ようこそ愛憎混じる学び舎へ 作:妄想癖のメアリー
「うん、計算通り! 大成功だね、清楓ちゃん」
「やったー」
「さ、350!? ど、どういうことだよ!?」
そう言ってハイタッチをする2人。
他のクラスと同じような点数だろうと思っていたのだろう。
Dクラスの生徒は動揺を隠せない。
「おい水無瀬! これでお前が裏切ってねえことは分かった……約束通り
クラスメイトに囲まれて質問攻めされている水無瀬に大声で話しかける龍園。
「もちろん。いい取引だったよ。ありがとう」
「……クソが」
そう言って立ち去る龍園。1週間ほとんど1人で動き回った上、その計画が全ておじゃんになったのだ。流石の彼でも疲労が隠せないようで、心なしかげんなりしている。
部外者が立ち去ったおかげか、騒ぎを加速させるDクラスの生徒たち。
「説明してくれよ水無瀬! 一体どんなマジックを使ったんだよ!?」
喜びを隠せないのか、抱き着くような勢いで大声を上げる池たち。
「あはは……まずは戻ってシャワーでも浴びようか。説明ならその後いくらでもするからさ」
そうやんわりとなだめる水無瀬。この常夏の島に居たくないのは皆同じなのか、落ち着きを取り戻した。とは言っても興奮は収まらないようで、今後の小遣いの使い道を話し合っている。
試験は終了となり、解散となった一年生たち。船は2時間後に出発らしく海で遊んでいくも、船に上がってゆっくりするも自由となった。
「やあ諸君。1週間の無人島生活はどうだったかな?」
船のデッキではドリンクを片手に、高円寺がDクラスを迎え入れた。
「もう何が何だかよく分かんねえよ……俺ら、350ポイントだぜ? これから皆で説明してもらいに行くんだよ」
「じゃ、30分後に宴会室借りたから、そこに集合ね」
「え、ええ!? もう行っちまうのかよ!」
「よろしくねー。場所はグループに貼っといたから!」
「あ! おい水無瀬!」
そんなやり取りを思い出す池。いつもだったらリタイアしたことに噛みつくであろう彼だが、もうそれどころではないらしい。
「……350だと? ふむ……いいだろう。私も付いていこうじゃないか。ラブボーイがどんな手腕を見せたか、気になるからね」
「……こういう時だけついてくんのかよ」
相変わらずマイペースな高円寺に、呆れるDクラス一行。
そんな騒ぎを聞きつけたのか、堀北が遅れてやってきた。
「む、堀北。まだ治りきってないんだから安静にしてないと」
明らかに体調が悪そうな彼女に、心配の声を上げる綾小路だったが、それで揺らぐような堀北ではない。
「いいえ、私も行かせてもらうわ。さっき聞いたけど、350ポイントだなんて……」
「まあ気になるなら早くいけばいいんじゃねえの? そのために水無瀬はわざわざDクラス全員入れるところ借りたんだからよ」
ぶっきらぼうに言う須藤だったが、皆同じ意見のようだ。
地図に記された場所にたどり着いた一行は、その大きな扉を開ける。
「──おお! 遅かったね。ほらほら、わざわざちょっと無理言って予約してもらったんだから、皆座って座って。飲み物はそこ上がって左にドリンクバーがあるみたいだよ」
そこには畳が一面に敷かれた宴会室があった。3列に敷かれた座席は、広さ的にもDクラスの皆が入れる大きさはあるようで、水無瀬は真ん中正面に座ってくつろいでいた。
ちゃっかり皆を見渡せる席についている辺り、説明する気満々のようだ。
「随分と手際が良いのね……」
「まあまあ、立って話すよりはいいんじゃない? 私水無瀬のとなりー」
「あ! ちょっと!」
その光景に再び騒ぎを取り戻すDクラス。仲の良いもの同士で近くに座るようだ。
ちなみに綾小路はちゃんと佐倉や堀北があぶれないように連れてきている。
気配りができるというかボッチ特攻というか、どちらにせよあの白い部屋では身につかない技である。
「じゃあ全員席につけたみたいだし、説明してもらってもいいかな? 皆君が何をしたのか知りたがってるからね」
ある程度落ち着いてきた辺りで、代表として平田が話し出した。
「いいよ……どこから話そうかな」
「あ! はいはい! 355ポイントだっけ、その内訳教えてくれよー」
説明が難しいと唸る水無瀬に、池からの助け船が出される。
他の生徒たちも気になるのか、うんうんと頷いている。
「内訳としては、
・全クラスに配られる300ポイント
・高円寺君と鈴音ちゃんのリタイアで‐60
・僕と清楓ちゃんの点呼遅れで‐10ポイント
・A、Cクラスのリーダー当て+100ポイント
・スポット占領のボーナスポイントで+25ポイント
って感じかな?」
「……待て水無瀬。お前今2クラス当てたと言ったのか?」
「うん、そうだよ」
考えるように顎に手を当てていた幸村から質問に対して肯定する水無瀬。
信じられないと唸る幸村だったが、何かを思い出したようだ。
「……龍園との契約か」
「ビンゴ。AとBのリーダー情報は龍園君からもらった。契約通りにね」
そう言えばそんな話もあったとざわめき立つが、違和感に気が付いたのか平田が呟いた。
「あれ……でも確か龍園君は
「それ俺も聞いた! どういう事なんだ?」
契約書の写しを手に取る平田とそれをのぞき込む池や幸村。
「契約内容の変更が、この試験での勝敗を決定付けたんでしょう? ……私がリーダーであるという情報がバレた時点で、その情報は龍園君からAクラスへと渡り、CクラスとAクラスからリーダーを当てられることで最終的に300ポイントを下回るはずだった……」
先ほどから静かに事の成り行きを見ていた堀北が呟く。
「Aクラスって、まさか……!」
聞き捨てならない言葉が聞こえたのか、平田が最悪な予想を立てる。
余りに危険な状況だったことを知り、顔を青くする平田だったが、そんな彼に構うことなく水無瀬は残酷な真実を告げた。
「そうだよ。龍園君は僕たちDクラスだけではなく、Aクラスとも取引をしていた。内容は『BクラスとDクラスのリーダー情報を渡す代わりに、100CP分のプライベートポイントを毎月譲渡する』僕達と結んだ内容と同じだね」
「ってことは、伊吹さんってもしかして……」
その話を聞いた櫛田が、震える声でポツリと呟いた。
「そう。Cクラスから来たスパイだね」
「うええ!? マジかよ!」
伊吹を連れてきた山内が声を上げる。
佐倉にかっこいい所を見せようとして連れてきた手前、その事実に驚きを隠せないようだ。
「まあ、伊吹ちゃんを責めないであげてね。連れてきた時にほほに叩かれた痕があったけど、間違いなく龍園君にひっぱたかれたモノだから……彼女も被害者みたいなもんだよ」
「ということは、下着泥棒やマニュアルが燃えた件も……」
実際にマニュアルを燃やしたのは綾小路なのだが、伊吹には罪を少し多く被ってもらうことにした水無瀬。
「……そうだね。全部彼女の作戦だよ。僕に対策される前に、動きずらい状況にするつもりだったらしいけど、かえって動きやすかった」
「えげつねぇ……」
そのようなやり取りを、珍しく静かに聞いていた高円寺が納得したように呟いた。
「ふむ、各クラスのポイントは、Cクラスが50、Aクラスが70,Bクラスが90だったね? なるほど、後から聞けば実に簡単なトリックじゃないか……最も、それを思いついただけでなく、あの状況で盤面を操れることが一番評価に値するがね」
「どういうことだ? 高円寺」
「今まで出されたヒントで理解できないなら、君たちは二流だよ。博愛主義者のラブボーイが君たちに一切頼ることなく進めてきたのもよく分かる」
どこか演技じみた仕草で語る高円寺に、クラスからは怒りと呆れが混ざったような声が上がる。
「お前今回の試験何もしてねえじゃん……」
「私はこれで失礼するよ、面白い話が聞けて良かった。やはり君には、ぜひ私の右腕となって働いてもらいたい」
「ははは……考えとくよ」
苦笑いを浮かべる水無瀬に、ご機嫌な様子で退場する高円寺。
水無瀬を雇うという意思は、いまだ消えていない様子だ。
「……邪魔が入ったな。続きを頼む水無瀬」
「そうだね。僕と龍園君が最終的にどんな取引をしたか、そこを話すよ。あれはね──」
──時は試験最終日の夜。最後の取引をするためにDクラスのキャンプ地から離れた水無瀬と龍園。
「で、最後にどんな悪あがきを見せてくれるんだ?」
自らの勝利を疑わないのか、勝ち誇った笑みを浮かべる龍園。
実際水無瀬の企みは全て阻止されてしまっているのだ。
「まあまあ。そう焦らずに……こちらから提示する要件は、DクラスがCクラスに対して支払うポイントを、300CP分から100CP分に減らしてほしい。たったそれだけだよ」
「それを受け入れるメリットがこちらにあるとでも? 最後にどんな面白い話が飛ぶと思ったら、話にならねえな」
その一見して何の公平性もない取引の内容に、呆れたように吐き捨てる龍園。
苦し紛れにしても醜すぎる足掻きに感じたのか、そのまま立ち去ろうとする龍園。水無瀬はその背に向かって続けて話す。
「あるよ。これを受け入れてくれたら、僕はAクラスとBクラスに
「……は?」
その衝撃的な内容に、思わず足を止める龍園。
その言葉の意味を理解できないほど、彼は頭が悪くない。
「リーダーを交換するなんて、試験の根幹を揺るがすことだ。出来ないと思う方が自然だけど、本当にそうと言い切れるのかな?」
「……続けろ」
「さっきDクラスのキャンプ地に行ったとき、鈴音ちゃんが居なかったことには気づいたかい?」
「……」
あくまでも返答する気は無いのか、背を向けたまま立ち尽くす龍園。
その沈黙を肯定とみなしたのか、水無瀬はそのまま続きを話す。
「彼女がリタイアすれば-30ポイント。このまま君の計算通りいけば、僕たちの獲得ポイントは240になる。Cクラスと結んだ契約を考えると、毎月-60ポイントのも赤字だ。あの鈴音ちゃんが、たった一晩の寝床の為にリタイアするとでも?」
「……ルールには『リーダーを変更することはできない』と書いてあっただろうが」
龍園自身が水無瀬の言葉に納得しかけている。それでも認めたくない思いがあるのか、苦しそうな表情を浮かべながら語る龍園。
「それじゃ少しだけ足りない。正しくは、『正当な理由無くリーダーを変更することは出来ない』だ。この正当な理由というところに、試験が続行できない程の体調不良が入らないと思うかい?」
「てめぇ、まさかここまで読んで……!」
今までの彼の行動を元に、1つの結論を立てる龍園。しかしそれは、彼にとっては最悪という他無いだろう。
「察しがいいね。そこまで分かっているなら、AクラスとBクラスのリーダーが変わってしまう事の重大さが分かったんじゃないかい?」
「……最初は俺に対する抑止力のつもりで追加した内容だと考えた。虚偽の情報を与える位なら、何もしない方が得だと思わせるためのな……!」
その発言に点と点が繋がったのか、ハメられたという怒りを隠せない龍園。
「そう。僕が追加した契約内容、
「ク、クク。俺がこの取引を飲まない場合、お前はAかBのどちらかに
実際は試験結果が開示されることはないため、虚偽のリーダー情報を渡したことの証明をすることは難しい。
しかし、この時の龍園含む生徒たちがそれを知る由はない。試験の情報を開示しないと伝えられたのは、結果が発表された後なのだから。
「だが1つ不確定な要素があるぜ? 肝心のリーダーを誰がやったかの情報が隠される可能性がな。俺がこれに賭けてお前との取引を蹴って、後はお前を夜明けまで監禁しちまえばこの情報が漏れることもない」
しかしその可能性を見落とすほど、この龍園という男は甘くない。
苦し紛れの脅しだが、実際に彼はそれを行うだけの度胸が備わっている。
「お、ここに来て武力行使かい? 僕は構わないけど、もし僕が一定時間過ぎた後に戻ってこなかった場合、代理として人が出るように伝えてある。それは難しいんじゃないかな?」
「……」
「まあ別にここで君が飲むか飲まないかは自由だ。飲まない場合は僕はBクラスにこの話を取引として持ち掛ける。リーダーを変更する方法を一之瀬さんに伝える代わりに、最終的なBクラスのリーダーが誰なのかを教えてもらう。リーダーを変えずにー150ポイントになるか、リタイアと1クラスに当てられることでー80になるか。どちらがいいかは一目瞭然だからね」
完全に退路を断たれてしまった龍園。
この状況において、彼の心を占める感情は『怒り』では無く『恐怖』だった。
(何だ、何なんだコイツは……!)
────少し話をしよう。龍園翔と呼ばれた少年についてだ。
一般家庭で生を受けた龍園。彼は小学校時代、遠足の時に現れた蛇を、周りが恐れるなか平然と殺し、その時初めて相手を屈服させる快感を覚えた。
その騒動以降、周りは彼のことを異質な存在として扱い、そんな環境に長時間居続けた結果、性格も不良のように変化していった。
それから毎日のように喧嘩に明け暮れた龍園。時には大勢に囲まれ、抵抗できないままひたすら殴られたこともあった。
しかし──彼は一度も恐怖を覚えたことはなかった。
どうやって相手に復習し、屈服させるかを考え続けた。
自身より喧嘩の強いアルベルトを、暴力で服従させることができたのは、彼のその異常なまでの執着が理由だろう。
いつしか彼に逆らう者は居なくなり、刺激のない日々に退屈していた龍園は、日本で有数の進学校に入学し、ひょんな事からクラス間闘争に巻き込まれていく。
彼が掲げる主義は『比類なき暴力を持つ人間こそ、真の強者である』という事。
──そんな彼が、生まれて初めて恐怖を覚えた。
人間は、自分の知らないものに恐怖を抱くと言われている。
少なくとも今まで生きてきた中で、彼は知らなかったのだろう。水無瀬柊という男の、底なしでどこまでも見透かしてくるこの昏い瞳を。
本能で理解してしまったのだ。目の前の男との、圧倒的な力の差を
「分かっ、た……お前との取引を、飲む」
「──って感じのやり取りだったんだ」
時は戻って試験後、Dクラスの生徒が聞いた水無瀬の話は、余りに用意周到で、恐ろしささえ感じるものだった。
「それで……最終的に龍園君との取引は、こちらが支払うポイントが100CP分に減っただけなのね?」
「そうさ。試験結果が開示されないって事が、予め伝えられていたら、この話はまた違った結果になっただろうね」
額に手を当てながら呟く堀北。病み上がりにこの話は少し重すぎたのか、疲労を隠せずにいる。
「その場合はどうするつもりだったんだ?」
「んー? まあ龍園君が取引を飲まなかった時と同じだろうね。Bクラスに行って『君のクラスのリーダー、他クラス全部にばれてるよ? リーダー変える方法教えてあげるから、僕に最終的なリーダー教えて!』って感じかな?」
「……お前が一番えげつねぇよ! 血も涙もないじゃん!?」
池が化け物を見るかのような目で水無瀬を見つめる。
概ね他の人たちも同じ考えのようだ。いつの間にやら池がクラスの代弁者の様になっている事実に、気が付いている人はいるのだろうか……
そんなクラスメイトからの熱い視線に、拗ねたようにそっぽを向く水無瀬。
「失礼な……これでも結構優しくしたんだよ? 流石に3日以上お世話になったBクラスが最下位は心が痛むから、リーダー当ての時当てなかったし」
「あ、だから内訳のところAクラスとCクラスで100ポイントなんだ」
水無瀬発言に納得したというように手をポンと叩く櫛田。あざとい女である。
「ちょー!? 何してんのお前! Bクラスも当ててたら405ポイントじゃねえかよ!? ……俺の五千円が~」
「あはは……ごめんよ山内君」
「む、水無瀬が謝る必要はない。そもそも水無瀬が頑張ったおかげでこの結果になってる。感謝こそすれ、怒られる筋合いはない」
ここぞとばかりに大声で非難の声を上げる山内だが、綾小路の正論がクリーンヒットしたようで、これ以上喋ることはなかった。
「それに、水無瀬は何の考えもなしにやったわけじゃないでしょ?」
そう確信した様子で聞いてくる綾小路に、参ったというように両手を上げて語る水無瀬。
「……バレちゃったか。まあ打算的なところも多少あるよ? 今後ともBクラスとはいい関係でいたいしね」
「えー? ホントに仲いいままでいられるのかよ? 助けることだってできただろうに」
「Bクラスを助けた場合、僕たちは300ポイント支払わないといけないんだよ? 元はと言えば彼らが部外者であるCクラスの生徒を信用しすぎたから情報が漏れたんだ。その尻拭いをしなかったからと言って逆恨みをするような子たちじゃないって、僕は信じてるけどなー」
どこかわざとらしく呟く水無瀬。
「まーお前が言うなら大丈夫っしょ……ちょっと頭回しすぎて疲れたわ。部屋に戻って少し寝るわ」
「入学したての池だったら、頭回そうだなんていう発想無かったと思うけどね?」
「うるっせ! ……今回は何の役にも立てなかったからな。次こそは俺も頑張りたいしよ」
恥ずかしそうに頬をポリポリと搔きながら呟く池。
「その心意気だ。次は僕と同じくらい活躍してくれることを期待しよっかな?」
「いや無理だっての!? 脳ミソ爆発しちまうよ!」
「「「あははは!」」」
────紆余曲折ありながらも、水無瀬の活躍により持ち前の明るさを取り戻したDクラス。不良品と呼ばれた彼らだったが、着実にそのレッテルは剥がれつつある。彼らがAクラスの座に就くのも、そう遠い話ではないかもしれない────
「さて。僕の働きは、お嬢様のお気に召したかな? ──有栖ちゃん」
『ええ。やはりあなたに頼んで正解でした。私の想い人に恥じない働きです。貴方たちもそう思うでしょう?』
『ああ。葛城は本来残せるはずのポイントを取引で溶かした。ましてやクラスの皆に無断で、だ。ポイントもDクラスに大差をつけれらており、Cクラスとの取引で負債まで抱えている。これではあの男に付いていくなしになっており、その相手はどうやら坂柳1人ではない様子。
「このグループって言うのは随分と便利だね? 一度に大勢と話せるなんて。それにしても助かったよ皆。今回僕が勝てたのは君たちのおかげだ」
『……別に、大した事してないけどね』
スマホのスピーカーから神室の不機嫌そうな声が聞こえてくる。
「いいや、君たちが葛城派の子たちと派閥争いを止めてくれたおかげで、葛城君が妙な動きをせずに済んだ。物資提供の取引も、それが無ければAクラスと結んでいた事だろう」
『早い段階で和解したことにより、中立の人たちもまさか私たちがリークしていた、とは思わないでしょうし、葛城派の方が何を言っても負け犬の遠吠えにしかなりません』
「というか、そもそもあの……戸塚君だったっけ? あの子にリーダーを任せた時点で負け確定だよ」
『随分と酷評するのですね?』
「……まあ、いろいろあったからね」
『? まあいいしょう。これで準備は整いました。これからは私がAクラスのリーダーとして指揮を取ります』
そう力強く宣言した坂柳。互いに分裂しあっていたAクラスのパワーバランスが、一気に傾いた瞬間である。
「葛城君も可哀想に、相手が悪かったね」
『おや? 随分と余裕そうですね水無瀬君。私が最終的に倒す相手、ラスボスはあなたですよ?』
「そりゃ楽しみだ。首を長くして待ってるよ」
宣戦布告をされた水無瀬であるが、余裕を崩すことはないようだ。
坂柳もそれに対して特別不快感を覚えたりはしない、何故なら彼には
『──今は無理ですが、私はいつか貴方を倒して見せる。その暁には、あなたの人生全ていただくつもりです。私と一生添い遂げる覚悟はおありですか?』
「……この年でプロポーズされるとは思わなかったな。まあもちろん、覚悟は昔から決まってるけどね。君ほど愛せる人は、僕の長い人生の中でもあまり居ない」
『……私がいつプロポーズをしたのでしょうか?』
『いや、絶対プロポーズでしょ。今の』
水無瀬からの返答に、言葉を詰まらせる坂柳。先程までの人物と同じとは思えない初心な反応を見せた彼女に、クックックと楽しそうに喉を鳴らす水無瀬であった。
『神室さん? 後で覚えておいてくださいね?』
『……やば』
そんな閉まらないやり取りを終え、一同は解散する。
広い会場にポツリと座り、1人ごちる水無瀬。
「────結婚か……考えた事、無かったな」
あとがき
龍園君との取引が分かりづらすぎるので、箇条書きで流れだけ書いちゃいます。
前提
・CクラスはDクラスに、200ポイント分の物資を渡す代わりに毎月200CP分のPPを渡す契約をしている。
・その上AクラスとBクラスのリーダー情報を渡せたら+100CP分のPPを渡す(合計300CP分)
・
・CクラスはAクラスともリーダー情報の取引を結んでいた(BとDの情報で100CP分)
──パターン1:龍園君が取引を飲んだ場合(正史)──
・このまま茶柱の元へ向かい、取引内容を変更
・Aクラスのポイント:70 「300-30(坂柳リタイア)-100(生活費)+50(Bクラス当て)-50(Dクラス外し)-100(C,D被クラス当て)」
・Bクラスのポイント:90 「300-110(生活費)-100(C,A被クラス当て)」
・Cクラスのポイント:50 「300-300(生活費)+100(A,Bクラス当て)-50(D被クラス当て)」
・Dクラスのポイント:355 「300-60(高円寺、堀北リタイア)+150(全クラスリーダー当て)+25(スポットボーナス)」
龍園はDクラスとAクラスからそれぞれ100、合計200CP分のPPを毎月貰える。(合わせると250CP分)
Aクラスは30ポイントの赤字を抱えることになった。
──パターン2、3:龍園君が取引を飲まなかった場合(IF)──
・水無瀬を捕まえようとしてボコられる龍園。水無瀬はそのままBクラスへ行き、リーダーを交換させる。
・Aクラスのポイント:0 「上記からBクラスのリーダーを外すからー100」
・Bクラスのポイント:110 「300-110-30(リーダーリタイア)-50(D被クラス当て)」
・Cクラスのポイント:0 「50(Aクラス当て)-50(D被クラス当て)」
・Dクラスのポイント:405 「上記にBクラスのリーダーを当てるため+50」
これが龍園君を悩ませたポイント。ここから分岐する可能性は2パターン。
『虚偽のリーダーを報告したことが証明できた場合(パターン2)』と『証明できない場合(パターン3)』
あの時点で、最終的にリーダーは誰だったのか教えられるかどうかは分からなかった。(原作で説明されている描写を確認できなかった)
パターン2の場合、CクラスはPPをAクラスから100CP分しかもらえない。
パターン3の場合、CクラスはPPをAクラスから100、Dクラスから300。計400CP分もらえる。
これだけ聞くとパターン2,3を選んだ方がいんじゃね? と思うかもしれません。しかし契約は
もし見過ごされたとしても、例えばPPで開示できる可能性は無いのか? 裁判になったら生徒会の判決で取り消しにならないか? など、余りにもリスクの多い賭けです。また、龍園たちCクラスは生徒会での裁判を経験しているため、もし訴えられたら高い確率で負けるという可能性を読んでてもおかしくないと思いました。
多分僕も龍園君と同じ状況になったら、確実に250ポイント分を得られるパターン1を選ぶと思います。
皆さんならどのような判断をしますか?もしよければ感想待ってます!
高評価や感想していただけると作者の励みになります!
答えられると確約はできませんが、ここはどうして?という質問や本文の指摘などでも嬉しいです!よろしくお願いします!
あとがきの取引内容の説明分かりました?
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ほぼ完全に理解できた
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何となく理解できた
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あんまりだけど、流れはわかった
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分からなかった