今回はどう文章にするか散々悩み、書いたり消したりばかり続いていました。
もしかしたら、訂正するかもしれませんが、ご容赦ください。
「…確かに私は、寺子屋の本日限りの臨場講師をお受けした」
私は静かに呟く。
「そうね」
どうでもいいのか、適当に頷く霊夢。
「相手は人里の子供だとも、聞いていた」
聞いていた内容を復唱。
「確かに」
間違いない、と首肯する慧音。
「なら、教室の後ろの席に、見知った顔がいるのは、私の、気のせいだろうか?」
さっきより声に力がこもり、不自然に言葉が途切れてしまう。
「気のせいじゃないぜ」
「お、お邪魔してまーす…」
「ボケるにはまだ早いですよー」
グシャバキィ!
手の中で、チョークが粉々に砕け散った。
…何故、こんなことになった?
天井を仰ぎ見る私。臨時授業を始めて数分、早くも臨時講師を引き受けたことに後悔し始めていた。
私、八雲藍が寺子屋の臨時講師を(霊夢による半強制的に)引き受けた後。
慧音に詳細を尋ねていた私とは違って、ただ見学しに来るだけの霊夢が、「少し遅くなるわ」と言った時点で気づくべきだった。
私より十数分遅れて寺子屋に着いた霊夢の後ろには、いつものように神社に来る途中だった魔理沙に、人里に来ていたところを拉致られた早苗、最後にどうやって知ったのか、パパラッチ鴉までもいた。
「何か珍しいことが見られるって、霊夢に聞いてな」
ニヤニヤしながらそんなことをのたまう黒白魔法使い。…まあ、霊夢が来るのだから、魔理沙が付いてくる可能性はあったから、まあ予想通り。
「えっと、何だかいきなりすいません」
恐縮して謝ってくる早苗。その手には買い物途中だったのか、野菜等が入った籠を提げている。多分今回一番の被害者ではなかろうか。…後で、何かお詫びをしておこう。
そして…。
「 行符『八千万枚護摩』」
「あややや!?まだ何も言ってないですよ!?」
パパラッチ鴉に向かって、扇形に広がった無数の霊符を放つ。しかし、相変わらずの機動力でグレイズしながらも避けられる。どや顔が腹立たしい。
「ふふん、いつもいつもやられてばかりでは無いですよ!」
「ふんっ」
「鳩尾!?」
下半身を固定し、腰を捻りながら打ち込んだ一撃は、寸分違わず急所に命中。短いスカートが翻るのも構わず床にのたうち回る文の背中を、さらに踏みつけると、蛙が潰れるような悲鳴が漏れ聞こえた。
「うわあ容赦ない」
「ホント、文には遠慮しないわね。…それだけ、気を許してるってことかしら」
「ふむふむ。勉強になりますね」
遠慮?初めて出会った時にセクハラかましてきた奴に対して、そんな気持ちは1ミクロンも存在しません。
若干悔しそうな表情を(周りには気づかれないくらいの差だが)浮かべた霊夢の呟きに、全身に鳥肌が立つ。
…何故か感心している早苗の発言にはスルーで。
閑話休題(それはともかく)。
「…まあ、見学するのは自由ですが、邪魔はしないように。特にそこの鴉」
このままではいつまで経っても授業が開始出来なそうなため、不安はあるがとっとと終わらせてしまおう。
そう結論づけ、臨時の授業を開始した。
「それでは、授業を始めます。本日の授業を担当する、八雲藍です。今日1日だけですが、よろしくお願いします」
「「「「「よろしくお願いしまーす!」」」」」
軽く教室中を見渡す。確か慧音の話だと、最年長の生徒が15、6歳くらいで、最年少は8、9歳。何を話すか色々と考えて来ていたが、難しい内容を話しても逆につまらないだろう。少しだけ考えて、開いていた冊子を閉じる。まだ少しざわめきが残る中、聞き取れるようにゆっくりと話し始めた。
「私は九尾の狐という、狐の妖怪です。今は見てのとおり、耳と尻尾はありますが、皆さんと近い外見です。けれど、元々はただの一匹の狐。この姿に馴れるまでは、色々と不便なこともありました」
そこで一旦話を止め、道士服の袖に手を入れて、一つの細長い物と数冊の本を取り出す。細長いのは、漆塗りの艶やかな箸。本は、私が愛読している、学術書だ。
「皆さんが何気なく使っている、箸や本を使うのも一苦労していたこともありました。しかし、あの時努力したことで、今の私がいます。…つまり、努力をしているその時は直ぐに結果が出ずに、やめてしまいそうになることも、頑張ればいつか必ず、その努力は報われるんです」
もう一度、生徒たちの顔を見ていく。まだまだ若い、未来を担う者たちの表情はそれぞれ違っていたが、
「夢、願いも」
その瞳に込められた感情は、
「絶対に、諦めない」
遠い未来さえ明るく照らす太陽のような、
「その想いだけは、忘れないで」
希望という光に満ち溢れていた。
この後、感極まった慧音と生徒の希望により、寺子屋で授業を行う藍の姿がたびたび見られるようになるのは、少し先の話である。
いかがでしたでしょうか?
次回は何となく流れは出来ているので、今回ほど長くかからないとは思います。