東方狐憑依伝   作:如月日和

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大分空いてしまいましたが、今回もやっぱり短めです。すみません。


一日目、黒白魔女の要請(二)

日が落ちて、辺りが完全な闇に包まれた夜中の人里。

 

「…なあ、いつまでここにいるつもりなんだ?」

 

「さあ?」

 

「うー、ネタはまだですかー」

 

私たちは、一番最近に器物が消えた家の、近くの垣根に身を潜めていた。

朝から人里を回って調べた結果、どうやら器物が消えるのは一つの家から一つだけらしい。加えて、被害にあった家の近くの家が次の被害にあうようだ。

そのことから、霊夢の意見で垣根に潜んで今に至る。

 

「…さあ、って、言い出したのは霊夢でしょう?」

 

「だって、勘だもの」

 

「勘、ですか」

 

「霊夢の勘は当たるからなあ」

 

「…けど、ここにきて大体5時間以上経ってますが」

 

そう。昼からこの垣根に潜んで、既に大分経っている。

…今が夏で助かった。冬だったら、間違いなく風邪を引いて事件解決どころではない。

 

「…そう言えば、どうして家から一つ、何だろうな?」

 

暇過ぎて八卦炉をいじっていた魔理沙が、疑問の声を上げる。

 

「知らないわよ。やった犯人に聞きなさいよ」

 

さすがにやる気が削がれたのか、霊夢の言葉も投げやりだ。接近用、メイン武器であるお祓い棒を素振りし始めているのが、怖い。

 

「ネター、スクープー」

 

スクープ狙いで事件解決に参加した文は、何か目が虚ろになってブツブツ呟いている。どうやらネタ不足の中毒症状が出始めているみたいだ。…まあかくいう私も、この混沌と化している面子(主に2名)の中にいると、気力がガリガリと下がっていってしまった。

…もう限界だろう。そう判断して私は腰を上げた。

 

「今日はここまでにしましょうか」

 

「え、でも…」

 

「皆限界なんですよ、霊夢。貴女だって、精神的に大分キツいでしょう?そんなんだと、集中も上手く出来ないから、いざというときに怪我をしますよ」

 

「う…」

 

霊夢自身も体力気力ともに消耗しているのは把握しているため、的を射た正論に言葉を返せず、それでも何も言い返せないことが悔しいのか、唸るだけにとどまる。

 

「ま、仕方ないか。じゃあ、また明日だ、な…?」

 

よっこいせ、とスカートに付いた葉っぱを落としながら立ち上がっていた魔理沙の声が、不意に途切れた。

 

「魔理沙?どうかした?」

 

「み、み、」

 

「み?」

 

「ミミズ?」

 

「違う!何でミミズなんだよ!あれ見ろ!」

 

魔理沙の指差した方向、垣根を越えた向かいの道から、何かが近づいてくる。

この時間帯に出歩くのは、夜が活動時間である妖怪か、実力ある人間、それか命知らずの馬鹿か。…ただし、それは普段のことであって、今日に限っては人里中に夜間の外出を禁じている。つまり、

 

「ようやく来たか…!」

 

「待ちわびたわ、この時を!」

 

「ネタ!スクープ!」

 

「って、ちょっと待った!」

 

慌てて、我先に飛び出そうとした二人と一妖を押さえつける。

 

「「「何する(のよ)(んだ)(んですか)!!」」」

 

「この計画の主旨忘れたんですか。九十九化した器物を追って、犯人を捕まえるって計画でしたよね?」

 

「「「あ」」」

明後日の方向に視線を逸らす様子から、完全に忘れていたようだ。取り敢えず、その後先考えない性格について後で説教、っと。

そこまで考えて、二人と一妖から目的の方に意識を戻す。

 

「…よし、家から出てきましたね」

 

家の小窓からトコトコと現れたのは、人間の子供のような手足が付いた、玩具のでんでん太鼓。家を出たあたりで一旦止まり、キョロキョロ周りを見渡して、ある方向に向かって再び進み始めた。

 

「さ、追いかけますよ。…どうかしたか、文?」

 

「へ…?い、いえ何でもありませんよ?」

 

「そうか?なら急げ、霊夢と魔理沙がとっくに先に行ってしまった。あの二人は放っておくと、何するか分からないからな」

 

そういい、私も二人の後を追って飛び出す。

…だから、気づかなかった。

 

「あの気配、どこかで…?」

 

文がそんな言葉を呟いていたことに。

 




本編より、何故か番外編ばかりが脳内に浮かぶため、気がついたら結構日にちが過ぎておりました。
いつかは、番外編も載せるつもりです。
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