招き人の食卓で……あ、この蟹もイイな。

 

「早く食べよ!今夜は満月なんだ!」

「満月ですか」

「えぇ。港だと海に月光が反射して綺麗よ」

「それは是非とも」

「可可は最初からイイと言っていましタ!」

「遠慮してるんじゃないわよ!」

 

まだやってる……あ、あの小籠包大いな。もらお。

 

「「それは可可(わたし)が狙ったものデス(よ)!!」」

「遅い方が悪い」

「結……大人気ない……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────そんなわけで。

 

「大きな月……!」

 

港にやってきました。

 

都会にいても満月は観れるが、今のような風情はない。

虫のさざめきと波の音、澄んだ空気が小さな星すらも演出するようだ。

 

本当に綺麗な月。

…………夏樹も見ているのだろうか。せっかくだから送ってやろうかな。

そんなことを考えた瞬間ヴッ、と携帯がポケットで震える。

なにかと取り出してみると一枚の写真と共に「ゆいちん、めっちゃ月綺麗!そっちはもっと綺麗なんじゃない!?」とメッセージが来ていた。

…………夏樹も、考えることは同じか。

 

返しに月を一枚パシャリと取って「こっちの方が10倍綺麗だね」とメッセージを送る。

 

「どうかしたの?」

「ん?いや夏樹も月を見てたから写真を返したんだ。僕が先に送ろうと思ってたのに」

「………………ふふっ」

「かのん?どうしたのデスか?」

「なんでもない」

 

なんだよ。絶対になにかあるじゃないか。

まぁ別にどうでもいいけど。

何かがかのんのツボに触れたのかも知れない。

 

「考えることは一緒、か」

「なんか言った?」

「ううん。私ちょっと電話してくる」

「千砂都さんでしょ」

「やっぱりわかっちゃう?」

「いいよ。行っておいで」

 

千砂都さんも、かのんとの時間を大切にしてあげて方がいいだろう。

僕が介入なんて野暮なことはしない。

 

その場から駆け足で離れるかのん。

その場に残された僕たちは特に理由もなく、雑談を始めた。

 

 

「ところで可可さん。月に兎がいるって知ってる?」

「月にデスか?いる訳がないのデス!」

「いやいや、本当にいるんだよ」

「えぇ。日本人ならみんな知ってるわ」

「そ、そうなのデスか?すみれは信じられまセンが、結サンが言うのなら……」

「ちょっと」

 

可可さんはすーぐすみれさんに喧嘩売るんだから。

 

「サニパのお二人様、本当なのデスか?」

「あー……本当といえば本当……かな?」

「そうなのデスか!?」

「餅つきしてるわよ」

「兎がデスか!?」

 

おっ、イジりにエンジンがかかってきた。

すっかり可可さんも信じきっているし、しばらくこのままの方が面白そうだな。

 

「デハ兎はどうやって月で呼吸しているのデスか……!?」

「それは……そう!兎は宇宙人なのよ!」

 

えぇ……すみれさんそれは流石に……

 

「アイヤー!?だとしたらそれは凄いことデス!可可初めて知りまシタ!」

 

信じるのかよ!

流石にこれ以上は変な暴走するな。止めておこう。

 

「可可さん、いまのは童話のお話。次の模様が餅つきをしている月に似ているって話があるんだよ」

「なっ……騙しましたねすみれ!」

「始めたのは結でしょ!」

「それでも騙していたことに変わりはないのデス!」

 

そのままギャーギャーと言い合いは続く。

せっかくの静かな夜なのに風情もあったものじゃないな。

 

「アレは日本特有の話らしいわね」

「らしいですね。他の国だと髪の長い女性とか、ライオンとかになってるらしいです」

 

柊さんが2人をおいて僕に話を振ってくる。

サニパのお二人もこの二人に慣れたのかもしれない。

 

「それなら可可も覚えがありマス!」

「へぇ〜。中国では何に見えるの?」

「ヒキガエルデス!」

「聞かなきゃ良かったわ……」

 

ヒキガエルかぁ……ウサギと比べてこう……可愛さと言うか、ロマンチックさがなぁ……。

 

「ともあれ。僕結構この話好きなんですよ。月見るたびに話すくらいには」

「へぇ〜、なにか思い入れがあるの?」

「聖澤さんの思うような思い入れがある訳じゃないですけど……なんか、良いじゃないですか。それぞれ見えているものは違っても、それは形が違うだけで一つのものなんだって。想いが同じでも、伝えるのに色んな手段がある。そういう風に思えるんです」

 

それは例えば、ダンス、歌。

頭に浮かぶ彼女達2人のようだ。

 

「なんか、臭いわね」

「いいだろ別に」

「えぇ。そういう臭いの、私は好きよ」

 

ニッ、と口角を上げるすみれさん。

やはり彼女はその表情がとても似合う。

 

「さて、そろそろかのんの電話も終わってる頃だし、迎えに行くよ」

「あ、私も行くね」

 

踵を返そうとすると聖澤さんがトテトテと後ろをついてくる。

聖澤さんは毎度毎度僕に関わる辺り、何か気に入られてるのかもしれない。

……自意識過剰かもしれないが。

 

「さっきの話ってかのんちゃんたちのこと?」

「……さぁ、どうでしょう?」

 

聖澤さんが確認するように問う。

話の途中にかのんたちの顔が思い浮かんだのは事実だ。

でもだからってかのんたちのためだけの話じゃないし、あの話が好きなのは事実だ。

 

「結くんって優しいね」

「買い被りすぎですよ。この辺りに……」

 

大きなスペースが……。

小道を出ると左側にかのんが通話を終えた様子で佇んでいた。

 

「どうだった?」

「…………あの、お願いが、あるんですけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回更新は7/6水曜日19時です
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