間違えて全部消しちゃって…。
入隊初日でB級へと上がった新人、ヒュース。
そしてB級最強、柿崎隊のエース、綾瀬川の模擬戦はヒュースのリードから幕を開けた。
しかし、ヒュースの内心は腕を落とされたことの焦り、そして師の名前を出した綾瀬川への疑念で満ちていた。
「ぶれたな。安い剣だ。」
「っ?!」
3度の鍔迫り合いの刹那、綾瀬川は腰を落としてヒュースのトリオン供給器官を切り裂いた。
1-1の互角。
綾瀬川がヒュースから1本取り返した。
「…」
戻って来たヒュースは目を閉じ、深呼吸をして落ち着きを取り戻す。
「へぇ…。」
その様子を見て綾瀬川は素直に感心する。
「ヴィザの弟子というのは本当みたいだな。」
「黙れ。俺が揺らぐことはもう無い。」
「別にそんなつもりで言ったわけじゃないさ。」
そう言って綾瀬川は肩をすくめる。
落ち着け…こいつのペースに呑まれるな。
そう自分に言い聞かせ、ヒュースは目の前の敵に視線を向ける。
B級1位のエース、綾瀬川清澄。
遠征を目指す上で、1番の障害になると言われている男。
遠征は本国への切符。
すなわち、ヒュースにとって綾瀬川はアフトクラトルに帰る目的の上で1番の障害となるのだ。
無防備。
脱力した様に弧月を持ち、隙だらけで立つ綾瀬川。
「っ…?!」
しかし、綾瀬川の姿がぶれたかと思うと、次の瞬間には綾瀬川の弧月がヒュースの眼前に迫っていた。
ヒュースはギリギリで反応し、弧月で受け流す。
鍔迫り合いの末、綾瀬川の弧月を弾くとヒュースは弧月を構え直す。
そして、綾瀬川に切り込む。
下から振られたヒュースの弧月を綾瀬川は足で柄を押えて止めると、そのまま綾瀬川は横薙ぎに弧月を振るった。
「最初の一撃で仕留めたつもりだったんだがな。さすがはヴィザの弟子か。」
「ちっ…!」
間一髪で躱すが、ヒュースの頬からトリオンが漏れる。
今度は押さえられないよう、上から体重を乗せた振り。
綾瀬川は弧月を横に両手で持ち、受け止める。
そしてそのまま力を緩め、右に流した。
バランスを崩すヒュースに、綾瀬川は足払いをかける。
しかし、ヒュースは弧月を杖にし持ち直すと、片膝をつきながら振り下ろされた弧月を受ける。
そのまま綾瀬川の弧月を弾くと、綾瀬川に切り掛かる。
それを綾瀬川は当たらないギリギリで避けると、弧月を振ったことでがら空きになった脇腹に蹴りを入れた。
──
「さ、流石強いですね、綾瀬川先輩。」
観戦していた笹森がそう呟いた。
「俺の体感だけど…俺としては綾瀬川は太刀川さんよりやりにくい。ルーキーの剣は確かに強かったけど…綾瀬川には及ばない気がする。」
「せやなー。俺も最近勝てへんわ。」
──
試合は進み、今の戦況は、
3-1で綾瀬川リードの状況だった。
「これ以上続けても意味ないぞ?お前の剣はヴィザの剣と同じだ。あの爺さんの剣は嫌という程見たからな…。下位互換のお前の剣なんて目を瞑っていても避けられる。」
「見くびるなよ。まだ終わっていない。」
「はぁ…。
…4本くらいが丁度いいか。」
最後に綾瀬川はボソリとと呟くと、ヒュースの剣を受ける。
数回火花を散らした後、ヒュースは綾瀬川の剣に違和感を覚える。
先程までと比べて明らかに握りが緩い。
そして次の弧月同士の衝突の際に、綾瀬川は弧月を落とした。
好機。
ヒュースはその隙を見逃すはずもなく、綾瀬川のトリオン体を切り裂いた。
──模擬戦終了。5-4、勝者綾瀬川。
数分後。
綾瀬川の勝利で決着は付いた。
しかし、先程までの綾瀬川の圧勝とはならず、その後互いに緊急脱出を繰り返しつつ、綾瀬川の勝利となった。
「お前…。わざと握りを緩めたな…。」
先程の呟き。
ヒュースに聞こえたそれは空耳ではなかった。
「…さあ?なんの事やら。素直に自分の実力を認めたらどうだ?」
そう言って綾瀬川は肩を竦めた。
「さっすがきよぽんやなー!」
「ルーキーの方も惜しかった。」
戻ってきたオレに生駒は興奮気味にそう言ったり
「強いですね。本当にギリギリ勝てたって感じですね。」
綾瀬川はそう言ってヒュースに視線を向ける。
「ちっ…。」
ヒュースは心底嫌そうに綾瀬川から視線をずらした
「嫌われたか…?」
「なんだなんだ?楽しそうなことやってんな。」
そんな所に現れたのはA級1位太刀川隊攻撃手、太刀川慶。
攻撃手ランク1位、個人総合1位の男。
「俺も交ぜろ。」
──
「こいつかなり強いな。いきなり1本取られた。」
戻って来た太刀川は嬉しそうにそう言った。
「よー、ルーキー!お前超つえーな!何もんだ?!」
「戦ってくれてありがとね。」
そう言う小荒井と三浦。
「もうどのチーム入るか決めてんの?」
「まだならうちに来いようちに。」
「悪いが先約があるんでな…。」
ヒュースはそう言った後オレに視線を向けた。
「…」
数秒視線を交わした後、ヒュースは振り返り、ランク戦ブースを後にした。
「…うし!じゃあ次はお前だな、綾瀬川。」
太刀川は好戦的な笑みでオレに肩を組む。
「離してください。」
そう言ってオレは太刀川の腕を振り払った。
「ちぇっ、てめえがどうせやってくれねえのは分かってたよ。辻、10本やろうぜ。」
そう言いながら辻の方に歩く。
「…別にやらないとは言ってないでしょ。」
オレのその言葉を聞いて太刀川は足を止める。
「あ?」
「やってもいいですよ。本気で。」
そう言いながらオレは弧月の柄を撫でる。
「…はっ!どう言う心境の変化だ?そりゃ。何を企んでやがる。」
「何も企んでなんかいませんよ。…そうですね、さっきのヒュースとの模擬戦に倣ってブレードのみでどうですか?」
綾瀬川に疑いの目を向ける太刀川に、綾瀬川は淡々とそう返した。
「…おもしれぇ。」
そう言ってNO.1攻撃手、太刀川慶は好戦的な笑みを浮かべた。
──
太刀川慶にとって綾瀬川清澄は、因縁の相手だった。
綾瀬川本人は認めないが、太刀川は過去、綾瀬川に大敗を喫している。
「この場だから聞くがよ…マジでどう言うつもりだ?」
仮想空間の市街地。
太刀川は目の前の綾瀬川に問いかけた。
「…」
「ま、なんでもいいか。せっかくやる気になったんだからな…。
…楽しませてもらうぜ。」
そう言って太刀川は弧月を抜き、綾瀬川に斬りかかった。
綾瀬川も弧月を抜き、太刀川の剣を受けるか避けながら後ろに下がる。
──
ランク戦ブース
「嵐山さん、狙撃手志望の隊員の案内終わりました。…なんの騒ぎですか?」
今日は入隊式。
その案内を担っているのは嵐山隊。
嵐山隊エース万能手、木虎藍はざわついているランク戦ブースを見て、嵐山に尋ねた。
「お疲れさん、木虎。見ればわかるさ。」
そう言って嵐山が指を指したモニター。
そこには弧月で切り合う綾瀬川と太刀川が映し出されていた。
「!、綾瀬川先輩…。」
「ブレードのみの5本勝負らしい。」
「…」
木虎は綾瀬川と模擬戦をし、負けを経験している。
そして、玉狛のブラックトリガーを巡った派閥争いの際、綾瀬川の本性、真の実力を知る。
綾瀬川が自分に無関心なのは分かっているが、木虎は綾瀬川をライバル視していた。
そのため木虎は2人の戦闘に食い入るように視線を向けた。
──
「おいてめぇ、本気の模擬戦だっつってんだろーが。」
依然、太刀川の猛攻は続いており、綾瀬川は防戦一方。
誰がどう見ても太刀川が有利な状況だった。
「ちっ…黙りかよ。またいつも見てーに逃げんのか?」
「…」
しかし、綾瀬川は何も言わずに太刀川の弧月を受ける。
「ちっ…。」
太刀川は攻撃の手をさらに速める。
綾瀬川のトリオン体はどんどん削れていき、綾瀬川はトリオン漏出過多で緊急脱出となった。
1-0で太刀川のリード。
「結局変わらずかよ。なんの意味があんだ?この時間。」
戻ってきた太刀川は綾瀬川に訪ねる。
「意味ならありますよ。インプットは大事ですから。」
「イン…なんだって?」
「まあ要するに…
…様子見はここまでです。」
そう言って綾瀬川は弧月を構え直す。
「別にオプション使っていいですよ。ハンデだ。」
「…ほざけ。」
そうしてボーダートップクラスの2人の弧月がもう一度火花を散らした。
各キャラからの評価&各キャラからの評価
ヒュース→こいつ…!
太刀川慶→ランク戦〜!
ヒュース←近界民。ヴィザと同じ剣。
太刀川慶←まじうるさい。戦闘狂。苦手。
次回は幕間かな。
感想、評価等お待ちしております。
幕間何読みたいんじゃワレェ!
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誰かの独白。多分榎沢か三輪。
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掲示板形式のやつ。(作者無知)
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日常小話。
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if(綾瀬川VSボーダー)
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住民税高すぎ。