魔水晶王女(俺)は魔王の一人である   作:ちゅーに菌

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3億のカマキリ

 

 

 

突然だがこの世界の魔法とは素晴らしい。

 

国一つ余裕で滅亡させられるような魔法から生活にとても役立つ魔法まで様々だ。

 

更に、魔法で出来た魔法具とやらも色々凄い。

 

中に入れた物を冷やし長持ちさせる明らかに冷蔵庫のような魔法具があったり、ダイ〇ンの掃除機に非常によく似た掃除が出来る魔法具があったり、エアコンの代わりらしき魔法具があったりする。

 

共通してるところと言えば全て魔力を流すと動いたり魔石(バッテリー)で動く事だろう。

 

この世界の魔法は現代科学を再現出来るほど高度なようだ。

 

しかし、誰がこんなやたらに前世の物に似た魔法具があるんだろうか?やはり俺と同じような転生者が広めたのだろうか?それなら顔も知らんソイツらに拍手を贈りたい、おそらく調味料もソイツらが製法を伝えたのだろうな。

 

ちなみにこの世界は中世ヨーロッパのような町並みだが魔法を使っている為、昭和初期ぐらい生活水準をしているかなりマジカルな世界だ。流石にテレビやラジオは無いけどな。

 

何で突然こんなことを言い出したかと言うと魔法は凄いということを皆様にお伝えしたいからだ。

 

 

「きゅー…」

 

 

決して、食後に訓練で初歩の初歩(Lv1)の光魔法(光弾)をたった一発放ったらリリウムちゃんがきゅーとか言いながら目を回して気絶た事にたいして現実逃避しているわけではない。

 

「流石お姉ちゃんなのです。家でナンバーワンなのです」

 

「止めてあげなさい…本人は聞こえてないとは言え妹にそんなことを言われるのは可哀想過ぎる…」

 

ベイオウルフ家の敷地内の頭を抱えた俺の横では眠たそうな顔をして毒を吐くリリアナちゃんがいる。

 

「リリウムちゃん起きろ」

 

「きゅー…ん…あ、師匠…やっぱり私ダメでしたか…」

 

起きたリリウムちゃんはしょぼんと頭を垂れてしまった。

 

oh…リリウムちゃん…。

 

「やっぱりですねー」

 

「やっぱりって?」

 

「お姉ちゃんはLv1の魔法も撃てないのです。魔法を使い続けて魔力量を上げるものですのでLv1の魔法も撃てないお姉ちゃんは昔からずっと魔法が使えないし成長しないままなんですよ。私はそろそろ自宅警備に戻るのです」

 

そう言ってリリアナちゃんは屋敷に戻っていった。

 

なるほどな…ええと確か…。

 

俺はダンダリアンの本(仮名)を花柄巾着から取り出した。

 

「ペラペラと……………あった」

 

『魔法図鑑』

 

これは名前の通り魔法のあれこれが載っているモノだ。

 

魔物図鑑同様、自分が見たことのあるものが自動で更新される。

 

まあ、6大魔法全てを覚えている俺にはさして必要ない図鑑だが他の魔王の固有魔法を知るときには便利だ。

 

えーと…光弾は。

 

 

光弾(こうだん)

 

光魔法Lv1

魔力消費量500

 

光魔法の初歩の初歩。手に光球を発生させる非殺傷魔法。直線上に光球を飛ばし辺りを照らす事もでき敵へは目眩ましに使うことも出来る。

 

 

………ん?非殺傷魔法?クローラーワームを消し飛ばしたよな………気にしないことにしよう。うんうん。

 

しかし魔力消費量500か、なるほどリリウムちゃんの魔力量が220だからかなり足りないな…どっかから持ってこれればな…持ってくる…ん?待てよ確か…。

 

俺は目次から魔結晶石のページを開いた。

 

 

魔結晶石

 

F~Aランクまでの魔物が損傷が少なく一撃で倒された時に極稀に発生する魔石で極めて希少価値が高く特にAランクは幻とされる。

 

 

使用用途は使用者の魔力量を上昇させる為の物で上昇値と色は以下の通り。

 

F=1

E=4

D=9

C=16

B=25

不特定(魔物によって異なる)

A=1000

 

※スキル《魔王》か《勇者》持ちは魔結晶石を吸収しても魔力量が上昇しない。

 

 

……要するに俺(魔王)にとって魔結晶石はゴミ同然だということだな。

 

よし!リリウムちゃんにポイしちゃお♪

 

「リリウムちゃんとりあえずこれやるよ」

 

俺は巾着から明らかに巾着に入らないボーリング球大の魔結晶石を取り出しリリウムちゃんの手の上に置いた。

 

最初の胸揺らしスティンガーから出たやつだ。

 

「へ?」

 

リリウムちゃんは唖然とし、目を開いたまま停止した。

 

「こここ…」

 

「こ?」

 

「これってAランクの魔結晶石じゃないですか!」

 

「おう。それがどうかしたか?」

 

「どど、どうかしたって!こ、これ!金貨300枚はしますよ!」

 

金貨300枚ねぇ俺の給料の100ヶ月分やん。そういや金貨の値段ってどんなもんだろう?えーと目次目次…。

 

 

《この世界のお金》

 

単位は、赤銅貨1枚で1ベガ。1ベガは日本の100円程の価値。

 

黒銅貨10枚で赤銅貨1枚。

 

赤銅貨10枚で白銅貨1枚。

 

白銅貨10枚で銀貨1枚。

 

銀貨10枚で白銀貨1枚。

 

白銀貨10枚で金貨1枚。

 

ベガは人間の世界共通貨幣。人間に友好的な種族のところでも大概使える。

 

ふむ、つまり黒銅貨が10円で赤銅貨が100円で黒銀貨が1000円で銀貨が1万円で白銀貨が10万円で金貨が100万円か。

 

ふーん金貨300ってことはスティンガーの魔結晶石は3億ぐらいだな。うんう…ん?…3億?…………………………3億!?

 

あれ?てことは俺の月給300万…?スゲー……。

 

「こ、こんなもの受け取れませんよ!」

 

いや…しかしそれぐらいいくらでも量産できるんだけどな、死神

グリムリーパー

いるし。

 

「つべこべ言わずに使え」

 

俺は魔結晶石を掴むとリリウムちゃんの胸に強引に押し込んだ。

 

「はえ!?」

 

魔結晶石はズブズブリリウムちゃんに入り見えなくなった。

 

すっかり吸収されたようだ。よきかなよきかな。

 

「よし。リリウムちゃんステータスと」

 

 

リリウム・ホークアイ・ベイオウルフ

 

種族:人間

年齢:16

職業:学生

ランク:G

身体値:180

魔力値:1220

スキル:

《駆け出し魔物使い》

《弟子》

《光魔法Lv2》

 

 

ぬ?弟子?スキル増えてるな、そろそろ図鑑でスキルも確認しないとな。

 

「し…師匠」

 

リリウムちゃんがふらふらしながら真っ青の顔で俺にすがり付いてきた。

 

はっ!?まさか副作用でも…。

 

「そんな大金絶対にはらえませんよぉぉぉ!!!!」

 

貧乏性だった。

 

「金は心配するな。あれぐらい、いくらでも森の奥で取れるだろ?」

 

「も、森の奥って…まさか!虐殺平原ですか!?」

 

「なにその物騒な名前、ただ黒いカマキリがうじゃうじゃいるところだったけど?」

 

「そこが虐殺平原ですよ!」

 

え?あのよく燃えるカマキリがいたところが?

 

「へー、ま、それはそれとして早く魔法撃てや。さあ、撃て!早く撃て!即座に撃て!」

 

鬼気迫る目で急かしてみた。

 

「は、はい!光弾!」

 

リリウムちゃんの手に淡いビー玉大の光が灯った。

 

「あ…魔法…魔法です…」

 

リリウムちゃんは手を突きだしたまま、ポロポロと泣き出した。

 

「ありがどうございますぅ師匠ぅぅ…」

 

リリウムちゃんは魔法を止めると俺に抱きつき顔を胸に埋めてきた。

 

「よしよし」

 

ナデナデ、あー可愛い。

 

「これで学校でもまともに授業を受けれま…え?」

 

「ん?」

 

突然リリウムちゃんが何か思い出したように顔を上げた。

 

「学校…」

 

「学校?」

 

リリウムちゃんは何か思い詰めたような暗い表情になり暫く顔を伏せて暫く片言に学校…と呟いてから再び顔をまた上げるとこう言った。

 

「宿題忘れましたぁぁぁ!!!?」

 

……………アホだ…アホの娘がいた…。

 

 

 

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