魔水晶王女(俺)は魔王の一人である   作:ちゅーに菌

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実は凄いぞクロロちゃん

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

私は息を切らしながら森の中を必死にこの静寂の森の最上位捕食者のクローラーワームから逃げていた。

 

「キュリリリリ!!」

 

「ひっ…」

 

後ろから聞こえるクローラーワームの黒板を引っ掻いた金切り声のような声に一瞬強張るがそれでも足は止めなかった。

 

止まったら食べられてしまう、あの魔物に…。

 

「くっ…クローラーワーム…ステータス」

 

私はそう言うと頭の中にクローラーワームのステータスが思い浮かんだ。

 

 

貪り喰らうもの(クローラーワーム)

 

ランク:B

身体値:9000

魔力値:0

 

 

クローラーワームは魔力を一切持たない代わりに身体値がAランク程もある魔物で人里の近くに発見されれば領主の討伐隊が組まれるほど危険な魔物…。

 

ランクG(最低ランク)の私が天地がひっくり返っても勝てる相手じゃない……私はまだ"契約魔物(パートナー)"もいないしそもそもFランクの魔物と契約が出来るかも怪しい実力なのに…。

 

「あっ…」

 

私は考えていたせいで足下の木の根に躓いて転んでしまった。

 

痛い…足首が真っ赤になって立てそうもない……。

 

「キュリリリリ♪」

 

「イヤッ来ないで!!」

 

私が動けなくなった事を確認するとクローラーワームは速く動くのを止め、這って逃げる私を狩を楽しんでるようにゆっくりと近付いて来た。

 

違う…きっと最初から私の走る速度に合わせて追いかけて来てたんだ……いや…死にたくないよ…ただ私は私みたいな落ちこぼれでも契約魔物になってくれる優しい子が欲しかっただけなのに…なんで…なんでこんな…。

 

「いやぁ…助けてぇ…誰かぁ…」

 

だけど、そんな言葉はこんな森の中では通じることもなくクローラーワームのおぞましい口から数本の触手が伸びて私にゆっくり、ゆっくりと向かってきた。

 

ああ…私もう死ぬんだ…。

 

私は観念して目をぎゅっと瞑った……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………あれ?

 

いつまで経っても触手が私の身体に触れる感触が来ないので私は恐る恐る目を開けた。

 

「キュ…キュリリ…キュ…キュリ…」

 

そこにはやはりクローラーワームがいた。

 

だがどこか様子がおかしい。

 

よく見るとクローラーワーム私ではなく空を見上げて小刻みに震えていた。良く辺りを見渡すとまだ正午のはずなのに日が陰ったように暗かった。

 

空?

 

私は空を見上げた。

 

「……う…うそ……な、なんで?」

 

見上げた先には漆黒があった。

 

森の木々の隙間一杯の漆黒と赤く毒々しく輝く2つの光が見えた。

 

「ぐ、死神(グリム・リーパー)……」

 

そう言うとまた頭の中にステータスが浮かんで来た。

 

 

 

死神(グリム・リーパー)

 

ランク:S

身体値:90000

魔力値:70000

スキル:

《スティンガー創造》

《超再生能力》

《闇魔法Lv31》

 

 

この魔物を知らない人はこのスピカの国には多分いない…。

 

小さい頃からこの国

スピカ

の子供は何か悪さをするとグリム・リーパーが来るぞって戒められているから…でもグリム・リーパーを見た者はほとんどいない、私だって今の今まで図鑑でしか見たことが無かった…。

 

マンティス系の頂点、虐殺平原の女王、魂喰らい、魔王にもっとも近い魔物。

 

呼び方なんていくらでも有るけどまさかこんな近郊の森に出てくるなんて……。

 

Sランク……別名、禁忌(タブー)ランク。

 

あまりにも高過ぎる戦闘能力の為、国からすら野放しにされている魔物…動く天災とまで言われているランク。

 

その一角が今、目の前にいるなんて……。

 

私が呆けているとクローラーワームが逃げ出した。

 

「キュリリリリ!?」

 

さっきまでも私への余裕はどこへやら、一目散に逃げている。

 

それを眺めていると突然突風が吹き荒れた。

 

「うっ…」

 

私は思わず目を瞑ったけどすぐ開けて見ると森の木々が斜めにずれていた。

 

「え?」

 

私の声と同時ぐらいに木々は地面にずり落ちた。

 

木々は一撃で斬り倒されたように滑らかな表面をしていた。

 

木々が無くなった事でグリム・リーパーの全貌が見えるようになった。

 

まるで町を守る外壁のように長く大きい身体、騎士の持つランスなんかの何十倍も太く強靭な四本の脚、二本の触角と裁ち鋏のような顎の付いた頭、どんな名工の剣であってもそれを嘲笑うかのような輝きを放つ2つの巨大な鎌。

 

それらを全て深い闇色に統一したその姿はまさしく死神だった。

 

多分、突然木々が倒れたのは私の頭の上を鎌が通過したから…なんて切れ味…なんて力…森そのものを切り裂くなんて…。

 

「キシャァァァァァァァァァ!!!!」

 

グリム・リーパーは大地を痺れさせるような咆哮を上げると次の瞬間クローラーワームに鎌が突き立っていた。ブシュッという音を立てて緑色の体液が噴き出した。

 

鎌を降り下ろすところが全く見えなかった…あの大きさであんなに速いなんて……これがグリム・リーパー…。

 

グリム・リーパーは鎌に突き刺さってもまだうねるクローラーワームを持ち上げると頭から丸飲みにした。

 

暫く、ぐちゃぐちゃと柔らかいモノが磨り潰される音が辺りに響いた。

 

そして食べ終わるとグリム・リーパーは私へと赤い目を向けた。

 

あ、死んだわ私。

 

そう思った瞬間、全身の力が抜け目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アホ!突然、急降下するな!死ぬかと思ったわ!」

 

俺はジェットコースターやらフリーフォールやらの尻の浮く感じのする絶叫系が嫌いだ。

 

死なないとは言え突然、命綱無しフリーフォール状態になったら誰だって死んだと思うだろう。

 

なんとか触角に掴まり事なきを得たが。

 

ちなみに俺が恐怖で暫く竦み上がっている内にクロロは一部の森の森林伐採とグロテスクな食事を済ませていたようだ。

 

「さて、女の子わっと…」

 

俺は頭から飛び降りると(高さ約50m)意味もなく膝を抱えくるくると五回程回転してから片手で地面に着地しようとした。

 

くるくるくるくるくるズドン!

 

…………………………全く痛みはないが片腕が埋まった。バカなことはやるもんじゃないな。

 

俺は腕を引き抜くといつの間にか気絶している彼女に向かった。

 

余談だが、膝を抱えた時、物凄く胸が邪魔でした、まる

 

「とりあえず彼女をどうにかしないとな…が、その前に…おいクロロ、一旦消えろ」

 

そう命じるとクロロの身体がボヤけ崩れた。更に崩れたクロロが俺の影に急激に吸い込まれるように入ると何事も無かったように俺の影に同化した。

 

闇魔法の影潜(シャドーダイブ)だ。

 

影という対象に自分を同化させる呪文で、闇魔法が20Lvの時に覚える。

 

クロロは虫の癖に魔法が、しかも隠密性の高い闇魔法が使えるようなのであの巨体も楽々隠す事ができるのだ。

 

最初は巾着にぶち込もうと思ったが暇潰しにクロロのステータス闇魔法のLv見て止めた。

 

それはもう置いておき彼女よく見る。

 

色白の肌に金髪のショートヘアの可愛い女の子だ。

 

顔立ちは日本生まれ日本育ちの俺からするに日本人のハーフのように見えるが多分、これがこの世界のデフォなんだろう。よく考えれは鏡の前で見た俺もそんな感じだったな。

 

「うんしょっと…」

 

硬い地面に寝かすのも可哀想なのでとりあえず俺が彼女を膝枕しておく事にした。

 

ああ…こんなこと前世にされたかったな…主に妹に。

 

「すー、すー」

 

胸が邪魔で膝にいる彼女の顔が見辛いが音で寝息を立てているのが解る。走りすぎて疲れたのだろう可哀想に。

 

ちなみに俺の地面についている髪やら服やらの汚れについては一切問題ない。

 

何故か汚れまで弾くのだこの身体と服は、どんなご都合主義だと思ったが便利なので許す。

 

そう言えば俺も随分寝てなかったな…肉体は大丈夫でも人間だった習慣と精神的に寝たいと思う。

 

俺は彼女が起きるまでの間寝ることにした。

 

目覚まし兼自動魔物撃退装置(クロロちゃん)も影にセットされてるので大丈夫だろう。

 

 

 

俺は瞼を瞑った。

 

 

 

 

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