ジャグラーさんがトレセン学園でなんかやらかすようです。   作:気まぐれな富士山

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感想が来てる⋯⋯⋯⋯だと⋯⋯⋯⋯

ありがとうございます!文才が尽きる前にもっと書くぞー!


第4話 夢への第一歩

〜ジュニア級 9月中旬〜

 

 

「さぁて、バンブー。」

「押忍!用意はバッチリっス!全員ぶっちぎってやるっス!」

「おい待て。まだパドックだぞ。」

 

中山レース場のパドック。

そこには、バリバリに緊張したバンブーメモリーの姿があった。

 

「お前、そんなに緊張するようなタイプだったか?」

「ききき緊張なんてしてないっス!行ってくるっス!」

 

観客席から見ても緊張している様子が見て取れる。

 

「体の調子はいいんだが⋯⋯⋯⋯」

 

蛇倉も頭を抱える。

 

メイクデビュー。

ウマ娘達にとって1番最初の公式レース。

当然、ジュニア級のウマ娘が緊張して実力を発揮できないことも多い。

 

「にしてもこれじゃあな⋯⋯⋯⋯」

 

差しの練習もダンスも練習済みだ。

あとはあの緊張の様子だが、

 

「しゃあない、やってやるか。」

 

少々面倒くさそうにスタート前のトンネルへ向かうのだった。

 

 

「はぁ〜⋯⋯⋯⋯」

「レース前にため息なん吐いて、縁起悪いぞ。」

「あっ、蛇倉トレーナー。」

「珍しい反応だな。いつもなら『押忍!』とか大声で返してるのに。」

 

余程緊張しているらしく、脚も小刻みに震えている。

 

「⋯⋯⋯⋯アタシ、駄目、なんスかね。こんなことで緊張しちゃって。」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯お前は、緊張しているのを悪いことだと思うのか?」

「え?」

「これは、俺が聞いた話だが、戦いの中で緊張することをなんて言うか知ってるか?」

「えーっと⋯⋯⋯⋯」

「武者震いだ。お前は、緊張を『否定』しているのさ。」

 

完全に否定し、認めない。

それは悪いことだと断じる。

 

「認めてみろ。自分は緊張しているってな。自分の心に素直になるんだ。」

「認める⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

自分の心を素直に受け止める。

それこそ、もっとも実力を発揮する手段。

 

「うぉぉぉぉ!緊張するっスーー!!」

「緊張して勝てないか!?力が出ないか!?」

「それでも勝つっスーーー!!!」パァン!

 

思いっきり自分の顔を叩くバンブーメモリー。

どうやら覚悟は決まったようだ。

 

「緊張は解けたな。」

「押忍!今なら、自分の全力を引き出せそうっス!」

「よし!行け!」

「押ォ忍ッ!」

 

思いっきりスタートへ走っていく。

 

「⋯⋯⋯⋯やっぱ、俺はサポートに向いてるな。」

 

熱血なのは、やはり自分は合わない。

だから、元相棒の真似をした。

 

「猿真似も似合わないな⋯⋯⋯⋯いつからこんなことする気になったのか。」

 

あのバカに熱を当てられたらしい。

 

「やっぱり、正義の味方ってめんどくせぇ。」

 

心底面倒くさそうで、なんとなく懐かしい様な面持ちだった。

光の勢力にはなれない。しかし、闇に好き勝手される気は無い。

今はただ、夜明けに落ち着いていたい。

 

 

 

『本日デビューを迎える12人。栄光ある夢を掴むのは一体誰なのか。デビュー最速、輝く新人マイラーの座に着くのは一体誰なのか。1番人気⋯⋯⋯⋯』

 

これからのシーズンのマイラーが決まる。

重大なイベントだ。

 

『各ウマ娘、出走の準備が整いました。』

『誰が勝ち上がるのか、注目です!』

『さあゲートイン。今、メイクデビューの火蓋がーーーーー』

 

そのイベントを勝ち残ってこそ。

この戦いに勝ってこそ。

自分の夢を、誰かの夢を背負える。

 

「勝ぁつ!」

 

ガコンッ!!

 

 

『落とされた!各ウマ娘一斉にスタートを切りました!先頭は6番___________!3番____________はその後ろに着いています!8番バンブーメモリーは3番手!2番手から2バ身ほど離れています。続いて4番手⋯⋯⋯⋯⋯⋯』

 

(序盤からぶっちぎりで逃げるのはアタシらしいっスけど、1600mじゃ息が上がる!だから、仕掛けるなら⋯⋯⋯⋯)

 

『第2コーナーカーブ!』

『中団がダンゴになっています!ここから抜け出すのは厳しいですよ!』

 

(良し!後ろは詰まってる!後は!)

 

『最終コーナーに差し掛かった!先頭は5番!2番手にバンブーメモリー!しかし先頭とは2バ身以上の差があるぞ!』

 

「今っス!!!」

 

『バンブーメモリー仕掛ける!バンブーメモリーが追い上げてきた!残り200!バンブーメモリー追いつけるか!』

 

(勝つ!絶対勝って⋯⋯⋯⋯!あの『怪物』を破るっス!)

 

「うおぉぉぉぉぉ!!!」

 

『バンブーメモリー追い上げる!差を開いた!先頭はバンブーメモリー!バンブーメモリー!5番______________食い下がるか!しかし先頭バンブーメモリー2バ身離した!バンブーメモリーだ!今1着でゴールイン!強い!これがバンブーメモリー!』

 

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ⋯⋯⋯⋯⋯⋯勝った⋯⋯スか?」

 

顔を上げると、確定のランプが光る。

自分は勝った。その証明の光。

 

「やった⋯⋯⋯⋯やったっス!アタシ!」

「やったな。バンブー。」

「あっ、トレーナー!やったっス!アタシ、勝てたっス!」

「おう。よくやったよくやった。」

 

満面の笑みを浮かべるバンブーメモリー。

蛇倉も、決して悪い気分ではなかった。

 

「さて、シャワー浴びたらウイニングライブだぞ。」

「押忍!ダンスも抜かりないっス!」

 

もうスタート前の様な緊張は無い。

期待と夢に思いを馳せる面持ちだった。

 

 

〜トレーナー室〜

 

 

「かぁ〜ッ!疲れたっス〜!」

「ライブもよかったぞ。お疲れさん。」

「ここで甘んじてちゃ駄目っス!今日のレース、まだまだ改善出来るところがある筈っス!トレーナー、どうっスか?」

「んーそうだな。今日は特に気にせず、明日のトレーニングから直してもいいが、どうする?」

「そんな悠長なことは言ってられないっス!」

「おう、どうした。なんか新しい目標でも見つかったのか?」

 

すると、バンブーメモリーは満を持してこういった。

 

「アタシ、今日のレースで新しい『夢』が出来たっス!」

「夢?」

 

蛇倉の脳内に、シンボリルドルフの言葉が浮かぶ。

 

『夢を見る少年のような面持ちでね。』

 

自分の夢と重なる様な言動。

 

「アタシは、誰かに夢を与える様な、トップマイラーになりたいっス!誰よりも速く走って、誰かが夢を見れるようなウマ娘になりたいんス!」

「ッ!」

 

あの時の言葉が、やっと理解できた気がする。

 

『誰も傷つけずに戦う、それができれば、どんなに素晴らしいか⋯⋯⋯⋯』

 

そんなことは理想だと跳ね除けた相棒の元言葉。

 

(アイツも、こんなことを思っていたのか。⋯⋯⋯⋯俺は、夢を、理想を想うことが出来なかったのか?)

「トレーナー?どうしたっスか?」

 

心配そうにバンブーメモリーが顔を覗き込む。

 

「⋯⋯⋯⋯いい夢じゃないか。しかし、ただ語るだけなら夢で終わってしまう。夢は、目標にしなきゃならない。」

「ッ!!」

 

フッ、と笑う蛇倉。

 

「明日から、これまでよりもっと厳しく行くぞ!着いてこれるか?」

「ッ!押忍ッ!!」

「ならよし!それじゃ、これから祝勝会だ!明日からの活躍も願ってな。」

「本当っスか!?焼肉がいいっス!」

「おう!好きなだけ食わしてやるよ。」

 

お互いの心が通じあった気がするバンブーメモリーと蛇倉だった。

 

(たまには、こういうのも悪くない⋯⋯⋯⋯か。)

 

 

 

 

〜???〜

 

 

「ヨシ、コレデ完璧ダ⋯⋯⋯⋯」

 

月明かりに光る謎のマシンと人影。

しかし、それは明らかに人ならざる者の影だった。

 

「モウスグ⋯⋯⋯⋯わたシのテのウえに⋯⋯⋯⋯」

 

影と形を変え、一般人になる怪人。

 

「待っていロ⋯⋯⋯⋯ウマ娘⋯⋯!」

 

トレセン学園に、不穏な影が迫る。

 





次回、レジェンド降臨です。
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