【完結】俺モブじゃん……〜ギャルゲの世界に転生した俺は超不遇当て馬ヒロイン救済のため、モブで才能ないけど頑張ります!〜 作:花河相
「アルト様……あなたが悪いのですよ」
現状だけいえば俺は婚約者に氷漬けにされている。
「い……いや、誤解」
「婚約者がいるのに鼻の下伸ばして異性に囲まれていた状況……どう説明されるのですか?」
サリーの目のハイライトがなく、俺を見つめ続ける。
どうしてこうなってしまったのか……それは数時間前に遡る。
魔神討伐後の世の中は平和であった。
世界に混沌を呼ぶ元凶がなくなったからだ。
そして俺は魔神との一件からサリーと婚約した。
嬉しかった。
ゲームでは救えなかった彼女と婚約者になれたのだから。
だが、それと同時にゲームではわからなかったことが判明した。
サリーはいわゆるヤンデレ属性があるらしく、独占欲があった。
俺はサリーを甘く見ていた。
サリーの独占欲。クイス家の情報網を。
俺は英雄の一人となり学園では有名人。俺に取り入ろうとする人は多く、側室や愛人でもいいからと近づいてくる異性も多かった。
転生してから俺はこんな忙しい生活を体験したことがなかった。モテ期到来。そのことで俺は舞い上がってしまった。
それが全て間違いだった。
サリーは今はモーインと出かけている。
だから、少しくらいは大丈夫かなと思ってしまった。
結果だけいえば全てサリーには筒抜けだった。
別に下心があったわけではない。
今後のためになると思ってコネや繋がりを持っておいた方が良いと思ったからこのような行動をしたんだ。
言い訳になってしまうが。
その日から2日後、レイブンがホームパーティをすると誘いがあった。もちろんクーインに呼ばれている。
少し交流会がしたいという内容だ。
まだ、レイブンとクーインはぎこちなさがあり、これがきっかけで仲良くなれればと思い了承した。
「や…やぁ。よく来たね。アルト」
レイブンの屋敷に着くと、歓迎してくれたのだが……少し引き攣った笑みをしていた。
「どうした?」
「い、いやなんでもないよ。クーインはすでに来ている。さぁ、こっちだ!」
不自然なレイブンの表情が気になるものの、促されるまま、屋敷に入る。
入るとパーティ会場の入り口にクーインがいた。
クーインは俺を見ると急に拝んできた。
「……なんで拝んでんだクーイン」
「いや何……何かご縁があればとな」
「……お前ら変だぞ?どうしたんだよ」
クーインは俺を心配しているようであった。
レイブンも同じようで、一言話しかけてくる。
「アルト……友人として言わせてほしい。冥福を祈っているよ」
「は?意味わかんねぇよ!」
絶対何かある。二人の反応を見てわかった。
俺はその場から退散するため逃げようとするとクーインが拘束をしてくる。
「おい、なんで拘束するんだよ?」
「逃げるから」
「お前らの反応がおかしいからだろ!」
「クーインもういい。早くアルトを会場の中に!」
「了解した!」
なんかお前ら仲良くないか?息ぴったりなんだが。
俺はそのまま会場に無理やり入らされる。
「……あ」
「お二人とも、ご協力感謝します。うふふふ」
その会場は寒かった。理由は目の前にいる笑顔でいる我が婚約者、サリー=クイスが原因であった。
「では、後はお二人で」
「サリー、ほどほどにね」
おい待てこのやろう。
一言声をかけようとしたが、残念ながら話せなかった。
サリーの魔法で拘束をされてしまったから。
「アルトさん?……先日の件……お話聞かせてくださいますよね?」
「……はい」
その日サリーの機嫌が戻るのに三時間かかった。
以降、俺は彼女に隠し事をすることは無くなった。
……次隠し事をしたら軟禁されると思う。
その件がきっかけか、俺を罠に嵌めた裏切り者のクーインとレイブンは今まで以上に仲良くなった。
文句を言いたいが元々は俺が原因。
二人の仲が深まったからよかった。
そう自分に言い聞かせたのだった。
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