突然の腹痛や体調不良に悩まされ、何とか出来ました。
ちょっと短いですが、どうぞ。
少しの間人里を騒がせた、器物が九十九化する事件を無事解決した次の日の朝。
朝食を終えた私たちの所へ、数人の人間が訪ねてきた。その先頭にいるのは、薄青の長髪に不思議な形の帽子を被った女性、人里の守護者、半獣半人の上白沢慧音だ。
「朝分にすまない。先日の事件解決のお礼をお持ちしたので、受け取ってはもらえないだろうか」
「お礼?へえ、何を持ってきてくれたのかしら」
霊夢が嬉しそうに声を弾ませる。慧音の後ろにいた人たちが、背負っていた籠を下ろす。そのなかには、瑞々しい新鮮な野菜や果物が一杯に積まれていた。もう一人が下ろした方には、お米の入った麻袋が積まれている。
「金銭よりもこちらのほうが喜ぶと、以前聞いていたものでね」
「まあ、お賽銭が一番だけれど、食べ物ももちろん大歓迎よ!藍、これ食物庫によろしく」
「ふむ、今晩はこれでご馳走でも作りますか。…ん?」
籠を持とうとした私は、尻尾に違和感を感じて振り向く。そこには、まだ5、6歳くらいの小さな女の子が、小さな手のひらで私の尻尾を掴んでいた。
「す、すみません!こら、さち!手を離しなさい!」
荷物を運んできた内、一人の男性が慌てて駆け寄ってきた。さち、と呼ばれたその子は、離れるどころかさらに私の尻尾にしがみつく。
「きつねしゃん、すきー」
どうやら尻尾を気に入ったようだ。まあ、毎朝毎晩と手入れを怠ってはいない自慢の尻尾だ、誉められるのは嬉しい。…ただ、このままでは荷物を運ぶことが出来ない。悩んだ末、私は女の子を抱えあげ、尻尾と背中の間に乗せる。1本ごとがそれなりに大きい私の尻尾は、9本束ねると後ろからでは背中が見えないほどのボリュームを持つ。これなら、よほど激しい動きさえしなければ落ちることもないだろう。
「それじゃあ、ここに乗っているんだよ?」
背負うことが出来なくなったため、私は籠を持ち上げ、運んでいく。歩を進めるたびに尻尾も動いて楽しいのか、きゃっきゃとはしゃいでいる。 食材を全て神社内の食物庫に置いて、霊夢たちのところへ戻ると、霊夢は呆れ、慧音は微笑み、他の人たちは驚き、三者三様の反応を見せていた。
「…アンタ、本当に子供には甘いわよね」
「当たり前でしょう?子供とは、守り、育てるものだからね」
今さらなので、否定はしない。
「ほう、流石は八雲の式、良いことを言うな。では、一つ頼みがあるのだが」
私の言葉に頷いていた慧音は、一冊の本を渡してきた。開いてみると、国語や算数、社会など、どの日にどの授業をするかが書いてあった。
「それは、私が作った寺子屋の授業割だ。その中に、『特別授業』という項目があるだろう?」
言われて再び視線を向けると、確かにその項目があった。
「毎回、とはいかなくても、色んな仕事をしている人を呼んで話をしてもらっているのだが、実は今日お願いしていた方が体調を崩してしまってな。良ければ、どうか代わりをお願いしたいのだ」
「ふうむ、普段なら考えるところなのだが、あいにくと、今は主人の命を受けているものだからね…。申し訳ないが「良いわよ」…は?」
日を改めてくれ、と続けようとした私の言葉は、霊夢によって遮られた。
「いやいや、霊夢?私は貴女の修行のために、紫様から命を受けているんですが…」
「別に一日中ってわけじゃないんでしょ?それに、何だか面白そうだしね」
そう言う霊夢の瞳は珍しくも好奇心に輝いていた。他のことに興味を示すのは良いことだが、よりによって、何で今なのだろうか。
「はあ…分かりました、その依頼お受けしましょう」
「本当か!?すまない、ありがとう!」
こうして私、八雲藍による臨時の寺子屋講師が決定した、博霊神社滞在二日目の朝であった。
…しかし、本当はただ修行を受けたくないだけではないでしょうね、霊夢。
そんな感じの視線を受けた霊夢が、さっと目を逸らしたのは、取り敢えず見なかったことにした。
思い付いたことを上手く表現出来ない、自分の不器用さぎ恨めしいです…。
何とか次は早めに投稿します。