ディスカバリーで殴り込む   作:ホワイト・フェザー

12 / 23
11:後片付け

 いやーSDFは強敵でしたね(棒)。これから地球は戦災復興と艦隊再建で大忙しでしょう。どこまで付き合うかは気分次第でいこうかな。

 

 まずパクってきた造船所だけど、とりあえず高軌道に置いておくことにした。中にいた人たちはハッキングしたロボットを使って降伏させたし、建造途中や修理中だったSDFの船は動かせないようにしてある。既にUNSAはレイブンに部隊と技術者を載せて向かっているらしい。

 

「よし、じゃあ地球に降りようか」

 

「そうですね。こいつとは一緒にいたくないので早く行きたいです」

 

 コール少佐は蔑んだ目でコッチを睨みつける。Mな人が見たらゾクゾクだろうね。なおコッチはトイレと食事時以外は例の拘束衣を着させている。捕虜の対応がーとか権利がーとかうるさかったので、

 

『あのな、この船は惑星連邦宇宙艦隊に所属している。だからUNSAのルールは一切適用されない。そもそも惑星連邦には捕虜の項目がないんだ(大嘘)。俺からしたらお前は大勢の罪なき民間人を虐殺したクソッタレ集団のボスだ。本来なら問答無用でその憎たらしい顔に銃弾ぶち込んで宇宙空間に放り出すところだが、銃弾がもったいないからUNSAに引き渡す事にした』

 

『何だと!?この私を地球人共の見せしめにすると言うのか!』

 

『犯罪者を裁判にかけるのは普通だろう?おたくの星はどうなっているか知らんけどな。知っての通りUNSAにはジュネーブ条約第3条があるから、向こうに行ったら少しは待遇が改善するだろう。だがそれまでは俺の管理下にある。グダグダ言わずにそれを着ていろ。あとうるさいからこれも付けとけ』

 

『んごっ!!』

 

と言ってボールギャグを噛ませておいた。

 

「いい年こいたおっさんがボールギャグと拘束衣ってなかなかにキモいし酷い絵面ですね…」

 

 シンクレア大尉があからさまに嫌そうな顔をしている。ヒロセ大尉とヘルナンデス大尉も笑いをこらえながら目を背けている。うん、気持ちはわかるよ。こんなん見たら普通に笑うし。

 

「みんな転送装置と武器は大丈夫だね?」

 

「「「「大丈夫です」」」」

 

 転送装置はコムバッジを、武器はUNSAの標準装備を用意した。コール少佐には拳銃のKendall 44を、シンクレア大尉にはショットガンのReaverを、ヒロセ大尉とヘルナンデス大尉にはアサルトライフルのNV4を渡してある。リミッターを解除したレプリケーターでさっき作った出来たてホヤホヤの銃だ。俺はタイプ2ハンド・フェイザーをホルスターに入れておいた。まあ使わんだろ。

 

「それじゃUNSA本部ヘリポートに転送!」

 

 

 

 ヘリポートに到着してまず思ったのは空気が違う事だな。宇宙船の中とは違って色々な匂いがする。自然の匂いっていうかなんというか。でも一番強く感じるのは焦げ臭さだ。周りを見ても街はもちろん墜落したUNSAやSDFの船があちこちで燃えてるからなあ。それはさておきニコニコのレインズ艦隊長と握手タイム。

 

「レインズ艦隊長、直接お会いするのは初めてですね。ディスカバリー艦長のカークです」

 

「初めまして、カーク艦長。地球を救ってくれて感謝する。君とディスカバリーがいなければ我々が勝利することはなかっただろう」

 

「そんな事はないですよ。レイエス艦長や優秀な部下の皆さんがいたからこそ勝てたんです。私1人に出来る事は限られていますから。それでこいつが今一番ホットな戦争犯罪人です」

 

 そう言って俺は拘束コッチを指差す。コッチを見たレインズ艦隊長が若干引いてる。その後ろで付添の兵士達が笑いそうになるのを必死に我慢しているのがウケる。

 

「…拘束衣は良いとして、何故口にボールギャグが?」

 

あ、それ聞いちゃう?後ろの兵士さん顔やばいっすよ?

 

「はっきり言うとうるさかったんですよこいつ。死は恥ではないだの、火星よ永遠なれだの…なのでお口チャックをしておきました」

 

コッチがむーむー唸ってるけど無視しとこ。

 

「なるほど、確かに必要みたいだな。中尉、この愚かな犯罪者を連れて行け」

 

「はっ!」

 

MPの腕章を付けた兵士達が拘束コッチを連れて行った。裁判できっちり裁かれて欲しいね。

 

「立ち話はこれくらいにしよう。もうすぐレイエス艦長やソルター少佐達が来る。一緒に食事を取ろうと思っていてね」

 

「地球を守った英雄達に会えるとは光栄です」

 

「噂をすれば来たようだ。あのレイブンだ」

 

 隣のヘリポートに着陸するレイブン。このゲーム内に登場する兵器で個人的に一番好きなのはレイブンなんだよね。

 

 

 

 会議室に移動してみんなで飯を食いながら話を進める。ハンバーガーうめえ。なおコッチが連れて行かれる姿を見たレイエス達は爆笑していた。

 

「以上が火星での作戦内容になります。軌道エレベーター周辺約200キロ圏内に存在した軍事施設は破壊してきたので、しばらくSDFは何も出来ないはずです。動ける船は非武装の輸送船ぐらいでしょうが、引き続き警戒を続けます」

 

コール少佐がモニターを使って説明をしていた。

 

「諸君、戦いは終わった。ここから先は政治家が動く内容だ。今の連合の外務担当はSATO出身の元軍人だからSDFとの交渉は問題ないだろう。だが、最後にやらねばならん事がある」

 

「と言いますと?」

 

レインズ艦隊長はモニターに2つの衛星を映した。

 

「まずエウロパ。今回の戦いの始まりの地であり、兵器工場の職員達とSCRAチーム7が眠っている地でもある。次にチタニア。かつてSDFに虐殺された入植者達と護衛部隊の遺体が今も凍ったまま眠っている。どちらも回収せねばならん」

 

「そうですね…彼らを故郷に戻さなければ」

 

「しかし艦隊長、現在稼働状態にある大型艦はヘラクレスのみです」

 

 イーサンが言うにはタイガースはエンジンが吹っ飛びレマン湖に不時着、リトリビューションは数々の戦闘で船体のあちこちにダメージが蓄積し、おまけにドロップリアクターにまで損傷が出たせいで、この先半年はドック入り確実なんだとか。俺が万引きしてきた空母ヘラクレスが役に立って良かったよ。

 

「その通りだ。そこでレイエス艦長、貴官をリトリビューションの臨時艦長職から解き、ヘラクレスの臨時艦長に命じる。亡くなった人々を故郷へ帰すカムホームオプスを実行せよ。出撃は明朝だ。イーサンはレイエス艦長の補佐として一緒に行け」

 

「了解しました、艦隊長」

 

 お休みないのねー。働かせまくりやん。軍隊もなかなかブラックやのう。そしたらレインズ艦隊長をこっちに話を振ってきた。

 

「カーク艦長、以前話していた報酬についてなのだが、最初は政治家達がいい顔をしなかったが戦果で黙らせた。単刀直入に何が欲しいか言って欲しい。可能な限り答えるよ」

 

マジすか。まあ海軍と海兵隊いなかったら負けてるし。なら…

 

「では3つほど。1つはSCARチームで使用している宇宙服が欲しいです。恥ずかしながら我が連邦の宇宙服は探査任務に特化しているくせに壊れやすいという欠点がありまして。あとデザインがダサいんです」

 

 欠点は嘘。単純にあの宇宙服かっこいいから欲しいだけ。エウロパへの降下シーンが凄すぎて最高のプロローグだと思ったよ。

 

「わかった。他は?」

 

「レイブンとジャッカルを頂けたらと」

 

「…実物を?」

 

「ええ。中古でも構わないので欲しいです」

 

 レイブンはガチで欲しい。あのデザイン、性能、全てが100点満点。HALOに出てくるペリカンに似ている点も素晴らしい。ジャッカルもかっこいいんだよな。本当はスケルターが欲しいけどUNSAの人を前に言えん話だよ。まあ貰ったら色々弄くるけど。

 

「わかった、全て準備しておこう。1週間程かかるがよろしいか?」

 

「問題ありません。ありがとうございます」

 

 

 

 飯と話し合いを終えてディスカバリーに戻ってきた訳だが。でも1週間何しようか。ちょっと日本見てきますって言える雰囲気ではなかったからこっそり行けばいいか。あと色々と調べ物でもしようかね。

 

 まずはSDFの様子でも見よう。火星地表攻撃をした時に超小型の探査機を格納庫からこっそりバラ撒いておいた。見た目はハエっぽいドローンだけど、狭いところに潜り込んで電子機器に引っ付き情報を盗める。いい買い物したよ。

 

 ちなみに今のポイント残高は驚異の5000万ポイント。リトリビューションは生き残っているし、レインズ艦隊長も無事、コッチは生け捕りにした上、火星は滅茶苦茶。ポイントが大量で嬉しいです。何を買うか迷っちゃうね。

 

「さて火星はどないなっとんねーんって、えぇ…」

 

 おやおやこれは…まさかの民衆が評議会相手にデモ起こしてる。絶対的な軍事主義を持って自由や平和を皮肉ってきた癖に、いざ全面戦争に突入したら負けちゃったんだもん。艦隊は文字通り全滅するわ、地上の軍事施設は軒並み瓦礫の山になるわ、みんなのカリスマであるコッチは捕まるわ、そりゃみんな怒るもの無理はないな。でもデモ集団をC12バトルタンクで排除(物理)するのはやり過ぎだと思います…

 

 情報を見るとやはり艦隊の再建が最優先みたいだな。でも軌道造船所と主要な地上造船所は破壊したし、付近の資源倉庫等も木端微塵にしたから大変みたいだ。コッチの命令で軌道エレベーター周辺の造船所に資源を集中させていたのが裏目に出たな。まともに動く兵器がスケルターとウォーデンが少し。地上戦力はあるけど輸送手段がウォーデンしかない。造船所も資源も兵器もないとなると…あれ、詰んでね?

 

 プロパガンダ部隊や秘密警察が全力で頑張っているけど評議会はどうすんのかね。大人しくUNSAに降伏するとは思えない。でも逃げるところもないしな。火星に引きこもって徹底抗戦…いや負けるっしょ。軌道上から砲弾やミサイルバラ撒いたらおしまいだし。ここは評議会が少しでも理性的な対応をしてくれる事を祈るとしよう。

 

「艦長、ドロップリアクターによるジャンプの分析が完了しました」

 

「ありがとう、データ」

 

 ゲームしてても思ったけど、やっぱあのジャンプはかなーり危険なものだな。うまくいかないと船体が耐えきれなくなって分解する可能性がある。しかもジャンプすると放射線まで出す。そういうリスクがあるから、この世界の人類は太陽系の外に進出できていないんだろう。

 

 土星から水星までリトリビューションは20秒かからなかったから、SDFとの戦いが完全に終了したら太陽系外の探索を始めるのかもな。潜在的に居住可能な太陽系外惑星とか見つけれれば良いんだが。地球類似性指標(ESI)の値が最も高く、かつ地球に一番近いのがティーガーデン星bだったかな。ちょっと覗いてくるのもありだな。

 

 

 

「艦長、通信が入っています」

 

「分かった、繋いでくれ」

 

てっきりレインズ艦隊長かと思ったら見覚えのある白髪のおっさん。神やん。

 

『おひさ』

 

「お、おひさ。てか何の用?」

 

『この世界での役割、終わり。次の世界、行く』

 

「えっ」

 

普通転生って1回やったらずっとその世界で死ぬまで住むんじゃないの?

 

『原作変えて、みんなハッピー。俺も、ハッピー。でもまだある、変えるべき世界。だから、お前、行く』

 

「ちなみに次の世界はどんなやつなの?」

 

『言えない。行ってから、お楽しみ』

 

「なんでやねん。で、いつ行くんだ?」

 

『データに、方法、教えとく。じゃ』

 

切れたし。てかまた別の世界行くのかよ。

 

「データ、どうやるかわかった?」

 

「はい、艦長。まずは通常ワープを実行し、ワープ中に胞子ドライブを起動すれば別世界へ行けるみたいです」

 

「わかった。UNSAから報酬を貰ったら行く事にしよう」

 

「了解しました」

 

 次どんな世界に行くんだよ…あまりにも技術レベルに差があるとマジでえげつない事になっちまうで。進撃の巨人の世界で巨人がいきなりフェイザーで蒸発したり、マーレが光子魚雷で街ごと吹っ飛ぶの見たくないでしょ。

 

「ちょっとはメカメカしい世界がいいなあ…」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。