【完結】俺モブじゃん……〜ギャルゲの世界に転生した俺は超不遇当て馬ヒロイン救済のため、モブで才能ないけど頑張ります!〜   作:花河相

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 オークキング討伐のため、俺とレイブンはカインさんと別れた後、最初にモーインとサリーの二人にお願いしに行ったのだが……。

 

「本当に協力してくれるとは思わなかったよ」

「もう、そんなこと言わなくても協力するわよ」

「そうですね。流石に危機をクイス家の者として協力は惜しみません」

 

 現在、ゲーム主要キャラの三人と俺の四人で会話をしている。

 サリーとモーインの二人はあっさり二つ返事で了承してくれた。

 結果はよかった……よかったのだが、俺は一つの疑問に見舞われていた。

 

 喧嘩イベントどうなった?

 

 この時期に起こるはずなんだけど。

 モーインがサリーを呼び出して、レイブンへの好意について話をする。

 その時に少し拗れて喧嘩をすることになっている流れになる。

 

 だが、今の二人を見てどうだろう?

 サリーとモーインは一切喧嘩をした雰囲気がなく、それどころか、あった当初に比べて仲が良くなっているような……分からん。

 

 「だそうだ。私とアルトの二人がかりで追い詰めたんだ。これだけのメンバーが集まれば討伐できると思う。……アルトが言ってた二人はどうなんだ?」

 

 レイブンはモーインとサリーの協力を取り付けることができて安堵し、そう問いかけてくる。

 俺自身シナリオの都合で二人が協力してくれるかどうかは少し不安であった。

 これはこれで一安心か……。

 少しヒロイン二人の関係は気になるけど、今はオークキングのことに集中しよう。

 

「ゼフとクーインからは俺から話すつもりでいるよ。ゼフは話せば協力してくれるから安心して!クーインは分からないけど……交渉次第かな」

「わかった。……でも、ゼフ殿が協力してくれるのはとても心強い。かのドラゴンスレイヤーが加われば勝率も大幅に上がるな!」

「いや、だからまだ分から「なになに、ドラゴンスレイヤーって」……」

「私も気になります」

 

 俺とレイブンの会話を聞いていたのか、モーインとサリーが興味を持ったか、割り込んでくる。

 まだ、ゼフがドラゴンスレイヤーって決まったわけじゃないんだけど……。

 とりあえず確かな情報ではないため、否定する。

 

「えーと、ドラゴンスレイヤーっていうのは昔の有名冒険者のことだよ。俺の執事のゼフと同姓同名ってだけで、まだドラゴンスレイヤーって限らないよ。レイブンは早とちりしすぎだよ」

「む……そうなのか?でも、ドラゴンスレイヤーとゼフ殿の名前、情報がほとんど一致しているし、確かなんじゃないか?」

「へーそんな冒険者がいたんだ。私始めて聞いた」

 

 俺の紹介にレイブン、モーインが返答し、そんな二人の反応にサリーは微笑む。

 話が進まない。

 俺は少しでも時間が惜しいと焦りがあり、話を切り上げる。

 

「ゼフがドラゴンスレイヤーかもしれないという事は後で確認すればいいよ。とりあえず明日に備えて準備しようか。俺もクーイン探さなきゃいけないし」

「確かにその通りだな。明日は危険な戦いになるし、入念な準備をしなくてはな」

「え、でもレイブンとアルトの二人で倒せそうだったんでしょ?大丈夫じゃない?」

「モーイン……あまり過信しすぎるよくないよ。油断一つで死に関わるんだから」

「はーい」

 

 さすがサリーだ。

 フラグを見事にへし折った。

 モーインは少し不服そうに膨れていたが、まぁ気にしなくていいだろう。

 とにかくこれでチートキャラの協力要請は完了した。あとはクーインの協力を頼むのみ。

 一緒に戦闘をこなしてきたため連携はもちろん、クーインの土魔法の戦闘力は今回の戦闘では捨てがたい。

 少しでも確実性を上げるために協力してもらいたい。

 

 その後、魔力ポーションを買ってもらうため、俺の有金をすべてレイブンに渡して買い物をお願いし、クーインを探しに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は三人と別れ、クーインを探しているのだが……全然見つからない。

 もう授業は終了しているため、寮部屋か食堂と思い当たるところを探しているのだが、見つからなかった。

 

「どこにいるんだよ」

 

 まだ時間は午後七時ごろ。

 外出している可能性を考えたが、寮には帰宅時間に制限があるため可能性は低い。

 俺は制限時間を気にしつつ、可能な限り学園内を探し続けた。

 

 それからしばらく経つも、進展はなく、規則時間が迫ってきたため、そろそろ引き返そうとした時、ふと人の気配を感じた。

 場所は校門入り口付近。 

 俺は気になり近づいていくと誰の話し声が聞こえ、気のせいかその声には聞き覚えがあった。

 

「でも、そんなこと……誰かいるのか?」

「……」

 

 俺は思わず息を殺す。 

 俺は幼子から訓練を積んでいる。

 そのため、気配を断つのは優れている方だったのだが……。

 男は俺の存在に気づいたのか、そう声を発する。

 

「出てきたらどうだ?」

 

 少し憤怒の混じった声。

 偶然とはいえ盗み聞きしてしまったことが原因なのだろう。

 完全に気づかれている。

 このまま気のせいだった、なんてことは無理だと判断し、諦めて姿を現すことにした。

 

「すまない。聞くつもりは……ってクーインじゃん。何してんだよ」

「……アルト。なんでここに?」

 

 門の前にはクーインがいた。

 何故という疑問が浮かぶも、俺は現状の説明をする。

 

「いや、クーインに話があって。結構重要なこと。それで探してたんだけど……どうかした?」

「いや、なんでもない」

 

 俺の説明にクーインは少し困惑する表情をし、少し思考して話し始める。

 

「なんでここにきたの?」

「いや別に……ここにきたのはたまたまだし、声がしたからきただけだよ」

「そうか……」

 

 本来の俺なら少し茶化すのだが、クーインは真面目な表情をしていたためやめた。

 クーインは俺の弁解を聞き、また少し考え始めーー。

 

「いや、何でもないよ。少し考えごとをしてて、一人になりたいからここにいたんだよ。その時に声が出てしまってたかもしれない」

 

 そう言っていつも通りのクーインになる。

 俺はクーインの反応が気になったが、彼とは付き合いは長いが深く聞くような存在ではない。

 こういう一面があるんだなと一人完結させる。

 

「そういえばアルトは何か用があるらしいけど、何かな?」

 

 クーインは話題を変えるように話を振ってくる。

 俺はこの雰囲気は嫌だったため、クーインの配慮に乗ろうと思い、目的であった話を進めることにした。

 

「相談……というよりもお願いなんだけど……ここで話さないで寮に行こうか。また罰則食らうのやだし」

「……そうだね」

 

 流石に時間が遅いため、クーインに戻ろうと提案する。

 クーインもこの前の罰則のことを思い出してか、少し渋い顔をしながら了承し、寮へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 寮に戻ったあと、クーインに今日あったこと、オークキング討伐のための協力要請をしたのだが……。

 

「君は学校休んでそんなことしてたのかい?大丈夫だったのかい?」

「いや、大丈夫だよ。全然平気だよ」

「……いや、話を聞いた限り大丈夫とは思えないんだけど」

 

 クーインの反応に少し驚きながらもそう言ってきた。

 俺はクーインの反応に思わず何もいえず反応するが、オークキングのことに必死になりすぎていて、今日あったことの重大さを忘れていた。

 冒険者にとって遭遇したら死を意味するモンスターパニック現象に遭遇し、Sランクモンスターと対決。無償で瀕死状態に追い込む……うん。落ち着いて考えてみたらやばいよね。よく生きてたな俺。

 

「ちょっと考えたらかなりやばいかも」

「いや、考えないでもわかると思うけど……一回君の頭の中を覗いてみたいよ」

 

 クーインは笑いながらそう話す。 

 ……流石に酷くね?

 でも、感覚が麻痺ってるのは確かだと思う。

 魔神のことといい、色々考えすぎていた。

 今思えば俺って落ち着いて休んだことないかも。

 一度『部位強化』の副作用で一週間ほど休んだけど、その時も休まず勉強をしていた。

 色々ことが片付いたら、ゆっくり休息をとった方がいいな。うん。

 

 俺は内心で今後の方針を決めた。

 今はこの考えは保留になるが。

 

「まぁ、俺のことはいいとして、オークキングの件はどう?協力してくれる?」

「まぁ、それはもちろんいいけど……僕必要なくない?メンバーを聞く限り必要ないと思うんだけど。アルトとレイブン様の二人で互角で、そこにベテランが加わるわけだし……」

 

 確かにクーインの言う通りかもしれない。

 でも、豪華メンバーにクーインを誘うには理由がある。

 

「俺はクーインを信用してる。背中を任せる。だからこそ一緒に戦ってほしい」

「背中を任せられる……ね。それはこっちとしては嬉しいかな」

 

 俺の心からの本音。

 一緒に共闘して、最も信頼をおける存在。十二歳から一緒の時間を過ごして、一緒に戦って築いた信頼関係。

 クーインはそこまでは思ってないかもしれないけど、俺はそう思っている。

 

「わかった、協力するよ」

「ありがとう」

 

 お互いにそう言って拳を合わせる。

 よかった。これで少しは安心して戦闘に集中できる。

 必ず無事に生還する。

 

「あ、でもただで協力するのは嫌だから高級料理奢ってねー」

「あ……うん」

 

 やっぱり最後はこうなるんだ。

 俺はため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はこの時クーインの少しニュアンスの違った発言を気がつかなかった。

 気がついていればあんなことにはならなかったのに。

 




最後まで読んでくださりありがとうございます。
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