東方狐憑依伝   作:如月日和

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私はどっちかと言うと朝は和食派です。
6/19 一部ミスがありましたので、訂正しました。


一日目、黒白魔女の要請

「ふーん、それで招待した覚えがないヤツがここにいる訳ね」

 

「どうも霊夢さん!清く正しい射命丸です!」

 

「すみませんね、霊夢。朝から騒がしくて」

 

博麗神社の居住スペースにある居間で、ちゃぶ台を囲む一人と二妖。

あれからすぐに私は朝食を作り始め、出来上がるころに朝食の匂いで霊夢が起きてきた。…しかし、結構うるさかったはずなのに、さすがと言うべきか。

今はもうすでに、目の前に並ぶ料理の数々に意識の大半が向いており、私と文の言葉も聞いていないようだが。

 

「それじゃあ、」

 

「「「いただきます」」」

 

それからは、ただ圧巻と言うべきか。残像さえ見える箸さばきで、目の前の料理をあっという間に食べ尽くすと、私が急いで持ってきたお代わりさえも、全て霊夢の胃のなかに消えていった。

…どれだけ質素な食生活だったのだろうか。今度から何か差し入れを持って行こう。

私がそう考えているうちに、食後のお茶(いつもの白湯同然のではなく、私が持参した新茶のものだ)を飲んで落ち着いたのか、まったりと寛いでいる。

 

「はい、これが最後」

 

「ああ」

 

文から渡された、最後の皿を洗って水気を取り棚に戻して片付けを終える。

割烹着を脱いで畳みながら居間に戻ると、霊夢の他に黒白魔女がいた。

 

「お!おはようだぜ」

 

「魔理沙、貴女いつの間に」

 

「ついさっきだぜ」

 

とんがり帽子を脱いでこっちを見た魔理沙は、私の隣にいた文を見て顔を歪めた。

 

「おはようございます、魔理沙さん!」

 

「げっ、射命丸までいたのかよ。…こりゃ、来る時間間違えたかな」

 

うん?何だか魔理沙の様子が変だ。どうも、文がいたのが不味かったらしい。

 

「魔理「魔理沙、アンタ何か隠してるわね」」

 

…最近こんなんばっかり。グスン。

 

「やっぱり鋭いぜ霊夢。…お前ら、百鬼夜行は知ってるよな?」

 

「まあ一応 」

 

「はい」

 

「ええ」

 

ここは、存在を忘れられた人為らざるモノや妖怪が集まる幻想郷。百鬼夜行くらいならたまに見かけるが、それがどうかしたのだろうか。私たちが黙っていると、真面目な表情の魔梨沙はようやく口を開いた。

 

「実はだな、最近毎晩のごとく人里の家から器物が消えていく現象がおきているらしい」

 

「器物が?」

 

「多いのが、食器や掃除用具とか、普段生活に使う物だな」

 

「何でそれが百鬼夜行に繋がるのよ?」

 

「それに比例するように、百鬼夜行の目撃情報も増えてるんだ」

 

「…なるほど。その百鬼夜行に、消えた器物たちが混ざっている、と」

 

そこまで話したところで、それまで一言も喋らなかった文が手を挙げた。

 

「ちょっと待って下さい。百鬼夜行ということは、そこに入るのは妖怪だけです。そんなたくさんの器物が、一気に九十九化するのはおかしくないですか?」

 

「ほう」

 

さすがは長年記者をしているだけあって、鋭い。つい感心してしまった。

文の言葉に魔理沙も頷く。

 

「私もそう考えたんだぜ。何しろ、器物の中には、古くても数年くらいしか使っていないのもあるらしいからな」

 

「…となると、考えられるのは」

 

「「「「誰かが器物を妖怪化している」」」」

 

そういうことになる、か。

 

「…仕方ない」

 

湯呑みをちゃぶ台に置いて立ち上がった霊夢は、近くの棚から陰陽玉や札を取りだし、袖にしまっていく。

 

「お、意外だな。霊夢から異変解決に乗り出すなんてな」

うん、確かに。

 

「何か言った?」

 

「何も」

 

同意の言葉は口に出さなかったはずだが、霊夢に睨まれてしまった。

しかし、霊夢自身もそう思われることに心当たりがあったのか、軽く頬をかきながらそっぽを向く。

 

「どうせ、少ししたら依頼が来るんだし、今のうちにさっさと片付けたほうが楽かと思っただけよ。…それに、」

 

「それに?」

 

「アンタは私に修行をつけるためにいるんでしょ。なら丁度いいかな、って」

 

「霊夢…!」

 

あまりのことに言葉が出ない。まさか、まさか霊夢自身からそんな台詞を聞くことが出来るなんて…!

ああ紫さま。この八雲藍、今とても感動しています…!

 

「ちょっと藍?…そんなに意外だったのかしら」

 

「まあ、いつもの霊夢なら言わないしなー」

 

「あやや、今ならシャッターチャンへぶっ」

 

「させるかあああああっ!」

 

顔を近づけていたパパラッチ鴉の顔面にヘッドバットを食らわせて悶絶させ、私も立ち上がる。

 

「修行ならば、私も同行せねばいけない」

 

「もちろん私も行くぜ!」

 

魔理沙も帽子をかぶり直して立ち上がる。…床でのたうち回るヤツは置いておくことにする。

 

「足手まといにはならないでよ」

 

ふわ、と霊夢が能力で浮かび上がり、それに続いて魔理沙も愛用の箒に跨がって飛び上がる。

ー霊夢の修行のこともあるが、何だか嫌な予感もする。紫さまは既に存じているだろうが、用心はしたほうがいいだろう。

 

懐にしまっている札を服の上からなぞりながら、私も空へ飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、本当に置いていくんですか!?ちょ、ちょっと待ってくださーい!」




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