世捨て提督と艦娘   作:多聞丸

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鎮守府から逃げてきた吹雪達。雨の中、憲兵に追われながら男のいる草廬へと身を寄せる


#2 ー正体ー

男「…分かった、何処から来たんだ?」

吹雪「…舞鶴の市街です。嵐に巻き込まれたので家に帰れないんです」

時雨(吹雪、もう少しまともな嘘をつきなよ…)

男「そうか、気になってな。まあ上がれ」

吹雪「意外に分かってないようだね」ヒソヒソ

時雨「そうなのかな…?」

男「…」

 

―居間―

男「雨に濡れて冷えているだろう、今沸かしてくる」

時雨「意外に狭いね…」

男「何か言ったか?」

時雨「ううん!何でもないよ!」

吹雪「突然すいません…」

吹雪「!」

魚が囲炉裏で焼かれている。近くでは鍋の中で煮込まれているものが会った。

吹雪「…お腹減ったな…」

男「お前…怪我をしているな。手当てをするよ」

時雨「そうかい…。ありがとう…」

 

―風呂―

吹雪「あ~…寒かった…」ヌギヌギ

吹雪「お邪魔します」ガラッ

吹雪「何だろう?このお風呂」五衛門風呂

吹雪「蓋が浮いているから取って…」※蓋ではなく踏み台。取って入ると火傷する

吹雪「お、お邪魔します」チャポッ

吹雪「あちちちちち!!」尻、足裏火傷

吹雪「これ…どうやって入るの…?」

男『あ…言い忘れたが浮いている木の板を踏んで入ってくれ』←ドア越しの声

吹雪「早く言って下さいよ…」グスッ

吹雪「…久しぶりにお風呂入ったな…」

吹雪「温かい…」

 

ー居間ー

時雨「グググ…いだっ!」

男「銃弾が取れたぞ。今から消毒する」

時雨「…なんでそこまでするんだい」

男「…気まぐれだ」

時雨「変な人…」フフフ

男「染みるぞ…」

時雨「痛った!」

吹雪「上がったよ」

時雨「あ…吹雪」

吹雪「温かったよ」

時雨「…僕も入ろう」

 

ー10分後ー

時雨「ありがとう」

吹雪「急に押しかけてすいません…」

男「気にするな」

コンコン…

吹雪「!」

時雨「憲兵隊かな」

吹雪「隠れよう!」ガサゴソ…←隠れ

男「はい、なんですか?」

ガラッ!

憲兵「おい!ここに少女2人が入って来なかったか!」

吹雪(憲兵隊だ!)襖に隠れ

時雨(やっぱり僕達を追って来たんだ)同上

男「どのような子ですか?」

憲兵「二人とも黒髪で一人はセーラー服、もう一人は黒い制服で肩に傷を負ってる」

吹雪(私達の事だ)

時雨(あの男の人は何て言うんだろう…)

男「...確かに私の家に来ました」

吹雪(ばらされる!)

時雨(白露、夕立…ここまでのようだ。僕があの人を信じた事が…)

男「しかし追い返しましたよ」

吹雪、時雨(?!)

男「見ての通り家はボロ家、食料もその日暮らしです。しかもこんな嵐の夜に訪ねてきたら追い返しますよ」

憲兵「う…うむ」

男「それよりここは県境、もうあの子たちは福井県に逃げたのでは?」

憲兵「そ...それは大変だ!後を追うぞ!夜分失礼した。それでは!」ダダダダ…!

ピシャリ!

男「良いぞ、出てきても。あいつらは当分来ないだろう」

吹雪「あ…ありがとうございます」スーッ

時雨「何で僕達を助けたの?」

男「こんな嵐の日、外を出歩くのは脱走者か夜逃げ者。お前らは恐らく前者だろう」

男「そうだろ。吹雪、時雨」

吹雪「な…何で私達の名前を…」

時雨「き…君は一体?」

元春「俺は立花元春。三年前まで海軍に仕えていたものさ」

吹雪「立花…元春」

時雨「…聞いた事がある。かつて海軍で活躍された司令官が突然やめて姿を消したって噂…。まさか…」

吹雪「えっ…」

元春「…そうだ。あれは3年前だった」

 

←……To be continued




次回は過去回想編。そして歯車は動き出す。
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