「みんな聞いてくれ」
アベンジャーズのリーダーであり、タイタン地上戦における戦闘責任者のスティーブは全員を前に口を開いた。
「ジムとディスカバリーのお陰で敵戦力をかなり削る事が出来た。観測データによれば残っている敵は約600程。大多数がニューヨークで戦ったチタウリや、遺伝子改造研究で生み出されたアウトライダーだ。問題はサノスとその直属の部下だ」
データによると直属の部下は4人。まずサノスの副官であり金のハルバードを操る戦士、コーヴァス・グレイヴ。ストレンジと同レベルの戦闘力を持つ闇の魔術師、エボニー・マウ。サノスの軍勢で最も強力な戦士であり、白兵戦のエキスパートでもあるプロキシマ・ミッドナイト。そしてハルク並に大きな体と力を持つカル・オブシディアン。
「サノスは僕とトニー、ソー、ロキで対処する。ナターシャ、ジム、ヘイムダルはグレイヴを、ブルース、ローディ、サムはオブシディアンを、ピーター、ガモーラ、ネビュラはミッドナイトを、そしてドラックス、グルート、ロケット、マンティスはマウを相手にしてくれ。当然チタウリ達も相手にしないといけないから難しいとは思うがやるしかない」
「わかってるさ、スティーブ。どんな手段を使ってでも勝つぞ」
「そうだな。でもジム、マンティコアは最終手段だ。本当にやばくなったら使うようにしてくれ、いいな?」
「もちろんさ。もう1つの戦闘用サイボーグもあるからなんとかなると思うぞ」
正直そのサイボーグがどんなものか気になったが、マンティコアを超えるようなサイボーグは流石に存在しないだろうとスティーブは考えた。
「うん。直属の部下を倒した後はチタウリ達の掃討、そして僕達に協力してくれ。それとこれが重要だが、偽ストーンが入っている箱を守るフリをしながら戦う必要がある。だから基本的には防衛戦を展開する。敵が少なくなってきた、または偽ストーンが奪われた後は好きに暴れてくれ」
「了解!」
『データより全メンバーへ、敵部隊が南から接近中』
インカムから聞こえてきたデータの声とほぼ同時に、丘の向こうからサノス達が走ってくるのが見えた。見た感じかなり怒っている様子だ。するとジムがチェストリグから何かの装置を取り出して弄り始めた。
「ジム?」
「ちょっとした足止めをしようかなと。スティーブ、これ押してみて」
渡されたのはどこからどう見ても起爆装置だった。スティーブは少しだけ躊躇したが装置を受け取ってスイッチを入れた。
その瞬間サノス達の足元が一斉に破裂した。ジムがこっそり仕掛けておいた地雷が起爆したのだ。遠隔操作によって起爆した対車両指向性散弾地雷はチタウリやアウトライダー、そしてサノスと直属の部下を襲った。至近距離からの散弾を防ぐ事ができる訳もなく、チタウリやアウトライダーは次々と肉片と化した。しかしサノスとその部下には傷1つ付かない。彼らは足を止めることなくこちらに近づいてくる。
「まこんなもんか。100ちょいは削れたかな?」
「爆弾…いや地雷か!?」
「ああ。嫌いか?」
「そりゃまあ…」
少なくともスティーブの知り合いに地雷が好きな人間はいない。
「良かった。もちろん俺も地雷は好きじゃない。だが威力は十分だし、心理的効果も絶大、そして何より
「公平?」
スティーブは兵器に公平もクソもあるのかと思ったが、ジムは顔をため息をつきながら起爆装置をチェストリグに戻した。
「元々地雷という兵器は軍人も民間人も家畜も、男も女も子供も老人も、それどころか敵も味方も区別しない。地面に埋められた途端、仕掛けた者の制御も受け付けなくなって殺傷力だけが独り歩きしていく。しかも低コストだ。俺の世界でも地雷の完全な除去は22世紀になるまで終わらなかった。人間の愚かさを象徴する兵器だと思わないか?まあスマート地雷が開発された事により地雷の非人道性は少し減ったがね」
ジムの世界でもそんなに時間がかかったのか…確かに世界には今も地雷で苦しむ人々が数多く存在する。カンボジアや中東なんかが有名だな。この戦いが終わったらトニーに地雷の処理について聞いてみるか。
そんな事を考えていたら走ってきたサノス達が突然足を止めた。僕達との距離は大体100メートルくらい離れている。
「お前らが我らの敵か。ようやくまともに戦える時が来た。小汚い戦法を使いやがって…だがこれで終わりだ。お前らを殺してストーンを手に入れる。邪魔をするな!」
反射的にみんなでジムを見てしまったが、本人は全く気にしていない。
「俺はいつもまともに戦ってきたぞ。勝てないお前が弱いだけだ。それに卑怯だろうが何だろうが、ルールの範囲内であれば何でもやる、それが俺の流儀なんでね。そもそもパワー・ストーンを手に入れる為に惑星1つを壊滅させるような
「ぶっ!」
そこで笑っちゃうかネビュラ…僕もなんか言っておくか。
「サノス、お前の好きにはさせない。ここにいるのは全宇宙から集まったヒーロー達だ。お前の野望は今日ここで終わりにする。宇宙を守る為にも引く訳にはいかない」
「ほざけ!あのイカれた性能の宇宙船さえなければ、お前らはただの雑兵だ!数で勝っている我らに勝てると思っているのか?」
するとジムが笑いながらサノスに言った、
「もちろん勝てるさ。今日の夜には地球に帰って祝勝会の予定なんだ。みんなでバーベキューするから早めにお前らテロリスト共を殲滅しないとな」
「ふざけるな!何故そう言い切れる!?」
「事実だからさ。まずガーディアンズのみんなはパワー・ストーンを巡る騒動でロナン・ジ・アキューザーを倒してる。そしてアベンジャーズはスペース・ストーンを巡る騒動でロキとチタウリを倒した。どっちもお前と手を組んでいたよな?何が言いたいかと言うと、ここにいる俺以外のヒーロー達は世界を救った実績があるという事だ。今回もお前らを叩きのめして世界を救うさ。二度あることは三度あるって言うだろ?で、お前は今まで何をしてきた?散々色々な惑星を滅ぼして、とんでもない数の民間人を殺して、手に入れたのはパワー・ストーン1つだけ。とてもじゃないが一生ついていきたいボス、ってやつじゃないな」
「くっ…だがお前は技術力がなければただの人間じゃないか!」
「うん、その通りだ」
ジムは何言ってんだこいつ、みたいな目でサノスを見つめた。
「俺はちょっと特殊でな。この世界ではなく、別世界から来た人間なんだ。ヒーロー達のような特殊能力がある訳じゃないし、そもそもヒーローなんかじゃなくて唯の軍人だ。俺が生きていたのは32世紀前半の世界だ。当然技術力はここより上だから、お前らが勝てないのは全く自然だ。分かりやすい例で言うとだな…」
ジムは真上を飛ぶディスカバリーを指差す。
「お前らが傷1つ付ける事が出来なかったあの船。実は戦闘艦じゃなくて科学実験艦なんだ。お前らが乗っていた図体がでかいだけの戦艦はただの科学実験艦に負けたんだよ。この時点で勝てない事に気付いて欲しいな。あと俺の世界にはあれよりデカくて速くてめっちゃ強い船がゴロゴロいる。それこそ
「………は?」
サノスはもちろん僕達も全員理解が出来ていない。前者はあり得ないレベルの平気だし、後者も色々とおかしい。惑星ではなく星系だって?星系って恒星の軌道を周回する天体の一群の名称だったかな?太陽系も星系だよな?それを一撃…マジでやばすぎるだろ。てかディスカバリーにも搭載されてるのか。
「本当なら戦いの時に手加減とかはしたくないんだ。俺は職業軍人だから手を抜いて戦うなんて教わっていないし、相手がプロの軍人だったら失礼だからな。だがお前らはただのテロリスト、鼻つまみ者、犯罪者だ。そんな卑怯で、姑息な、弱い連中に本気を出すのは…ちょっとオーバーキルになっちゃうからかわいそうでな。でも俺も鬼じゃない。できる限り苦しませずに殺してやる。だから…」
そう言ってジムはライフル型フェイザーを構えた。
「お前らは今日ここで死ぬ。お前らが一人残らず暗闇の中で死ぬ事で、罪なき人々が光の中で生きられる。それを受け入れろ」
「黙れ!!」
死ぬのを受け入れろって言われて、はいわかりましたって言える人はそうそういないだろ…しかも味方からならまだしも敵から言われてるし…そろそろ始めようか。
「行くぞ!アベンジャーズ、アッセンブル!」