TALES OF NEXUS~テイルズオブネクサス~   作:瑠璃。

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ep5「大迷宮ラビリンス」

グラヴィスは街中を歩く。盗賊の話は朧げな容姿と、彼をジクザス家の従者が

追いかけていたという話が広まっていた。

 

「おぉ、あそこの従者は腕っぷしがあるからなぁ…安心だな!」

「盗賊如きが勝てる訳ねえよな!」

 

酒を飲む男たちがそんな話をして笑っていた。グラヴィス・フォスティアは

自分の隠れ家に戻った。そこにノエル・ステラ・メビウスとオスカー・リューザスを

匿っている。

 

「やっぱり盗賊の話で持ち切りですか?」

「あぁ。キリカは相当町の者に信頼されている様だ。彼女が盗賊を追っているから

盗賊はすぐに捕縛されるだろう、と」

 

キリカ・ムーシェ、槍の使い手。彼女の実力はナッピルでも指折りらしい。

彼女が仕えるジクザス家の邸宅で、ヘルエナ・ジクザスの前にいた。

 

「申し訳ありません、当主様」

「良い良い。男と共に娘がいたと言っていたな」

「はい」

「その娘、こんな容姿では無かったか」

 

ヘルエナが写真を見せた。写っている女性の姿を見てキリカは目を丸くした。

オスカーと共にいた少女と似た顔立ちの女性だ。

 

「ルーフィアとか言う女の孫か…ソイツも確保せねばなるまい。グラヴィスの事だ。

あの喰えぬ男はそのうちここに来る」

 

ヘルエナは髭を摩る。ルーフィアという女。彼女の殺害をキッカケに自身の父は

投獄された。投獄されて当然なのだが、彼女によって王冠の力は封じられた。

その力さえ手に入れば自分は良い。自分だけの庭を作れる。

 

「太古の大迷宮ラビリンス、か…」

 

ヘルエナは一人ぼやいた。

 

 

夜になり、ノエルはすぐに眠ってしまった。グラヴィスとオスカーはまだ

起きている。

 

「ラビリンス?」

「そうだ。謎が解明されていない、天から地への究極の難題ラビリンス」

「迷宮の名前か、それとも別か…どっちだよ」

「…人を指す」

 

特定の人物、その血族を指すラビリンスと言う名前。地上の民による推測は

広まっているが真実が不明、それ故に大迷宮(ラビリンス)。その血族の名前を―

という。それを聞き、オスカーは驚愕した。

 

「ラビリンスの力は人間では手に余る。故に危険だ。強大な力は人間の誘惑を

増幅させる。もう、既に知れ渡っているかもしれない」

「なら、守るだけさ」

「何を言っているんだ。お前だけでは…!」

「アンタも加われば良いじゃないか。ただし、俺はラビリンスの友()として

守る。ラビリンスが人として生を謳歌するために隣で守るだけ」

 

幼馴染として、ラビリンスのささやかな幸せを守るために隣に居続けると彼は

宣言した。そしてグラヴィスに試すように問う。

 

「アンタはラビリンスを人外として神格化して守護するのか、それとも人としての

生を守るか、一体どっちなんだろうな」

 

言うだけ言ってオスカーもベッドに横たわった。

 

「―」

 

グラヴィスはオスカーの隣のベッドで眠るノエルに目を向けていた。人らしく

生きる権利はラビリンスにもあるはずだ。だが人として多くの人々がいる場所で

悪意から守り抜くのは難しい。だがラビリンスにも生活がある。それを突然

奪うなど…。

 

 

朝になり、最初に眠ったというのに一番最後にノエルは起きた。

 

「よっ、ぐっすりだったな」

「寝心地が良すぎて…もっと眠れたかも」

 

ノエルは酷く、この隠れ家のベッドが気に入った様子だ。

 

「突然だが、今日ジクザス邸に行こうと思う」

「本当に突然だね」

 

グラヴィスの言葉にノエルは驚いた。

 

「隠れていても、疑惑は晴れないだろう。疑惑を晴らすためにある秘密を

暴こうと思う」

 

ジクザスが抱える秘密は汚点となり得る話だという。長年、ブルーキング事件後から

ずっと彼らが隠し続ける。栄華の裏にある秘密をグラヴィスは知っている。

 

「それを暴くためにはお前の、君の力が必要だ。ノエル・ステラ・メビウス」

 

グラヴィスは真っ直ぐノエルを見る。彼の不敵な笑みに釣られて、ノエルもふと

笑みを浮かべた。

 

 

 

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