「おい、榎沢オメー、香取と揉めたらしいな。」
「香取…?ああ、胸盛りちゃん。揉めたって…あっちが一方的に絡んできたから返り討ちにしただけなんだけど。」
諏訪の質問に、榎沢はキーボードを叩きながら気だるげに返した。
珍しく眼鏡を掛けている。
「そーかよ。…それよか次の相手はあの二宮隊と影浦隊だぞ。大丈夫なんだろーな?」
「…ボサボサの人はよゆー。」
「二宮は?」
「…1対1なら勝てる。」
そう言って視線をモニターに戻した。
「何か案があんのか?俺らは何すりゃいい?」
「…んー、邪魔しなきゃなんでもいいよ。
…そこまで期待してないし。」
冷えきった声でそう言うと、榎沢は立ち上がる。
「お前な…もっと真面目に…どこ行くんだ?」
「諏訪さん来たから帰る。」
「オイオイ、そう言う訳にはいかねーだろ?相手は元A級だぞ?分かって…オイ!」
榎沢は無視して作戦室を後にした。
「…ヤロォ…。」
「榎沢、大丈夫ですかね?」
作戦室に入って来た笹森が諏訪に尋ねる。
「最近はロクに学校にも来てませんよ。」
「…」
諏訪はただ榎沢が出ていった作戦室の入口に視線を向ける。
「…ま、俺らは俺らでやれることをやるぞ。もう日もねえからな。」
「…はい。」
──
「…榎沢一華さん…ですね?」
「…誰?」
帰り道。
榎沢は話しかけられ、足を止める。
「ホワイトルームの5期生にして、天才同士の遺伝子で作られた試験管ベビー。…にも関わらず…
…失敗作。」
「…は?」
声を低くして、榎沢は目の前の女性に冷たい視線を向ける。
「お前誰?」
「申し遅れました。私は唐沢有栖と申します。通信室の方でオペレーターをやっております。以後、お見知り置きを。」
「ふーん。で?その通信室のオペレーター様があたしに何の用な訳?…てか、なんで知ってんの?あそこの関係者?言っとくけどあたしはあたしのやり方で「いえ。」」
有栖は笑みを見せながら榎沢の言葉を遮る。
「私はホワイトルームとはなんの関係もありません。上層部に私の義父がおりまして…その繋がりで知ったのがホワイトルームの最高傑作、綾瀬川くんな訳です。平たく言えば…私は彼のファンです。」
その言葉に榎沢は目を細める。
「…ふーん、じゃあ邪魔しに来たんだ。」
榎沢はファイティングポーズを取る。
「その割には弱そうだね。」
そう言って榎沢は有栖の足に視線を向ける。
「ふふ、榎沢さんの言う通り私に榎沢さんと戦う力はありません。見ての通り足に疾患がありますので。それに…邪魔をする気はありませんよ?私はただの傍観者。戦いの行く末を見守るだけです。ただ
「…挨拶…ね。はいはい、よろしく。」
そう言って榎沢は有栖の横を抜ける。
「…本当に勝てるとお思いですか?
…失敗作が最高傑作に。」
その言葉に榎沢は足を止める。
「…1つ聞きたいんだけど〜。あたし体が不自由な相手でも遠慮しないでぶん殴れる子だけど大丈夫?」
「確かに、それをされては私に打つ手はありませんね。
…ここは本部基地の近く。監視の目はいくらでもあります。」
「…」
「結果は明白ですが…楽しみにしていますよ?榎沢一華さん。」
カツンと、杖の音を響かせ、唐沢有栖は基地の中に姿を消した。
有栖の姿が見えなくなった後、榎沢は壁に拳を打つ。
「…うっざ。」
──
「有栖?…ああ、我慢できなかったのか。君に挨拶をしたみたいだね。」
本部基地の屋上で、唐沢克己は煙草の煙を吐く。
「失礼、今消すよ。」
「いえ、後から来たのはオレなんで。」
屋上に現れた少年、綾瀬川はそう言って唐沢の隣に座る。
「君の…若人の肺を汚す訳には行かないよ。」
そう言って唐沢は携帯灰皿に煙草を押し付けた。
「それで?私になんの用かな?」
「唐沢有栖について。彼女は何者なんだ?」
「私の養子だよ。血の繋がりは…あるがかなりの遠縁だ。第一次侵攻の後ボーダーに興味を持ってね。通信室でオペレーターをやっている。肩書きで言えばボーダー本部総司令補佐兼通信室長だ。先の大規模侵攻で通信室の責任者が重症を負ってね。その後釜が有栖という訳だ。」
その言葉に綾瀬川は目を見開く。
「17歳で通信室の責任者…凄いだろう?彼女は天才なんだ。
…まあ君には劣るかもしれないが。」
「何故彼女はオレの事を知っている?あの男の入れ知恵か?」
「…まあそれも少しあるけど…君の父さんと私はボーダー発足前から知り合いでね。ホワイトルームには足を運んだことがある。有栖を連れてね。その時に君を見たんだ。」
「…彼女の目的は?」
綾瀬川は目を細める。
「言ってなかったかい?傍観だよ。彼女は君のファンなんだ。仲良くしてやってくれ。」
そう言って唐沢は笑う。
「ああ、そうだ。君に1つ忠告だ。まあ城戸司令から聞いてるかもしれないが……君の父さんは今ボーダーにいる。」
「!」
「おいおい、そう睨むなよ。城戸司令も話してないのか。あれだけ優秀な銃手を提供されては、私が城戸司令でも断らない。」
「…榎沢か。」
「そこまで気にする事でもないと思うよ。君を取り戻せないと分かって戻って来たんだ。」
「あの男がそこまでボーダーにこだわる理由はなんだ?」
「さあ?それは綾瀬川先生にしか分からない。」
そう言って唐沢は立ち上がる。
「ROUND2楽しみにしているよ。有栖程ではないが…私も君のファンなんだ。」
そう言って唐沢は屋上を後にした。
「…」
──
柿崎隊作戦室
「よし、虎太郎もだいぶ慣れてきたな。行けそうか?」
「何とか。ランク戦で使うのは初めてなんで緊張しますけど…。」
そう言って虎太郎は笑う。
「ミスってもいい。そのために俺と文香がいるんだ。まあもっと大変なのは…」
そう言って柿崎はオレと真登華に視線を向けた。
「まぁ、オレも初めてなんで。」
「私の負担が1番なんですけど〜?」
そう言って真登華はジト目でオレを見る。
「へいへい、上手くやれたらなんか奢る。」
「ちょ、私チョロい奴だと思ってません?…約束ですよー?」
その様子を見て文香と柿崎は苦笑いを浮かべた。
「本番は明日だ。生駒と王子、東さんの度肝をぶち抜いてやろうぜ。」
「「「「了解。」」」」
ランク戦を翌日に控えた帰り道。
真登華との帰宅中にオレは足を止める。
「清澄先輩?」
「悪い、真登華。」
そう言ってオレは視界の端に見える人物に目を向ける。
「あ、OK。また明日ね清澄先輩。明日最初の試合なんだから遅刻したらダメだよー?」
「分かってるよ。…またな。」
「うん。」
そう言って真登華は帰路に着いた。
「…邪魔して悪かったな。」
「別に問題ない。目のくま…良くなったか?三輪。」
帰り道、オレは三輪にそう声をかける。
「ふん。…今シーズンは真面目にやる気なんだな。」
「何を言ってるオレはいつでも…すいません。」
ギロリと睨まれオレは口を閉じる。
「真面目にもなるさ。…オレにも目的が出来た。
…負けは無い。」
そう言って目を細める。
「そうか。」
そう言って三輪はオレがいつも飲んでいるお茶をオレに押し付ける。
「やる。…頑張れよ。」
「…ああ。
…悪い。」
最後の謝罪は三輪に届くことは無かった。
──
『皆さんこんにちは!B級ランク戦ROUND2、上位昼の部!実況を務めます、A級5位、嵐山隊オペレーターの
『『どうぞよろしく。』』
『さて、今回は柿崎隊、生駒隊、王子隊、東隊の四つ巴対決になりますが…解説の御二方に見どころを聞いてもよろしいでしょうか?』
『そうですね。俺個人としては綾瀬川先輩の戦術が気になります。尊敬する万能手ですので。どんな手を使ってくるのか、楽しみですね。』
『なるほど…奈良坂くんはどうでしょう?』
『そうだな。柿崎隊、東さん、王子先輩の戦術には毎度驚かされる。それが気になるのと、生駒隊がそれにどう対応するか…だな。綾瀬川と生駒さんの旋空対決も見れるかもしれない。』
『ありがとうございます。さて、マップの選択権は東隊にあります。果たしてどのマップを選ぶでしょうか…。』
──
生駒隊作戦室
「きよぽん、ぶった斬るで。」
開口一番。
生駒隊隊長、
「明確に狙いつけるなんて珍しいッスね。なんか作戦があるんです?」
そう尋ねるのは生駒隊射手、
「前シーズン負けたんや。そろそろリベンジせなあかんやろ!
…ってのと、この前嵐山とカゲんちに行った時に見たんや…。」
「…何をです?」
「きよぽんが榎沢ちゃんとお好み焼きデートしてるのを…!」
「「「「…」」」」
「そんで後を付けたんやけど…」
生駒は続ける。
「後付けたって…ストーカーですやん。」
そう言うのは生駒隊狙撃手、
「1人で後付けてるイコさん怖いっスね!」
屈託のない笑みでそう言うのは生駒隊攻撃手、
「ひ、1人やないで!嵐山も一緒やったし!」
「オォイ!ボーダーのアイドルに何させてんねん!!」
水上がツッコミを入れる。
「でも特に何もなかったわ。…でもきよぽん最近女の子と仲良すぎやない?」
「そうですね。この前も小南ちゃんのカレー食べに行くゆーてましたわ。」
「オペの宇井ちゃんとよく一緒に帰ってるみたいですね。」
「あ、黒江チャンを弟子に取ったみたいッスよ!」
「…よっしゃー!!ぶった斬るでー!!」
「「「了解!!」」」
「アホらし…。」
生駒隊オペレーター、
──
東隊作戦室
「なるほど、マップは「市街地A」か。その理由は?」
そう尋ねるのは東隊隊長にして、ボーダーきっての指揮官、
「柿崎隊の新フォーメーションです。BやDにしちゃうと射線がかなり絞られます。それこそ柿崎隊の思うつぼです。Aなら多少マシかと。」
「Cだとあからさますぎるので対策されてると思ったんで。」
東隊の2人の攻撃手、
「わかった。それで行こう。生駒隊は臨機応変に行くとして…王子隊はどうする?」
「俺とコアラが合流して、東さんが高台を取るまではしかけません。」
「…まあそれでいいだろう。柿崎隊…特に綾瀬川は手が読めない。臨機応変な対応が特に求められる。期待してるぞ。」
「「はいっ!」」
──
王子隊作戦室
「うーん…お手上げだ。考えても仕方ないね。」
王子隊隊長、
「うちらしくないけど利根川はアドリブで対応するしかないよ。」
「そうだな。」
「ですね。」
王子隊射手、
「柿崎隊ばっか警戒してられないしね。…上手くやろう。」
「「了解。」」
──
『さて、東隊によりマップは「市街地A」に決定されました。どう言った狙いがあると思われますか?』
綾辻が尋ねる。
『柿崎隊対策…だろう。BやDは射線が絞られる。Cはあからさますぎるし、隠岐の手助けになってしまうからな。…三輪でもAを選ぶだろう。』
『なるほど。ありがとうございます。』
──
柿崎隊作戦室
「Aか。予想通りだな、清澄。」
柿崎はそう言って笑みを見せる。
「オレが東さんでもAにしますよ…。まあここで1番練習してたんで丁度良いですね。…頼むぞ、虎太郎、真登華。」
「はい!」
「りょーかい。」
「俺と文香はいつも通りやる。ヤバくなったら行くから気負い過ぎるなよ?虎太郎。」
「了解です。」
「じゃ…いっちょ見せ付けるか!」
柿崎隊トリガーセット
柿崎国治
メイン:レイガスト、スラスター、シールド、free
サブ:アステロイド(アサルトライフル)、メテオラ(アサルトライフル)、バッグワーム、エスクード
照屋文香
メイン:弧月、旋空、メテオラ、シールド
サブ:スコーピオン、メテオラ(ハンドガン)、バッグワーム、シールド
巴虎太郎
メイン:アステロイド(ハンドガン)、弧月、グラスホッパー、シールド
サブ:ライトニング、ダミービーコン(試作)、バッグワーム、シールド
綾瀬川清澄
メイン:スイッチボックス、弧月、シールド、free
サブ:バッグワームタグ
各キャラからの印象&各キャラへの印象
榎沢一華
諏訪隊→チームメイト。協調性ぇ…
唐沢有栖→失敗作。
諏訪隊←利用。
唐沢有栖←うっざ。
綾瀬川清澄
唐沢有栖→ファン。
唐沢克己→興味。
三輪秀次→友人。協力者。頑張れよ。
生駒隊→しゃー!!ぶった斬るで!!
唐沢有栖←警戒。
唐沢克己←敵にしたらヤバそう。
三輪秀次←友人、協力者(建前)。
生駒隊←面白い。
さて、何も考えずに綾瀬川のトラッパーデビューを書いてしまった訳ですが、如何せん分からない事が多いので、作者の見解で書きます。
バッグワームタグ→4枠使う代わりに消費トリオンがかなり少なくなる。冬島さんが首から下げてるやつ…?
スイッチボックス→攻撃用からショートワープまで。オペレーターも起動可。レーダーには映る…かなぁ?(冬島さんと言うか木虎の「罠があると思わせとくだけでどうたらこうたら」みたいなセリフから。)
てかほんとに考察なんで皆さんの意見を聞きたいんですけど、バッグワームタグってタグって言うくらいだからトラップを隠すためにあるんじゃ無かろうか。タグ付けみたいな?
隠したいトラップをレーダーに映らなくさせるみたいな?じゃないと消費トリオン減らすってだけで4枠分じゃ割に合わなすぎる気がしません?
書きたいので突っ走って書きます!
違かったら修正すりゃいいだけだ!!w
温かい目で見ていただけると幸いです。
感想、評価等お待ちしております。
幕間何読みたいんじゃワレェ!
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誰かの独白。多分榎沢か三輪。
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掲示板形式のやつ。(作者無知)
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日常小話。
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if(綾瀬川VSボーダー)
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住民税高すぎ。