ディスカバリーで殴り込む   作:ホワイト・フェザー

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5:出撃

 キャプテン達がアベンジャーズ本部に到着した翌日。全員でディスカバリーの会議室に移動していた。レプリケーターでそれぞれ好みの朝食を用意して優雅な朝食タイム。トニーとスティーブは昨日の夜遅くまで語り合っていたみたいで、今は昔みたいに仲良くなっている。俺はストレンジやサムに32世紀の話をしてあげた。タイムトラベルに興味を示していたけど絶対やめとけと注意しておいた。そしてバナーとナターシャだけど、バナーは妙に痩せてるしナターシャは肌がツヤツヤしている…何も言うまい。

 

「さて、では今後についての話をしよう」

 

俺はホログラムでガーディアンズとソーの居場所を表示させた。

 

「まずガーディアンズだがリアリティ・ストーンの回収に成功したとの連絡を受けた。現在地球に向かっている。そしてソーはムジョルニアに変わる新たな武器を作らせたそうだ。その過程で焦げたみたいだけど」

 

「焦げた…?」

 

なんで武器作るだけで焦げるのかね?まあ普通はそう思うよな。

 

「これで地球に4つのストーンが揃う事になる。サノス、そして我々が手に入れていないソウル・ストーンについては、ガーディアンズのガモーラしか場所を知らない。故にサノスは間違いなく地球に来るだろう」

 

そこでサムが口を挟んできた。

 

「それはわかったけど問題がある。地球のどこで戦うんだ?都市部は論外だ、民間人の犠牲を出す訳にはいかない。かと言って俺の国で戦ってもいい、なんていう国はないだろう」

 

「確かにその通りだ。今考えているのは月の公転軌道でサノスのサンクチュアリⅡを沈めてしまう作戦だ。火力はそこそこあるが所詮は図体がでかいだけの船だ、あっという間に沈めてやる。地球に向かう破片等はフェイザーで蒸発させれば問題ない」

 

「それなら確実にサノスを殺せるだろうが、あいつが持っているパワー・ストーンも一緒に吹っ飛ばないか?」

 

トニーの主張も無視できないな。

 

「その可能性は残念ながら大いにある。でも狙う奴がいるならいっそ破壊した方が良くないか?」

 

「それはまずい。パワー・ストーンが物理的に破壊されると、とてつもなく破壊的なエネルギー放射が発生する。月でそんな事をすると月はもちろん地球にも甚大な被害が出るだろう」

 

ストレンジさんそれは初耳っすよ…

 

「ならこちらから打って出るしかないな」

 

「だがどこで?地球以外で大気が存在して戦っても問題にならない惑星なんか…」

 

「1つある」

 

俺はモニターにとある惑星を表示した。

 

「タイタン。ここには大気もあるし人もいない。完全に放棄された無人の惑星だ。ここなら好きなだけ暴れる事が出来る」

 

「確かに大きな惑星だ。ならここにしようか」

 

「異議なし」

 

全員の同意を得られた上で次の議題へ。

 

「ヴィジョンに聞きたいんだが、その額にあるマインド・ストーンはやっぱり外せない感じ?」

 

「そうだ。これは体と一体化しているから外す事は不可能だ」

 

「やはりか…実は試したい事があったんだが…」

 

「どんな事だ?」

 

「実際に見てもらったほうが早いと思う。ロキ、すまないがスペース・ストーンを貸してくれないか?すぐ返すから」

 

「ん?いいぞ、ほれ」

 

 ロキから借りたスペース・ストーンをレプリケーターにセット。もちろん直接触ると危なさそうなので手にシールドを張ってある。

 

「ありがとう。データ、やってくれ」

 

「了解です」

 

ストーンのあちこちをスキャンする。しばらくすると結果が出た。

 

「艦長、スキャン完了しました」

 

「出来そうか?」

 

「可能ではあります。しかし作成には12時間程掛かります」

 

「艦の余剰エネルギーをレプリケーターに全部回したらどうだ?」

 

「それでしたら15分で出来ます」

 

「やってくれ」

 

「了解」

 

 ストーンをロキに返してレプリケーターが動き出すのを眺める。それを見たバナーが顔をひきつらせながら聞いてきた。

 

「なあジム、まさかとは思うけど…」

 

「そのまさかだ。軽く説明すると、本艦に搭載されているレプリケーターは分子を材料として、実物とほとんど変わりのないコピーを作り出す事ができる。例外として生体や一部の物質は作成できない。だがスペース・ストーンはコピーできるようだ」

 

 そうそう、みんなには俺の事をジムと呼んでもらう事にした。いつまでも名字だとなんか嫌だし。てかレプリケーターは放射性物質の類いも作成出来ないはずなんだが…微弱なγ線だから大丈夫なのかな?まあいいか。てかみんながフリーズしてる。

 

「どうした?なんか変な事言ったか?」

 

「いやいやいやいやおかしいだろ!」

 

そう言いながら立ち上がるのはロキ。

 

「インフィニティ・ストーンは概念を司るエネルギーの結晶石だぞ?それをたった15分でコピーできる?あり得ない、というかあってはならない事だ!宇宙の均衡が崩壊してしまう。そもそもコピーしてどうするつもりなんだ?」

 

「サノスを騙してからかってやろうかと思ってね。俺が今作っているのはストーンの()()()()()()だ。実際に使おうとしたら崩壊するようにしてある。俺のプランはこうだ。スペース、マインド、タイム、リアリティの4つの海賊版を作ってタイタンへ持っていく。それに釣られてやって来たサノスと愉快な仲間たちを殲滅する。もちろん本物は地球で保管しておく」

 

 本物は遮蔽装置付きの箱かなんかを作ってしまっておけばサノスも探知できないだろう。見た目と波長が本物にしか見えない偽物を用意すれば絶対にそっちに釣られるはずだ。

 

「確認なんだが、ストーンの完全なコピーは作成できないんだよな?」

 

その疑問についてはデータが返答する。

 

「不可能です。本艦のジェネレーターを全力稼働させたとしてもエネルギーが全然足りません。実行するには最低でも複数のクエーサー、もしくは超大質量ブラックホールレベルのエネルギーが必要です」

 

「そうか…」

 

 ロキは心底ホッとしたようだ。確かにあんなのをポンポンコピーされたらたまったもんじゃないしな。しかしヴィジョンは納得出来ないみたい。

 

「ジム、君の作戦を採用した場合、私は地球で留守番をしなければならないという事だな?皆が宇宙の為に戦うのに自分だけ地球にいるのは納得出来かねる。だが君の主張するストーンの破壊については同意する。パワー・ストーンは力の概念の結晶だから破壊されると甚大な被害が出る。一方精神の概念の結晶であるこのマインド・ストーンが破壊されてもそこまで被害は大きくないだろう。せいぜい近くにいる人が吹っ飛ぶ程度で済むはずだ」

 

ヴィジョンの発言に会議室の空気が凍った。

 

「ヴィジョン、自分が何を言っているか理解しているのか?マインド・ストーンを破壊すれば君も死ぬんだぞ?」

 

「もちろん理解している。だが地球を守る為なら必要な犠牲だ」

 

「それは隣で半べそをかいているワンダを見ながら言ってくれよ」

 

 ヴィジョンとワンダは恋人の関係だしな。ワンダは涙目でヴィジョンの両肩を掴んだ。おや、ワンダの様子が…?

 

「どうしてそんな事言うのやめてよ駄目よ絶対に認めない私を置いていかないでおかしいでしょ私達恋人でしょ無視しないでよ私を捨てないでずっと一緒にいて死ぬなら一緒に死なないと駄目よ貴方を守る為ならなんだってやるわ貴方は私が守るから命を懸けて守るからだから私から離れないで勝手に大事な事決めないできちんと相談して酷い事しないでもう大切な人がいなくなるのは嫌なのお願い」

 

「おおお落ち着けワンダ」

 

 あれれ~おかしいぞ~?いつの間にワンダはヤンデレになってんの?みんな引いてるやん。いや~ヴィジョンには献身的な彼女がいて羨ましいな~(棒

 

「ワンダも反対しているしストーン破壊は駄目だな。取り外すのも無理だし」

 

「それについて考えがある。ワカンダに協力を仰ぐのはどうだろうか?」

 

 スティーブの案はワカンダの王であるティ・チャラに協力をお願いするというもの。確かにあの国は地球上で一番発展しているしな。

 

「そんな国が地球にあるとは…だがそれだけ技術力が発展しているなら可能性はあるな」

 

「僕からコンタクトを取ってみるよ。あの国は信頼できる」

 

「頼んだ」

 

 

 

 スティーブが連絡したところブラックパンサーことティ・チャラが協力してくれる事になったので、ヴィジョンは地球待機組になった。ただヴィジョンだけ置いてけぼりだと発狂しそうなワンダもセットでお留守番。あとストレンジも同じくお留守番に。ストレンジには個人的にお願いをしておいた。

 

「ストレンジ、これを渡しておく。もしこの通信機器が起動したらタイム・ストーンで時を戻してくれ。勝てるまでやり直したいからな」

 

「保険という訳だな、わかった。だがジム、我々が負ける未来はきっと来ないだろう」

 

「そう願っているよ」

 

 その後3つの偽ストーンが完成した。実際にロキやストレンジに確認してもらい合格点を貰った。また遮蔽装置付きの大きな箱も用意した。これに入れておけばストーンは探知できない。

 

「あとはガーディアンズとソーが戻ってくれば…」

 

 そんな事を言っているとディスカバリーの横に光の線が出現し、中からスペース・ポッドが飛び出してきた。あれ、ビフレストって人だけじゃなくて宇宙船も飛ばせるんだっけ?まあいいか。スペース・ポッドが格納庫に入った直後に緊急通信が入った。

 

『ディスカバリー、こちらベネター号!緊急事態だ!サノスに見つかった!』

 

「ピーター、状況は?」

 

『攻撃が激しい!このままじゃ捕まっちまう!』

 

「すぐに救援に向かう。あと5分持ちこたえてくれ!」

 

『わかった!』

 

通信を切断して全員に向き直る。

 

「という訳で、出撃しよう。まずはワカンダでヴィジョン、ワンダ、ストレンジを降ろす。その後すぐに宇宙に上がる」

 

「分かった。そう言えばジム、ロスの対策はどうするつもりなんだ?」

 

「それだが…ちょっとみんなに協力してもらいたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アベンジャーズ・コンパウンドから10キロメートル程離れた場所に白いバンが駐車していた。見た目は普通の車だがその中身は監視装置で埋まっている。国務省の偽装監視バンは長官命令でディスカバリーの様子を遠距離から監視していたのだ。

 

「おい、あれを見ろ。動きだしたぞ!」

 

「何だって!?」

 

 モニターには徐々に姿が消えていくディスカバリーが高度を上げながら大西洋に向かって行く様子が見えた。

 

「長官に報告だ、急げ!」

 

報告を受けたロスはすぐにカークから渡された連絡先に電話をかける。

 

『カーク艦長だ』

 

「国務長官のロスだ。艦長、君はどこに行くつもりなんだ?」

 

『もちろん地球を救う為に宇宙へ行きます。敵グループの首謀者の現在位置が分かりましたので。それより委員会の招集はいつです?』

 

「それは…まだだ。各国との調整に時間が掛かる。だからそれまで待ってくれ」

 

『正直待っていられません。地球上で戦うとニューヨークやソコヴィアレベルの被害が出るでしょう。例え勝ってもあとからギャンギャン文句を言われるのが容易に想像できる。だから地球では戦わず宇宙で戦う事にします』

 

「…艦長が行くのは止めないがスタークや他のヒーロー連中が行く事は許さない。協定にサインしている以上従ってもらわないと困る」

 

その後聞こえてきた言葉にロスは凍りついた。

 

『そう言うと思いましたよ。だからちょっとした強硬策を取らせてもらいました。スタークや他のヒーロー達の家族や大切な人を()()()()()()()()()

 

「………は?」

 

 絶句するロスの耳にはスタークやバナー達の怒号が聞こえてきた。ペッパーを返せだのロマノフに何かあったらぶっ殺すだの…どうやら本当にやったみたいだ。

 

『いや厳密に言うと彼らの家族や大切な人の近くに暗殺に特化した戦闘ユニットを常時配置しています。高度なステルス機能を備えているので、あなた方の力では把握すら出来ませんがね。スタークや他のヒーロー達も本当は行きたくないけど家族が人質になってるから()()()()戦いに行く事を決めたんです。だから文句は私だけに言って下さい。それにクリントとスコットは今回声をかけていないのでご心配なく』

 

「あ、あり得ない!そんな馬鹿な言い分が通るとでも…」

 

『通りますよ。あなたが大好きな協定にはいろんな事がごちゃごちゃと書かれていますが、書かれていない事を罰する事は出来ないでしょう?それに私は協定に参加していませんし』

 

 まさかヒーローの家族を人質にとって、無理やり戦わせる奴が出てくる想定をロスはもちろん誰もしていなかった。

 

『まあそういう事なので我々は行きます。恐らく1週間もしないうちに帰ってくると思います。祝勝会の準備でもしておいて下さい。ではご機嫌よう』

 

 そう言ってカークは通信を切った。しばらくロスはフリーズしていたが、受話器を叩きつけると同時に盛大にキレた。

 

「ちくしょーめ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな協力ありがとう。これでロスや国連は放置できる。早速移動しよう。データ、ブラック警報発令。目的地はワカンダ上空」

 

「了解、ワカンダにジャンプします」

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