それでも、私は今を生きたい。
突然ですが、気づいたら狐になっておりました。
あ、何ですかその表情。信じてませんね?
いえいえ、冗談でもないですよ。それに、私が冗談を言うと皆怒るんで。…理由?私も知りたいくらいです。
っと。いい加減話を戻しましょうか。
まあ話すと言いましても、ただの一公務員でしかなかった成人女性が、ある日謎の光に導かれて、不思議な世界に迷いこみ、本当の自分を見つけるという、アクションあり、友情ありの感動ストーリー!
…はいすみません嘘つきました。謎の光は合ってますけど、思い出したらあれただの車のライトでした。
つまり、車に跳ねられた私は、金色の綺麗なお狐さんとなっていたのです。
始めは驚きましたし、絶望も感じました。…けれど、しばらくして思ったんです。
あのままなら元の自分は死んでいたでしょうし、せっかくですから新たな人生(狐生?)も悪くはないのでは、と。
まあ元々己のことに頓着しない性格のもあって、わりとあっさり現状になれましたね。
それはさておき、それからの私は何とも自由気ままな生活をおくっていました。
生活をしていて気づいたといえぱ、私はただの狐ではなく、妖狐という存在であること、でしょうか。
いやさすがの私でも、100年ほど生きて外見が殆ど変わらなかったら変に思いますって。
まあそれからは、近くにあった人里の大きな屋敷とかの書庫にこっそり忍び込んで、ようやく妖怪の存在がこの世界では実在することを知ったんですけど。
そして調べていくうちに、妖怪には人と同じ姿形をしているのもいると知り、試行錯誤の末、なんとか私も人の姿をとることが出来るように。狐の姿も慣れましたけど、やっぱりこっちのほうが安心しますね。
人の姿を得てからは、こっそりすることなく人里に下りては色んな人と交流をしていた私でしたが。
どんなに人と近い姿形をしていても、私はやはり人間ではなく、5年、10年と時間が経つにつれて、皆さんも不思議に思うようになり、さらに20年、30年も過ぎれば、私が人とは違うことに気付く人も出てきて、最初にいた人里では妖怪だとバレてしまい混乱させてしまったのは失敗でした。
まあその後はある程度の期間を過ごしたら次へ、と人里を転々としていたので、特に大きな問題も出ずにのんびりと過ごしていました。…あの日までは。
私が妖狐として生を受けて数百年経ったある雨の日。いつものように人里に向かおうとしていた私は、とてつもなく嫌な予感におそわれました。永い年月を生きた私は、それなりに大きな力を持つようになっていたため、ふとした予感も予知として当たるようになっていました。特に嫌な予感ほど良く当たりました。
慌てて駆け出した私が見たのは、炎に包まれた人里でした。火の粉や煙が舞う中、私は人里中を走りまわり生存者がいないか探し続け、おかしい点に気づきました。ただの火事なら、他の住民たちで消火しているはずだし、この雨で少しは火の勢いも弱まる。
まさか、と考えた私は力を使って気配を探っていき、予感を確信に変えました。里の中央あたりで、私と同じような人ならざる気配を捉えたから。
里の中央にいたのは、やはり人ならざるモノでした。到底人とは思えない、おぞましい姿をしていたので。そして同時に、人が誰もいない理由も理解しました。人ならざるモノの周辺には、かつては人だったであろう肉片が散らばっていたのだから。
ああ、コイツが皆を喰ったのか。そう理解した直後からの私の記憶はありません。気づけば、私の全身は生温かい血で濡れていて、右手にはあのモノだった首を、胴体から引きちぎっていました。
しばらくして、間茫然自失となっていた私の耳に声が届いて来ました。
「とんでもない殺気を感じたから来てみれば、とんだ大物ね」
それは柔らかい女性の声で、振り返ってみた私の視界に入ったのは、どこか妖しい雰囲気の美しい女性だった。
「この人里は、貴女がやったのかしら?」
「…いいえ」
「なら、貴女が持っているソレ?」
「…だったら何だというんです」
質問というよりは、自分が見た内容の確認、といった感じの言葉に、未だに感情が落ち着いていない私は多少の苛立ちを込めて答えます。そんな私の視線を気にも止めず、女性は私をじっと見つめます。
「…好きだったの?この人里が」
「…はい」
「仮にも大妖怪といえる存在が、人を気に入り、そしてその死に哀しむ。…ふふ、気に入ったわ」
コツ、と靴を鳴らして近づいてきた女性は、いつの間にか取り出した扇子の先を私に向け、告げました。
「貴女、従者になりなさい」
「…はい?」
ーそう、これが私と主、八雲紫様との出会いでした。
どうでしたでしょうか。
若干の文章下手はご容赦ください。
頑張って続けていきたいと思います。