『堤隊員、諏訪さんに次いで絵馬くんも緊急脱出。これは…榎沢さんとしては逃げ切りも視野に入れていいところね。』
『…本人にその気はないみたいだね。』
『おいおい、バッグワームも無しに突っ込んでくぜ。』
太刀川は呆れたようにそう言う。
『これは予測だけど…彼女、バッグワームをセットしてないんじゃないかしら?』
『はぁ?!バッグワーム入れてないって…なんでだよ?』
『予想って言ってるでしょ。』
──
榎沢はグラスホッパーで、二宮、辻が諏訪隊と戦っていた戦場の、近くのビルに着地すると、ガトリング砲を取り出す。
「はっけーん。」
すっと目を細める。
「ハウンド。」
そのまま榎沢は2人に向けてガトリング砲によるハウンドを放つ。
「…」
それを見据えた二宮は何も言わずに、シールドを展開。
榎沢のハウンドを正面から受ける。
「流石に堅いか。」
そう言ってガトリング砲を下げると、今度は二宮がトリオンキューブを展開。
榎沢目掛けて放つ。
「撃ち合い?…いいね!!」
榎沢は瞳孔を開いた、獰猛な笑みでそう笑うと、アサルトライフルを構え、グラスホッパーを展開。
空中を飛びながら、二宮のハウンドを撃ち落とす。
そして、進路を変え、二宮、辻目掛けて飛ぶ。
二宮はさらにトリオンキューブを分割。
「辻、ガードしろ。」
「了解。」
こちらに放たれるハウンドを辻がシールドで防ぐ。
その間に、二宮はトリオンキューブを合成。
「
ハウンドとハウンドの合成弾、ホーネット。
それは、不規則な動きでこちらに飛んでくる、榎沢をより正確に追尾し、榎沢に襲いかかる。
「っ…これが合成弾ってやつ…?」
榎沢はグラスホッパーでホーネットを引き付け、シールドを張りながら、別のビルを射線に入れ、受け切る。
…そして射線にビルが入った時、榎沢は方向を急転換する。
──
『いや、どう足掻いても榎沢に勝ち目はねえだろ。』
『…まあ厳しいでしょうけど…辻くんは攻撃には参加出来ない…相性的に。榎沢さんが勝つには榎沢さんの間合い、25mまで近付いて、二宮さんの弾を受け切ること。そこまで行けば、後は早撃ち。…それなら榎沢さんに分があるわ。』
──
方向を急転換した榎沢はビルの窓を突き破り着地すると、辻、二宮目掛けて走る。
(距離35。後10m…。)
榎沢は興奮気味に、舌を出し、唇を舐める。
榎沢はアサルトライフルで、二宮の弾を撃ち落としつつ、シールドを展開。
左手は、榎沢が一番得意な
右往左往、走りながら着実に距離を縮める。
(まずは邪魔な攻撃手…!)
弾幕の刹那の隙。
榎沢は、アサルトライフルを辻に向け発砲。
辻はシールドで受けつつ後ずさる。
『俺のことは気にしないでください。』
『…元よりそのつもりだ。
…死ぬなよ。隊長命令だ。』
二宮は一瞬辻に目配せするとそう言った。
『…辻、了解。』
(距離30…やばい火力だなぁ…正直舐めてたかも。)
だが榎沢が見せるのは笑み。
自分以上の火力を誇る射手の王に、榎沢は自然と笑みを見せていた。
(あと3m!)
ここで榎沢はフルガードに切り替える。
(2…1…)
「ゼロ!」
榎沢は笑みを見せ、急停止。
左手でホルスターの拳銃を弾く。
──榎沢一華のサイドエフェクトは『超直感』。
その性質は曖昧であるが、曰く、勘に委ねれば委ねるほど、勘が当たりやすくなるらしい。いわば天啓。
だが、この瞬間榎沢が委ねたのは神ではなく自分だった。
「かかったな。」
──故にサイドエフェクトは機能しなかった。
「!」
榎沢の左右に無造作に置かれたトリオンキューブが光り輝く。
──
『置き弾…?!』
『二宮さん…のじゃないわね。』
──
左右に置かれたのは辻が入れていたメテオラのトリオンキューブ。
「っ!!」
榎沢はすぐさまフルガードに切りかえ、メテオラを受ける。
「お前の火力、機動力は確かに脅威だ。
…だが…チーム戦を知らない一匹狼など俺の敵じゃない。」
メテオラに気を取られた榎沢。
そんな榎沢に二宮の火力から放たれるアステロイドは無慈悲に降り注いだ。
──
『トリオン漏出甚大──』
初めて聞く音声だった。
──は?
無理。このまま終われるわけがない。
『お前は清澄にはなれん。最高傑作はただ1人…清澄だけだ。お前はただ清澄を連れ戻すことだけを考えろ。ランク戦などど言う下らん遊びに時間を費やす暇があるのならな。
…これ以上私を失望させるなよ?
「本当に…
…皆うるさい!」
弾幕による土埃を割くように。
グラスホッパーを蹴った榎沢。
右足は吹き飛び、腕も右腕のみ。
緊急脱出寸前の榎沢は狂気的な笑みを浮かべて二宮にハンドガンを向ける。
だがそれは下からの射撃によりハンドガンを腕ごと落とされる。
「っ!?」
「残念だが…
…無駄な足掻きだ。」
そして榎沢の緊急脱出の光が空に上がった。
こうして激動のROUND2上位夜の部は幕を閉じた。
『ここで試合終了。4対3対2。B級ランク戦ROUND2上位夜の部は二宮隊の勝利です。』
二宮隊
二宮 1P
犬飼 0P
辻 1P
生存点+2P
合計 4P
諏訪隊
諏訪 0P
堤 0P
笹森 0P
榎沢 3P
合計 3P
影浦隊
影浦 1P
北添 0P
絵馬 1P
合計 2P
──
『最後…惜しかったね…。』
来馬が息を呑んでそう言った。
『そうかしら。』
『え?』
月見の返しに来馬はそう返す。
『読んでただろ。二宮も。だからこその二重の置き弾だ。』
太刀川は顎に手を当ててそう分析する。
『でも榎沢さんの腕も確か。荒削りだし課題も多いけど⋯その課題を克服すれば榎沢さんはボーダーでもトップクラスのエースになれると思うわ。それこそ二宮さんや太刀川くんみたいな。』
──
「…」
緊急脱出用のベッドに横たわったまま、榎沢は考え込む。
NO.1射手、二宮匡貴。
トリオンの数値は14。それに対して榎沢は13。
この1の差なのかもしれない。
「ダメだ…あたしが綾瀬川センパイに勝ってるのなんて…トリオンだけなのに…。」
いつになく覇気のない榎沢の声がベッドルームに響く。
「榎沢…?」
そこに笹森の声が。
「…今電気付けないで。
…あたし裸だから。」
「っ〜?!わ、悪い…!!」
暗くてよく見えないが、笹森はおそらく顔を赤面させて出ていく。
もちろん榎沢は裸な訳がなく、服を着ている為杞憂であるが。
榎沢はゆっくりと起き上がる。
(チーム戦を知らない一匹狼など俺の敵じゃない。)
(チームワークとか絆とか…そう言う問題じゃない?)
「っ!」
榎沢は拳を壁に打つ。
「うっざ。」
──
『二宮隊は辻が良かったな!あいつあんな強くなってたのか!』
『僕がたまに本部のランク戦ブースに来た時は、よく綾瀬川くんと一緒にいたからね。』
来馬は思い出すようにそう言った。
『綾瀬川…ね。いいねえ、まとめて相手してやるか。』
『なんで上からなのよ。』
──
二宮隊作戦室
「お疲れー、辻ちゃん。そっこー死んじゃってごめんね。」
作戦室に戻った辻に犬飼が謝る。
「問題ありません。新戦術も試せましたから。」
「おっ!期待してるよ。エース攻撃手。」
「綾瀬川とやり合ってたおかげですよ。てかエースは二宮さんでしょ⋯。」
そう言って辻は二宮に視線を向ける。
「今回は辻を主軸に置いたパターンだ。犬飼が生き残っていれば
「すんません。」
「いい。手の内はそう見せるものでは無い。」
そう言って二宮は総評に耳を傾けた。
──
『影浦隊はまあ悪くなかったんじゃないかしら?犬飼くんを落とすタイミング、絵馬くんの狙撃。漁夫の利を上手く取ったわね。』
『それ褒めてんの?』
『あら?ランク戦において横取りは一番効果的な点の取り方だと思うのだけれど?』
『へいへい。』
──
「おいおい、2連敗かよ〜。綾瀬川の弁当食えねえじゃねえか!」
「あぁ?!知るか!つーか勝手に変な賭けしてんじゃねえよ!」
影浦はそう言ってドカッと座る。
「いやー、あんなカゲ対策があるなんてねー。ゾエさんびっくり。」
「対策なんて言える代物じゃねえだろーが。あんなイカれたやり方あの女しかやらねえだろ。」
「えー?でも今回で有効なのが明るみになっちゃったよ?東さんとか綾瀬川くん辺りが真似てきそうな気もするけど?」
「…その2人もれなくカゲさんの回避能力効かないよね。」
──
『さて、これにてB級ランク戦ROUND2上位夜の部を終了します。解説は三輪隊、月見が。解説は鈴鳴第一、来馬さん、太刀川隊の太刀川くんでした。』
『『ありがとうございました(ー)。』』
──
諏訪隊作戦室
「じゃ、お疲れー。」
そう言って榎沢は出口に向けて歩き出す。
「…」
しかし、諏訪が出口の前に立ち塞がる。
「…何?」
「何じゃねェだろーが。
…座れ。」
後書きェ…!
何を書けばいいんや…!
感想、評価等お待ちしております。
幕間何読みたいんじゃワレェ!
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誰かの独白。多分榎沢か三輪。
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掲示板形式のやつ。(作者無知)
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日常小話。
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if(綾瀬川VSボーダー)
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住民税高すぎ。