今回は拙い挿絵が入っております。久しぶりに描いた+時間が無かったのでかなり雑になってしまいましたが、温かい目で見ていただけますと幸いです。
帝王賞の翌日のことである。
「見えない見えない!」
「ちょっ!?ダギィ!!少しかがんで!!」
「スイープちゃん、帽子取って、見えないよ!!」
「もう一部買ってきたほうが良かったかな……」
トレセン学園のAクラスのある教室で、ゼンノロブロイスイープトウショウらフロンティアのメンバーは、クラスメート達と共に一部の新聞を囲んでいた。あまりの人数の多さに、ウマ娘達はおしくらまんじゅうのような状態となっていたのである。
「これなら…私達にも…」
「チャンスが…」
「あるってことね!!」
新聞記事を見たウマ娘達は、そう口々に呟く、その新聞はトゥインクルシリーズを取材したものではなく、ローカルシリーズを取材したものであり、デナンゾーンとデナンゲートがわざわざ学園の外のコンビニから買ってきたものだった。
「私達にも…領域が…!!」
その新聞記事は、メイセイオペラが領域を出したことを大きく報道したものだった。久しぶりに現れた領域、それも、“初めはあまり期待されていなかったウマ娘”であるメイセイオペラがそれを出した事は、地方のウマ娘のみならず、中央の今まで注目されて来なかったウマ娘達にも希望を与えたのである。
その頃、理事長室では、やよいとシンボリルドルフが話していた。
「確認ッ!!もう一度聞こう、帝王賞にて、メイセイオペラが出した領域、あれは本当なのか?」
「はい、映像を確認しましたが、間違い無く領域でした」
「そうか……うむ、分かった…そういえば…フランスにいるエルコンドルパサーはどうだ?」
「時差による健康への影響だけが唯一の心配でしたが、問題は殆ど無かったようです。安心しています。イスパーン賞では“一着”を取りましたから、このままの勢いで、凱旋門賞を迎えたいものです」
「…そうだな、凱旋門賞の制覇は、URAの夢。彼女には私から直接応援の言葉を送らせてもらうとしよう」
「分かりました、理事長、ご配慮感謝いたします」
「これも理事長の仕事だ。許可ッ……戻って良いぞ」
「………失礼致します」
シンボリルドルフは、理事長室を去って行った。それと入れ替わり、たづなが理事長室に入る。
「お疲れ様です、理事長」
「ああ、ありがとう、なぁ、たづな」
「はい、どうかされましたか?」
たづなはやよいを見る。
「領域について、どう思う?」
「……帝王賞のこと、気にしているんですね」
「…当たり前だ、“地方の環境は、こちらよりも良いとは言えないのに、メイセイオペラが領域へと至ったのはどういうことか”とURAの方で論争になっているからな」
「本部の方は、どういった状況なのですか?」
「管理主義に疑問を呈する者も、段々と増えてきつつある」
やよいは目を伏せ、腕を組み、そう答える。
「そうですか……学園内で起きていることが…本部でも……理事長は、どう思っているのですか?」
「…管理教育プログラムについてか?」
「もちろんです」
「……困惑ッ…分からない、分からないんだ…アレが正しいのか、否なのか、成果を出し、素直にこちらに感謝の意を表してくれるチームもいれば、疑いを呈するチームもいるからな」
「…………」
「もちろん、上の方にも、その話は伝えてある。だが、帰ってくる答えは唯一つ…“これが世界に追いつき、追い越すための最も合理的な方法”というものだ、たづな、生徒やトレーナーたちは、どうなっている?」
「……改革派の生徒やトレーナーたちを、ベテランの伊勢トレーナーが上手くまとめて下さっています、ですが…」
「…いつ不満が爆発するか、わからないと言うことか」
「はい、良くない空気が、漂っています。今度の校内レース大会が…心配です」
たづなとやよいは二人とも、頭を抱えていた。
そして、迎えたレース大会当日、やよいとたづなの心配をよそに、とくに両派の対立なども発生せず、大会は予定通りに進んでいった。ウマ娘達が学園内のイベントでトラブルを起こすことは避けたからである。
『先頭ダイワスカーレット、そしてジェガンアールが逃げている、1バ身後ろにエビルストリーム!!良い位置で最後の末脚に賭けるかトウカイテイオー、後団の娘達は若干バラけ気味!!ここでウオッカを避けてデナンゾーンとデナンゲートうまく抜けて上がってくる!!』
「さあ!!末脚の発揮時ですよ!!」
氷川は声を張り上げ、競り合う自チームのウマ娘達に声援を贈る。
『デナンゲート、ここでトウカイテイオーを容易に交わしてさらにはジェガンアールを交わした!ダイワスカーレットブロックを…いや!ヒラリと交わした!ヒラリと交わした!!デナンゲート!ダイワスカーレットを交わしてか半バ身差をつけて今、ゴールイン!!』
「「「やったぁぁぁぁ!!!」」」
「ゲートがスカーレットに勝ったわ!!」
改革派のウマ娘達と、保守派のウマ娘達は互角の激闘を繰り広げた。スピカのウオッカ、ダイワスカーレットは、もちろんどちらにも属しては居なかったが、最近になって急に伸びてきた同期たちに、驚きや恐ろしさを感じてはいた。
そして、放課後、ダイワスカーレット、ウオッカ、トウカイテイオーは、保守派の友人たちと共に、寮へ向かって歩いていた。
すると、コース整備を終え、ジュース片手に立ち話をしている整備員達が、彼女らの目に入る。
ウマ娘達は普通の人間より、聴覚が鋭い、ダイワスカーレットらの耳にも、自然と会話が入ってきた。
「今日のレース大会、どう思ったよ?」
「何たって、下級クラスのウマ娘らの奮闘が凄かったなぁ」
「ああ、デナンゲートのあれ、凄かったよな、あの娘、小柄なのに臆せず自分より大柄なダイワスカーレットやウオッカ、それにトウカイテイオーやジェガンアールに立ち向かっていって、見事に抜けてったんだぜ?」
整備員達は、興奮気味に今日の感想を述べていく。そして…
「小柄な連中は速い、ダイワスカーレットみたいな大型タイプでは駄目だ」
このような、極端な意見を言うものもいた。
「いや、でもハッピーミークとかが頑張ってるから、そうとも言い切れんだろうよ」
「なら、何があの娘らを分けてるって言うんだ?」
その言葉に少しの間、沈黙が走る。
「あっ!それなら思い当たる節がある、管理教育プログラムが関係してるんじゃないか?」
「理事長さんがURAの推奨プランとか言ってたやつか、リギルとかが使ってるんだろ?」
「そうだな、正確に言うと“リギルのスタイルを改良したもの”らしいけどな」
「へぇー、まあ、細かいところは良いとして、反対するチームもいるそうだぜ、そして、最近調子の良いウマ娘達は、その殆どが反対派のチームにいるウマ娘だとか」
「オイオイ、URAの推奨プラン、ダメダメじゃねーかよ、管理主義、クソじゃねえか、理事会や生徒会は何も言わねーのか?」
「ああ、トレーナーのダチが言ってたんが、どうもダンマリらしいぜ」
「は?」
「おいおい…そりゃあないだろ?」
「無能なのか?」
整備員達は、現在の学園の上層部に、批判的な考えを述べる。すると…
「ねぇ、今、カイチョー達の話、してなかった?」
トウカイテイオーが整備員達に声をかけた。
「うわっ!?何だ…トウカイテイオーか…びっくりさせるなよ…してたさ、それがどうかしたのか?」
「どうかしたかじゃないよ!!キミ達は頑張ってるカイチョーのこと、信じられないっていうの?」
トウカイテイオーは耳を後ろに反らせ、そう言う。整備員達は、何故そんなに怒るのかという顔をしていた、彼らは、整備員達の中でも、若い部類に入る、そして彼らが学園内に出入りすることは殆ど無い、それ故、トウカイテイオーがシンボリルドルフを深く尊敬しているということは知らなかった。
「信じられないまではいかねえが、疑ってはいるぜ」
「学園内にピリピリした空気が漂ってるって、俺達の間で噂になってる、対処法を考えない理事会、生徒会には、問題ありとするのが、一般的な意見じゃないのか?」
「うっ…でも、カイチョーはいつもカッコよくて、優しくて、皆を導いてくれてるんだ!!間違ってるなんて…思えないよ!!駄目なのは疑ってるそっちじゃないの!?」
言い返すトウカイテイオーに対し、ウオッカとダイワスカーレットは、慌てながら様子を見ている。
「はいはい、そこまでよぉ」
そして、その緊張状態の中に入る人物が現れた、伊勢である。
「伊勢トレーナー!」
ベテラントレーナーの突然の登場に、ウマ娘、整備員たちは共に驚き、緊張状態は少しだが緩和される。
「まずは落ち着きなさい、あと、ウマ娘ちゃん達、そう警戒しないで、私は改革派だけど、貴女達を咎めたり、たづなさんにこのことを報告したりするつもりはまったくないから、まず、双方の言い分を聞きましょうか」
こうして、伊勢は双方の言い分を聞いていった。
「なるほどねぇ…話は分かったわ、今度は私から、少し言わせて貰うわね」
「は、はい!」
「まず、管理主義、自由主義、どちらが優れているか決めるのはナンセンスよ、個人にはそれぞれ適性があるもの、ただ、現状は管理主義を極端に優遇している、それに対しては、私も思うことがあるわ、ただ、今の学園上層部には、管理主義を推し進めなければならない理由があるって思うのよ」
「それって…どんな理由なんですか?」
ウオッカが伊勢に問う。
「今の学園上層部やURAには、ある目標があるのよ、一つは、凱旋門賞の制覇」
「一つは…?もう一つあるんですか?」
「もう一つは、ルドルフちゃんやマルゼンちゃん、私の担当のビーちゃんみたいなウマ娘を世に送り出すってことよ…まあ、そこまでは良しとしましょう、でも、その目標のために、急ぎすぎてるのよ、URAも、理事会も、ルドルフちゃんも」
「カイチョーも……?でも、なんでそんなことが言えるのさ!」
トウカイテイオーは伊勢に食ってかかる。それに対して伊勢は…
「私も昔は、そちら側だったからよ」
と答えた。
「どういうことなんですか?」
ダイワスカーレットはそう聞く。
「かなり前の話になるわ、あるウマ娘ちゃんを有馬記念に出走させるために、署名活動が行われたことがあるの、多くの人が、それに署名したわ。そして私もその一人だった…」
そして、伊勢は過去のこと*1を、トウカイテイオーら、そして整備員らに語り始めたのであった。
「…これが、過去に起こったことよ、だから私は、ビーちゃん、葵ちゃん、結ちゃん達と一緒に頑張っているの、もちろん、そんなことで私達の罪が消えるとは思っていないわ、でも、行動しないと、何も始まらないと思うのよ」
全てを語り終えた伊勢は、一言そう言った。
「俺らがここに就職する前に…そんなことが…」
「ウソ……あの事故の裏で…そんなことが起きていたなんて…」
驚かない者は、この場に居なかった。
「私達は、強欲で、傲慢だったのよ、それがほころびを生みだして、一人のウマ娘を利用して、その将来を潰してしまった。私は、そんなことを二度と繰り返したくないの」
伊勢はその場にいる全員を見て、そう言った。
私達は、ミークとハリアーの出る宝塚記念の観戦にやって来ていた。だけど…
『確定しました!一着グラスワンダー、ニ着スペシャルウィーク、三着はキングヘイロー、四着はセイウンスカイ、五着はキンイロリョテイ、ハッピーミークは六着!地方から来たエアコンボハリアーは七着となりました!!』
ハリアーは、作戦通り、ミークをマークし、食いついた。だけど…ミークは、なかなか勝負をさせて貰えなかった。
7,8人ぐらいのウマ娘が、ミークをマークしていた。いや、囲んでいたと言っても良いだろう。別に、談合したとかはないと思う。でも、ミークを勝たせたくないと思うウマ娘もいたんじゃないだろうか?
結局、外側に控えていたハリアーが第四コーナーの途中で、マークを外し、“勝利ではなく勝負をとった”ことで、ミークは囲みを脱することが出来たけど、結果は掲示板の通り。
「……………」
桐生院トレーナーに目をやる、彼女はとても悲しそうな目をしている。憤りのような感情も、混じっていた。
ウイニングライブ、表彰式を終えたグラスワンダーは一人、通路を歩いていた。彼女の手には、テーピングが巻かれており、それには血が滲んでいた。これは、彼女が末脚を使ったとき、拳を握り込み、爪が手のひらに食い込み、そうなったのである。それほど彼女の勝利への執念は強かった。
「グラスちゃん」
そして、そんなグラスワンダーに声をかけたのはスペシャルウィークである。彼女は、今回のレースで前寄りを走っており、ハッピーミークをマークしては居なかった。彼女はグラスワンダーとの末脚勝負で競り負け、ニ着に敗れていた。ただ、彼女にも少しばかり、ハッピーミークへの嫉妬はあった。
「スペちゃん…どうかしたのですか?」
「ちょっと、話したいことがあるんだ」
「………?」
「私、今日、グラスちゃんには負けちゃったけど、最近走った中では、一番良い走りができてたと思うんだ。でも…」
「でも?」
「走ってて、全然楽しくなかったんだ……お母ちゃん、言ってたんだ、“強くなることも大切だけど、それと同じぐらいレースを楽しむことも大切だ”って……グラスちゃん、私達、ホントにこのままで良いのかな?」
「スペちゃん……」
グラスワンダーはスペシャルウィークの目を見る。彼女の頭の中には、無我夢中で勝利のために走った今日のレースの記憶が、鮮明に蘇っていく。
(今日のレース…私は、自分が勝ちたい気持ちより、ハッピーミークさんに勝ってほしくない気持ちの方が強かった、そして、示し合わせた訳では無いとはいえ、ハッピーミークさんに“勝負をさせないレース”をさせてしまった……今日の勝利は…一体…)
彼女は、先程まで血の滲む腕に抱きしめていた勝利を、儚い幻のように感じたのだった。
その夜である、多摩川沿いのある練習場で、3人のウマ娘が、息を切らしていた。
「はぁーっ…はぁーっ…」
「……っ…フゥ…」
「…………」
3人の額には、大粒の汗が浮かんでいる。
「シービー、流石に疲れたか?」
「当然じゃあ…ないか…キミ達2人と模擬レースをやったんだから…さぁ…!」
「さすが、中央の三冠ウマ娘さん…お強いですね…」
「そっちもね、南関東の駿馬」
ミスターシービーはエアコンボフェザーとは違うもうひとりのウマ娘に声をかける。
「レースから退いて指導役となったのです。その名前ではなく…アブクマポーロか…ポロとお呼び下さい」
もう一人のウマ娘、アブクマポーロは息を整えながらそう答える。彼女はダイオライト記念にて、ワンダーグラッセに僅差で敗北。公式レースからは退き、指導役へと回ったのである。
「ハハハ、分かったよ、ポロ」
「…これで、決勝戦までの最終調整は終わりだ、苦労をかけたな、シービー」
「いやー…きついメニューには、慣れてたつもりなんだけどね、これをやりながら予選では追込で行けって言うんだから、流石に驚いたよ」
「お前を信じていたから、そうしたんだ」
ミスターシービーは、これまで行われてきたドリームトロフィーリーグの予選で、彼女の代名詞とも言える追込の作戦で勝ち抜き、決勝へと駒を進めた。しかし、決勝戦では別の作戦を行う予定であり、トレーニングはそちらに備えたものを行っていたのである。
「……私は部外者の身ではありますが、応援させて頂きます」
アブクマポーロは、ミスターシービーに応援の言葉を送る。
「ありがとう、ポロ」
ミスターシービーは笑顔でそう返したのであった。
『さあ、サマードリームトロフィー、決勝戦のときがやってまいりました、今回のレースは長距離』
そして、サマードリームトロフィーの決勝の当日、ハッピーミーク達は、アラビアントレノ達と共に、東京レース場の観戦席にいた。そして、そこにはエコーペルセウスもやってきていた。
ハッピーミークらと共にいたアドヴァンスザックは、懐から出走表を取り出し、眺める。
| 1 | シンボリルドルフ |
| 2 | テイエムバーザム |
| 3 | シンコウディアス○ |
| 4 | ゼークアインス |
| 5 | メイショウムバラク○ |
| 6 | ムーンアイリッシュ○ |
| 7 | セイウンメロゥド |
| 8 | ミスターシービー○ |
| 9 | ゼークヅヴァイス |
| 10 | スーパークリーク△ |
| 11 | カレンエイノー |
| 12 | エアガーウィッシュ○ |
| 13 | ダイワマラーサイ |
| 14 | ニシノロマネスク△ |
| 15 | アレキサンドリアン |
| 16 | オンワードカラバ○ |
| 17 | ゼークドライス |
| 18 | タツハアーチェリー△ |
彼女は、ウマ娘達の名前の横に、印をつけていた。○が改革派、△が中立、何もなしが保守派のウマ娘である。
「…………」
それを見て、彼女は苦い顔をした。本来実力を競い合う場であるレースが、対立する2つの派閥の代理戦争のような様相を示していたからである。さらに、どの派閥のウマ娘達も、それがトレセン学園のためになると思って行動しているという事実が、彼女の心を痛めていた。
一方、ミスターシービーは伊勢、サカキムルマンスクに手伝って貰いながら、出走の準備を進めていた。
「どう?トレーナーさん、サカキ」
「断言するわ、今までで最高の仕上がりよ」
「トレーナーさんと同じ意見です」
「……皆のお陰だよ」
ミスターシービーはそう言う、一方、サカキムルマンスクは、カバンからスマートフォンを取り出し、アラビアントレノ達とは別の所でレースを見ているエアコンボフェザーにビデオ電話を繋いだ。
『シービー、調子はどうだ?』
「万全さ」
「フェザーちゃん、ありがとうね」
『……礼には及びません、伊勢トレーナー、協力、感謝いたします、ですが、レースはまだ始まっていません』
伊勢の言葉に対し、エアコンボフェザーは頭を下げ、そう言う。
「そうね…」
『出走ウマ娘の皆さんはパドックへ上がって下さい』
アナウンスの声が、ウマ娘達にパドックに行くよう促す。
「フェザーちゃん、ビーちゃんに一言、言ってもらっても良いかしら?」
『…分かりました、シービー、ルドルフは強い。だが、私達は、今日、ここで勝利するために、あらゆることをやってきた。少なくない人々が、お前の勝利を信じている、積み重ねを信じて走って来い』
「…分かったよ、フェザー、でも、一つ間違ってるよ」
『……?』
「走るのは、アタシだけじゃない、キミ達の想いも乗せて、アタシは走る。トレセン学園のために、新しい時代のためにね」
『……シービー…』
ミスターシービーは、飲み物を少し口に含み、そのボトルを掲げ…
「新しい時代のために」
と言った。そして
「行ってきます」
と言い、パドックに向かっていった。
『さぁ、今年もいよいよその時がやってきました、サマードリームトロフィー、今年は長距離のレースとなります』
『この気温、そしてこの観客の数、ウマ娘達の真の実力が問われるのに相応しい舞台となりましたね』
パドックの裏に、全てのウマ娘が出揃う。
『さて、まずはこのウマ娘、1枠1番、その圧倒的な実力はドリームトロフィーリーグでも健在です。シンボリルドルフ!!』
ワァァァァァァァッ!!
皇帝の登場に、場内は熱気に包まれる。
『去年のサマードリームトロフィー、今年のウィンタードリームトロフィー共に優勝していますから、今回のレースも、期待大です』
「……………真剣勝負だよ、ルドルフ」
ミスターシービーは、そう呟く。その翠の瞳には、観客に向けて手を振る皇帝の姿が、くっきりと映っていた。
お読みいただきありがとうございます。
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次回、ドリームトロフィー決勝戦です。
ご意見、ご感想等、お待ちしています。