なので「それ言う暇があるなら先に攻撃しようぜ」と言うのは禁止です。分かりやすくするための工夫なので多めに見てください。
「勝敗はどっちかが『まいった』と言うまで……それで文句は無いね」
「問題ないよ」
「大丈夫だ、問題ない」
突然の話に驚きながらも、待ってたと言わんばかりに笑顔を浮かべて話を聞いてくれたウォルド。
トントン拍子で話は進んでいき、ウォルドは握っている杖を振り回しながらシグロを睨む。
対してシグロは右手と右足を下げて左半身を前に出してスッと構える。
ウォルドはシグロと戦える嬉しさと、自身の腕前を確かめるために。シグロは魔法と言うのがどんなものか知るため、ウォルドの強さを知るために。
「シグロ、頑張るんじゃぞ…………始めッ!」
「先手必勝ッ!」
師匠の掛け声と共に戦いは始まり、最初に動き始めたのはシグロからであった。
シグロはウォルドに対して真っ直ぐ突っ込んでからフェイント無しの右ストレートをくりだした。どうやって攻撃をかわすのか、どんな反撃をしてくるのか。シグロはこの攻撃に対して魔法を使ってどう攻略してくるのか。それだけを考えていた。だからだろうか
「魔法関係無しのフルスイングだ! 喰らいやがれ!」
「えっ!?」
相手が魔法を使わず、杖を野球のバッドのように持って思いっきり振りかざしてくると思わなかったのは。
シグロには二つの誤算があった。一つはウォルド自身が筋力が無いと発言してたこと。そしてもう一つは魔物を倒したときに魔法を使ったと発言していたことである。
それらによってウォルドの攻撃手段が魔法のみであると錯覚していたため、物理的な攻撃をしてくるとは思いもしなかったのである。
ウォルドが魔法以外に杖や拳と言った、物理的な攻撃が使ってくると言うことに。
「あぶッ!」
杖はシグロの喉元へ向かってきたが、急いで横に跳んでスイングをかわす。喉スレスレに杖が通る。
今のが当たっていたら息をやられており、その間に行動不能になってやられていたと思うと、冷や汗が出るシグロ。
「見せてやるよシグロ、これが魔法ってヤツだ! 炎系下級魔法【ノオ】」
ウォルドはシグロに向かって杖を向け、魔法の名前を叫ぶと杖の先に赤い点が創られ、その点が手のひらサイズの球体まで大きくなると、シグロに向かって発射された。
「ッ!」
その球体が目と鼻の先に来たとき、シグロは熱気を感じ、慌てて上半身を後ろに剃らして火球をかわした。
火球はシグロから数メートルほど離れた地面へと落ち、小さな炎の海を造り、数秒ほどで消滅した。
「炎!?」
「いいや、違うぜ。これは魔法で造り出した物だ。魔力を変換させてるだけだから偽物って思ってくれて良いぜ。まぁ、当たれば熱いがな」
本物であると勘違いしたシグロに対して解説を入れながらも、次の魔法を撃とうと魔力を高めるウォルド。
また火球が飛んでくると警戒し、撃ってきた瞬間に近付いて拳を振るおうと構えるシグロ。
「おいおい、まさか魔法が火球だけだと思ってるのかよ。水系中級魔法【ズダミ】」
次にウォルドを出してきたのは水の球体であった。先程との違いと言えば、火球よりも一回りほど大きいことだろうか。
シグロは遠距離から攻撃されては此方の攻撃手段が無いと考え、ウォルドの正面へ向かって走り出した。
「だあぁ!」
しかし一手遅く、シグロが近づき始めた頃には球体は発射されており、勢いよくシグロの目と鼻の先まで迫っていた。
球体に向かって拳を振るい球体を壊そうとするが、水に押されて拳が球体へと刺さらなかった。
「拳一発で破壊出来るほど俺の魔法は弱くないぞ!」
ウォルドの言葉と共にジリジリと【ズダミ】に押され始めるシグロ。上半身が仰け反り、体が後ろへ下がろうとしたとき、シグロは空いていた左手を強く握り球体を殴った。
次は右手で、左手で……そう何度も連続して殴ると球体は耐えきれずに破裂し、シグロとその周辺の地面へ水が飛び散っていった。
「一発じゃ壊せない? なら何発も殴れば良いだけの話だね!」
「確かにそうだけど……やっぱりお前は脳筋だな! だがそう来るのは読んでんだよ」
ぬかるんだ地面をバシャバシャと音を立てながらウォルドヘと迫っていくシグロ。
しかしウォルドは冷静に、シグロはそう行動してくると読んでおり、既に次の手を打っていた。
「雷系下級魔法【キデン】」
「読めてるよ!」
シグロが迫っていくのを待つかのように杖を構えたまま動かず、後一歩と近づいた所で魔法を使った。
しかしシグロは自身がギリギリまで迫ったときに、かわせないように魔法を放ってくるだろうと予測していた。ウォルドの杖を邪魔なモノを退かすように、片手で横に凪払い、顔面に拳をめり込ませた。
「ぐぅ、がぁ!」
勢いよく吹き飛んだウォルドは地面を何度もバウンドしながらも杖を強く握り、フラフラとしながらも起き上がった。
「ちょ、おま! 雷の速さを移動速度とかどうなってんだよ。かわされないようにギリギリまで惹き付けてたのによぉ……ま、それぐらい出来ないと強くなれねぇか」
一人でブツブツ言いながらも、拳を喰らったときに出てきた鼻血を拭いて息を整える。
そしてボロボロになりながらも、体を杖で支えてシグロが攻撃を仕掛けてくるのを待った。
シグロはウォルドがまだ何か作戦があると考えたが、拳一発でボロボロになった様子を見て、もう一度殴れば倒せると踏んで正面突破しようとする。
「やっぱりお前ならそうくるよな! じゃ、杖捨てるか」
シグロはウォルドの予想外の言葉に少しだけポカンとした。
【炎系下級魔法ノオ】
名前の由来:ほのお
手のひらサイズの火球を出して攻撃する。
【水系中級魔法ズダミ】
名前の由来:みず
ノオより大きいサイズの玉を作り出して攻撃する。
【雷系下級魔法【キデン】
名前の由来:でんき
威力が低いが、魔法の中でもトップクラスの早さを持つ魔法。しかしシグロにはかわされた。
書いた後で「水でビショビショなら感電しそうだなぁ」と思ったが気にしないことにした。