白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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とうこうするお。


B級ランク戦ROUND5 柿崎隊VS影浦隊VS王子隊VS鈴鳴第一③

 

「…尤も、オレには通用しないみたいだな。」

 

無機質な瞳でそう言う綾瀬川。

弧月で貫かれた来馬は最後に綾瀬川にアサルトライフルの銃口を向けた。

 

至近距離の1発。

 

「っぶね。」

 

そう言う綾瀬川だが、危なげなくそれを躱すと来馬を蹴り飛ばしながら弧月を引き抜いた。

 

「っ…くそ…。」

 

来馬はそのまま緊急脱出。

柿崎隊が鈴鳴から1点を取り返した。

 

「これで自慢の新戦術も使えない。照明役の太一も死んだ。…あんた1人だな。村上先輩。」

 

「…」

 

村上は綾瀬川の挑発に乗ることはなく、冷静に弧月とレイガストを構えた。

 

──

 

『来馬隊長緊急脱出!鈴鳴の新戦術を攻略し、綾瀬川隊員が鈴鳴から1点取り返した!』

 

『攻略って言っても綾瀬川先輩にしかできない芸当ッスね。』

 

三上の言葉に烏丸がそう補足する。

 

『最後の来馬の道連れも読んでいた。鈴鳴は絶体絶命だな。』

 

──

 

「…」

 

「…上位には通用してお前には通用しない…か。大した自信だな。」

 

村上はそう尋ねながら弧月を構える。

 

「…実際に死んだのはあんたの隊長だ。それだけが事実だろ?」

 

そう言いながら綾瀬川はトリオンキューブを2つ生成する。

 

「!」

 

そしてトリオンキューブを練り始める。

 

「隙だらけなのはそっちだろう…させると思ってるのか?」

 

村上は綾瀬川に素早く切り込む。

綾瀬川は合成を止める事無く、村上の弧月を避ける。

 

切り返しの弧月も先読みされたように避けられる。

 

 

そうしている間に合成弾は完成する。

 

「…ギムレット。」

 

「ちっ…!」

 

村上はレイガストとシールドでそれを受ける。

 

その隙に綾瀬川は距離を詰め、弧月を生成。

ギムレットで削れた村上のレイガストを砕いた。

 

「ちゃんと首…狙えよ、No.4攻撃手。」

 

「生意気だな…!」

 

綾瀬川の弧月と村上の弧月がぶつかる。

 

その刹那に村上はレイガストを再生成。

しかし、綾瀬川はそれを許さず、村上のレイガストを持つ手を蹴飛ばす。

 

「!」

 

レイガストは村上の手から落ちる。

目を見開いた瞬間、綾瀬川の連撃が繰り出される。

 

「っ…!」

 

今まで村上とやって来た綾瀬川の弧月とは違う、止めどない弧月の連撃。

次第に村上は捌けなくなり、肩、腕とじわじわと削られ始める。

 

「っ…!」

 

──

 

ROUND1終了後

 

本部にやってきた村上はランク戦ブースを訪れていた。

 

「カゲ。」

 

村上は座ってモニターを眺めていた影浦に声をかける。

 

「鋼…。」

 

「すごいギャラリーだな。誰がやってるんだ。」

 

「…見りゃわかる。」

 

そう言われた村上はモニターに視線を映す。

 

そこには村上の師匠である荒船。

その荒船と向かい合うように綾瀬川が立っていた。

 

 

…そして8-0で綾瀬川が勝ち越していた。

 

 

「!」

 

村上は目を見開く。

 

自分の師匠であり、マスタークラスの攻撃手、荒船哲次。

荒船の考えた理論は自分をNo.4攻撃手へと導いた。

実力もA級レベルの荒船が、8-0で負け越していた。

 

「…綾瀬川は旋空もシールドも使ってねェ。ブレード1本で荒船相手に遊んでやがる。…マジモンのバケモンだぞ、ありゃあ。」

 

影浦はそう言って頭を搔く。

 

「っ…荒船…。」

 

そのまま荒船は綾瀬川に一太刀も与えることが出来ずに、緊急脱出。

 

 

ランク戦は10-0で綾瀬川の勝利で終わった。

 

 

 

「…荒船。」

 

「!、鋼…来てたのか。」

 

ランク戦が終わったあと、荒船は村上に気付き声をかける。

 

「…ああ。綾瀬川とやってたのか?」

 

「…まあな。」

 

そう言って荒船はベンチに腰掛ける。

 

「先越されちまったからな。力試しだ。」

 

「…」

 

「なんだよ、そんな辛気臭い顔しやがって。」

 

そう言って荒船は村上にヘッドロックをかける。

 

「…」

 

「攻撃手としてお前や太刀川さんを見てきたんだ。今更才能の差を感じて打ちひしがれるとでも思ったか?」

 

そう言いながら荒船は村上へのヘッドロックを緩める。

 

 

 

「…って、言いてえとこだが…今回ばかりはキツイな…。」

 

「荒船…。」

 

「才能の差だけじゃねえ。弧月1本で遊ばれちまった。攻撃手から身を引いたとは言え自信はあったんだがな…。」

 

そう言って荒船は虚空を見上げる。

 

 

「…天才ってのはどの分野にもいる。ボーダーで言えばお前や太刀川さん、当真なんかもそうだ。」

 

「…綾瀬川もか?」

 

「…」

 

村上の言葉に荒船は押し黙る。

 

「…違ぇな。

 

…戦術、戦略、理論、努力…いくら積み重ねても…あいつ相手にサシで勝てる気がしねえ。初めて見たぜ。太刀川さん以上かもな…覚えとけ、あいつは天才なんて言葉じゃ生温い。

 

 

 

 

…人智を超えた怪物だよ。」

 

 

 

──

 

「…」

 

前シーズンのROUND1。

初めて綾瀬川と剣を交えた時に感じた予感は正しかった。

 

 

村上の横薙ぎの弧月。

綾瀬川は仰け反り、避けると村上を蹴り飛ばす。

 

吹き抜けを落ちて、いつの間にか戦場は2階まで下がっていた。

 

 

「よく耐えるな。流石はNo.4。…ギムレット。」

 

「っ…!」

 

出水には及ばないが、素早い合成弾の生成。

圧倒的な剣術。

回避能力。

 

村上相手には見せることのなかった戦い方。

 

これが怪物、綾瀬川の真の姿。

 

 

村上は内心で冷や汗を浮かべる。

荒船が負けるのも頷ける。

 

どういう心境の変化か、綾瀬川は化けの皮を剥いでみせた。

 

ならば村上がやることは1つ。

 

より多くの手札を使わせ、次に備える。

ここで勝てなくてもいい。

 

綾瀬川の動きを学習し、次に備える。

 

 

 

上階で誰かが緊急脱出する。

影浦隊、絵馬の得点となる。

 

柿崎隊の柿崎が緊急脱出となった。

 

 

「お前の隊長…落ちたみたいだぞ?綾瀬川。次は巴の番だ。」

 

「問題ないな。…オレは生きている。あんたは満身創痍だ。」

 

そう言って綾瀬川はトリオンキューブを2つ生成する。

 

 

「…アステロイド+バイパー。」

 

 

「!」

 

綾瀬川が初めて見せる合成弾。

 

村上はレイガストを深く構える。

 

 

「…コブ…っと…。」

 

しかし、綾瀬川はトリオンキューブを消して、フルガードに切替え、放たれた弾を受ける。

 

 

 

「敵はどちらも1人だ。距離を取って戦おう。」

 

「了解です!」

 

戦場に現れたのは王子隊の王子と樫尾だった。

 

 

──

 

『試合も中盤、戦場に動きがあった!5階にいた絵馬隊員による壁抜きならぬ床抜き狙撃が炸裂!柿崎隊長が緊急脱出!巴隊員はすぐさまバッグワームを羽織り、グラスホッパーでデパートの外へ離脱しました!』

 

『いい判断だな。別役は既に緊急脱出済み、絵馬も中にいる。王子隊が中にいるのも別役の緊急脱出で確認済みだ。待ち伏せは無いと踏んでの離脱だろう。奇襲に繋げられるいい判断だ。』

 

木崎は巴をそう評した。

 

『そして戦場をデパート2階に移した綾瀬川隊員と村上隊員の戦闘は綾瀬川隊員有利な状況に、王子隊が乱入した!』

 

『影浦隊も降りてますね。虎太郎の奇襲もある。…村上先輩が圧倒的に不利ですね。』

 

三上の言葉に烏丸はそう解説する。

 

『この乱戦が天王山だな。』

 

──

 

『すまねえ、清澄、虎太郎。』

 

『問題ないですよ。隊長は最後の最後に虎太郎を逃がしてくれましたから。』

 

『ザキさんのメテオラで影浦先輩の腕削れてるからそこが狙い目かも。』

 

『了解。虎太郎はオレが指示するまではバッグワームつけて待機しててくれるか?蔵内先輩が見えないのが不気味だ。絵馬も動いてるだろ。』

 

綾瀬川は巴にそう指示を出す。

 

『了解です。』

 

 

 

綾瀬川、村上目掛けて放たれるハウンドの応酬。

綾瀬川はフルガード、村上はレイガストとシールドでそれを受けていた。

 

そして、トリオンキューブ分割の隙に、綾瀬川、村上は同時に動き出す。

 

綾瀬川は樫尾との距離を詰め、バッグワームを投げる。

 

「!、旋空警戒!」

 

樫尾が叫ぶ。

 

村上は意地でも綾瀬川狙いのようで、綾瀬川に斬りかかった。

 

 

 

「だと思ったよ、No.4攻撃手。」

 

「!」

 

綾瀬川が投げたバッグワーム。

それにはトリオンキューブが包まれていた。

 

 

「バイパー。」

 

それと同時にバッグワームは消える。

 

 

「クソ…!」

 

 

バイパーは村上のレイガストを躱すように軌道を変える。

 

村上は弧月を消して、シールドを展開。

 

 

軌道を変えたバイパーを受ける。

 

 

しかし、距離を詰めた綾瀬川にレイガストを蹴りあげられ、無防備となる。

そのまま、村上のレイガストを持つ手を弧月で切り落とすと、村上の胸ぐらをつかみ、盾にするように王子隊の前に引きずり出す。

 

そして、王子隊のハウンドが着弾する前に弧月で首を切り落とした。

 

 

ハウンドはそのまま綾瀬川の盾となった村上に着弾した。

 

 

 

 

 

「…オレのポイントだ。」

 

「やってくれるね、利根川。」

 

 

 

「その呼び方、やめて貰えます?」

 

 

そう言って無機質な怪物は、今度は王子隊の前に立ちはだかった。




各キャラからの印象&各キャラへの印象

来馬辰也→天才万能手。
村上鋼→化け物。性悪。
荒船哲次→怪物。勝てる気がしない。
王子一彰→利根川。

来馬辰也←鈴鳴の隊長。
村上鋼←No.4攻撃手。
荒船哲次←完璧万能手目指してる人。
王子一彰←呼び方やめろ。




カバー裏風人物紹介

色々隠しすぎた鷹
あやせがわ

爪だけじゃなく、核を隠し持っていたタイプの鷹。
1人で1部隊どころか、1人で遠征選抜部隊全員を賄える程の実力者。
人間らしくなったとは言え、まだまだ人間になりきれない怪物。
本人は否定するが作中トップクラスの戦闘狂。
育った環境がアレなだけにどこかイカれてる。
数年間トリオン体だったせいか、生身で自分の部屋のベランダ(3階)から飛び降りたこともあるイカれ野郎。もちろん無傷。
裏話をするとすれば、ROUND4辻ちゃんに負けてなければ、強い敵を求めて、ボーダーに反旗を翻し、近界に密航していた。提供は某予知予知歩き。


感想、評価等お待ちしております。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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