【更新未定】This sky is… 天駆ける流星【供養】 作:アママサ二次創作
「金は一応あるし、ユニットも最低限ある……となると、やっぱり鉱石系の素材を取りに行かないとだめだな。後は武器とユニットのプランも立てとかないとな」
長い時間をかけて滑空したライトは、少し話した後ノアと別れた。本当に楽しそうに空を飛ぶ彼女に触発され、自分も自分の憧れに向けて出来ることを全力でしようと思ったのだ。
『ライトはどのようなユニットと武器を目指しているのですか?』
フライトユニットにオプションとして接続可能なパーツを眺めながら考え事をしているライトに、アイラが話しかける。
「まだはっきりと決めきれてるわけじゃないけど、イメージの中では……」
パソコンを用いて作った3DCGを画像に落とし込んだものや、ロボットの動画などを見せながらライトは自分がひとまず目指すところを説明する。
『なんというか、その……頑張ってください』
「ああ、頑張る。ということでだ。やっぱりアイテムの収集が優先だな。後は誰かにユニットの作り方を見せてもらうこと」
とはいえ、アイテムがどこで集まるかも、またどういう種類のものが必要かも判明していない。それを探すところを含めてゲームだというのは理解しているが、闇雲に探すのは流石に手間だ。
「アイラ、鉱石系のアイテムの分布について情報は何か無いのか?」
『具体的な情報はわかりませんが、ヒントとなりそうなものについてならわかります』
「教えてくれ」
『サバイバー協会で受注可能なクエストの中には、遠方のエリアや村を目的地とするものが存在します。それらの情報を頼りに探すことをおすすめします』
「なるほど。クエストのログを利用するってことか」
『またリラに余裕がある場合のみ可能な方法ですが、他のサバイバーからアイテムを買い取る事もできます』
「まあそっちは数集めるのが大変になってから考えよう。とりあえず自分で出来るだけ集めないとな」
『了解しました』
アイラに進められたとおり、ライトはサバイバー協会へと向かってクエストを受注する。クエスト内容は『鉄鉱石5つの納品』。協会に常時設置されているアイテム納品型のクエストだ。
『ライト、もし余裕があるのでしたら、他の納品系のクエストも一緒に受けておくことをおすすめします』
「わかったけど、なんでだ?」
『協会に常時設置されているクエストは期限が存在せず、アイテムが集まったときに納品すれば報酬が得られるからです。また薬草など比較的入手が簡単なものもあるので、達成を特に目指さないつもりで受注しておくのがおすすめです』
「なるほど。なら他のも適当に受けとくか」
実際にはアイテムが揃ってから受けて納品してもいいのだが、先に受けておくと何が何個単位で納品できるか確認できるため効率がいいのである。
他のクエストも受けたライトが早速クエストの説明を確認すると、鉄鉱石のクエストにおいて『東の山岳』という文言が見受けられる。ライトは以前飛行した方向は覚えていないが、山岳というのはあのときに見えた山のことだろう。
「あ、なあアイラ」
『はい、なんでしょう』
「これ期限無いなら、鉱石系もクエスト達成しなくていいよな?」
『達成せずに自分でアイテムを利用する分に当てることも出来ます。ですが、期限付きのクエストの場合はペナルティーが発生する場合があるので気をつけてください』
「あいあい。まあ他にクエスト受けるつもりは無いし、クエストは情報だけもらって放置しとこう。まあ金に困ったら納品すれば良いか」
この男、徹底的にまともなゲーム進行をする気が無いのである。もともとゲームをしに来たというよりロボットを再現をしに来ているため仕方の無いことではあるが。
******
「やっぱり空から探したほうが……楽だわな」
最初は地上をある程度歩いて行こうかとしていたのだが、すぐに方針を変えて離陸する。理由は単純で、目の前に見たことの無いモンスターが現れたからだ。
別に戦うのが嫌というわけではないのだが、自分が満足に動けない現状で戦っても歯がゆいばかりで楽しくないのである。
そこでモンスター、ゴブリンという子供ぐらいの大きさで緑の肌をした亜人の群れの直前で離陸したライトは、そのままゴブリンの投げる石を無視して高度を上げた。そもそもが探す場合においても視界が確保できる上空のほうが楽なのだ。ただ距離がわからないからMPを温存しておきたかっただけで。
「これぐらいあれば十分だな。滑空しよう」
だが、今のライトはMPを節約しながら上空を移動する方法を知っている。それなら無駄に戦わないでも良いように空中に留まったほうが良いだろう。
「あでも経験値……はまた今度で良いか。どっちかに集中しないと効率悪そうだな」
滑空と上昇を繰り返しながらライトは東へと進み続ける。下方に生えていた木々の姿が少なくなっていき、青々とした草はなばかりが覆う山麓が見え始めたところで、ライトの視界にテロップが流れる。
「『ドヴェルグ山岳』……。山脈じゃないのか」
なんとなくのイメージでライトはゲーム内の山地イコール山脈という名前がつくと思っていたが、このゲームにおいてはそうではない。山岳とは純粋に山のことを示し、山脈とはそれが連なったものを指すため名称で区別されているのだ。
そして冒険の早い段階でたどり着くことの出来るこの場所はあくまで山岳であり、山脈ほどの広さ、山の深さは無い、と公式には説明されている。
とはいえ、ドヴェルグ山岳も一つのお椀型の山ではなく複数の山が合わさった地形をしており、また上に行くほどむき出しの岩が増え傾斜が急になったり木々が少なくなったりと、厳しい自然の様相を見せているのも事実だ。
「麓は安全そうだな。んじゃとりあえず、高度上げて上の方に着陸してみるか」
高度を引き上げたライトは、ゆっくり滑空しながら着陸に良さそうな場所を探す。今ライトが優先的に考えているのは、着陸した後いかに離陸するか。アイテムは弾薬ぐらいしか持っていないとはいえ、着陸して飛び立てずに死に戻り、もう一度街から飛んでくるのはめんどくさいのである。
「アイラ、どっかに前線基地みたいな中継地点みたいな場所は無いか? MPとAPを補充できるような場所」
『各エリアには街と同等の機能を備えた村が存在します。それを探すことをおすすめします』
「ああ、そういうのがあるのね。了解。後で探してみよう」
この村、普通に山岳を目指して歩いていればすぐに辿り着く場所にある。あるのだが、街道を無視して飛んできたライトはそこにたどり着くこと無く飛び越えてしまった。
着陸場所を見極めたライトは、高い位置にある崖際の壁の上に着陸した。
「さてと、アイテムは……」
近場に見当たるのは、崖の淵あたりに二箇所と、奥の岩壁に一箇所の採取ポイントだ。崖の淵の方からは〈薬草〉が一つと〈魔力草〉なるアイテムが3つ入手できた。
「魔力草ってMP回復してくれるのか。そういうのもあるんだな」
『魔力草は薬草同様に特定のスキルを使用することでポーションを作成する事が出来ます。ポーションのほうが効力が高いですので、切羽詰まってないのであればポーションにすることをおすすめします』
「なるほど。まあ村に辿り着けそうに無かったら使うかな。で、こっちの採取ポイントはつるはしがいるやつだな」
サバイバー協会でアイラの指示通り買ってきたつるはしを使い、岸壁にある採取ポイントをつつく。ある程度の強さで叩かないとアイテムは入手できないようで、ライトは慣れないながらも壁をつるはしで叩く。
叩かれた壁が崩れてアイテムが顔を出すという形ではなく、システムログによる報告という形でアイテムを入手できた。
〈鉄鉱石を入手しました〉
〈くず石を入手しました〉
〈くず石を入手しました〉
〈くず石を入手しました〉
〈くず石を入手しました〉
〈くず石を入手しました〉
6回採取を行ったところで光が消え、それ以上採掘することができなくなった。
「くず石と鉄鉱石しかでねえ。流石に鉄以外の金属もあるだろうし、場所が悪いのか、そもそもこの山岳地帯じゃないかって話だな。まあ鉄が出るからクエスト対象になったんだろうけど」
インベントリを確認したライトは、次の採掘場所を探そうと歩き始める。行動の邪魔になるのでユニットの装備は解除してしまった。
『ライト、インベントリについての説明なのですが……』
カロロロロ……
ライトが条件を満たしたことでライトが説明を始めようとするが、その言葉は突如聞こえた異音によって途切れる。
ライトの進行方向、緩やかな傾斜の先からそれはやってきた。