魔水晶王女(俺)は魔王の一人である   作:ちゅーに菌

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母と黒いのと魔水晶
外伝1 その頃クロロ


 

 

 

スドーがネメシスを蹴り飛ばした丁度その頃、スピカ国の王都の更に先のとある魔宮の古代遺跡地帯の石造りの地面に奇妙な形をした穴が空いていた。

 

その穴はまるで巨大な昆虫を型どったような形をしていた。明らかに自然で出来たような穴ではない。

 

暫くするとその穴から巨大な2本の大鎌が生えてきた。

 

次に巨大で赤い双眼が穴から覗いた。

 

そして塔が生えるように現れたのは光沢のある漆黒の外殻で全身が覆われた巨大な蟷螂(カマキリ)だった。

 

言うまでもなくスドーにドロップキックで蹴り飛ばされた禁忌級(Sランク)の死神(グリム・リーパー)ことスドーの為に牛馬のように働いていたクロロである。

 

基本的には常にスドーの影に入っていた為に余り目立ってはいないが実はスドーの無茶な命令をいつも律儀に遂行していたのである。

 

例えば明日リリウムが学校の定期実習で単身で低ランクの魔物討伐に行くことになった時は、蟲の森のCランク以上の全ての魔物を一夜で殺戮して来いという自然摂理に喧嘩を売ってるとしか思えない注文が来た。

 

蟲の森は前半なら最高でも生態系のトップとしてAランクが数種か存在するぐらいの駆け出し~中堅スレイヤーが入るような森であるが、なぜか後半は番号持ち殺戮者(ナンバーズ・スレイヤー)しか入らないような森になっている。

 

なぜそうなっているかと言えば蟲の森は前半は大木が乱立するだけのいたって普通の森なのだが後半はまるで某風の谷の姫様の話で帝国の姫様が焼き払おうとしていた森のような場所なのである。別に胞子は出ていないが。

 

そもそも蟲は後半の森を基本的な生息圏としており前半の森はそのはぐれかDランク以下の後半にも生息出来ないような弱小蟲しかいないのだからこのランク分けも打倒だろう。

 

だがそれより本当に異常なのがCランク以上の魔物の異様な多さである。

 

人も弱いほど群れると言うが蟲系の魔物はレベルが違う。

 

最早波なのだ。

 

弱いほど魔物の数が増え、強ければ数が少なくなるのは魔物の常識だが、蟲系の魔物は一度の産卵数が非常に多い為か、平均的な多系の魔物のCランクの魔物が100行くか行かない程度のコロニーでスレイヤーの討伐対象になるような大きな群れ等と認定されるが、蟲系の場合の大きな群れとは最低でも1万以上のコロニーの事を言う。

 

言っておくが蟲の大きさも強さも勿論Cランク相等である。

 

それらの蟲の群れ狩りは単純だ。

 

魔力の高い対象に群がる何の策もない物量だけの戦闘だが最も恐ろしい、群れを半分も犠牲にすればAランクすら仕留められるのだ。死体から出た魔力の残骸を喰らえば群れは食らう前より大きくなるのだ。

 

故に無駄に広大な蟲の森は約数十億の蟲がいると思われその8割以上をCランク以上が占めていると言われている。

 

スドーの命令がどれほど無謀な話かお分かりだろうか?

 

実はスドーは遠回しにリリウムに危害を加えそうな前半のCランク以上の森のはぐれを刈ってこいと言ったつもりだったのだが、そんな事を汲み取る思考が存在しないクロロはそのまま受け止め前半の森のはぐれを単身で粗方一掃すると1時間で360匹の死神の使い(スティンガー)を産み出し、後半の森に対して大進行を開始したのである。

 

早朝まで行った結果は途中でスティンガーは全滅、結局クロロ単身で殲滅し合計で約10億の蟲を皆殺しにしたが時間切れで帰ってきたのだ。

 

ちなみに記憶からその報告を見たスドーは溜め息をつき頭を抱えながらクロロに強烈なツッコミを入れたらしい。

 

余談だが、10億ぐらいの数なら1週間もあれば蟲は増えるらしい。だがなぜか森が飽和しないのは多種の蟲同士で共食いをしているからだそうだ。

 

更に蛇足だが、偶々早朝に後半の森に迷い混んでしまった駆け出しのスレイヤーがクロロが30程の群れを同時に相手取った時に出来た眩いばかりに輝く魔結晶石の畑を見付けて半狂乱したという。

 

 

 

クロロはとりあえず穴から出ると自分の身体を確認した。

 

後ろ脚の1本がズタズタになりネジ曲がっていた。全衝撃がそこにかかったのか耐えられなかったのだろ。

 

だが、次の瞬間まるでストローでも曲げるように脚が元の位置に戻ると外傷が跡形もなく塞がり消えた。

 

コレがグリム・リーパーが魔王に最も近いと言われる由縁の一つ、超再生能力だ。

 

血の一滴、塵の霞み、細胞の一欠片からでも残っていれば即再生が可能な、生物を嘲笑うかのような能力だ。

 

実際、蟲の森を超え、殺戮平野に挑戦に来たナンバーズ・スレイヤーが数年で数百人も還って来ないのだからその実力は確かなものだろう。

 

クロロは使えるべきご主人様が言われた事を思い出していた。

 

"魔王になるまで帰ってくるな"

 

だが、コレが魔王に最も近い存在でもどれだけ無謀かはよくわかっていた。

 

通常魔王になるまでは他の魔物や人を狩り続け数百どころか数千年の年月が必要なのだ。そもそもポラリスが存在する迄に帰って来れるかも怪しい。

 

それではダメだ。ご主人様がいるまでに帰って来なければ意味がない。

 

そう考えたクロロは無謀とも言える"裏技"が思い浮かんだ。

 

1つだけ1日で魔王になる方法ある。

 

それは……SSランクの魔王を殺害した上で魔王核を取り込むことだ。

 

魔王の殺害という経験の上に魔王核を取り込みその魔王をベースに自分を外付けし魔王化させるモノだ。

 

以前の身体は殆ど捨てることになるがそれでも能力(スキル)と身体的特徴と能力値を引き継げるからクロロにとっては特に問題はなかった。寧ろ旨味しかない。

 

だとすればクロロは考えた。

 

自分の鎌を強化するなら身体値の高い魔王が良いだろう、だが、SSランクの魔王は稀だ。

それこそスピカ国内でも3体しか定住はしていない、1体はご主人様の近くのあの"鳥"だ。

あの鳥は本気になれば魔法主体の戦いを好むからとても勝てないだろう、"真理"は特殊だから倒せないだろう…なら"騎士"を狙うしかない。

 

そこまで来てクロロはこの古代遺跡に気が付いた。

 

ここは……騎士の魔宮?そうか…ご主人様はそこまで考えて送って下さったのか。

 

クロロは感銘を受けていた。間違えなく偶々だと思うが。

 

ふとクロロは下を見ると腰を抜かした少女がこちらを見上げていることに気が付いた。

 

それは人ではなく吸血鬼のまだ若い少女だとわかった。

 

吸血鬼…血を好み取り分け上質な魔力を持つ種族だ。

 

これは戦闘前の食事には打ってつけだ。

 

そう思い鎌を一瞬振るった。

 

その瞬間、地が縦に裂かれその上にあった少女の片手が舞った。

 

クロロはただ高速で鎌を振るった事でカマイタチを起こし地を裂いた、ただそれだけだ。

 

『え?……………あ……あぁ!?』

 

少女は最初、大きく裂かれた地面を見ていたが腕が無いことに気が付いたのだろう。悲鳴を上げた。

 

だが手をもがれた程度ではまず吸血鬼は死なない、1日も立てば綺麗に再生しているだろう。それはクロロもわかっていた。

 

クロロは更に少女にカマイタチを放った。但し今度は少女に当たらないように。

 

少女のすぐ横をカマイタチが掠めた。

 

少女は真っ青になって失禁していた。

 

クロロは更に当たらないように次々と少女にカマイタチを放った。

 

『ひ、ひぃやぁぁぁあぁぁ!?』

 

少女は一目散に逃げ出した。

 

それをみてクロロは内心ほくそ笑んだ。

 

逃げろ逃げろ、お前の家に帰れ、人が住む所に帰れ。

 

クロロは必死で逃げる少女にたまにカマイタチを放ち少女と一定距離を保ちながらゆっくりと付いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グリム・リーパーの魔王に近い要因は全部で4つ。

 

1つは超再生能力。

 

2つは切れ味の鋭すぎる大鎌。

 

3つは狩りの名手なこと。

 

そして何よりも重要な4つは………快楽的にモノを殺す生物として人に近い類い稀な残虐性だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、1つの吸血鬼の集落が1人の少女を残して壊滅したそうだ。

 

 

 




~第4回人外魔境~


『全くぅ、アレの日なぐらいでダウンするなんてだらしないわねぇ』

『えーと……スドー様は只今女の子の日で部屋で死んでいるので今回は私とローゼ様でお送りするのでございます。まず最初のお便りは…』


Q:スドーに生理はくるのか?


『来てるわぁ』

『来てるでございます。次』


Q:スドーの給料金貨3枚?高過ぎじゃね?


『安いわねぇ』

『安いでございますね』

『普通高位の光魔法使い何て教師にしたらその100倍は取られるわよぉ。しかもあの娘は究極レベルの光魔法使い、10000倍だって足りないわぁ』

『スドー様は死ぬほどお人好しでございますね』

『次ねぇ』


Q:ローゼとネメシスに妊娠・出産経験はあるのか?


『私はまだ無いのでございます』

『ん~、私は生むより孕ませる派ねぇ』

『は、孕ませる?』

『私の土地のあの娘たちを孕ませるのよぉ、触手でねぇ』

『随分、アブノーマルでございますね』

『可愛いわよぉ、赤ちゃん。あなたも生むか孕ませればぁ?』

『私がときめくぐらいの殿方が今のところ存在しないのでまだ遠いでございますね』

『あらぁ?でも非処女よねぇ、あなたぁ』

『発情期でございますよ。年に1度男性器が欲しくてとてつもなくムラムラする日が来るのでございます』

『獣の宿命ねぇ』

『SSランクになってから初のその日に狂ったのでございます』

『若さゆえの過ちって奴ねぇ、次はぁ』


Q:魔王が生んだ子供は高位ステータス又は魔王になるのか?


『ならないわよぉ、ステータスも魔王じゃない方の親のステータスと種族を引き継ぐわぁ、継がれるのは容姿とスキルぐらいねぇ。スキルはどうでもいいスキルをランダムで1・2個だけどぉ』

『魔王は1代限りでございますよ』

『でも魔王と交わった者とその子供は不老にはなるわよぉ?あと寿命が無くなるわぁ』

『そうでございますね。次がとりあえずスドー様抜きで答えれそうな最後のお便りでございます』


Q:身体値の上昇はどうするんでしょう?


『人は身体を鍛えること、魔物はランクアップ、魔王はSSSランクで終点でございますね』

『そうねぇ、私の最大値がもう上昇することは無いわぁ、進化の袋小路って奴よぉ』

『その点はどんな生き物でもいつかは着く場所でございますよ。人にも種族的な限界がございますから


『そうねぇ、今日はこの辺かしらぁ?じゃあ私はあの娘で遊んでくるわぁ』

『あ、行ってしまったのでございます。スドー様………合掌でございます』



この後、屋敷がスドーの変態撃退拳の衝撃波で揺れるまで後30秒。


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