問題児と本当のバカが異世界から来るそうですよ?   作:まさとら

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次の瞬間視覚は意味のないものに変わり、さまざまな景色が頭の中に流れ込んできた。黄金色の穂波が揺れる草原、白い地平線を覗く陸、森林の湖畔。記憶にない景色が頭の中でぐるぐる回っているような感覚に襲われ足元から俺たちを呑み込んでいった。そして放り出されたのが、しろい雪原と凍る湖畔、そして太陽が水平に回る世界だった。

 

「な、なにが…」

 

最後まで言い切れなかった。今までに感じた事のない感覚、それにさっきまで和室にいたはずなのに次の瞬間わけのわからない所に放り出された、そんな状況にまだ頭がついてこれてなかったのだ。いや違うな…そんな事よりもそれをした張本人、白夜叉に対しての驚きと同時に喜びにも似たようなものを感じていた。

 

「今一度名乗り直し問おうかの。私は”白き夜の魔王”————太陽と白夜の星霊・白夜叉おんしらが望むのは試練への”挑戦”かそれとも対等な”決闘”か?」

 

「この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私がもつゲーム盤の1つだ」

 

「これだけの莫大な土地が、ただのゲーム盤?」

 

「如何にも。して、おんしらの返答は?」

 

これで”決闘”を選んだらこの小一時間で何度も驚かせてくれた、この少女と本気でやり合える。けど”挑戦”を選んでも十分楽しむ事もできるだろう…さぁてどうすっかなぁ。マジで悩んでいると、1人が手を挙げた。それは意外にも十六夜だった。

 

「参った、やられたよ。降参だ白夜叉」

 

「ふむ?それは決闘ではなく試練を受けると言うことかの?」

 

「あぁ。これだけのゲーム盤を用意できるんだからな。アンタには資格がある。———いいぜ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」

 

「く、くく……して、他の童達も同じか?」

 

「えぇ。私も試されてあげてもいいわ」

 

「右に同じ」

 

俺もと言おうとしたが俺の中の何かがそれを阻んだ。そうか、”自分に正直であれ”やぶるとこだったぜ。この約束だけは破ったらいけねーんだった。

 

「どうした?おぬしはどうするのか?他の童達はもう決めたぞ」

 

「俺は…俺は…白夜叉、あんたと本気でやってみたい」

 

「それは、決闘ということでいいんだな?」

 

「あぁ。俺は正々堂々真っ正面から箱庭の最強がどれほど強いか知りたい」

 

それを聞いた白夜叉は満足そうに声をあげた。久しぶりに本気をださないとな。流石に決闘申し込まれてもこんな余裕な態度してる奴は、初めてだ。

 

「ちょ、ちょっと、待ってください!どこの世界に”階層支配者”に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う”階層支配者”がいるんですか!」

 

「「目の前にいるのだが?」」

 

おーみごとに白夜叉とハモった。あら?黒ウサギの髪がだんだん変わっていくのですよ?やばいな結構ガチで怒られそう。

 

「ふざけないで下さい!煜さんは自分がしたことがどんな事かわかっていないのですか?決闘ですよ!白夜叉様はもう何千年も前とはいえ、魔王と恐れられていた方なのですよ?そんな人に決闘を申し込むなんて、無謀です。殺されるようなものです。」

 

あら。黒ウサギ泣かせちゃったよ。やべぇ俺涙には弱いんだよね、特に女の子の。

 

「大丈夫だ黒ウサギ。俺は殺される気なんて、さらさら無いし。ただやられる気もない。だから安心しろ、ちゃんと戻ってくるからさ、約束だ」

 

「約束ですよ!絶対ですからね!」

 

「わしも、黒ウサギの同士を殺そうなど考えてはおらんよ」

 

「そりゃどーも」

 

その時山脈の方から、甲高い叫び声が聞こえた。

 

「なんだ?今の声。あんなの聞いたことないぞ」

 

「ふむ…あいつか。おぬしとの決闘の前に三人を試すには打って付けかもしれんの」

 

白夜叉が鳴き声の聞こえた方に、手招きをした。いやいやそれくらいでわかるわけないじゃん。ってキターしかもデケーてかこれって…まさか…まさか…なんだっけ?

 

「グリフォン…嘘、本物⁈」

 

おーそれそれ、てか珍しいな耀が大声出すなんて。いや確かに知り合って半日くらいしか経ってないけどさ、今日1番でかい声出してたよ。

 

「フフン、如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。”力”

”知恵””勇気”の全てを備えた。ギフトゲームを代表する獣だ」

 

「肝心のゲームだが。このグリフォンの背に跨って湖畔を舞う事が出来ればクリア、と言うことにしようか」

 

白夜叉が双女神の紋が入ったカードを取り出すと。空からなんか羊皮紙が現れた。その紙に白い指を奔らせてなにか白夜叉が書いた。

 

『ギフトゲーム名 ”鷲獅子の手綱”

 

・プレイヤー一覧

逆廻 十六夜

久遠 飛鳥

春日部 耀

 

・クリア条件

グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。

 

・クリア方法

”力” ”知恵” ”勇気”の何れかでグリフォンに認められる。

 

・敗北条件

降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下ゲームを開催します。

”サウザンドアイズ”印』

 

「私がやる」

 

読み終わるとすぐに耀が挙手した。すげぇヤル気だな。あの分なら問題ないだろ。

 

「OK先手は譲ってやる。失敗するなよ」

 

「気をつけてね、春日部さん」

 

「うん。頑張る」

 

そう言うと耀はグリフォンに駆け寄り。なにやら喋っていた。耀って動物と喋ることできんのかな?いいなぁ俺も動物としゃべってみたい。そんな事を考えてまっていると確かに聞こえた。『命を掛ける』と。それを聞いた黒ウサギと飛鳥が驚いていた。

 

「おい。耀!信じていいんだな?」

 

「うん。問題ない。」

 

「クリアじゃなくて。お前の無事だぞ」

 

「そっちも問題ない」

 

耀はそう言ってグリフォンに跨って、共に空を駆けていった。流石は王を名乗るだけの事はある、相当のスピード

でグリフォンは空を駆ける。まぁどんだけ考えても同じか。俺らに出来るのは耀を信じてただ待つ事だけだしな。それに耀は笑って行った、なにがあっても大丈夫だろう。

数分たってグリフォンが戻ってきた。

 

耀の勝利が決まったその時…耀の手から手綱が、外れた。

耀の体は飛ばされたように舞い、打ち上がる。黒ウサギが助けようとしたが、それを十六夜が止めた。

 

「は、離し…」

 

「まだ終わってない‼︎」

次の瞬間耀は、浮いていた。比喩でも幻覚でもなく、風を纏い浮いていた。そして俺の方に空を駆けながら近づいてきて。

 

「無事に帰ってきた」

 

「あぁ、一瞬ヒヤッとしたけどな」

 

「次は煜の番」

 

「そーだな。じゃあ、やろうか白夜叉」




〜次回予告〜
ぶつかり合う、煜と白夜叉。ついに煜のギフトが明らかに!はたしてその能力とは⁈そしてその勝敗は⁈
次回 〜決闘〜

明日の午前中までには絶対書きます!
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