TALES OF NEXUS~テイルズオブネクサス~   作:瑠璃。

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ep6「青の恩寵」

ヘルエナ・ジクザスが住む屋敷。その門を潜り抜ける者がいた。

彼らのもとにヘルエナの雇った兵士たちがやって来て、武器を構える。

 

「待て!お前たち。彼らを通すように当主様から命令が出されている」

 

奥からやって来たキリカ・ムーシェはオスカーたちに目を向ける。キリカは一礼し、

彼らを屋敷の中へ案内する。その間、必要最低限の事しか彼女は話さなかった。

粗相のないように、それぐらいか。

部屋の中にいたのはヘルエナだ。壮年の男は腕を組み、優雅な佇まい。

 

「やぁ、ようこそ我が屋敷へ。座りなさい」

 

彼らは席に座った。下手に抵抗する必要は無い。キリカは当主の斜め後ろに

立つ。オスカーたちは皆、ヘルエナの顔を見る。

 

「いやぁ、すまなかったね。だが青の天霊石の欠片は非情に価値のある宝だ。

それに盗賊の容姿と一致していてね。君たちには色々と話を聞かねばならない」

「ならば俺から聞きたいことがある。キリカ、お前はその盗賊と実際に戦ったか」

 

オスカーはキリカにそう質問する。何の意味がある?ヘルエナとキリカは戸惑いを

隠せないが一先ずキリカは真摯に答える。

 

「はい。ですが、実力の底は見切りました。次に現れても、倒せます」

「…先は手を抜いてすまなかった。もう少し、本気で手合わせをしないか」

「どういう意味ですか」

「そのままさ。盗賊の実力と俺の実力を比べれば良い。戦った者しか、それは

分からないだろう?」

 

オスカーはヘルエナに目を向けた。正式な決闘を申し込むという。

 

「良かろう。では準備しよう」

 

ヘルエナが重い腰を上げた。彼らは揃ってこの屋敷に存在する決闘の場を

訪れる。円形の決闘場の中心にキリカとオスカーが向かい合って立っている。

オスカー・リューザスは鞘から刀を抜いた。その武器を見てキリカは戸惑う。

 

「これも俺の武器だ。始めようぜ?」

「えぇ。キリカ・ムーシェ、参ります!」

 

キリカは槍で突きを放つ。突く、薙ぐ、槍の主な攻撃方法だ。隙を見て、オスカーは

踏み込む。

 

「地統剣術壱式・蜈蚣(ごこう)ノ太刀」

 

キリカはオスカーを目で追い、槍を振るう。しかし彼を捉えることが出来ず焦る。

一瞬のまばたきでオスカーは強烈な踏み込みから突きを放っていた。刃は首に当たる

寸前で停止する。

 

「くっ!まだまだ!!」

 

キリカは槍を振るうがオスカーを捉えられない。戦いを見守るグラヴィスは

共に同じように見守っていたヘルエナに話を振った。

 

「ラビリンスを知っていますか」

 

ヘルエナはピクリと反応した。

 

「無論、知っているとも。それがどうしたのかね?」

 

ヘルエナの訝し気な目がグラヴィスに向けられている。グラヴィスはその視線を

浴びつつ平然とした態度を貫く。

 

「ラビリンスの力…それを貴方は知っている。子々孫々に語り継がれている。

青の天霊石の欠片は貴方が持っている」

「何を馬鹿な事を…」

「ルーフィア殺害をしたのは、その力を独占するため。殺した後に力だけを

手に入れるためだった。これは推測、だからこれから確かめましょう」

 

ヘルエナは不敵に笑った。鼻で笑った。馬鹿な話をし続ける男を笑ったのだ。

その事件は事故だ。決闘中に起こった事故、もしくは別の何者かによって

起こされた事件だ。こちらには何の非も無い。

 

「彼女の力に呼応しなければ、私は非礼を詫びましょう」

「何を、何を言っている!?そんな小娘が!?ルーフィアの()の力はまだ―ッ!」

 

ヘルエナは慌てて口を塞いだ。口が滑った。グラヴィスの言葉が何度も心を揺らし、

平常心を保てなくなったゆえのミスだ。こうなっては仕方がない。ヘルエナは懐から

銃を抜き、引き金に手を掛けるもその銃は切断されて使い物にならなくなった。

斬撃を飛ばした人物はキリカと対峙しているはず。

 

「―地統剣術弐式・蟷螂(とうろう)ノ太刀」

 

オスカーは刀を下ろした。鋭い目をヘルエナに向ける。ノエルはそっと手を組む。

ノエルが放つ光、反応を示すヘルエナの指輪が強い青の光を放っていた。

 

「ま、待て!何処へ行くのだ、天霊石よ!!」

 

指輪に嵌められていた天霊石が離れていく。青いマナの塊となり、それは

オスカーの前にやって来た。マナの塊は意志を持っているようで言葉を口にする。

 

『我、崇高なる知性と忠義を併せ持つ者を望む』

「知性だと!?それなら私の方が持っている!何故貴様なのだ!!キリカ、命令だ!

ソイツを殺せィ!!!」

 

必死になるヘルエナはキリカに命令する。人を殺せ、その命令を受け入れることを

キリカが躊躇した。

 

「何をしている!命令だ!殺せ!!」

「くっ…承り、ました…!」

 

上からノエルは叫んだ。

 

「オスカー!キリカを殺さないで!!殺しちゃダメ!!」

「分かってる!」

 

オスカーはそう返す。ノエルはヘルエナに目を向ける。何が何でも、あのマナを

手に入れたいようだ。

 

「―メビウスの名において彼の者に青の恩寵を」

 

ノエルは思いついた事をそのまま口にする。青いマナの塊はオスカーの体内に

入り込んだ。そして彼の体に馴染む。

 

「これは…」

「やぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

声を荒げ、先よりも粗暴に槍を振るう。キリカの表情は泣く寸前である。オスカーは

刀を構え、攻撃から身を護る。そしてヘルエナはその様子を鬼の形相で見ている。

 

 

 

 

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