アングロアラブ ウマ娘になる   作:ヒブナ

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第10話 忘れていたもの

 

「ふぃーっ…さっむ…」

 

 車から降りたトレーナーは、体を縮みこませて少し震えた。

 

 吐き出される息は、すぐに白くなる。

 

「……一体何℃だよ…」

「5度、寒いね、でもしばらくすれば慣れる」

「お前は平気なのか…」

「大丈夫」

 

 ウマ娘は気温の変化にデリケートだけれども、私はそんなに気にならない、恐らく私がアングロアラブだからだろう。でも、たまに毛皮が恋しくなる。

 

 私達は気温の変化に対しては、サラブレッドよりも遥かに強い自信があった、事実、先輩と共に冬に放馬したサラブレッドを捕まえた時は…

 

『冬でなければお前らなんぞにゃ捕まらなかったのに』

 

 と捨て台詞を吐かれた事がある、その時の先輩は。

 

『恨むのなら、自分の体質を恨むんだな』

 

 と返していた。

 

 

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体操服に着替え、控室に入ると先に入っていたトレーナーから出走表を渡された、私はそれを受け取って目を通す

 

1キャフタビーツ門別

2ツガルスヴェンソン盛岡

3サナダハリボマー園田

4セグロネルチンスク門別

5シベリアンベアー門別

6ゴーイングカルロス金沢

7ブラストザィツェフ門別

8ビートリヴァプール姫路

9アラビアントレノ福山

10ヴィルベルヴィント名古屋

11サトミマフムト船橋

12カキザキカミンスキ門別

 

「今日最も警戒すべきなのは、11番のサトミマフムトだ、推進力が強いから、スリップストリームし続けるのはリスクがある」

「蹴飛ばされた砂が目に入るかもしれないって事?」

「そうだ、顔まで飛んでくる可能性は少ないとはいえ、ここの砂は深いし、サトミマフムトはパワーのあるウマ娘だからな」

 

 私達はレースの時にすごい脚力で地面を蹴り上げる、当然、砂が飛び散るという訳だ、飛ばされた砂とかは大抵の場合、胸ぐらいの高さに飛ぶ程度、でも、相手の脚力が凄ければその限りでは無いということだろう。

 

 それに、ここの砂は深いから、蹴り上げられる砂も福山の比ではないはずだ。

 

「なら、スタート直後に素早く状況判断、それでコーナーを使って相手を煽って行けば良いってこと?」

「そうだ、レーサーっぽくなってきたじゃないか」

「ありがとう、」

 

『出走ウマ娘の皆さんはパドックに出てください』

 

アナウンスが入った

 

「アラ、気をつけてな」

「うん、行ってくる」

 

 私はパドックへと急いだ。

 

 

 

────────────────────

 

 

『7枠9番、アラビアントレノ、6番人気です』

『所属は福山、前回の2250mでは強敵相手に勝利していますから、砂の深いこの門別のコースではどのような走りを見せてくれるのか、非常に気になりますね』

 

 身体は温まった、寒さはあまり気にならない、あとは解説の人が言っている通り、このコースでどう走れるかだろう。

 

 私は深呼吸をして、寒い空気を身体に取り込んだ、こうする事で、寒い空気に早く慣れることができる、身体の何処かしらを動かして、体の全身に温かい血を行き渡らせる事も忘れない、特に大事なのは足の指だ、スパートで砂を掴むように走るためには、指をしっかり動かすことができるようにしなければならない。

 

『8枠11番、サトミマフムト』

『所属は船橋、闘志の溢れる佇まいですね、身体の仕上がりもしっかりしていますし、連勝中と言う事もあり、今日の好走も期待できそうです』

 

 サトミマフムトは目をギラつかせている。

 

 私の経験から判断するに、恐らくこのウマ娘は強いけど、感情が昂りやすいタイプだ。競走馬であるならば、かなりの暴れ馬になることだろう。

 

 そして、すべての出走ウマ娘の紹介が終わり、私達はゲートに移動した。

 

 

────────────────────

 

 

「よう、噂は聞いてるぜ」

 

 地下通路を進んでいると、私は後ろから声をかけられた。

 

「…3戦3勝のエアコンボハリアーに勝ったんだってな?」

「…知ってるの?」

 

 私は驚き、そう返した。

 

「当たり前だろ?ライバルは全国に居るんだ、情報収集は基本だ」

「……なるほど」

「…アラビアントレノ、お前は何のために、このレースに出ることにした?」

「…この前、私はオープン戦で、おかしな感覚を感じたんだ…私はそれを確かめたい、だから、今回のレースに出るのは…自分の中に眠っている何かを呼び起こすため…そっちは?」

「アタシは地元のためだ、船橋の力を地方中央問わずに世に示して、船橋の名を上げて見せる」

「……!」

 

 その夢の大きさに、私は思わず圧倒された。

 

「アタシと勝負だ、アラビアントレノ」

 

 サトミマフムトは目をギラつかせ、私をビシッと指差した。

 

 

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 手を握ったり開いたりを繰り返し、血が体の末端まで行き届いているかをよく確認し、ゲートに入る。

 

『出走ウマ娘全員が、ゲートインを終えました、門別ナイターオープン2000m、今…』  

 

ガッコン!

 

『スタートしました!少々バラついたスタート、7番ブラストザィツェフ、少々出遅れたか、スムーズなスタートダッシュを見せたのは12番カキザキカミンスキ、それに続いた8番、ビートリヴァプール、内からは5番シベリアンベアー、3人の後ろに11番サトミマフムト、その斜め後ろ、内ラチ沿いに6番ゴーイングカルロス、その外から眺めるように3番サナダハリボマーと4番セグロネルチンスク、そして9番アラビアントレノ、その後ろには10番ヴィルベルヴィント、1番キャフタビート、2番ツガルスヴェンソン、殿に7番、ブラストザィツェフ』

 

 ここのコースは直線が長い、それに砂が深いから、足が取られてスタートが難しい、事実、私も少しもたついた。

 

 でも、直線が長いと言う事は、コース取りがしやすく、皆思い思いのルートでコーナーに入ることができるという事だ、そしてこれは、私にも良い方向に働く。

 

 それはスリップストリームを使う相手を変えることができると言うことだ、スリップストリームをしている最中は、スピードが出やすくなり、踏み込みに必要なパワーが少なくなる、それに私は小さくて軽いから、ダートに足が沈み込みにくい、だから、スタミナは問題無し。

 

『最初のストレートはもう半分でコーナーへ、やや散らばった展開になっています』

『ストレートが長くてコーナーまでに自分のたどるコースを決められますからね、ただでさえスタミナの消耗が激しいこのコース、どれだけ自分の得意なポジションでレースを運ぶ事ができるのかが鍵になりますね』

『ここで9番アラビアントレノ、6番ゴーイングカルロスの後ろへ』

 

 ここでスリップストリームをする相手を変える。

 

 相手はどう動く…?

 

 

 

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『ここで9番アラビアントレノ、6番ミニカットラスの後ろへ』

 

「よーし、それで良い、コーナーが少ないんだ、積極的にアピールしていけ、実況の音声は相手に嫌でも聞こえるからな」

 

 アラビアントレノがスリップストリームを使う相手を変えたのを確認した慈鳥は、そう呟いた。

 

 

 

(…コース取りを変える?何考えてんだ?そんなカニみたいなジグザグ走法で、アタシに付いて来る気なのか…?)

 

 アラビアントレノの前を走るサトミマフムトは、アラビアントレノの動きに一瞬驚いたものの、すぐに気を取り直す。

 

 

(……!やっぱり、一瞬だけど、飛び散る砂の量が明らかに減った)

 

 一方、コースを変えながも周囲を、特に2バ身半ほど先を走るミッドナイトランプを注視していたアラビアントレノは、ミッドナイトランプの走りの一瞬の変化に気づいていた。

 

(でも、気持ちを立て直すのは速い、かなり煽らないとダメそうだ……コーナーまではあと少し、どう入る?どう仕掛ける?考えるんだ…!)

 

 アラビアントレノはコーナーで仕掛けるための算段を立てていった。

 

『もうすぐ第1第2コーナー、先頭を走るのは8番のビートリヴァプール、その外から12番カキザキカミンスキ、少しばかり離れまして5番シベリアンベアー、2分の1バ身後ろに11番サトミマフムト、内を回ります6番、ゴーイングカルロス、その後ろ、内側から9番アラビアントレノ、4番セグロネルチンスク、3番サナダハリボマー、7番ブラストザィツェフ上げてきた、1バ身離れて2番ツガルスヴェンソン、1番キャフタビート』

『展開は縦長気味、ここからコーナーに入ります、自分の得意なコース取りが出来ているのか、注目ですね』

 

(一本目、入る時は…一応抑えめにして…コーナー中程から…)

 

 アラビアントレノは、入り口でスピードを出したい気持ちを抑えつつ、コーナーへと入っていった。

 

 

(どうした…?アラビアントレノ、そんなもんか?)

 

 第1コーナーを曲がりながら、サトミマフムトはそう思っていた。

 

(お前の走りは分かってんだ!お前の土俵はコーナーだってな!さぁ…ナイフの上を渡るような狂気の淵まで、攻め込んでみろ!)

 

『第1コーナーを抜けて第2コーナーへ、

ここで若干後ろ寄りに控えていたアラビアントレノが上がってきています』

『掛かってしまったのでしょうか?スパートに響かなければ良いのですが』

 

(そうだ…来い…!良いぞ…!身体中を流れる血が沸き立つようなこのハイテンション、これこそレースだ!さあ…私のところまで来い…!)

 

 サトミマフムトのテンションは最高潮に達し、闘志は走りも現れるようになっていた。

 

 

(…まだまだまだまだ……もっと上げる…!サトミマフムトの隣まで引っ張る、スリップストリームでスタミナを節約してるんだ、このぐらい…)

 

ダッダッダッダッダッダッ…!

 

(……!?)

 

『おや?先ほどまで上がっていったアラビアントレノ、少しスピードを落としましたね?何かが起きたのでしょうか?』

 

(…まただ…また、胸がざわつき始めた……駄目だ、ここで抑えたら、後ろへの牽制にならない、行く…!)

 

 アラビアントレノはざわつきを振り払い、再びサトミマフムトを目指して踏み込んだ。

 

 

(どうした?私を追っかけるのを諦めたと思ったのに、またペースを上げてやがる…!)

 

『ここで6番のゴーイングカルロス、内を回ってタイミングを伺う』

 

(アラビアントレノに乗せられやがったか)

 

 サトミマフムトは少し内側に目を向けた…だが…

 

(顔が内を向いた…!煽るなら…今…!)

 

ここぞとばかりにアラビアントレノはサトミマフムトの前に出た。

 

(何ぃ…!?私が内を見た隙に…!だが、もうすぐコーナーも終わる!立ち上がりのスピード、パワーの差を見せ付けてやる!!)

 

 アラビアントレノの仕掛けにより、サトミマフムトの闘争心には完全に火がついていた。

 

『第1第2コーナーを抜けて、レースは向正面へ、展開はやや縦長!』

 

(どうだ?)

 

 サトミマフムトはコーナーからの立ち上がりで、持ち前のパワーを活かして加速する。

 

 

(……やっぱり…ストレートが長いとキツイ…)

 

 その一方で、アラビアントレノはコーナーから上手く脱出できたものの、他のウマ娘ほどのパワーは無いため、伸びがいまいちだった。

 

 しかし、ここ、門別レース場のダートコースの砂の深さから来る走りにくさは、彼女だけでなく、他のウマ娘も同様であった。

 

 それ故、彼女はスリップストリーム無しでもなんとかサトミマフムトを追いかけることができていた。

 

(福山だったら他のウマ娘達に追いつかれてる、勝負は最終コーナー…)

 

 次の仕掛けの算段を練り、サトミマフムトとの距離を一定に保ちつつ、アラビアントレノは向正面を駆け抜けていった。

 

 

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 俺は向正面を走るアラを双眼鏡で見た、サトミマフムトとは良い距離を保つ事ができている

 

 仕掛けるのか、仕掛けないのかの微妙な距離感、相手はかなり神経を削られていることだろう。

 

『もうすぐ第3第4コーナーのカーブ、後方組は仕掛けるための準備をしている、先頭二人、逃げ切れるのか?他の娘達はどう動く?』

 

 もうすぐカーブに入る、スリップストリームが使えないとはいえ、アラの表情から察するに、勝つためのスタミナは十分だろう、だが、勝つだけでは今回の目標達成とは言えない、アラが感じている“ざわつき”、これの正体を突き止めなければならないからだ。

 

 

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(ここのコーナーで……捕えて…ちぎって見せる…!)

 

『各ウマ娘!第3コーナーカーブに突入!ここでサトミマフムトは内をついて進んでいく!』

 

(…ッ!手強い…!食いついてきやがる、まるでスッポンだな…!だが、内に行かせるものかよ!!)

 

 サトミマフムトは、福山の弁当箱(きついコーナー)で走って遠心力慣れしているアラビアントレノを内に入れるのは危険と判断し、それを塞ぐコース取りをした。

 

 

(…内を塞がれた…!?なら……外から…!)

 

 アラビアントレノはスピードを殆ど緩めることなくコーナーに入り、サトミマフムトとの距離を詰めていった。

 

(福山よりはきつくない!スタミナは残ってる、踏ん張って行ける…!)

 

(何…っ!?無礼(なめ)てんじゃねぇぞ!!外から行かせるものかよ!!)

 

 アラビアントレノが外から被せてくるのを見たは、その足にパワーを込めて踏み込んだ。

 

(………!強い…だけど………もう少し…!)

 

 アラビアントレノは少し内側に寄ってサトミマフムトに並びかける姿勢を取った

 

(何ぃ…!?もっと詰めてくるだと…?上等じゃねえか…!そんならガチンコといこうぜ!)

 

「「無理ー!」」

 

『9番アラビアントレノと11番サトミマフムト、逃げている二人をパス!第4コーナーを駆け抜ける!』

 

 サトミマフムトの脚に、更に力が籠もる、彼女は完全に“掛かり”の状態になっていた。

 

(よし…誘導に掛かった!ゾクゾクしてくる……よし…今!)

 

 アラビアントレノはサトミマフムトから離れ、外を回った。

 

(何ぃ…!外からのほうが遠心力が少ないからそっちから活かせてもらうってか?莫迦にするんじゃねぇ!こっちにはパワーがあるんだ!ハイストライドのフルパワー加速で最終コーナーが終わればラクに前に出られるんだよ!)

 

『もうすぐコーナーも終わり!先に立ち上がるのはアラビアントレノか!?サトミマフムトか!?』

 

 サトミマフムトはストライドを伸ばし、第4コーナーカーブを抜ける体制に入った、しかし…

 

(グッ…!遠心力が…!嵌められたか…!)

 

 スピードを上げすぎていたため、彼女には物凄い遠心力が掛かり、身体はアウトに持っていかれる。

 

(今だ…!)

 

 アラビアントレノは待っていたとばかりに、エアコンボハリアーとのレースの時と同じような走りで空いたインに飛びこんだ。

 

(しまった……!グッ…!)

 

 それに一瞬注目が向き、集中力を乱したサトミマフムトは、ストライドが乱れ、バランスを崩す、彼女にはアウトに逃げるという選択肢しか残されていなかった。

 

『11番サトミマフムト、バランスを崩して外へ!9番アラビアントレノ!最初に勢いよく立ち上がることに成功!』

 

 

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『11番サトミマフムト、バランスを崩して外へ!9番アラビアントレノ!最初に勢いよく立ち上がることに成功!』

 

 最後の直線は330m…この脱出速度なら…行ける…!

 

『後方の娘達もどんどんコーナーを抜けていく!9番アラビアントレノを追いかけるのは、2番のツガルスヴェンソン!』

 

 でも、後続が追いかけてきてる…!

 

 私は精一杯のパワーを足に込め、砂を蹴り上げた。

 

『アラビアントレノ!耐え抜いてゴール!!』

 

オォォォォォォォ!!

 

 私は夜の空をを見上げ、歓声を浴びる。

 

 楽しかった……でも…

 

 それ以上に……懐かしい…ずっと忘れていた、あの感じ…

 

 そうか……胸の中でザワザワしてたのは…これだったんだ…やっと気づいた…

 

 誘導馬としての私の本能が…

 

 策を使って他のウマ娘を追い掛け、追い詰め、そして抜く事を……求めていたんだ…

 

 

=============================

 

 

 辛くもゴールしたサトミマフムトは、アラビアントレノを見つめていた。

 

「負けた…完敗だ、鮮やかなもんだぜ…あんなにアタシを振り回したウマ娘がいるとは…ショックはショック、だが…爽やかな気分だ…腕を磨いて…リベンジだな…」

 

 サトミマフムトは微笑み、通路へと入っていった。

 

 

 

 一方、観客席では、一人のトレーナーと一人のウマ娘がコースを見つめていた。

 

「これが………ナイター…私達(トゥインクル)には…無いレース…」

 

 ウマ娘の方がそうつぶやく。

 

「凄い勝負でしたね、特に一着のあの娘…」

 

 ウマ娘より身長の低い、上品な格好をしたトレーナーはウマ娘の言葉に反応し、そう呟いた。

 

「……トレーナー、ひょっとして、あの芦毛の娘のトレーナーがどんな人なのか、気になってませんか?」

「えっ!?た、確かにそうですけど…」

「なら…話しかけた方が良い…私はそう思います」

「でも…私に出来るのかな…この前同期のあの人をカラオケに誘った時も……うまく行かなかったし…」   

 

 そのトレーナーは難しい顔をした。

 

「トレーナー…人付き合いは…経験……“何度でも試す”…私も…そうしてきたから」

「そ…そうですよね!じ、じゃあ行きましょう!」

 

 そのトレーナーとウマ娘は、下に駆け下りていった。

 

 

=============================

 

 

「アラビアントレノ」

「サトミマフムト…」

 

 ライブの後、声をかけられ、私は振り返る、サトミマフムトはこちらをじっと見ている。

 

「…“何か”は、呼び起こせたか?」   

「うん…多分、そっちのおかけだよ、私だけじゃ、見えなかった」

「……!」

 

 相手は目を丸くした、だが、すぐに表情を元に戻し…

 

「アタシの完敗だ…だが…次は負けるわけにはいかねぇ」   

 

 と言った。

 

 この闘争心…サラブレッドそのものだ、前世の私は誘導馬、こんな事を言われることもそれを想像することもなかった、でも、同じ舞台に立って、モヤモヤも消えた今の自分なら…

 

「分かった、また一緒に走ろう、サトミマフムト」

「……約束だ、首洗って待ってろよ、必ず…腕を磨いてリベンジしてやる」

「…望むところ」

 

 堂々と、挑戦を受けることができる。

 

 

=============================

 

 

 俺はライブを終えたアラを出迎えた。

 

「アラ…どうだ?ざわつきの正体、分かったか?」

「うん、これで私…もっと強くなれる…そんな気がする」

 

 アラは拳を握りしめた、彼女の中で、何かが起きたのだろう、その表情はレース前よりも明るかった。

 

 これからの話をしておくか。

 

「アラ、悩みも解決したところで、これから先の事を考えていきたいんだ、俺はアラに今後重賞とかにもどんどん挑んで欲しいと思ってる、アラ、お前さんはどうしたい?」

「……私は…もっと強くなりたい……だから…トレーナー、私をもっとレベルの高い所まで挑ませて」

「…わかった」

 

 そう答えるとアラは微笑んだ。

 

「…それじゃあ、行くか」

「うん」

 

 俺達は車へと戻るために、レース場を出た、寒い風が、肌を突き刺す。

 

「あの!申し訳ありません!少しよろしいでしょうか!」

「………?」

 

 急に呼び止められ、俺達は振り返った。俺達を呼び止めたのは、一組のトレーナーとウマ娘だった。

 

 




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