【更新未定】This sky is… 天駆ける流星【供養】 作:アママサ二次創作
『ですので、簡単に説明は行いましたが一度サバイバーの方に実際に見せてもらうのが良いかと』
「やっぱりそうなるのねー。どっちにしろ素材が足りないみたいだし、まだ先だな」
アイラからユニットの製造及び改造について説明を受けることにしたライトは、必要と言われた【ユニット製造】というスキルを購入してショップを出てきた。店内に他のサバイバーも増えており、いつまでもその場でアイラと会話していては邪魔になると判断したのだ。
「うーん、それじゃあどうしよっかな。あ、そう言えば、このユニットのツリーみたいなのって何をしていけば上のやつが開放されていくんだ?」
ウインドウをいじっている際に見かけ、疑問に思っていたものをライトは尋ねる。それは、ライトが現在使用している試製一型を原点として横へと繋がる系統樹、ユニットの開発ツリーだ。
『それはまさしくユニットのツリーです。直接繋がっている下位のものを開発し、一定の経験値を獲得することで上位のユニットが開放されます。ライトの場合は自分で【ユニット製造】スキルを持っているので自分で作ることも出来ますが、それぞれのユニットに対応したショップで製造を依頼することも出来ます』
TierⅠのユニットは、《試製一型》、すなわちライトが最初から装備していたものしかない。だが、TierⅡの列には3つ、更にその上のTierにはより多くの種類のユニットが存在していることがウインドウの開発ツリーからも見て取れる。
そのほとんどは現在は黒塗りであり、サバイバーが条件を満たすことで性能を確認したり設計図を入手することができるようになっているのだ。
「なるほど。経験値ってことは、飛んだりモンスター倒せば手に入るんだよな?」
『モンスターの討伐、及びクエストの達成によって経験値は入手できます。残念ながら単純に飛行するだけでは経験値は入手できません』
「なるほど。てことは街の外に出てバンバン戦わないとだめか」
『聞いていませんでしたが、ライトはどのようなプレイをしたいのですか? もし他のサバイバーの依頼を受けてユニットや武器を製造することが目的なのでしたら、上位のユニットを開発する必要はそれほどありません』
新しい方針を提案するようにアイラが言う。何も戦うだけがこのゲームの楽しみ方ではない、他の楽しみ方もあるということを配慮した言葉だ。
「んー、説明が難しいんだけど、やってみたいことっていうか真似したいことっていうか……」
説明するために近くのベンチに腰掛けたライトは、アイラに視界があるのか尋ねる。
『ライトの周辺の視界なら十分にあります。スコープや双眼鏡を必要とするような遠方は視認できません』
「了解。じゃあこの動画見てほしいんだけど」
そう言ってライトは、メモリに保存してある動画を再生する。
『これは……いわゆるロボットですね?』
「ああ。俺、こういうのの動きが再現したくてさ。だから自分でフライトユニットを改造してできるだけ寄せようとしてるんだ」
『なるほど。そうですか……』
ライトの説明を聞いたアイラは、動画に見入るようにしばらく沈黙する。
『その再現に関しては、私はライトの力になることはできません』
「え、そうなの?」
肯定するようにブレスレットが点滅する。
『私達支援AIは、基本的なことを教えることが出来ます。ですがライトがしようとしているのはサバイバーの方の創意工夫に当たる部分であり、AIが干渉すべき部分ではありません。ですから、ライトがしようとしていることに対しては、私だけでなく【製造・改造支援AI】でも的確なアドバイスを送ることは出来ません。もちろん素材の入手方法や施設の利用などで手助けをすることは出来ますが、それ以上は……』
「あーそういうことね。それなら問題ないよ。どっちにしろ自分で色々やってみるつもりだったしな。別にどの素材がどこで拾えるかなんてのも聞く気はないし、スキルの説明とかショップのことぐらいを教えてくれれば、後は自分でやってみるからな」
『わかりました』
「それじゃあ、街の外に出るな。あ、街の外に出たら最初みたいに耳に直接話す感じに戻してくれていいよ」
『そのようにします』
次やることの目処が立ったライトは、街の外へと出る。まずは全力で経験値を稼ぎ、同時に様々なアイテムを拾っていく。アイラの説明によればユニットを作るにも鉱石などのアイテムが必要になるらしいので、それを予め集めておくのだ。
『ユニットは装着しないのですか?』
「あれ背負ってると動くの遅いからな。ギアを付けてればユニットの装着も早くなるし、そんなに困らないかと思って」
『そうですか。ライトが利用しているのはフライトユニット、ですよね?』
「ああ」
『了解しました』
もしここでライトが、『フライトユニットじゃあ効率悪いんだけど、どうしたら良いと思う?』と尋ねていれば、アイラは他のユニットを使用するなどのアドバイスを述べていただろう。
だが、ライトはそれをアイラに尋ねることはなかったため、アイラも自ら伝えることはしなかった。βテストの頃に実装されていたAIの評価に、『ちょっとでしゃばりすぎ』『尋ねたときに情報を伝えてくれる程度で良い』といった内容があったためだ。
サバイバーの活動を支援する。しかし、自由な、そして快適なプレイの妨げにはならない。運営も、AIのプログラムには相当気を使っているのである。
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「んーやっぱ継戦時間短いな」
戦闘中にMPが切れ地上に着地。そこからユニットを解除し、ギアのみをまとってライトは戦い、ステップウルフの群れを殲滅した。
『お疲れさまです、ライト』
戦闘中は黙って見守っていたアイラが、ライトに労いの言葉をかける。
「ありがとう。一つ聞きたいんだけど、エーテル・コア以外にMPの最大値を上げる方法は無いのか?」
『方法はいくつかあります。一つは、スキルを活用することです。スキルは数が膨大なため具体的に述べるのは控えさせていただきますが、MPに関連するスキルもいくつか存在します。また、ユニットのハードポイントに増槽を取り付けることもおすすめです。いずれもリルを十分に所有しているライトなら購入することが出来ますので、街に戻った際にNPCショップに立ち寄ることをおすすめします』
「増槽ってどんなのだっけ?」
MP補給のために街へと向かいながら、ライトとアイラは会話を続ける。
『ユニットに装着可能なMPタンクです』
「ああ、プロペラント・タンクのことか」
『そのように呼称されることもあります』
「んーわかった。じゃあ早速行ってみるか」
ライトがそう言うと、アイラが手元で光る。
『NPCショップは夜になると営業を停止します。現在はすでに閉店しているかと』
「まじで、まだそんな暗く……ってああ、もう日が沈むか」
ライトがまだ明るいと感じていたのは沈む直前の太陽の明かりで、後10分もすれば完全な夜が訪れるだろう。
『Dawn Odessey』の世界では、1日が10時間で巡るようになっている。理由は色々とあるが、ログイン出来る時間帯が限られているプレイヤーが昼と夜の両方を体験出来るようにするというのが主な目的だ。
「夜になると敵が見えにくくなるが嫌なんだよなあ」
『MPを消費しますが、ライトをユニットに増設する事もできます』
「MP消費するなら却下で。まあ主翼の先っぽのビーコンライト全開にしたら若干見えるし、月明かりもあるしな。MPの問題がどうにかなってから考える」
『わかりました』
「アドバイスありがとな」
『それが私の役目です』
堅苦しいところのあるアイラの話し方だが、大雑把なライトは特に気にすることはない。サバイバーによっては支援AIの口調が気に入らず変えるように頼んだり設定を変更することもあるため、ライトとアイラは最初から相性が良かったと言える。
「それじゃあ、もう何回かオオカミと遊んでくるわ」
『わかりました』