白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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本当に遅くなりすいません。
忙しくて。



無機質なボーダー隊員の日常⑭

「あ。」

 

「…」

 

 

ボーダー本部、ロビーの自販機前。

ROUND5昼の部が終わり、数十分。

缶ジュースを飲みながら、オレの存在に気付いたツインテールが特徴の少女は小さく声を上げた。

 

「…榎沢か。」

 

そう言ってオレは財布を取りだしながら、自販機前に歩く。

 

「やっほ。久しぶり、センパイ。」

 

「中位は圧勝だったらしいな。弓場さん相手に流石だな。」

 

「手強かったよ。…センパイ、ココア好き?」

 

「藪から棒になんだ?」

 

「いーから。」

 

その言葉にオレは辺りを見渡す。

 

「あそこを出て1年も経ってない。…飲んだことないな。」

 

「あはは、あたしも。じゃあ挑戦だね。」

 

そう言いながら榎沢はココアのボタンを押す。

 

「はい。」

 

そう言って榎沢はオレにココアを差し出す。

 

「…」

 

「別になんも入れてないよ?見てたでしょ?バレンタインってやつ。溶かしたチョコみたいなもんでしょ?…ん。」

 

「…じゃ、ありがたく。「その代わり。」」

 

受け取ろうとした刹那、手は空を切る。

 

「ちょっとお話してこーよ。」

 

そう言って榎沢は小悪魔のような笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

「それで?もので釣ってなんの用だ?」

 

オレはココアの飲み口を開けながら榎沢に尋ねた。

 

「別になんも企んでないってば。」

 

榎沢はジト目でオレにそう言った。

 

「あれから会ってなかったからさー。センパイは最近どーよ?」

 

「どう…とは?」

 

「…あたしあんまり世間話とかしたことないわ。何話す?」

 

「帰っていいか?」

 

そう言ってオレは立ち上がる。

 

「あーん、待ってよぉ。」

 

榎沢はオレの裾を掴む。

 

「ココアどお?美味し?」

 

榎沢が話題を作るべく、強引に尋ねた。

 

「…前に隠岐と飲んだチョコシェイクに似てる。」

 

「ふーん…。」

 

そう言って榎沢はオレのココアを一瞥。

口を離した瞬間、オレの手からココアを取り上げる。

 

「一口貰うねー。」

 

「おい、まじかお前。」

 

オレが口を付けたのも気にせず、榎沢はココアを口に運んだ。

 

「うっげ…あまぁ。」

 

榎沢は舌を出しながらそう言って笑う。

 

「あたしもっと苦いやつがいいな。」

 

「意外と舌は大人なんだな。」

 

「意外とって…失礼しちゃうなー。」

 

「コーヒーなんかがいいんじゃないか?オレでも飲めたし、美味かった。まあ、これはこれでオレは好きだが。」

 

そう言ってオレは榎沢からココアを返してもらうと、残りを口に運んだ。

 

「コーヒー…ね。ここに来てから毎日が色んな経験だよ。センパイは居酒屋って知ってる?」

 

榎沢がオレに尋ねた。

 

「知ってるが行ったことは無いな。」

 

「なんかもうすごいとこだよ。あそこに入った後だと風間さん、ポストと格闘始めるからね。」

 

どう言う状況だ?それ。

 

「焼肉も美味しかったなー。」

 

「…諏訪隊で行ったのか?」

 

「うん。」

 

「…そうか。」

 

「何?その間。」

 

榎沢が横目でオレに尋ねた。

 

「仲良くやってるんだなと思ってな。」

 

「…別に。そう言うんじゃないし。」

 

榎沢は目を逸らしながらそう言った。

 

「あたしは失敗作…それは変わらない。センセイからの評価は変わらないし、センセイはあたしになんの期待もしてない。でも…でもさ。諏訪さんに瑠衣ちゃん、日佐人くんにつつみんさん。…二宮さんも。皆…失敗作としてのあたしを認めてくれてるみたい。…迷惑な話だよね?」

 

榎沢は儚げな笑みを浮かべ、オレに尋ねた。

 

「さあな。オレが知ったことじゃない。だが…ログしか見てないが、オレは諏訪隊のお前を弱いと思ったことは無い。」

 

「…あっそ。」

 

そう言って榎沢は立ち上がる。

 

「もう行くね。」

 

「…ああ。」

 

榎沢は歩き出す。

 

だが、数歩歩いて歩みを止めた。

 

 

「でも…あたしは綾瀬川センパイを超えるよ。失敗作、榎沢一華じゃなくて…」

 

そうして振り返る。

 

 

 

「良作、榎沢一華として。」

 

 

そう言って榎沢はオレを睨む。

 

 

その胸元には漆黒のネックレスが輝いていた。

 

 

 

──

 

「知っていますか?綾瀬川くん。チェスと将棋は似通っているらしいです。」

 

綾瀬川の目の前で、白髪の少女はそう言ってポーンの駒を動かした。

 

「そうらしいな。まあどっちも王を取るって言う意味じゃ同じだろ。」

 

その言葉に、少女、唐沢有栖は小さく笑みを浮かべる。

 

「ですが、将棋の方が遥かに難しいと聞きます。取った駒を自分の駒に出来る分、戦術、戦略は百手、それこそ万にも及ぶ程、パターンが増えます。」

 

「違いない。水上先輩は凄いな。チェスをやらせても強いんじゃないか?それこそ相手はオレじゃなくていい。…降参だ。」

 

唐沢のチェックに対して、綾瀬川はお手上げと言うように手を上げる。

 

「ご謙遜を。あなたの実力はこの程度では無いはずです。もう一度やりましょう。」

 

「あのな…。」

 

目の前の少女、唐沢有栖。

なんでも、近々あるらしい、アフトクラトルの従属国の侵攻。

その防衛の指揮を執るのが唐沢なのだ。

 

その為か、少し離れたテーブルでは、太刀川、迅、小南がババ抜きをしている。

 

 

「将棋、チェス…どちらも戦争です。」

 

唐沢はそう言うと、キングの駒を弄る。

 

「兵が戦い、王を取られれば負け。王を守るように、金将、銀将…ルーク、ビショップ。将棋の戦い方は利口です。倒した兵を捕虜とし、自分の兵にする。…近界民のやり口と似ています。」

 

唐沢はそう言うと目を伏せた。

 

「対してチェスは違う。」

 

目を開き、そして好戦的な笑みを浮かべた。

 

 

「敵兵は徹底的に殺し尽くす。有能なナイトであっても。…だから私はチェスが好きなんですよ。」

 

「怖いんだが。」

 

「だってシンプルじゃないですか。…今回の任務もそうですよ。チェスに守りの概念は無いです。

 

 

…あちらがしかけてくるのなら好都合。真正面から叩き潰しましょう。」

 

「…」

 

そんな様子を小南はジト目で見ていた。

 

「何かご用ですか?小南さん。」

 

クスリと笑いながら唐沢は小南に尋ねる。

 

「べ、別に何も無いわよ!」

 

小南は慌てて視線を外す。

 

 

 

 

「…小南さん。

 

 

…あなたも一戦どうですか?トランプだけでは飽きるでしょう。」

 

 

 

 

「あんた、司令室のオペレーター?」

 

「はい、そうですよ。それから小南さん、ビショップは斜め、ルークが縦です。…もしかしてルール知らないんですか?」

 

「は、初めてやるんだから仕方ないじゃない!」

 

小南は恥ずかしそうに声を上げた。

 

「なら初めからそう仰ってください。…嘘をついてまで私にお聞きしたいことでも?」

 

「…あんた、綾瀬川と親しいのね…。」

 

小南は目を泳がせながら唐沢に尋ねた。

その様子を見て、唐沢は一瞬驚いたあとクスリと笑う。

 

「ええ、まあ。」

 

「ど、どう言う関係なの?」

 

小南はそう言って、離れた位置で本を読んでいる綾瀬川に視線を向けた。

 

「ふふ、そうですね。説明するのは難しいですが…簡単に言えば…

 

 

…幼馴染のような関係…ですね。」

 

「お、おさ…ななじみ?」

 

「はい。」

 

「そ、それってどう言う…」

 

言いかけて、迅が立ち上がる。

 

 

「忍田さん、有栖ちゃん、敵が来るよ。パターンは一応Aで。」

 

「基地防衛ですね。」

 

そう言うと唐沢はモニターに視線を向ける。

 

「じゃあオレも戻るかな…。」

 

そう言って綾瀬川は立ち上がる。

 

「ああ、綾瀬川くんは残ってください。」

 

「は?」

 

綾瀬川は素っ頓狂な声で聞き返す。

 

「柿崎隊は他隊と同様に基地の外を防衛。…ですが綾瀬川くん。あなたは切り札です。まだ戦場に立つ必要はありません。」

 

「唐沢くん、しかし…」

 

食い下がったのは忍田だった。

 

「敵の全容が見えない。綾瀬川くんと言う戦力を使わない手は無いだろう。」

 

「何も遊ばせる気は無いですよ。天羽くんと同様私のサポートに入ってもらいます。…万が一は戦場にも立てる準備を冬島隊長にもしてもらっています。」

 

そう言って唐沢は立ち上がり、モニター前に座る。

そして目の前のチェス盤に駒を並べた。

 

「…心配せずとも勝ちますよ。私は負けることが大嫌いなので。さ、綾瀬川くん、座ってください。」

 

そう言って唐沢は綾瀬川を唐沢の前に座らせる。

 

 

 

「さて、改めて…

 

 

 

 

…一戦、お手合わせ願えますか?」

 

 

 




各キャラからの評価&各キャラへの評価

榎沢一華→色んな意味で先輩。崇拝。憎悪。
唐沢有栖→幼馴染のような関係。切り札。

榎沢一華←後輩。警戒。生意気。
唐沢有栖←チェス強いな。

次回から本格的にガロプラ…


の前に幕間かこーっと。


感想、評価等お待ちしております。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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