アングロアラブ ウマ娘になる   作:ヒブナ

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第76話 THIS IS ONLY THE BEGINNING

 

 AUチャンピオンカップは、大成功で幕を閉じた。福山トレセン学園の生徒たちは、アラビアントレノの他に優勝した者はいなかったものの、どの生徒も素晴らしい結果を出したのであった。

 

 東京レース場で行われたダートの決勝では、メイセイオペラがワンダーグラッセら他の出走ウマ娘と壮絶なトップ争いを繰り広げ、優勝。

 

 短距離では、中央の選手にハナ差で負けたものの、キングチーハーは強い走りでその姿を観客の目に焼き付けた。

 

 マイルでは、セイランスカイハイ、ジハードインジエア、グラスワンダーの三つ巴の戦いとなり、グラスワンダーが粘り勝ちをした。

 

 中距離では、エアコンボハリアー、セイウンスカイの追走を振り切り、サイレンススズカが逃げ切り勝ち、アメリカ遠征を敢行することを決めた。

 

 そして長距離では、アラビアントレノとハッピーミークの壮絶な叩き合いが、観客達の記憶に深く残ったのである。

 

 中央と地方のウマ娘は、互角に戦い、互いの健闘を称え合った。

 

 そして、この大会で起きた最も大きな出来事は、全ての決勝で、領域が確認された事である。このことは、日本の競走ウマ娘達に新しい時代の訪れを、確信させるものであった。

 

「……私達のやるべきことは、まだまだ多いようだな」

 

 そう言って、AUチャンピオンカップの記録を見ていたシンボリルドルフは、それを閉じる。

 

「さて、行こうか」

 

 そして、彼女は生徒会室の扉を開けて、歩き出したのであった。

 

 

 

「理事長、福山トレセン学園の皆さんが到着されましたよ」

「承知ッ!!誘導を頼むよう、職員の皆につたえておいてくれ!これで最後だな!」 

 

 そして、中央トレセン学園では、理事長のやよいが、そのポケットマネーでAUチャンピオンカップ成功の祝賀会として、食事会を行うことを決定し、それに各地方トレセン学園の代表者達を招待していた。そして、福山トレセン学園は、アラビアントレノ達5人とそのトレーナー、それに、エアコンボフェザーとハグロシュンランを代表として送ったのである。

 

 

 アラビアントレノ達は体育館へと向かっている。

 

「おお~、近くで見ると、こんなに大きいとは」

 

 会場である体育館の大きさに、セイランスカイハイは思わず声を漏らす。

 

「広そう」

「そうね……外から見ただけでも、福山との違いがよく分かるわ」

「2000人以上収容できる体育館だからな」

 

 慈鳥らも、驚きを隠せていない。

 

「この大きさならシャトルランが出来そうですね」

「私達ウマ娘がやったら絶対床材がズタズタになるわよ…」

「あまりはしゃぐなよ、お前達」

 

 エアコンボフェザーは、テンションが上がる面々を落ち着かせ、体育館の扉を開ける。

 

「福山か!?おーい!こっちだ!こっち!!」

 

 いち早く気づいたのは、サトミマフムトである。彼女は手招きをして、アラビアントレノ達を呼んだ。

 

「……」

 

 アラビアントレノは、歩きながら周囲を見る。

 

 会場には、地方中央問わず生徒がいたものの、このような催しは初めてであり、主催者であるやよいも居なかった。それ故、集められた者の殆どが地方は地方、中央は中央の生徒、トレーナーで固まって待機していた。

 

 グググググ…

 

 アラビアントレノ達が、サトミマフムトのところまでたどり着いた瞬間、体育館のステージの上の幕が開いた。

 

 そして、中央トレセン学園の理事長であるやよいが姿を現す。

 

『歓迎ッ!!各地方トレセン学園のウマ娘及び、トレーナーの方々!まずは、私から、お礼を述べさせて貰いたい。方々の力添え無しでは、URAに蔓延っていた問題の解決、及びAUチャンピオンカップの成功は無かった!本当に…ありがとう!!』

 

 やよいは、丁寧に頭を下げる。

 

『そして、今日の祝賀会は、AUチャンピオンカップによって、我々中央、そして地方が、共に良き好敵手として競い合い、高め合うようになれたことを記念するものであるッ!!そして、この体育館は、生徒、トレーナーの交流の場!!見知らぬ者と話し、友情を築くも良し、ライバルとの再開を楽しむも良し、今後のウマ娘レースの展望を語り合うも良し!!互いの仲を深めて欲しいッ!!以上をもって、開会の挨拶とするッ!!』

 

 

 

 

 やよいがそう言うと、会場の照明が明るくなる。アラビアントレノら5人は互いに顔を見合わせる。

 

「…なるほど、開始の合図ということね」

「交流ですか」

「なら、予習済み」

「楽しんじゃおうか」

「だね、皆、行こう」

 

 アラビアントレノらは、そう言って、中央の生徒の方に歩き出す。

 

「私達も行きましょうか」

 

 それに続き、キョクジツクリークが歩き出す。

 

「ここで出遅れては、チームキマイラの名折れ」

 

 メイセイオペラが

 

「いっぺん中央の生徒とは、深く語り合いたかったんだ」

 

 サトミマフムトが続く。

 

 そして、多くの生徒が、それに続いたのだった。

 

 

────────────────────

 

 

 アラビアントレノらが動いてから、数十分もすると、体育館のどの場所でも、盛んに会話がかわされるようになっていた。

 

 そして、アラビアントレノはシンボリルドルフと話していた。

 

「さっきは後輩達と話してくれてありがとう、あの三人は、君に憧れていたんだ」

「いえ、お安い御用です」

「…君はこれから、どうするつもりなんだ?」

「まだ、決めていません」

「そうか、でも、迷った時は、いつでもトレーナーや友人を頼ると良い、私だって、そうしてきた」

 

 シンボリルドルフは、遠くで中央の生徒と話しているエアコンボフェザーを指さした。

 

「……知ってはいると思うが、彼女と私は、共に生徒会の仕事に励んでいたんだ。」

「…二人は同志だったと、聞いています」

「ああ、その通りだ。私達は、先代会長(スピードシンボリ)の下で、ウマ娘達の幸福という願いを持ち、ともに学び、歩んでいたんだ」

「シンボリルドルフさんが、会長となる前から…ですか」

「ああ、先代は、感情豊かかつ、あらゆる物事を試す、現場型のとても優れた人物でね。ある日“地方から来た無敗の白い彗星と、同じく、ジュニア無敗の私の二人に共に仕事をさせたら、どうなるのだろうか?”と思いつき、実行したんだ。それが、私達が同志となるきっかけだった。そして、それを見届け、卒業するなり、先代は世界を回る旅に出てしまったよ」

「…」

「…それからというもの、私の活躍の裏には、常に彼女がいたと言っても、過言では無いだろう。そして、彼女が抜けて顕在化してきたことなのだが…私は、腹を割って相談できる相手が少なすぎた。アラビアントレノ、君は、そうならないようにな…最も、君の場合は、心配いらないだろう」

 

 シンボリルドルフは、微笑んで、アラビアントレノの方に手を置き、別の所へと歩いていった。

 

 

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 料理が運ばれて来ると、会話はさらに盛り上がりを見せていた。

 

「エルコンドルパサー、あんたはこれからどうするの?」

「凱旋門賞に再び…と行きたいところですが、まずはアナタへのリベンジマッチデース!!」

「…そう言って貰えると、嬉しい」

「…オオ!?なら、グラウンドでやりますカ?今から!」

「エル!貴女は食べたばかりでしょう!神聖なターフに吐瀉物をまき散らす気ですか!?」

 

 

 エルコンドルパサーはエアコンボハリアーにリベンジを誓い、グラスワンダーはやる気満々の彼女を抑える。

 

「魚を取るのはやっぱり釣り竿でグイッと行くのが一番だよ」

「いや、銛を持って海に飛び込むのが楽しいんだよ」

「駆け引きがある、釣り竿の方が楽しいよ〜」

「いやいや〜やっぱ銛だよ銛、エントリィィィィィィって叫びながら飛び込むと、嫌なことも吹っ飛ぶからね。」

 

「……スカイさんと貴女達の友達……二人とも、容姿はよく似てるのに、考えることはまるで違うのね」

「…誤算だったわ…魚のことで話が盛り上がる思ったのだけれど」

「私からすれば、どちらもフィッシングなのですが……」

「ちょっと頭が痛くなってきたわ…」

 

 セイウンスカイとセイランスカイハイは、どちらのフィッシングのスタイルが楽しいかを論議し、キングヘイロー、キングチーハー、ワンダーグラッセは、平行線をいく議論にうんざりしていた。

 

 

「ふふっ…今後のメジロ家のウマ娘は、レースを更に楽しいものにしてくれそうですね」

「はい、現在、メジロ家はダートの方にも挑戦しようかと思っていて、地方にウマ娘を入学させることができないか、模索中です」

「本当ですか?」

「はい、この娘…メジロホーネットというのですが……AUチャンピオンカップのお陰で、ダートに興味を持ったのです、オグリさんの協力のもと、カサマツトレセン学園に進学してもらう予定です」

「そうだったのですね、では…障害レースの方は?」

「……」

 

 ハグロシュンランがそう聞くと、メジロアルダンは苦しそうな顔をする。

 

「アルダンさん?」

「……実は、あまりそちらは話に出ないんです。というのも、私を含めた、メジロ家のメンバーの殆どが障害と聞くと、悲しいことが起こる気がするというか…悪い予感というか…メジロカラーが無くなってしまうというか…そういう、良くないことを何となくですが感じてしまうのです。パーマー達は、そうでもないようなのですが…」

「…申し訳ありません、変なことを、聞いてしまいました」

「いえいえ、良いんです……あっ…この場をお借りして、シュンランさんにメジロ家のメンバーを紹介致しますね」

 

 メジロアルダンはそう言うと、メジロ家のウマ娘達を呼ぶ。

 

「…左から、メジロランバート、メジロライアン、メジロドーベル、メジロパーマー、メジロマックイーン……この5人が、現在、トゥインクルシリーズで走っている、メジロのウマ娘です」

「皆様、はじめまして、ハグロシュンランと申します」

 

 ハグロシュンランは、メジロ家のウマ娘達に、挨拶をしたのだった。

 

 

「…スペシャルウィーク…ドリームトロフィーリーグに行くの?」

「はい!レベルの高いステージに上がって、もっともっと、強くなりたいですから!」

 

 スペシャルウィークは、アラビアントレノに、自らの決意を語る。

 

「そっか……次、走るときが楽しみになるね」

「はい!……あっ!追加の料理が…アラビアントレノさん!少しの間失礼します!」

 

 そう言うと、スペシャルウィークは、料理を取りに向かっていった。

 

「消えた……瞬間移動したみたいに」

「…スペシャルウィークさんも、食べるのは大好きだから…」

「ミーク」

「良ければ、スペシャルウィークさんが戻ってくるまで…こっちで話そう」

「うん、ありがとう」

 

 アラビアントレノは、ハッピーミークと共に歩いていった。

 

 

────────────────────

 

 

「……ふぅ…」

 

 体育館が賑やかになる中、慈鳥は、飲み物を持って外へ出た。

 

「相棒、俺達はやったぞ、お前が可愛がってたアラは…立派に成長した、夢に向かって、走り続けてるよ。俺も、あの娘にいっぱい感動させて貰ったよ。………ありがとな」

 

 慈鳥は、座り込み、夜空に向けてそう語りかける。そして、飲み物を掲げる。

 

「レースで勝った夜は、よく、こうしてたよな…………乾杯だ」

 

 慈鳥は、そう言って、飲み物を飲んだ。

 

「……慈鳥トレーナー…?」

「…!」

 

 そして、丁度そこにやってきた桐生院が、声をかける。

 

「…桐生院さん」

「………その…誰と祝杯を交わしていたのですか…?」

 

 慈鳥は、少し考え込む様子を見せた後、桐生院の方に向き直る。

 

「……遠い場所にいる、相棒ですよ、もっとも、もう会えないんですがね」

「……!し、失礼しました」 

 

 桐生院は、まずいといった顔をして、頭を下げる。

 

「いいんです、むしろ、一緒に乾杯をしてもらいたい気分です。ウマ娘達が、こうやって笑顔で夢を追い、走っていけるようになったんですから。祝う人数も多いほうが、あいつも喜びます」

「…分かりました…では…」

 

 桐生院も、飲み物を掲げ、口にする。

 

「……慈鳥トレーナー…その…これからは、どうするつもりなのですか?」

「………まだまだ、考えていませんね、とりあえず、アラにはゆっくりと休んでもらうつもりですから、少しの間は、手持ち無沙汰になりそうです、そちらは?」

「チームの次の計画を立てていたのですが……伊勢先輩から、“休みなさい”と怒られてしまいまして…」

「ハハ、桐生院さんらしいですね」

「でも…トレーナーになってからというもの、長い休みは取ったことがなくて…使い方というのが、よく分からないんです…慈鳥トレーナーは、どう過ごされますか?」

「………温泉にでも行って、美味い飯を楽しみながら、疲れを癒そうかと、まぁ、日本には温泉が星の数ほどあるので、決めきれて無いですが」

 

 慈鳥は、ため息を付きつつ、そう言った。それを見た桐生院は、少し悩んだが、やがて、意を決したような顔をして、慈鳥を見る

 

「あのっ…よよろしければ、私が、おすすめの所を…紹介しましょうか?私も暇が与えられている身ですから、あ、案内だって…」

「良いところ、知ってるんですか?」

「は、はいっ!中央のチームをお得意先にしてくれている温泉街がありまして、そこでよろしければ」

「じゃあ、そこでお願いします」

「は、はいっ!!」

 

 桐生院は、少し緊張しつつも、そう答えた。

 

 

────────────────────

 

 

 一方その頃、シンボリルドルフとエアコンボフェザーは、会場を離れ、生徒会室にいた。

 

「……何故、私をここへ?」

「見せたいもの、それと、頼みたいことがあってね」

 

 シンボリルドルフは、自分の執務机の引き出しの鍵を開け、中から書類を取り出す。

 

「私は、裏方として、今回の大会に携わらせて貰った。そして、今回の大会は、どの部門も大成功だった。これは君も、知っていることだろう?私達は、それだけに留まらず、プレ大会との比較も行ったんだ。そして、最も注目度の上昇を示したのが、ダートレースだった。」

「……本当か…?」

「それが、この書類に書いてある」

 

 シンボリルドルフは、エアコンボフェザーに書類を手渡す。エアコンボフェザーは書類を読み、それが事実であるのか確かめる。

 

「…どうやら、本当のようだな」

「ああ、そこで、君の力を、再び貸してもらいたいんだ」

「…?」

「URAでは、2年ほど前から、国際招待レースに、ダート部門も開拓してみようという動きがあってね、それが、AUチャンピオンカップをきっかけに高まっているんだ、仮称“ジャパンカップダート”……これの創設に、協力してもらいたい、中央、地方問わず、芝だけでなく、ダートウマ娘も強敵と戦えるような環境を作るために」

 

 シンボリルドルフは、手を差し出す。

 

「……ルドルフ、分かった、やらせてもらう」

 

 エアコンボフェザーは、微笑み、その手を取った。

 

 

 

「えぇ~、カイチョーにも、なくなっちゃう前に、デザート楽しんで欲しいのに〜」

「そうだよ!デザート、ほっぺが落ちそうなぐらい、美味しいんだよ!」

 

 生徒会室の近くの階段では、トウカイテイオーとマヤノトップガンが、マルゼンスキーに向かってそう訴えかけていた。

 

「あの二人は、やっと、友情を取り戻す事が出来たんだから、その邪魔をするのはナンセンスよ、気持ちは分かるけど、戻りなさい」

「はぁーい」

「ごめんなさい」

 

 マルゼンスキーは、諭すようにしながら、二人を追い返した。

 

 しかし、さらに階段を上がる音が聞こえ、マルゼンスキーは気配の方に声をかける。

 

「誰かしら?ごめんね、今はここは通行止めなの」

「マルゼンスキーさん、私です」

「たづなさん!?」

 

 意外な来客に、マルゼンスキーは驚愕した。

 

 

 

「…今回の大会、情報によれば、ムーンライトルナシー、トニビアンカが観戦していたそうだ、これは不確かだが、オベイユアマスターもいたという情報もある」

 

 シンボリルドルフと、エアコンボフェザーは話題を移し、話し続けている。

 

「オベイユアマスターか、彼女は見に来ていただろうな」

「何処かで見かけたのか、フェザー?」

「ウチの生徒会長が彼女と友人でな、電話して呼んでいた」

「……!ふふっ…やはり…そちらの生徒会長は…凄いな」

「…“走りのための遺伝子が、人脈作りに回ってるのかもね”と本人は言っていたぞ」

「ふふっ…そうか…さて、本題はここからだ…………今後、世界に挑んでいく上で、国内での競争やトレーニングをよりハイレベルなものにするのも重要だが、同時に、日本のウマ娘レースを、ウマ娘の強さ以外で、印象付けることが必要となるだろう。だが、強さのみに固執してしまった我々にはそのノウハウが殆どない。そこで、君の意見を聞きたいんだ」

 

 シンボリルドルフは、今後のための意見を、エアコンボフェザーに問う。

 

「……日本の文化と、結びつけてみるのはどうだ?」

「文化…詳しく聞かせてくれ」

「……毎年、普通の人間が年始めにやっている駅伝大会があるだろう?」

「箱根駅伝だな…まさか…?」

「ああ、駅伝は、海外でも“Ekiden”と綴ると聞く……つまり、日本のスポーツとして認知されているんだ。そんな駅伝を、ウマ娘とくっつけるんだ」

「なるほど…それならば、海外メディアにも、注目されるかもしれない」

 

コンコン

 

「楽しそうなところ、失礼するわね」  

 

 ドアを開け、マルゼンスキーが入ってくる。

 

「マルゼンか、どうした?」 

「…良いニュースと悪いニュースがあるわ、どちらから先に聞きたい?」

「後者の方から頼むよ」

 

 マルゼンスキーの質問に対し、シンボリルドルフはそう答える。

 

「貴方達の分のデザート、多分無くなっちゃったわよ」

「そうか、でも、問題は無い。今後の事について語るだけでも、十分に楽しいからな」

「で、良いニュースというのは?」

 

 エアコンボフェザーが、そう聞く。

 

「スターオーちゃんとデュレンちゃんから、連絡があったらしいわ、あなた達が仲直りした事を聞いて、本当に喜んだみたい、それで二人と話したいそうよ」

「……!」

「それは本当か…?」

「ホントよ」

 

 シンボリルドルフらの目は、輝きに満ちていた。

 

 

=============================

 

 

 デザートも食べ終わり、楽しかった食事会にも、そろそろお開きの時間が近づこうとしている。

 

 私はあたりを見回す。どのウマ娘達も、トレーナー達も、盛んに会話をして、盛り上がっているようだ。

 

 スッ…

 

 すると、少しだけ証明が薄暗くなり、ステージが照らされ、中央の理事長が出てくる。プロジェクターが動作しているけど、スクリーンは真っ暗だ

 

『皆ッ、食事会、楽しんでくれたようだな!ここで、最後に、ほんの少しの間だが、私の言葉を、聞いて頂きたい!』

 

 私達はステージに目を向ける。

 

『食事会の様子、見させて頂いたッ!ウマ娘も、トレーナーも、お互いにここまでの苦労やこれからの展望を語り合い、親睦を深めることが出来たようだな!今後も、このように、中央と地方が、共に歩む道を作っていこうと思っている!』

 

 共に歩む道…懐かしい言葉だ。

 

『AUチャンピオンカップは、今後も3年に一度の一大イベントとして、開催していくつもりだ!再び挑むもよし、後輩に夢を託すもよしだ。今日集まってもらった皆が、次回の大会でも、様々な形で活躍することを、私は期待するッ!!』

 

 …休養の間に、いろいろと、考えておこう。

 

『そして、これからも活躍していくであろう皆に、私から一つの言葉を送りたい。』

 

 中央の理事長が、扇子を振り上げると、スクリーンにある文字が現れる。

 

『“THIS IS ONLY THE BEGINNING ”…“これは始まりに過ぎない”という意味だ。AUチャンピオンカップの成功は、ウマ娘達が、その出身を問わず、互いをライバルと認め合い、走り、競い、ゴールを、夢を目指して走っていく、新しい時代の最初の一歩でしかない。だから、これからも、ライバルとして競い合い、苦難に直面したときは協力し合い、共に歩み、学び、励んで行こうではないか!!』

 

 オオオオオッ!

 

 中央の理事長の言葉に、会場中が沸き立った。

 

 “これは始まりに過ぎない”

 

 なんだかとても、良い響きだった。

 





お読みいただきありがとうございます。

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今回は少しばかり史実関連の要素を入れています。

次回、最終話です。よろしくお願い致します。

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