アングロアラブ ウマ娘になる   作:ヒブナ

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第65話 凱旋門賞

 

 

 プレ大会が終わって数日後、ここのところトレーニング続きだったため、俺はアラを休ませていた。そして、休日明けの今日、アラはプレ大会での事を、俺に話したのだった。

 

「そうか…また、力に呑まれそうになったか」

「うん、トレーナー…あの時は抑えられたけど、やっぱり、私が私じゃなくなる時は…近いのかな…?」

 

 精神力の強い方であるアラが、弱音を吐く。トレーナーとして、言えることは…

 

「アラ、お前、最初のウイニングライブで歌った曲を覚えているか?」

「…最初の…ウイニングライブ?」

「…そうだ、あの曲の中にあった“凍りつくような強い風でさえ、その胸に輝く夢を消したり、そうよ消したりなんてできない”っていう部分…あれは、その通りだと俺は思ってる、アラ、今のお前の夢は何だ?」

「……強くなりたいのは、否定しない。でもそれはプロセスだから…もっと大きな夢…私の走り、それを通して色々な人と、喜びを分かち合うことのための」

「…なるほど……アラ、俺は思うんだ。誰だって、その夢を消したりなんて、出来やしないんだよ、だから、お前は自分の意志をしっかりと持って、走っていけば良い」

「…ありがとう」

 

 そう言って、着替えに行こうとしたアラを、俺は呼び止めた。

 

「実は、お前のために作ってみたのがあるんだ。ちょっと、つけてみてくれ。」

「………?」

 

 アラが振り返ったのを確認した俺は、机の中から箱を出し、アラに渡す。

 

「開けてみてくれ」

「う、うん…」

 

 アラは箱を開け、それを包んでいる包み紙を取っていく。そして、それを見た瞬間、目を丸くした。

 

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「これは…」

 

 トレーナーが私にくれたのは、黒をベースに、耳の正面のくぼみに当たる部分に白が配されているメンコだった。

 

「見ての通り、メンコだ、縫い方は裁縫得意な火喰にとか、材料は兄がユーナリィの技術者の雀野に、とにかく色んな人に手伝ってもらって、作ったモンだ。つけてみてくれないか?」

「………」

 

 私は箱からメンコを出し、自らの両耳にはめる。それはすっぽりと収まり、元々私の一部であったかのような感覚を私に与えた。

 

「どう…?」

 

 私がそう聞くと、トレーナーは私の周囲を一回りし、頷く。

 

「よく似合ってる。アラ、鏡でメンコを見てくれないか?」

「……?」

 

 私は促されるままに、鏡の前に立つ。黒で縁取られた白が入っているメンコはすっぽりと耳を覆っている。

 

「実はそのメンコ、2つほど参考にしたものがあるんだ。一つは、前の世界で俺と相棒が好きだった、リトラクタブルヘッドライト…もう一つ、こっちのほうが大事なんだ。そのメンコ、正面から見ると、数字の『0』に見えないか?」

「…見える」

「お前に聞かせていたのかどうかは分からんが、相棒はいつも言ってたんだ。“『0』は無限の可能性を意味している”ってな、俺たちは、考え、行動する中で学び、スキルを身に着けていっている。要は人生足し算の積み重ねってことだ。そこはわかるな?」

「うん…そう言われれば…何だか…言ってたような気がする」

「そして、0は、何を足してもどんな数字にでも変化できる。それが、相棒の言うところの、“無限の可能性”というやつだ。お前は競走ウマ娘としては、完全に0からのスタートだった。でも、足し算を続け、スキルを身に着け、遂にタマモクロスやオグリキャップといったスターウマ娘達に、好敵手として認められる存在になった。その可能性を俺は、いや、俺達応援する者は、信じているからな」

「うん…ありがとう」

「そして、そのメンコは、お前と俺、そして相棒を繋ぐ絆の象徴とでも思ってくれ。アラ、もう一度言うぞ、誰だって、お前の夢を消したりなんて出来やしない。お前は無限の可能性を持っている、“サラブレッドとアングロアラブは共に歩むことはできない”という…運命に逆らう事だってな。」

「………」

 

 トレーナーは微笑むと、私の頭に手を置いた。私はメンコを触る。このメンコには、おやじどの、トレーナー、色んな人の思いが詰まっている。その想い応えて、喜びを分かち合うことが、私の夢…誰にも…誰にも邪魔させない。

 

 私は手を握り込み、決意を固めた。

 

 

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 プレ大会からしばらく経ったある日、ここフランスは、凱旋門賞の当日を迎えていた。

 

「では、この3台のビデオカメラを、このノートパソコンに繋いでください」

 

 そして、ロンシャンレース場では、NUARのトレセン学園運営委員長である九重が、他の職員と共に、凱旋門賞の撮影を行う準備を進めていた。彼らが開発した、レース分析ソフトを使用するためである。

 

「ふう…これで、後は出走時刻を待つだけですな」

 

 全ての準備を終え、九重は額の汗を拭う。

 

「委員長、かなりお疲れのようですね、この程度の機器の設置なら、我々のみでも出来ました。わざわざ遠路はるばるここに来なくても良かったのではないですか?」

 

 若手の職員の一人は、九重に飲み物を渡しながら、そう質問する。

 

「いえいえ、今回の計画は、スピード勝負です。その責任者である私が、現地であるここに赴くのは当然のことです。それに、ある程度の立場にいる人間だからといって、オフィスに籠もり、離れたところから指示を飛ばしてばかりいると、見えてくるものも見えないと思いますから」

「…!べ、勉強になります!」

「そう思っていただけると、嬉しいです。今回の計画は、日本のウマ娘レース界を変えるために、必要不可欠なもの、気合を入れてまいりましょう」

 

 九重は連れてきた人々に向け、そう言った。

 

 

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 一方、ゲートの前では、エルコンドルパサーが闘志を燃やしていた。

 

(私は、今の自分の強さを確かめたい…ブロワイエに勝って、自分が世界一だと、証明して見せる…)

 

 日本にいる仲間たちの思いを背負った彼女は、ブロワイエを一目見ると、ゲートインした。

 

(エルコンドルパサー、実力を見せてもらうぞ)

 

 ブロワイエは、エルコンドルパサーを完全にロックオンしており、こちらもエルコンドルパサーを一目見て、ゲートインした。  

 

(………このレース、エルコンドルパサーの取る選択肢は、恐らく一つ、集団に揉まれないよう、逃げること。本当は、無理矢理突破して行くという2つ目の選択肢もある……彼女側がそれを考えているとは、到底思えないけど)

 

 観客席では、セトメアメリが双眼鏡を覗きながら、エルコンドルパサーの取る策について、考えていた。

 

 

 

 

「………」

 

 遥か彼方の日本にいるスペシャルウィークらは、レースが始まるのを、今か今かと、見守っている

 

 

 ガッコン!

 

 

『スタートしました!エルコンドルパサー、好スタートです!!先頭に立ちました!!』

 

 エルコンドルパサーは好スタートで先頭に立つ。彼女は逃げの戦法を使っていた、前走のフォワ賞を逃げで勝ったこともあり、この日の作戦も同様の物としたのである。

 

『エルコンドルパサー飛ばす!先頭を走ります!リードは一バ身!!』

 

「エル、逃げてる!?」

「いつもは中団にいるのに!」

「…日本のレースとは違い、囲まれたら抜け出すのに一苦労だからな、良い作戦だ」

 

 グラスワンダーとサイレンススズカの反応に対し、シンボリルドルフはそう答えた。

 

「エルちゃん楽しそう!」

「そうね」

 

 スペシャルウィークは、エルコンドルパサーの様子を見て、緊張で萎縮していないことを確信した。

 

『第3コーナーカーブ、エルコンドルパサーのリードは3バ身!ブロワイエは中団に控える!』

 

 エルコンドルパサーは、リードを広げつつあった。

 

 

 

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 一方、別の場所では、数台のタブレット端末を使い、氷川や他のウマ娘達が凱旋門賞を観戦していた。

 

『エルコンドルパサー飛ばす!先頭を走ります!リードは一バ身!!』

 

「エルコンドルパサー先輩は、逃げのようです」

「そのようですね」

 

 ベルガシェルフの答えに、氷川はそう答える。

 

「なんで逃げるんだろ?」

「囲まれたら不味いからじゃないの?」

「そうかな?あの程度の体格差だったら、洋芝って要素込みでも抜け出せると思うけど…」

「まあ、そうよね、それにあの人はフォワ賞も逃げで行ったから、逃げで来るのは読まれてると思うわ」

 

 すぐ隣では、デナンゲートとスイープトウショウが、レースに対する分析を述べる。小柄な体格に見合わぬパワーで抜け出す戦法を確立していた二人にとっては、エルコンドルパサーの判断は、疑問符を浮かべざるを得なかったのである。

 

「これ、堂々と差しで勝負しに行った方が良いよね?」

「でも、あの人、サカキちゃんと伊勢トレーナーが教えてくれた踏ん張りや抜け出しの技術を持ってないから、これしか出来ないんだと思うよ」

 

 レースを見ているウマ娘達は、そう口にした。台頭し始めた新世代のウマ娘達は、シンボリルドルフらとは違う視点で、レースを捉えていたのである。

 

 

────────────────────

 

 

「エルコンドルパサー、口が開いてる。消耗してきたね」

「本来…あの人は…逃げウマ娘じゃない」

 

 そして、他の場所で観戦していたハッピーミークらは、エルコンドルパサーの戦法の有効性を疑問視していた。

 

「……!?ブ、ブロワイエさんが来ました!!」

「やっぱり来たか!!」

 

 そして、彼女たちの目には、ブロワイエがエルコンドルパサーに迫りつつある姿が映っていた。

 

「ブロワイエが来た!?」

「ヤバい!ドンドン迫って来てるよ!」

「エル先輩、間に合って!!」

 

 そして、すぐ近くでは、別のウマ娘グループが、エルコンドルパサーの勝利を祈り、叫んでいる。

 

「…………ま」

「駄目だよ、サンバ」

「…オッケー…」

 

 ボソリと何かを口にしようとしたサンバイザーを、ツルマルシュタルクが抑える。

 

(重いバ場に、凱旋門の舞台というプレッシャー、それにブロワイエ側は、しっかりと研究を重ねて、エルコンドルパサーさんをターゲットに絞ってた…だから…)

 

 彼女たちには、判っていた。すでに、エルコンドルパサーに逃げ切る体力は残っていなかった事に。

 

『ブロワイエがエルコンドルパサーを差してゴールイン!!エルコンドルパサーは2着!!本当に良く頑張りました!!』

 

 アナウンサーの声が、エルコンドルパサーの大健闘、そして、現在の日本の限界を示していた。

 

 

────────────────────

 

 

「九重委員長から、データが届きました!!」

「よし、直ぐに撮影所に送ろう」

「了解です!!」

 

 凱旋門賞の決着がついた直後、九重がレース分析システムを使って録画したデータはすぐにNUAR本部に送られ、そこでは、ある準備が急ピッチで進められていた。

 

「データです!」

「よし!撮影スタートします!」

 

 本部の会議室を転用して作られた急ごしらえの撮影所には、水沢の生徒会長(カシヤマウィレム)門別の生徒会長(エゾアレクサンドル)が並んで座っていた。

 

「日頃から、レースに関わるウマ娘達を応援してくださっている皆さん、こんばんは、我々ローカルシリーズは、現在、ウマ娘のトレーニングへと活用すべく、様々なレースの詳細な分析を目指しています。そしてつい先日、我々は、新たに分析システムを導入しました。そして、その記念すべき初仕事として、ウマ娘レースに関わる人々全てが知っている大舞台、凱旋門賞を取り上げ、その分析、解説を行わせていただきたく思います。解説役、右の方は、あの真紅の稲妻が所属する水沢トレセン学園生徒会長、カシヤマウィレムさん、左の方は、洋芝のトレーニング施設活用法を研究している門別トレセン学園生徒会長、エゾアレクサンドルさんです。本日はよろしくお願い致します」

「こちらこそ、よろしくお願いするわ」

「ああ、私も」

 

 二人は、司会役と共に、挨拶を行った。

 

 

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 動画の撮影は、順調に進んでいた、分析には、出走ウマ娘達全体を映した視点、エルコンドルパサーに焦点を当てた視点、ブロワイエに焦点を当てた視点の3つが使われていた。

 

「では、次はここのフォルスストレートですね」

「ええ、ここでは、エルコンドルパサーは3バ身体ほどの差をつけているわね、でも、分析システムの判断によれば、ここは『もっと離すべき、最後の直線は長い』との結論が出ているわ、アレクサンドルさん、貴女はどう思うの?」

「……厶…確かに、私も同感だ、だが、現地はかなりの重バ場、それに洋芝、これじゃあまるで湿地帯だナ、そして、今回のエルコンドルパサーの走法は、ピッチ走法、重バ場との相性はよろしくない。それに、逃げというのは、かなりメンタルを消耗する。突き放そうと思っていたんだろうけど、難しかったというのが、私の分析だヨ、それに、ブロワイエは重バ場が得意だしナ」

「…ふむ…では、良バ場の場合は、どうだったと思うの?」

「難しいナ、今回、ペースメーカーと目されていた、フビライカンが逃げなかった、しかし、良馬場なら分からない、逃げて、エルコンドルパサーと潰し合うなんてケースも考えられる。」

 

 後ろのモニターに表示される、分析システムの表示をもとに、二人は今回のレースに対する分析を述べてゆく。

 

「なるほど…では、時間も押しているし、最後のストレートについて話して、総括に移って行きましょうか、最後のストレートで、エルコンドルパサーは口が空いていた、システムの結論通り、これはスタミナを消耗しているという証拠ね、一方、ブロワイエはそこを冷静に詰めて来ているわ、そして、最後にエルコンドルパサーを差してゴールイン、二人は後続をかなり離してのゴール、凄まじい勝負だったわね」

「そうだナ、そして、注目してほしいのはココだ、エルコンドルパサーは振り返って、ブロワイエを見ている。これで空気抵抗が増加して、少しばかり無駄が生まれたんだヨ」

「そのムダに、スタミナの消耗がのしかかったという訳ね」

「いかにも」 

 

 そして、後ろのモニターの電源は落とされ、撮影は総括へと入った。

 

「では、今回の凱旋門賞の総括へと移りましょう、フォワ賞と同様エルコンドルパサーは逃げの戦術、対してブロワイエは中団での控え、逃げるはずだったフビライカンが逃げなかった。エルコンドルパサーは先頭でレースを進めたものの、重バ場やメンタル、走法などの様々な要因あってスタミナを消耗、最後は冷静に詰めてきたブロワイエに抜かれてしまった、これが大まかな流れね。エルコンドルパサーの作戦は、読まれていたのかもしれないわ。最後に、これは一人の競走ウマ娘としての質問なのだけど、良いかしら?もし、今回の凱旋門賞のようなシチュエーションで、スタミナを浪費せず走るには、どのようなテクニックが求められるの?」

「難しい質問だナ………だが、私達地方ウマ娘が持っているテクニックを使ってみるのは、大ありかもしれないナ、“コーナーでピッチとストライドを変化させる”洋芝で

これができるようになれば、スタミナの消耗を抑えつつ、コーナーを曲がり、末脚を残すことができる…最も、例が殆ど無いから、参考になるかどうかは分からないケドな、私からは以上だ」

「では、今回の凱旋門賞の分析を、これにて終了させていただきます。カシヤマウィレムさん、エゾアレクサンドルさん、ありがとうございました」

 

 司会役は、二人のウマ娘に頭を下げた。

 

 

────────────────────

 

 

「編集完了しました!タップさえすれば、いつでも投稿できます!」

 

 それから数分で、動画は投稿可能な状態へと仕上げられた。

 

「では、やりましょうか、向上した私達の力を、より多くの人々に知ってもらうためにね、アレクサンドルさん、頼むわ」

「よし…私達の夢…受け取れぇ!!」

 

 エゾアレクサンドルは、勢いよく画面をタップした。

 

 

────────────────────

 

 

 それとほぼ同じタイミングで、中央でも、凱旋門賞の解説動画を投稿する準備が行われていた。 

 

「動画投稿はまだできないのかね?」

「あと7分、いえ、5分ください!!」

 

 様子を見ていた重役のうちの一人の言葉に対し、編集係はそう反応する。

 

「…!!こ、これは…」

 

 その様子を見ながら、携帯を使っていた一人の職員が、声を漏らす。

 

「…どうかしたのかね?」

 

 重役は、その職員に指摘する。

 

「ち…地方が、地方が凱旋門賞解説の動画を!!」

「…!?」

 

 それを聞いた重役は、素早く懐から携帯を出し、解説の動画を再生した。その動画は、URAが行った凱旋門賞の分析結果とほぼ同一の見識が示されており、さらにURAが触れていない箇所までも網羅していた。

 

「……小賢しいキツネ共め…奴らは宇宙人か何かか…!!」

 

 重役の眉間にシワが寄り、手は握り込まれる。

 

「……そろそろ、お認めになったらどうです?」

 

 改革派である別の重役が、彼に話しかける。タイミングもあり、保守派である彼は鬼の形相でそちらを睨んだ。

 

「……チャンピオンカップの開催が決定してからと言うもの、彼らは、様々な条件のレースで、我々を出し抜き、驚かせてきました。そして、その動画を見るに、彼らはピッチとストライドを変化させるという、我々にとって未知の技術を開発しています。そして、我々はそれに翻弄されてきたのです、我々はそれを…彼らの行動の成果を、認めるべきです」

「だが、今回のこれは間接的にエルコンドルパサーを下げる、つまりは我々に対する挑発行為だ、そうは思わんかね?」

「このタイミングでの出来事です。確かに、貴方と同様の意見を持つ方も、多くおりましょう、ですが、彼らの努力を挑発という言葉で片付けてしまうのは、あまりにも傲慢です。そういう傲慢な姿勢は、自らの首を絞めることとなります」

「………」

 

 保守派の重役は“それ以上言うな”という目をして、改革派の重役を見る。

 

「マンデナマニティ、グラスベッケナー、エアコンボフェザー、いえ、彼女たちだけではない…我々URAは、世界を目指していた。しかし、その過程で自らの手により、少なくない数のウマ娘を失った…それも、“出奔”という形で」

 

 改革派の重役は、エアコンボフェザーと、共に出奔したウマ娘達を挙げる。

 

「だからさ、もう少しぐらい…」

 

 我慢の限界を迎えた保守派の重役は、声を漏らす。それほど、今回の凱旋門賞は惜しい結果に終わったという印象を、観戦側に与えていたのである。

 

「いえ!だからこそです!我々は今回のレースで、世界の壁の高さを改めて知り、下であると思っていた地方が、自らの隣に立って居ることを、実感させられました、それに先程、“小賢しいキツネ”や“宇宙人”などとおっしゃいましたな?地方に対抗心を抱く気持ちはわかりますが、それにもルールはある…私は、そう思っております。」

 

 改革派の重役は、同志を連れて部屋を出ていった。それと同時に、保守派の重役の耳に

 

「動画を公開しましたが、勢いが完全に押し負けています!」

「ネットの反応に“薄い”、“地方のが凄い”との意見が溢れてます!!」

「オイどうするんだよこれ!?」

「………!」

 

 彼は目を開き、周りの職員たちが慌てるのを見ていた。やがて、彼は自嘲し…

 

「………間に合うものか…」

 

 と呟いたのであった。

 

 

 

 




 
お読みいただきありがとうございます。

新たにお気に入り登録、評価等していただいた方々、ありがとうございますm(_ _)m

アラビアントレノのメンコのイメージを、拙いながらも挿入させていただきます。彼女は、これを両耳につけていると想像していただきますと幸いです。


【挿絵表示】


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