白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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終わらなかった…。




B級ランク戦ROUND5 柿崎隊VS影浦隊VS王子隊VS鈴鳴第一④

 

(人智を超えた怪物だよ。)

 

 

視界が低くなる中、村上は荒船の言葉を思い出す。

 

 

太刀川や風間とは違う異質な強さ。

表情1つ変えず、こちらの手に対応してくる。

 

村上の首を撥ねた後、綾瀬川は村上に目もくれることなく王子隊に視線を移していた。

 

 

分からなかった。

これほどの実力がありながら、実力を隠していたこと。

今になって化けの皮を剥いで見せた理由。

 

「っ…クソ…!」

 

 

その呟きを聴いた綾瀬川は一瞬こちらに目を向ける。

 

 

最後に村上が見たのはやはり、こちらに微塵の興味もないような、無機質な瞳だった。

 

村上は最後に諦めたように笑う。

 

 

「…怪物が…。」

 

──

 

『村上隊員緊急脱出!柿崎隊が2点目を獲得!』

 

『えげつないですね。村上先輩を封じてから盾にしましたよ。』

 

『シールドも使えない土壇場なら有効だろう。』

 

烏丸の言葉に木崎が返す。

 

『ちゃっかり自分の点にしてるのも綾瀬川先輩らしいですね。』

 

『鈴鳴はここで全滅!…そして戦場には影浦隊の影浦隊長と北添隊員も参戦!一転して綾瀬川隊員が王子隊と影浦隊に囲まれる形となった!』

 

──

 

「チッ、鋼のヤロー死にやがったのかよ。つまんねえ。」

 

「いやいや、綾瀬川くんとオージとやりながら鋼くんとやるつもりだったの?」

 

そう言って北添は綾瀬川にアサルトライフルを向ける。

 

「…」

 

『清澄先輩!俺今そっちに向かってます!』

 

『…いや、虎太郎は引き続き潜んでろ。』

 

『!、無茶ですよ、清澄先輩!影浦隊と王子隊は全員生き残ってますよ?!』

 

声を荒らげたのは宇井だった。

 

『だからこそだろ。絵馬はどこにいるか分からないからな。牽制の為に虎太郎の場所はバレてない方がいい。』

 

『でも…。』

 

虎太郎は不安そうにそう言う。

 

『…心配するな。負けは無い。』

 

『わかりました。』

 

『…』

 

素直に頷いた巴とは対照的に宇井は不安そうに押し黙る。

 

『それに…1人じゃない。お前がいるだろ?真登華。…オレを1人で戦わせる気なのか?』

 

『…はぁ…勝ってくださいよ、先輩。サポートしますから。』

 

『…ああ。』

 

 

 

 

「「「…」」」

 

一触即発。

王子を背に綾瀬川は影浦と向き合う。

 

 

 

…狼煙は北添によるアステロイドの乱射だった。

 

綾瀬川は跳びながら避けると、バイパーを放つ。

 

「ゾエ!」

 

「りょーかい。」

 

北添は影浦をシールドで守る。

影浦はスコーピオンを綾瀬川に伸ばした。

 

綾瀬川の背後からは、グラスホッパーで距離を詰めた樫尾が。

 

「…」

 

綾瀬川は影浦のスコーピオンを弧月で受けると、樫尾を一瞥。

 

そのまま地面に倒れ込むように躱す。

 

「!」

 

樫尾の眼前には綾瀬川により受け流された影浦のスコーピオンが。

 

「…っと。」

 

 

倒れ込こんだまま、綾瀬川は樫尾の持っていた弧月の柄を蹴りあげる。

 

「しまっ…」

 

 

バキンッ…!

 

 

影浦のスコーピオンは樫尾に刺さる前に、前に躍り出た王子の弧月に砕かれる。

 

綾瀬川は北添の弾を避けながら、トリオンキューブを分割。

 

「アステロイド。」

 

樫尾、王子はシールドで受けながら下がる。

 

影浦は飛び退いて避けると、スコーピオンを伸ばした。

 

 

「カシオ!利根川が弧月を持っていない!」

 

「!」

 

樫尾は地面に目をやる。

 

そこにはトリオンキューブが散らばっていた。

 

 

 

「…メテオラ。」

 

 

「チッ…!」

 

「くっ…!」

 

影浦はシールドを広げ、爆風を利用して後ろに下がる。

樫尾、王子も飛び退いた。

 

──

 

『上手いな。多対1に慣れた動きをしている。』

 

『なんて言うかトリガー構成も想定してきたみたいな感じスね。今回は射手スタイルみたいですけど。』

 

『…流れを変えれるとすれば姿を消している3人。絵馬、蔵内、巴だろう。3人がどう介入するか…。それにより勝敗は左右される。』

 

──

 

『王子、いつでも行けるぞ。』

 

蔵内は王子に通信を入れる。

 

『了解。じゃ、始めようか。』

 

『…本当にやるんだな?』

 

『そりゃね。

 

 

…やってみたい。』

 

『お前な…。』

 

 

 

 

「3、2、1…」

 

その間に王子、樫尾は攻撃の手を止め、弧月を消す。

 

 

 

「スイッチオフ。」

 

 

 

バチンと。

叩くような音ともに、もう一度デパート内が闇に包まれる。

王子隊には視覚支援が入った。

 

 

樫尾はすぐに距離をとると、鞘ごと弧月を再生成。

綾瀬川に切り掛る。

 

 

 

(とった。)

 

 

突然の暗闇に気を取られ、綾瀬川はこちらを見ていない。

これは入ると、樫尾は確信する。

 

 

 

 

 

ギンッ!

 

 

 

「!」

 

しかし、それは綾瀬川の弧月に防がれ、火花を散らす。

 

「っぶね。」

 

視覚支援はまだ入っていない。

 

『真登華、視覚支援はしなくていい。』

 

綾瀬川は宇井に通信を入れる。

 

『え?』

 

『いちいち変えるのも手間だろ。眩しいよりは見えない方がマシだ。』

 

 

そう言いながら、バッグワームを羽織り接近し、横なぎに振るわれた王子の弧月を飛び退いてかわす。

 

 

「!」

(視覚支援は入れてないはず…バッグワームはしてる…

 

 

 

 

…何故バレたんだ…?)

 

 

──

 

明かりが消えた瞬間。

オレは視覚による情報を全て遮断。

耳から入る情報と肌で感じる情報に絞った。

バッグワームと隊服が擦れる音。

動いたことによる僅かな風。

 

それを感じたオレは樫尾の弧月を受ける。

 

「っぶね。」

 

弧月と弧月がぶつかった事により、響き渡った音。

 

その音の反響から王子先輩、影浦隊の位置を割り出す。

影浦隊はバッグワームをつけていない為、割り出すまでもないが。

 

王子先輩は動いたな。

 

オレは王子先輩の弧月を飛び退いて躱した。

 

 

──

 

影浦隊にも視覚支援が入る。

北添は先程と同じく、照明を全て撃ち抜いた。

 

『虎太郎、お前は蔵内先輩だ。真登華は視覚支援な。』

 

『『了解!』』

 

綾瀬川は影浦のマンティスを避けながら、巴、宇井に通信を入れ、王子隊、影浦隊が視界に入る位置に下がる。

 

 

「…旋空…」

 

綾瀬川は弧月を振りかぶる。

 

「チッ!」

 

「カシオ!」

 

 

影浦は飛び退き、樫尾、王子も引き気味に弧月を構える。

 

 

しかし、綾瀬川は旋空をトリガーには入れていない。

 

弧月のブレード部分の光が消えると、綾瀬川の背後で、トリオンキューブが合成される。

 

「!、合成弾!」

 

「チッ!ブラフかよ…!」

 

 

 

「ギムレット。」

 

 

トリオンキューブは64分割されると放たれる。

 

「カゲ!」

 

「チッ。」

 

 

影浦隊、王子隊はシールドを固定。

ギムレットを受け切る。

 

しかし、その隙に綾瀬川は王子隊の2人と距離を詰める。

 

「!、グラスホッパー!」

 

樫尾は距離をとるべくグラスホッパーを展開する。

 

「逃がすか。」

 

樫尾が展開したグラスホッパーは、足ごとギムレットに射抜かれる。

 

「時間差か…!」

 

「俺を無視してんじゃねえよ、綾瀬川ァ!」

 

固定シールド解除後、影浦は綾瀬川と一気に距離を詰める。

 

 

綾瀬川は樫尾の胸ぐらを掴むと、引き寄せ、影浦の方へ蹴り飛ばす。

 

「っ…あ…!」

 

そのまま樫尾はスコーピオンに貫かれた。

そして、樫尾の後ろから綾瀬川に切りかかった王子の弧月を避けると、緩急をつけた動きで懐に潜り込み、王子の胸を蹴り、吹き抜けから1階へと突き落とす。

 

「ハッ!ようやく邪魔がいなくなりやがったか。」

 

影浦は樫尾の緊急脱出を見送り、臨戦態勢に入る。

北添もアサルトライフルを構えた。

 

 

「悪いがオレは勝ちに来てる。…楽しませてはやれないぞ?…いや…逆ですね。」

 

「…あ?」

 

「オレの事を研究してきたんでしょ。

 

 

 

…少しは楽しませてくださいよ?先輩。」

 

 

「おもしれぇこと言うじゃねえか。

 

 

 

…掻っ捌く。」

 

 

 

──

 

「王子。」

 

バッグワームを羽織った蔵内が王子と合流する。

 

「やられたね…。」

 

「ここから狙うか?」

 

「…それもいいけど…巴タイガーの姿が見えないのが不気味だ。影浦隊は狙撃手も生きてる。…上の戦いに戻るのが得策な気がするよ。影浦隊と戦って消耗したところをとろう。」

 

そう言いながら王子はバッグワームを羽織る。

 

「分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ああ、思ったより遅かったですね、王子先輩。」

 

「「っ?!」」

 

 

戦場である2階に戻った王子隊。

 

 

 

「くそったれ…バケモンが。」

 

 

 

王子、蔵内が目にしたのは、綾瀬川の前で膝を突く影浦の姿。

右足は切り落とされており、横腹にも穴が空いている。

北添も同様で、トリオン体の所々に穴が空いている。

 

 

 

 

「…第2ラウンドだ。

 

 

 

 

 

…あんた達はオレを楽しませてくれるのか?」

 

 

 

そう言って怪物は無機質な目を細めた。




そろそろアンケート取ろうかな。


カバー裏風人物紹介

ヤンデレメスガキ銃手
えのさわ

育った環境がアレなだけに憎悪やら崇拝やら、色々拗らせた銃手。
敬うと言う感情をドブに捨てている為、相手を怒らせるのが上手い。
意外にも二宮のことはしっかりと認めており、二宮との1本勝負の際は辛勝したものの、師と仰いでいる。(敬ってるとは言ってない。)
何やらいわく付きのネックレスをしており、本人曰く、幼なじみの成れの果て。ネックレスの名前は「血鎖(けっさ)」。
綾瀬川の圧倒的な力を前に敗北するも、しっかり負けに学ぶエリートで、チームで勝とうという気になった。
諏訪さんに懐いて、ツンデレ属性も備え始めた。
多分Cカップくらい。



BBF風データグラフ
 
・ボーダー入隊時期
オッサムと同期。
 
・モテるキャラグラフ
モテる、別にモテなくてもいい。
(那須と奈良坂の間くらい。)
 
・キャラ別派閥グラフ
本部長派よりの城戸派。
(二宮の上。)
 
・通っている高校
普通校1-C
(佐鳥、別役、笹森、半崎と同じクラス)
 
・成績グラフ
バチくそいい。
(鬼怒田さんの上。)
 
・生身の運動能力
バチくそいい。
(1番右上。)
 
・異性の好み
グラフにはいません。
(綾瀬川にしか興味無いので。タイプとかないです。)


感想、評価等お待ちしております。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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