白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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ガロプラ④

ボーダー本部基地北東

基地目掛けてなだれ込んで来る人型トリオン兵「アイドラ」。

その動きに変化があった。

 

 

「!」

 

多くいるアイドラのうちの2体。

明らかに動きの違うアイドラが出てくる。

 

 

「敵トリオン兵の色が変わった。」

 

唐沢の隣でモニタリングをしていた天羽がそう呟く。

 

 

その2体は防衛の主力となっている、榎沢、忍田に明らかに狙いを定めており、他のアイドラを盾にしながら襲いかかる。

 

 

「なるほど。想像していたうちの一手…ですね。」

 

 

──

 

「!、榎沢くん。」

 

「あー、嫌な予感したんだよね。」

 

忍田の言葉に榎沢はそう言って、アイドラの攻撃を避ける。

 

榎沢の持つサイドエフェクト「超直感」。

そのサイドエフェクトにより、榎沢は敵の変化を察知していた。

 

 

「ま、ちょっと強くなったからって変わらないよね?本ぶちょー。」

 

「当然だ。」

 

 

榎沢は榎沢に狙いを定めたアイドラに、ガトリング砲を向ける。

忍田も同様に、多角的な攻撃ではなく、忍田を狙うアイドラに狙いを定めた。

 

 

当然そうなれば、他のアイドラからの攻撃は捌けない。

しかし、他の部隊がそれを許さない。

すぐさま援護に入り、1対1の状況を作り出す。

 

 

「ハウンド。」

 

「旋空弧月。」

 

 

ボーダー屈指の実力者である榎沢と忍田。

仕留めるのに、2手目は必要なかった。

 

 

「ま、B級下位が中位くらいになった感じ?」

 

 

そう言って榎沢は穴だらけになったアイドラを蹴飛ばす。

 

 

『まだですよ、榎沢さん。天羽くん曰く…色が移りました。

 

 

…また来ますよ。』

 

 

その言葉に、榎沢はレーダーを見て明らかに動きの違うアイドラに視線を向けた。

 

 

「…面倒くさ。」

 

そう言って榎沢はトリオンキューブを生成する。

 

『ただ倒すだけでは駄目ですよ、榎沢さん。おそらくまた色が移ります。』

 

『なんで分かんの?』

 

『勘ですよ。おそらく近界民が操縦しているのでは?』

 

『はぁ?2匹いんだけど?』

 

榎沢が呆れたようにそう言った。

 

『おや?私はできますよ?』

 

『うっざ。…で?じゃあどうする訳?』

 

その答えには榎沢だけでなく、全隊員が耳を傾ける。

 

『とりあえず様子見で。倒して標的を失うよりは生かして留めて置く方がいいでしょう。…1体は柿崎隊が、もう1体は…そうですね、嵐山隊に任せたいところですが…中距離の火力は欲しい。…木虎さんと、黒江さんに任せましょうか。…やれますよね?木虎さん、黒江さん。』

 

『っ…見くびらないでください。』

 

『了解。』

 

 

木虎は唐沢の命令で動くのが癪なのか、不服そうに。

黒江は素直に頷いた。

柿崎隊も屋上で狙撃手を護衛している巴を除いて、柿崎と照屋が動き始める。

 

『基地内に侵入した近界民2匹は綾瀬川くんと影浦隊長により処理が完了しています。敵は焦っていますが、こちらは綾瀬川くんと言う最高戦力が浮いています。敵がどんな手を使ってこようと負けは無い。頼みましたよ。』

 

 

 

 

それだけ言うと唐沢は通信を切る。

 

 

「さて、問題はこっちですが…ま、問題という程のことはありませんね。」

 

 

唐沢はそう言って基地内、地下の戦闘に視線を移した。

 

 

──

 

ガロプラの遠征部隊、隊長のガトリン。

 

4対1で、ボーダートップ攻撃手4人の相手をしていた。

初手の風間のカメレオンによる奇襲により、左腕を失い、脇腹からトリオンが漏れているが、左腕は遠征艇を壊す用の大砲で賄う。

そしてガロプラの強化トリガー「処刑者(バシリッサ)」。

背中からの4本の刃で4人の攻撃を器用にいなす。

 

『思ったりよりしぶてーな。』

 

『あの女も忍田さんレベルって言ってたでしょ?』

 

飄々とそう言う太刀川に小南がツッコミを入れる。

 

『ブラックトリガーでもない限りあの大砲は連射はないだろう。畳み掛けるぞ。』

 

『次撃って来ても俺が止めます。』

 

風間の言葉に村上はレイガストを構え直す。

 

『上より早く終わらせてえな。綾瀬川には負けたくねえ。』

 

『は?何それ。幼稚ね。』

 

内部通信でそう話しながらも、ガトリンへの攻撃の手は緩めない。

 

 

淡々と着実に攻撃手4人の攻撃を捌くガトリンだったが、内心はかなり焦っていた。

目的が遠征艇であると何故かバレていたこと。

上に残してきた部下2人。

目の前の髭の男曰く、

 

 

「上の部下はいいのか?俺ら4人が束になっても勝てねえ奴とやり合ってるぞ?」

 

 

ブラフだと思えばそれまでなのだが、おそらく髭の男が言っているのはあの獰猛そうなブレード使い…

 

 

ではなく、一緒にいた曲がる弾を使う男の事なのだろう。

あの無機質な瞳は何故か忘れられなかった。

底知れない悪寒を覚えていた。

 

 

 

…そして、その悪寒は的中することになったのだ。

 

 

『すみません、ガトリン隊長。』

 

 

ラタリコフのその言葉。

ウェンとラタリコフ、そして副隊長コスケロの敗北。

 

 

「…」

 

ガトリンは諦めたように、目元を押さえる。

 

 

「…認めよう。我々は玄界を見くびっていたようだ。

 

 

…だが任務は遂行する。」

 

 

そう言ってガトリンは格納庫に大砲を向ける。

 

 

「!、村上!」

 

「了解!」

 

 

しかし、それはガトリンのブラフ。

銃口を下げると、格納庫に向けて距離を詰める。

村上と村上の援護に入った風間の動きを止める。

 

「通すわけないでしょ!」

 

「旋空弧月。」

 

 

それを通すほど、ボーダーのトップ攻撃手は甘くない。

 

小南の双月、太刀川の旋空弧月がガトリンを襲う。

 

ガトリンは処刑者でそれを受けると、またしても格納庫に銃口を向ける。

 

 

「チッ…!」

 

 

先程の大砲の威力を知っている太刀川と小南。

そのブラフは単発ではない威嚇力がある。

 

 

 

 

『時間稼ぎご苦労様でした。』

 

 

『あ?』

 

 

 

ガトリンの背後。

ガトリンが避けたトリオン反応があった位置に、冬島隊のエンブレムが現れる。

 

 

そこには、獰猛な笑みでスコーピオンを構えた影浦が立っていた。

 

 

「っ?!」

(ワープのトリガー…!!ただの罠ではなかったか…!)

 

ガトリンの両足を影浦のマンティスが切り落とす。

 

「ちっ、あの女…!」

 

崩れたガトリンに、太刀川、小南が切り掛る。

太刀川が処刑者の刃を抑え込むと、小南が素早く、ガトリンの腹部に切り込んだ。

 

 

「「!」」

 

小南の一撃はガトリンを真っ二つにする一撃だった。

しかし、ガロプラ遠征部隊の隊長の意地はここで終わることを許さなかった。

ガトリンは上半身だけになりながら、格納庫に銃口を向ける。

 

 

しかしそのタイミング。

影浦が、格納庫とガトリンの間に躍り出る。

 

 

「…鋼!俺の胸だ。

 

…止めなきゃぶっ殺す。」

 

 

影浦のサイドエフェクト「感情受信体質」。

ガトリンの前に出た影浦はサイドエフェクトにより、先読みした弾道を村上に伝える。

 

そのまま放たれた大砲は影浦を貫くと、村上のレイガスト、集中シールドに弾かれた。

 

 

「完敗だ。

 

 

 

 

…見事。」

 

 

影浦の緊急脱出と同時に、ガトリンのトリオン体も黒い光に飲み込まれた。

 

 

「これは…

 

 

…緊急脱出か?」

 

 

──

 

『綾瀬川隊員、影浦隊長が捕らえた近界民、並びに三輪隊が捕らえた近界民も反応消失!』

 

 

沢村の通信を聞いて唐沢は考え込む。

 

「緊急脱出…ですか。なるほど。大胆な動きの裏はこれでしたか。」

 

そう言って笑うと、今度は地上での戦闘に目を向ける。

 

 

 

『基地内部の戦闘は終わりました。あとは地上戦のみです。

 

 

…フフ、さあ、ご存分に。』

 

 

 

榎沢、忍田を主体に次々と削られるアイドラ。

動きを変えたアイドラも柿崎隊、そして木虎と黒江により抑えられている。

 

「倒す必要は無いですね。重要なのは他を狙わせないこと。韋駄天もトリオン消費が激しいので極力使いません。援護してくださいよ、木虎先輩。」

 

「!」

 

黒江はA級とは言え、13歳の中学1年。

B級中位から見ても、最年少。

センスはあるが、戦術や状況判断には乏しい印象であった。

しかし、今の黒江は違った。

周りを見て状況を理解し、自分のなすべきことをなそうとしている。

剣術も上がっている。

 

「…了解。援護は任せて。」

 

 

──

 

 

『これは…オレは必要なのか?唐沢。』

 

 

そう尋ねながら、怪物は弧月を抜きながら戦場へと歩を進める。

 

 

『言ったでしょう?トドメです。』

 

『了解。』

 

 

「!、綾瀬川先輩。」

 

綾瀬川に気付いた烏丸が声をかける。

 

「必要ないとは思うが…援護に来た。」

 

「助かります。」

 

その言葉を聞いて、綾瀬川はゆっくりと近界民の群れの中に歩いていく。

 

「!、綾瀬川くん。」

 

忍田がこれに気付く。

 

「!、センパイだ!」

 

榎沢の横を抜ける綾瀬川。

アイドラの群れは無防備に立つ綾瀬川に襲いかかる。

 

怪物はゆっくり目を細めると弧月を構える。

 

 

 

『さて、今度こそ。

 

 

 

…チェックメイト…ですね。綾瀬川くん。』

 

 

 

 

 

放たれる玄界最強の怪物の剣撃。

 

 

 

 

ガロプラの侵攻は、予知、知略、そして圧倒的な武力の前に完全敗走を喫することになった。

 

 

 

 

 

ガロプラ侵攻

 

 

ボーダー

死者 0人

重症 0人

軽傷 0人

行方不明 0人

緊急脱出 1人

 

 

 

近界民

死者 0人

捕虜 0人

緊急脱出 5人

 

 

 

 

特級戦功 

 

玉狛支部A級隊員

迅悠一

 

A級2位冬島隊

冬島慎次

 

 




かなり端折ってます。
ぶっちゃけ三輪隊VSコスケロは原作と変わらないのでw
その後とか、ヒュースの件は次回で。

特級戦功は原作通り迅と、大活躍だった冬島さんです。

双葉ちゃんは怪物に弟子入りしてたので成長してますね。


感想、評価等お待ちしております。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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