ジャグラーさんがトレセン学園でなんかやらかすようです。   作:気まぐれな富士山

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レジェンド出ると言っておきながら書いたら筆が進みすぎて二つに分ける愚行……………

今回は文字数多めです!


第5話 逢魔が時の神隠し その1

「はァっ!はァっ!」

 

1人のウマ娘が学園の廊下を走っている。

 

「どうして、どうしてこんなことに⋯⋯⋯⋯!」

 

その声は、もう既に泣きそうだった。

彼女は、何者かに追いかけられているのだ。

通常、ウマ娘を追いかけるなんて、人間には不可能だ。

同じウマ娘か、はたまた宇宙人か⋯⋯⋯⋯

 

「キャッ!」ドン

フォッフォッフォッフォッフォッ

「いやぁっ!」

 

曲がり角でぶつかったのは、謎の生命体。

妙に音が高い、気味の悪い声。

暗闇の中に光る怪しいカニのような目。

月明かりに照らされる、銀色のハサミ。

 

「ヤダっ、嫌だっ!!」

 

すぐに立ち上がり踵を返す。

しかし、また別の生命体が立っていた。

 

「きゃぁぁっ!」

ホッホッホッホッホッホッ

 

今度は比較的人型だったが、頭部が大きく膨らみ、目の位置が左右非対称になっている宇宙人。

人の笑い声のような気味の悪い声を発している。

 

「止めて!来ないで!誰か、助っ」ビシュン

 

頭部の膨らんだ宇宙人の青白い液体がウマ娘を包む。

抵抗虚しく、1人のウマ娘が暗黒に飲み込まれてしまった。

 

『フッフッフ⋯⋯⋯⋯これでまた標本が1つ、手に入ったな⋯⋯⋯⋯次は、私のお気に入りを取りに行こうか⋯⋯⋯⋯フッフッフッ⋯⋯⋯⋯』

 

怪しい夜の月が、3人の宇宙人を照らす。

3人の宇宙人は、暗闇に消えていったのだった。

 

 

〜翌日〜

 

 

「ねぇ、バンブー先輩。噂、聞いた?」

「何かあったんスか?」

 

昼休みのカフェテリアで、同室のゴールドシチーと話をしているバンブーメモリー。

 

「なんでも、ウマ娘が消えちゃう事件が起こってるらしいよ。夜の校舎で宇宙人を見たっていう話も聞くし、実際、ちょっと前から寮の生徒が何人か帰ってないんだってさ。」

「消えちゃう⋯⋯⋯⋯ウマ娘行方不明事件ってことっスか!?」

「事件、というか、噂だけどね。」

「いいや、本当だとも。ポニーちゃんたち。」

「あっ、フジキセキ先輩!お疲れ様っス!」

 

フジキセキ。学園内でも有数の美人ウマ娘。

そのイケメンっぷりで学園内の人気も高く、栗東寮の寮長も務めている。

 

「やあバンブーにシチー。君たちに、折り入って相談があるんだが、一緒に来てくれないかい?」

「え、私もですか?」

「いいからいいから。ほら、行こうよ。」

 

半ば強制的に連れていかれる。

 

「君たちだけに打ち明けるんだが、その件は本当だ。先日から美浦寮と栗東寮、両方の生徒が帰ってきていないのさ。」

「!?」

「生徒会と職員には連絡が回ってるんだが、如何せん情報がない。何か知っていることはないかい?」

「いや、アタシは聞いたことないっス。実際、さっきシチーに聞いたのが初めてっスから。」

「なるほど⋯⋯ゴールドシチー、何か知って」

「アタシはマヤノからです。マヤノトップガン。」

「彼女か⋯⋯⋯⋯今、場所わかる?」

「連絡先持ってるんで、聞いてみます。」

 

マヤノトップガン。噂好きで自由奔放な中等部のウマ娘で、シチーに憧れを持つユキノビジンとよく一緒に遊んでいる。

 

「あ、もしもしマヤ?今どこにいる?⋯⋯⋯⋯ね。了解。⋯⋯え?いや、ちょっと聞きたいことあってさ。⋯⋯⋯⋯うん。わかってくれると助かる。じゃ、今から行くから。」

 

ピッ

 

「だそうです。」

「よし。助かるよ。」

「それじゃあ、レッツゴーっス!」

 

 

「んーとね。マヤは、色んな子が話してるの聞いてたから、出処がどこ、とかはわかんないかも。」

「宇宙人が出るなんて、とってもマーベラスだね☆」

「マヤはともかく、マーベラスはどこから湧いたの。」

 

マーベラスサンデー。マヤノトップガンの友人で、『マーベラス☆』というよくわからない言葉が口癖。

今はトレーニング中だったらしい。

 

「うーん、元手を探すのは大変そうかな⋯⋯⋯⋯。ありがとう、ポニーちゃん達。別の手を尽くしてみるよ。」

 

フジキセキはそう言って去ってしまった。

 

「どうする?バンブー先輩。」

「もちろん、捜査を続けるっス!風紀委員長として!」

「やっぱり。先輩ならやりそうだもんね⋯⋯⋯私も手伝うよ。」

「シチーさんもやるなら、マヤも手伝う!」

「マーベラス!みんなで探しましょう!」

 

みんなで意気込んでいると、

 

「おーい、何やってんだ〜?」

「あ、蛇倉トレーナー!今ですね⋯⋯⋯⋯」

 

 

「なるほど。それで俺も協力してほしいと。わかった。手伝うよ。」

「やったっス!」

「いいんですか?こんな遊びみたいになってますけど。」

「どっちみち保護者は必要だろ?今日はトレーニング休みだし、最後まで付き合うさ。面白そうだしな。」

「よーし!それじゃあ、マヤマベ調査隊しゅっぱーつ!」

「マーベラース☆!!」

「なんか、いつの間にかマヤたちが仕切ってるね。」

「うおぉぉ!自分が先頭を行くっス!!」

 

 

〜数時間後〜

 

 

「うーん、聞き込みによると夜の校舎に宇宙人が出てくるみたいだね!」

「見たって言う娘たちの殆どが、幽霊じゃなく宇宙人って言ってるっス。」

「となると………これは誘拐事件ってことになるな。」

「夜の校舎……でも、夜は施錠されてるんじゃない?寮と学校は繋がってないし、塀をよじ登るかどうにかしないといけないけど……………」

 

例のように言ってみたが、実際何人か出来そうなウマ娘を知っている。

 

「アイツしかいないっスね!」

「うん、アイツだろうね。」

「まあ、アイツならやりかねないな………」

 

そのアイツとは…………

 

 

 

「待て待て待てーい!なんでゴルシ様が犯人に断定されてるんだい!」

「いやー、お前ぐらいしかやらなそうでさ。」

「お前らの中でアタシの評価どうなってんだったく………」

 

ゴールドシップ。トレセン学園1のヤバい奴。『黙れば美人、喋れば奇人、歩く姿は不沈艦。』の通り、アレの思考回路を読めるやつはそうそういない。

 

「犯人ではないにしろ、何か情報は知らないっスか?」

「ん〜………ゴルシちゃんセンサーでは何も聞いてねぇ。てか今朝から寮長にも生徒会のヤツらにも同じこと聞かれたっつの。」

「うー、既に挙げられたっスか…………」

 

どうやら調査は既に行われたらしく、一同は総スカンを食らってしまった。

 

「むむむ〜……捜査は難航しているっぽいね…………」

「マヤノ!こんな時こそ、マーベラス☆だよ!」

「マベちん!そうだね!こんな時はみんなでーー」

 

2人で何をするかというと、

 

「マーベラース☆」「テイクオーフ♪」

「2人して何してんスか!」

 

謎の儀式を行っているのみだった。

 

「ハハハ…………そういえば、蛇倉トレーナーはよく着いてきますね。あの子たちに。」

「え?まあ、多少は手伝わないとな。一応保護者だし。」

「んー、そういうのもあるのか。」

「シチーこそ、どうして着いてきたんだ?」

「まあ、私は結構暇だったし、バンブー先輩とは結構仲良いし、面白いしね。」

「ふぅーん。そういうもんか。」

「トレーナー!シチー!早く行くっスよ!トレーナー室で作戦会議っス!」

 

バンブーに呼ばれ、そそくさとその場を移動する。

 

 

〜トレーナー室〜

 

 

「今日の夕方、校舎に潜入してみるっス!それで、宇宙人の正体を突き止めるっス!」

「スパイ大作戦だね!夜の闇にテイクオーフ♪って!」

「マーベラス!暗闇の校舎に潜入なんて、とってもマーベラスだね☆」

「なんかもう意思は固いみたいだな。」

「こうなったらもう止められないですよ。あの子たち。」

 

夜の校舎潜入作戦という犯罪まがいの計画を3人が立てていると、どこからともなく足音が響いてくる。

 

ドドドドド…………

 

ガラッ「おっ、ここにいやがったか!探したぜ!」

「離しやがれっ、コノヤロー!」

 

ゴールドシップがエアシャカールを脇腹に抱え走ってきた。

 

「ゴールドシップ!?それに、そちらは…………」

「おう!情報屋のシャカールだ!さっきその辺にいたから、かっさらって来た。」

「オレはテメェの情報屋になったつもりはねぇんだが!?」

「ウチでシャカールは飼えないと言っただろう。元に返してきなさい。」

「頼むよぉ!ボクちゃんと世話するからさ〜!」

「オレは犬じゃねぇ!!」

「ちょっと、からかいすぎっスよ!蛇倉トレーナーまで、何悪ノリしてんスか!」

「いや、ごめんごめん。構うの面白くってさ。」

「なかなかノリのいいトレーナーだな!今度ゴルシちゃん号で深海6500へ旅立とうぜ!」

「いいからさっさと離しやがれ!!」

 

 

「ったく…………んで、なんでテメェはオレをこんなとこまで運んだんだ?こっちは新しい計算の途中だったんだからな。クソみてーな理由だったらタダじゃおか…………」

「うほー!この茶菓子美味いな!」

「聞けッ!!………マジで帰るぞ。」

「悪かった、悪かったよ!ゴルシちゃんが悪かったって!」

「ほら、当人もこのとおり謝っているわけだし、許してやってよ。」

「チッ…………で、本当は何をする気なんだよ。」

 

そういえばそうだ。

なぜゴールドシップはエアシャカールを呼んだのか。

 

「おめーの力でさ、監視カメラハッキングして欲しいんだよね〜できる?」

「いやいや流石にそれは………それは?」

「……………できるよ。」

「できるっスか!?」

「シャカールちゃん、とってもマーベラス☆」

 

エアシャカール。数学で走りを解き明かすのが好きなウマ娘。パソコンをよくカタカタやってるので、色んなことに精通している…………らしい。

 

「ちょっと前にいいソフトが出来てな、暇つぶしに遊んでみたら、学園の監視カメラにハックしちまっただけだ。」

「風紀の乱れを察知ィー!!ちょっと来てもらうっスよ!」

「やめっ、やめろぉぉぉ!」

「こらバンブー。まだ犯罪って決まった訳じゃないだろうよ。」

「ハァ……どいつもこいつもオレを……………まぁいい。だが、オレがカメラをハッキングする動機がねぇ。それに、オレは変なことに首を突っ込みたくない主義なんでね。」

「ウマ娘行方不明事件の犯人が知りたいんス!力が借りれるなら、是非ともお借りしたいっス!」

 

なんとも愚直な回答。

エアシャカールは頭を搔く。

 

「そうじゃなくて、オレがする理由はねぇって言ってんだよ!テメェらと仲良く危ない橋渡るわけねェだろ。」

「そんなシャカールに…………こんなもの用意してみた。」

 

ゴルシがポケットから取り出したのは、1枚の写真だった。

 

「ほーら、みんな見ろよコレー!」

「あー!シャカールちゃん、とっても可愛い!」

「はっ?!テメェまさか………!」

「その通りよ!独自のルートで仕入れたお前の恥ずかしい写真集さ!これが欲しいか?欲しいか〜?」

「きっ………たねぇぞゴルシィィ!!」

 

エアシャカールの悲痛な叫びは、虚しく木霊していったのだった……………。

 

 

 

「ほらよ。昨日の夕方5時からだ。」

 

PCの画面には、数個のモニターが表示されている。

どれも校舎付近の映像のようだ。

 

「おー!ホントに出来てるっス!」

「シャカールちゃんスゴーイ!」

「るっせ。こんくらい余裕だよ。……………このカメラは物体に感知して起動するタイプだ。だから履歴を辿っていけば、消えた生徒が写ってるはずだ。」

 

カチ、カチと次々にカメラの映像を確認していく。

すると、1つの映像に絞られた。

それは、1人のウマ娘が何かから逃げるように廊下を走っている様子だった。

 

「これだ…………」

「間違いないっス。消えた子の情報と一致してるっス!」

「でも、何から逃げてるんだろ?」

「この様子からだと、凄く怯えてるってのはわかるけど…………」

「ッ、ちょっとカメラ止めろ。」

 

蛇倉が急に口を挟む。

 

「そこ、15秒のところだ。」

「あぁ?ここになんかあんのか?」

 

そこには、ただウマ娘が怯えている姿しか見えない。

 

「やっぱりか…………」

「何がどうしたのさトレーナー。何が見えるっていうの?ここにはなんにも、」

「マヤ、わかっちゃったかも。」

「マヤノ?」

 

シチーがふとマヤノの方を向くと、マヤノは顔面蒼白で画面に指をさしていた。

その指は震え、口元を手で抑えていた。

 

「え、どうしたのマヤノ?どこに何が………!」

「マジかよ……………」

「これって……………!」

「マーベラース!」

 

そこには、明らかに頭部が肥大化した謎の人間(?)が写っていた。

 

「うわぁぁぁ!!何コレ、化け物!?」

「や、ややややヤバいっス!これ完全に心霊映像っス!」

「ああありえねぇ、ロジカルじゃねぇ、そんなもんいる訳……………でもドレイク方程式を使えば0.0000034%の確率で宇宙人と………………」

「マーベラース!本当に宇宙人さんが来てたなんて、とってもマーベラス!だね☆」

 

各々が戦々恐々とする中を蛇倉は遠目で見つめていた。

そして、おもむろに時計を見ると、

 

「あ、もう6時か〜。腹減ったなー(棒)」

「え!?そ、そっかー、もう6時か〜。」

「シチー?どうしたっス?」

「ごめん先輩!あたし先帰る!」バッ

「えっ!?ちょちょっ、待つっスよ!蛇倉トレーナー、アタシももう帰るっス!お疲れ様でした!」

「おう、お疲れ。」

 

逃げるように帰るシチーとバンブー。

余程怖かったのだろう。

 

「お前らも、早く帰れよ。」

「ま、マベちん!一緒に帰ろ!」

「マーベラス!途中で宇宙人さんに会えるかもね!」

「怖いこと言わないでよ!」

「オレももう帰るぜ。散々な1日だった……………」

「ちゃんと鍵かけて寝ろよな。シャカールの部屋に誰か入ってくるかも………」

「それはテメーもだろゴルシ!てか、テメーが入ってくんじゃねぇだろうな!」

「おっ!いいアイデアだな!今度マックちゃんに試してやろーっと!」

 

なぜかマックイーンが犠牲になったのだった。

 

「………さて、お前はいつまでいるんだ?ゴールドシップ。そろそろ門限だろ?」

「いやー、色々調べたいことがあってさー。」

 

瞬間、トレーナー室が異様な空気に包まれる。

 

「……………なんでさっき、『やっぱり』つったんだ?」

「……………………」

「おかしいと思ったんだ。『ヤバい』とビビるでもなくただ指摘するでもなく『やっぱり』ってな。……………何か知ってるんだろ。この事件について。」

「………なんのことだ?さっぱりわからん。今日は怖い映像を見てどこかおかしくなったんじゃないか?」

 

明らかに蛇倉の雰囲気が変わる。

先程までの面倒見がよくどこかおちゃらけた蛇倉はもういない。

 

「俺はこの事件とは関係ない。ほら、帰るぞ。」

「ッ………!テメェ待ちやがれ!」

 

ゴルシが瞬で蛇倉との間を詰める。

 

「遅い。」ドスッ

「ぐっ………テメ……………」ガクッ

 

しかし、腹に拳を入れられ、気絶する。

 

「やっぱり勘がいいな、こいつ。」

 

ゴルシをお姫様抱っこし、ソファに寝かせ、部屋を後にする。

 

「18時30分………ここからは、闇の時間だ。」

 

どこからともなく出てきた禍々しい刀。

蛇倉、いや、今からはジャグラスジャグラーだ。

月明かりにジャグラスジャグラーの愛刀が光る。

 

 

続く。





最初に出てきた宇宙人を当ててみてね!
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