ディスカバリーで殴り込む   作:ホワイト・フェザー

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2:今後の方針

 とりあえず艦隊長へ状況を報告しリトリビューションの艦橋に戻ったレイエスとソルター。タイガースからフェラン艦長もシャトルでやってきた。

 

『レイエス艦長。カーク艦長からの会談要請だが私の権限で許可する。ただし会談場所はリトリビューションとする。あと私もオンラインで同席するぞ』

 

「了解しました、艦隊長。ではカーク艦長に繋ぎます…こちらレイエス艦長。カーク艦長、応答願います」

 

『こちらカーク。感度良好だ』

 

「会談の要請ですが許可が降りました。ただリトリビューションまで来て頂く必要があります」

 

『了解した。そちらの…あー、艦橋に行けばいいのか?』

 

「そうです。シャトル等の小型艇でこちらの格納庫に来て頂ければ案内を…」

 

『それには及ばない、レイエス艦長。()()()()()()()

 

「えっ?」

 

 

 

 次の瞬間、見慣れない制服を着用した男が青い光と音を放ちながら艦橋に出現した。数秒間、誰も動けなかったがイーサンがすぐに銃を向ける。慌ててソルターやフェラン艦長が銃を構えるも、男は気にせず周りを見て笑顔を浮かべていた。

 

「これがリトリビューションか。素晴らしい宇宙空母だな。やはり大型艦はロマンがあっていいものだな」

 

 男は独り言を言っていたが、ようやく自分に向けられた銃に気付いたのか、両手を上げながら自己紹介を始めた。

 

「ジェームズ・T・カーク大佐。USSディスカバリー艦長だ。突然お邪魔して申し訳ない。レイエス艦長はどちらかな?」

 

レイエスは武器を下げるように指示してから一歩前に出て手を差し伸べた。

 

「ニック・レイエス中佐。UNSAリトリビューション臨時艦長です。どうぞよろしく」

 

「こちらこそ」

 

 がっちりと握手を交わしてから会議室に移動する。お互い知らないことだらけでどこから話すべきか悩むが…困った時は艦隊長へ丸投げすればいい、とレイエスは考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんでやねん。俺が言いたいのはこれに尽きる。Call of Duty: Infinite Warfareの世界とかマジかよ。俺もゲームやったわ。SDFは退けたけど決してグッドなエンディングではなかったよなぁ。なら俺がその未来を変えるんじゃ!

 

 というわけで会議室にてこちらから惑星連邦や宇宙艦隊について軽く説明をした。当然向こうはポカンとしている。そりゃそうだよな。向こうは地球と火星でバトってるのに、こちらは星間連邦国家だし、人がワープしてくるし。まさに宇宙猫状態って感じだろう。向こうの状態はゲームと同じらしい。ちょうど月をSDFから奪還したところだそうな。

 

『ついてはカーク艦長、リトリビューションとタイガースと共にSDFと戦ってもらえないだろうか。こちらは戦力が枯渇状態なのだ』

 

 レインズ艦隊長がお願いしてきたけどちょっと突っぱねてみようかな。素直にハイハイ言うのもどうかと思うし。

 

「艦隊長、私も宇宙艦隊の士官としてやっても良い事と駄目な事があります。宇宙艦隊一般命令第1条において、自衛目的以外での武力行使をしてはならない事になっております。そもそも本艦はリトリビューションやタイガースのような純粋な戦闘艦ではありませんから」

 

「待って下さい、ではディスカバリーはどういう種類の船になるのですか?」

 

フェラン艦長が驚きながら聞いてきた。意外とフェラン艦長って美人だよな…

 

「USSディスカバリーはクロスフィールド級先端技術実験船です。艦内で約300種類もの科学実験に対応可能な設計となっています。一応自衛用の武装はありますが」

 

『そこを曲げてなんとかならないだろうか…報酬等は今決めることは出来ないが何かしら用意させてもらう』

 

報酬か…もらえないよりマシだしもらっとくか。

 

「そうですか…ちょっと通信をさせて下さい。データ?」

 

『はい、艦長』

 

コムバッジを使ってデータを呼び出す。

 

「ディスカバリーの艦長として、ここに宇宙艦隊憲章第14条31項の適用を宣言する」

 

『了解しました、艦長』

 

 これで問題ないな。にしてもこの条項ズルすぎないか?そろそろ変えるか消すかしたほうがいいと思う。あとセクション31滅ぶべし。

 

「カーク艦長、今のは?」

 

「宇宙艦隊憲章第14条31項というのは今の状況を吹き飛ばす事ができる素晴らしい条項です。これであなた方に協力する事が可能となります」

 

『それはどんな条項なのだ?』

 

俺は精一杯ニヤリとしながら伝える。

 

「非常事態においてはいかなる規則を曲げることも許される、というものです」

 

『それは実に素晴らしい条項だ。うちも真似したい限りだ』

 

レインズ艦隊長も思わずニッコリ。というかレイエスや周りのみんなもニッコリ。

 

「ただそちらの指揮下に入る、となりますと後々問題になってしまうので、UNSAと惑星連邦間の一時的な同盟関係という形でお願いできますか?」

 

『もちろんだ』

 

 

 

 

 

 そんなこんなでUNSAと同盟を結んだので早速作戦会議。リトリビューションは単艦で海王星にてテイクンダガーオプスを実行。ディスカバリーはタイガースと共同で木星周辺の敵パトロール艦隊の殲滅を行う事になった。ゲームにはなかったやつだな。まあディスカバリーの性能を確認したいんだろう。あとレインズ艦隊長の要請で、UNSAの軍隊であるSATOの士官・下士官の計4人がディスカバリーに同乗する事になった。お目付け役なのかどうかはわからんがね。

 

「では皆さん、私の左手を掴んで下さい。私が良いと言うまで絶対に離さないで下さい」

 

4人組がしっかり掴んだ事を確認してから俺はディスカバリーの艦橋へジャンプした。

 

「はい、いいですよ。ようこそディスカバリーへ」

 

「はぇっ!?もう着いた!?」

 

「凄い最先端って感じしかしない」

 

「一瞬でワープとか…ありえない」

 

「指はある目もある耳も聞こえる玉と息子も無事…ヨシッ!」

 

 みんなテンパってるけど落ち着かせてから椅子に座らせる。艦長席の両サイドに2人ずつ。そしてタイガースに通信を繋げた。

 

「フェラン艦長、合流地点はガニメデ軌道上で問題ないか?」

 

『その通りだ、カーク艦長。合流後、エウロパ方面から接近してくる敵艦隊に攻撃を行う。それでは現地で』

 

「了解した」

 

 タイガースがジャンプの準備に入る。ゲームで見たけどあの放熱板っぽく展開する装置がかっこいいよなあ。正式名称とか気になる。ゲイターはワープの事をファストトラベルって言ってたっけ?

 

「あのカーク艦長、我々は座っているだけで良いんですか?」

 

 4人組のリーダーであるキャシー・コール少佐が聞いてくる。彼女はジュネーブのUNSA本部に務める技術士官だとか。

 

「そうなりますね。皆さんはお客様って事なのでくつろいでいて下さい。そうだ、飲み物はコーヒーでいいですか?」

 

「え?え、ええお願いします」

 

「データ、レプリケーターでコーヒー5つ」

 

「かしこまりました」

 

 すると数秒でコーヒーが出来た。全員の椅子の肘掛けに砂糖とミルク付きで出現したもんだから4人はびっくり仰天。

 

「えっえっえっ」

 

「飲んでいいですよ。うん、美味いな。コーヒーはキリマンジャロが一番だ」

 

「椅子からコーヒーって…」

 

そんなことしていたらタイガースがジャンプした。俺も行かないとね。

 

「データ、胞子ドライブにてジャンプを行う。目標はガニメデ軌道。ブラック警報」

 

「了解です、艦長。ブラック警報発令。胞子ドライブ起動準備」

 

例の警報が鳴ると4人はビクビクしているけどそんな揺れないから大丈夫なのにねー。

 

「胞子ドライブ、準備完了しました」

 

「よし、ジャンプ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「間もなくスリップを抜けます。出現まで3…2…1…」

 

 タイガースがジャンプを終えて最初に見たのはディスカバリーの姿だった。先に出発したのに何故ディスカバリーがいるのかフェランには理解できなかったが、その辺の技術を詳しく理解するのは技術屋だけで十分だと判断し頭の片隅に追いやった。

 

『ディスカバリーからタイガース。ロングレンジスキャナーに微弱なコンタクト。SDFのレーダー波と一致した。数は…5、いや6。そちらでも確認できるか?』

 

モニターを見ると確かに6つの反応が確認できる。SDFの巡洋艦2隻、駆逐艦4隻からなる例のパトロール艦隊だ。

 

「確認した。派手に歓迎してやるとしよう。タイガースがミサイルを斉射、その混乱に乗じて突撃としよう」

 

『了解した。幸運を』

 

 全速力で敵艦隊に向かいながらタイガースから次々とミサイルが放たれる。エウロパ方面から接近してきたSDF艦隊は突然のミサイル攻撃に混乱しつつも迎撃を開始した。そこにタイガースとディスカバリーが一気に接近し攻撃を開始。フェラン率いるタイガースは連装速射砲を5基10門、各種ミサイルを装備している駆逐艦だ。まずはミサイルで被害を受けた巡洋艦に攻撃を集中する。機関部にダメージを受けた巡洋艦はその攻撃に耐える事ができず、真っ二つに爆散した。

 

「良いぞ!次は…」

 

「艦長!ディスカバリーが!」

 

 操舵手の悲鳴のような大声でフェランはディスカバリーを見た。なんとディスカバリーは3隻の駆逐艦からの集中砲火を受けているにも関わらず、一切ダメージを受けた様子がないのだ。フェラン達が唖然としている前で、仕返しと言わんばかりにディスカバリーの船体から発射された複数の青いレーザー光線のような攻撃で駆逐艦3隻は一瞬で轟沈。更に発射された青色の光弾のようなものが巡洋艦に命中。爆発の後には巡洋艦の欠片すら見つからなかった。残った駆逐艦は逃げようとしたが、タイガースによって撃沈された。

 

「なんという船だ…あれで自衛用の武器しか搭載していないと言うなら、惑星連邦の戦闘艦は一体どんな化け物なんだ?」

 

フェランの言葉に返事できる者は誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

「とりあえず攻撃を受けてみよう」

 

「「「「なんて?」」」」

 

 俺の言葉に4人組がハモる。だってディスカバリーのディフレクター・シールドがどれだけ耐えれるか、きちんと確かめておかないといけないじゃん?多分大丈夫だと思うけど念の為ね。

 

「コール少佐、SDFの駆逐艦や巡洋艦にはエネルギー兵器は搭載されていないんだろう?あのバカでかいオリンパス・モンスは例外として」

 

「そうですけど無茶すぎませんか!?」

 

「大丈夫だって。こっちにはシールドあるから。というわけでデータ、シールド出力を最大、武装の準備を」

 

「既に完了済みです、艦長」

 

「流石だ、データ」

 

 そんなことを言っていたら駆逐艦3隻の攻撃が始まった。多少揺れるのは分かっていたけどシールド出力の低下率はそこまでひどくないね。オリンポス・モンスのF-SPARはヤバそうだけど。

 

「データ、反撃開始だ。駆逐艦3隻にフェイザー発射!続いて奥の巡洋艦に光子魚雷を1発発射!」

 

「了解、攻撃を開始します」

 

 船体各所に設置されたフェイザー・アレイから青い光が駆逐艦に突き刺さった、と思いきや一瞬で爆散。うっそだろお前、駆逐艦弱すぎませんかね。もうちょっと耐えてもいいんじゃ…あ、巡洋艦が文字通り消えた。うちの光子魚雷って威力どんだけなんだよ。32世紀パネェ。

 

「ちょちょちょちょっと待って待って待ておかしいおかしい」

 

コール少佐がバグってる。大丈夫じゃない、問題だ。

 

『カーク艦長!そちらの武装や防御手段についてちょっと教えてほしいんだが!?』

 

フェラン艦長もテンパってるし。まあまあ落ち着いて。コーヒーでも飲んでリラックスしてさ。

 

『飲んどる場合かーッ!』

 

すんません。

 

 

 

 その後フェイザーと光子魚雷、シールドについて簡単に説明した。フェイザーとシールドは理解出来ないからいいとして光子魚雷の説明をしたらドン引きされた。え、ただの反物質弾頭が搭載された魚雷なのに。スタートレック界ではごく普通の兵器ですわよ。ちなみにもっと威力のある量子魚雷も載せてまっせ。ちょっと試しに撃ってみようかな…え、駄目?

 

 

 

 

 なおこの戦闘詳報を聞いたレイエス達リトリビューション組はドン引きし、レインズ艦隊長は割と本気でディスカバリーに単艦で火星攻撃をお願いしようとしたとか。




新たな登場人物紹介

・キャシー・コール
女性。UNSA本部所属技術士官。階級は少佐。レインズ艦隊長の命令によりディスカバリーに乗船する。32世紀の技術に頭がフットーしかけている。

・↑の部下3名
女性1名、男性2名。階級は全員大尉。上司のコールと一緒にディスカバリーに乗船する。名前はまだない。
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