白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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投稿します。
多分次くらいからランク戦に戻ると思われます。


太刀川慶①

 

「木虎は以前綾瀬川とランク戦してたな。」

 

綾瀬川VS太刀川。

ボーダートップクラスの弧月使い2人の模擬戦は、太刀川が先制。

2本目が始まる前、観戦していた嵐山は隣にいる木虎に尋ねた。

 

「…ええ。あの時はブレードのみではなかったですけど。」

 

「どうだった?」

 

「…強かったですよ。それこそこんな簡単に1本を許す強さじゃなかったです。…馬鹿にして…。どーせいつもの手抜きですよ。」

 

不貞腐れたようにそう言う木虎に、嵐山は苦笑いを浮かべる。

 

「今回もどう切り抜けるか考えてるだけじゃないですか?…時間の無駄ですよ。」

 

そう言って木虎は踵を返し、歩き出す。

 

 

「いや、待て木虎。」

 

その言葉に木虎は足を止める。

 

「やる気みたいだぞ。綾瀬川。」

 

そう言って嵐山は笑みを浮かべた。

 

 

──

 

「様子見はここまで…か。真面目なお前を期待していいってことか?そりゃ。」

 

「どう捉えて貰っても結構ですよ。まあ言うとすれば…別にオプション使ってもいいですよ。」

 

「あ?」

 

太刀川は目を細める。

 

「得意の弧月二刀流でもいい。オレも真面目にやるが…あんたも真面目にやれよ。」

 

そう言って綾瀬川は弧月を構える。

 

 

「ハッ…ほざけ。」

 

 

踏み込みは同時。

綾瀬川と太刀川の弧月がぶつかる。

弾き合ってもう一度。

次は弧月同士がぶつかる事無く、綾瀬川は上半身を仰け反らせ避けると、太刀川の懐に飛び込む。

 

 

 

 

「言ったろ?2本目使っていいって。」

 

「こっちも言っはずだろ?

 

 

…ほざけ。」

 

 

 

太刀川は綾瀬川が振った弧月をギリギリで避けるが、肩からトリオンが漏れる。

太刀川はお構い無しに、横薙に振るった弧月を綾瀬川目掛けて振り下ろす。

それを、右に避けると綾瀬川は振り下ろされた弧月を左足で地面に踏みつける。

 

 

「おっ?」

 

そのまま綾瀬川は右足で、太刀川の弧月の付け根を踏みつける。

綾瀬川の全体重が太刀川の弧月に乗り、太刀川は弧月を手放す。

 

 

「もう一度言う。2本目使っていいぞ?」

 

「ハッ…。うっせ。」

 

 

綾瀬川の弧月が太刀川を捉えた。

 

 

──

 

「凄いな、きよぽん。なんで太刀川さんの弧月あんなヒラヒラ避けれるん?」

 

「サイドエフェクトでしょ。」

 

辻が生駒にそう言う。

 

「きよぽんのサイドエフェクト、俺知らんわ。」

 

「俺もぶっちゃけよく分からないっす。」

 

生駒に続いて、小荒井もそう言って口を尖らせた。

 

「まあ別に綾瀬川は言ってもいいって言ってたし言うけど…綾瀬川のサイドエフェクトは『情報の調律』だね。」

 

「「ちょうりつ?」」

 

生駒、小荒井の声が被る。

 

「目、耳、肌、鼻、口…五感から伝わる情報を脳で取捨選択してる。」

 

「「しゅしゃせんたく?」」

 

「…要するに、情報を絞ってるって事。耳から聞こえる情報をシャットアウトして、視覚に絞ったり、逆もできる。」

 

「…それと綾瀬川先輩の回避能力になんの関係があるんでしょう?」

 

尋ねたのは笹森だった。

 

「…人間の脳が100パーセント使えない…ってのは知ってる?」

 

辻が笹森に尋ねる。

 

「?」

 

「人間は脳を約10パーセントしか使ってないって言われてる。…でも綾瀬川のサイドエフェクトを使えば別。視覚と嗅覚、聴覚なんかは同じ脳を使ってる。…後頭葉だね…そこを視覚だけでフル稼働できる。視覚以外の情報をシャットアウトできるから。ある一定の情報に絞ることで後頭葉で処理する情報を視覚に絞れるんだ。」

 

生駒、小荒井は既に着いていけずにいた。

 

「つまり…視覚に脳を集中することで…100パーセントに近いパフォーマンスを発揮できる。」

 

「つまり…?」

 

「…他の五感をシャットアウトする代わりに、綾瀬川は視覚の強化、聴覚の強化…菊地原くんと同じこともできるってこと。」

 

「っ…。」

 

笹森は息を飲む。

 

「回避能力の秘密は…?」

 

「あれは応用らしいよ。情報を微調整して絞ってる。情報ってのは五感だけじゃない。記憶もそうだ。過去の戦闘経験やログを戦闘中に記憶から持ってきて、視覚や、聴覚からの情報と併せて、相手の攻撃を予測する。それが綾瀬川の情報処理と合わされば…未来予知に等しい、未来演算になる。」

 

「なるほど…わからんわ。」

 

生駒はそう言って匙を投げた。

 

「聞いた俺もよく分かってないですよ。」

 

「そんな事可能なんですか…?」

 

笹森が尋ねた。

 

「可能なんでしょ。平気で俺の弧月の動き読んでくるし。…正直、本当に可能なのかは俺も分からないな。でも現に太刀川さんの太刀筋を見切り始めてる。ROUND4で俺の幻踊が通じたのは本当に奇跡だよ。綾瀬川が油断してたのと、幻踊を1度も見せたことが無かったから。…俺はこの勝負綾瀬川が勝つと思う。1本目で太刀川さんの太刀筋を見ちゃったから。ログも見てるだろうし。1度覚えられたらもう終わりだ。村上先輩のサイドエフェクトよりタチが悪いよ。詰み…だよ。

 

 

…あの怪物の前じゃね。」

 

──

 

「どうした?NO.1。手、抜いてるのか?」

 

綾瀬川に高速に、何度も振り下ろされる太刀川の剣撃。

それを綾瀬川は顔色一つ変えずに、弧月で受ける。

 

「っ…舐めんな、こっからだろーが…。」

 

鍔迫り合いの後、綾瀬川の弧月を上に弾き、がら空きのボディに、蹴りを入れる。

 

「へぇ、今までにない情報だ。」

 

綾瀬川は地面に手を着いて、一回転すると、着地して弧月を構える。

その時には太刀川は綾瀬川の懐に切り込んでいた。

 

 

「さすがNO.1ですね。」

 

 

そのまま綾瀬川のトリオン体は真っ二つに切り裂かれた。

 

 

 

──2-1、太刀川リード。

 

 

 

(こいつ…やっぱり…。)

「見てやがるな…?」

 

太刀川が綾瀬川に尋ねる。

 

「どんどん俺の剣が見切られ始めてやがる。後出しジャンケンでもしてやがんのか?…お前のサイドエフェクトか?」

 

「…ご名答。オレは今のあんたを知らない。過去数回の模擬戦の記憶とログの情報しかないからな…。盗ませてもらう。」

 

そう言って綾瀬川は弧月を構え直す。

 

「ハッ!そんなもんテメーが見切る前にぶった切りゃいいだけの話だろーが。」

 

太刀川は先程よりもギアをあげて綾瀬川に切り掛る。

 

 

 

 

 

「後、忘れがちなのは…綾瀬川はサイドエフェクト無しでも滅茶苦茶強い。剣術、体術…他のトリガーもボーダートップクラスじゃないかな。」

 

 

 

 

 

 

「っ…?!」

 

綾瀬川に切り込んだ太刀川。

しかし、綾瀬川は深く沈みこんで太刀川の弧月を避けると、そのままの体勢で、太刀川の足に切り込んだ。

 

「…ぶねえ…油断も隙もねえな…!」

 

太刀川は飛び退いて避けると弧月を綾瀬川に振り下ろす。

綾瀬川はそれを弧月で受け止めると、太刀川の腹に蹴りを入れる。

 

「ワンパターンなんだよ。」

 

太刀川はそれを左腕で受けて、衝撃を弱めると、横凪に弧月を振る。

 

 

「ワンパターンでいいんだよ。勝てるからな。」

 

 

綾瀬川は左から右へ振られた弧月を仰け反って避けると、そのまま太刀川の懐に潜り込み、弧月を持つ腕を掴む。

 

「っ?!」

 

「もうあんたの剣は当たらない。弧月が無くても避け切れる。」

 

太刀川に顔を近づけてそう言うと、太刀川と距離を取りながら、腕を切り落とした。

 

「利き手じゃない方でオレの弧月は捌けないだろ?」

 

 

「ヤロォ…。」

 

 

──

 

「綾瀬川が太刀川さんの剣に対応し始めたね。」

 

「やっぱり弧月1本じゃ勝てないっすかね〜。」

 

小荒井が口をとがらせてそう言う。

 

「太刀川さんは弧月1本でも十分強いやろ。現に俺より強いさっきの新入りに勝ち越してるやろ?」

 

生駒は居合の名手。

ボーダーでもトップクラスの弧月強いだ。

 

「多分これからもっと開く。これからだよ、綾瀬川が怖いのは。」

 

 

──

 

「っ…ハハッ…!」

 

──4-3、綾瀬川リード。

 

太刀川がリードしていた展開は一転し、綾瀬川が逆転を果たした。

そして、あと1ポイントで綾瀬川の勝利が確定する。

 

そんな状況でも太刀川は笑みを浮かべていた。

 

「つえーなぁ!綾瀬川!!」

 

そう言って太刀川は綾瀬川に切り込むが、鋭い突きに、肩を切り裂かれる。

 

「それだけ強くてなんで本気でやらねえんだよ?!」

 

太刀川は肩からトリオンが吹き出るのをお構い無しに突き進み、そのまま綾瀬川の腕を掴む。

 

「テメー程強かったら俺から総合1位の座だって奪えんだろーが…何で戦わねぇ…?」

 

乾いた笑みで綾瀬川に尋ねる。

 

「オレは生憎あんたと違って戦闘狂じゃないんですよ。」

 

「嘘だな…。テメーは戦いが好きだ。俺と同じだよ…。じゃなきゃこんなに強くねえだろーが!」

 

そういいながら太刀川は綾瀬川の腕を手繰り寄せ、弧月を振り下ろす。

しかし、綾瀬川は振り下ろされる弧月を、太刀川の腕を掴んで止める。

 

「お前の剣から伝わってくるぜ…強者を求める心の叫びが…。俺がその剣ごとぶった切ってやるよ…!」

 

綾瀬川はそのまま腕を手繰り寄せて、太刀川の顔に手を近づけた。

 

 

 

 

 

 

 

「あんたじゃ無理だ。あんたにオレは葬れない。」

 

「っ?!」

 

 

 

 

間近で見る綾瀬川の無機質な瞳。

太刀川は息を飲む。

 

「ハッ…!」

 

しかし、すぐに笑みを浮かべて、綾瀬川に頭突きをする。

 

 

「見限ってんじゃねえよ馬鹿が。」

 

 

太刀川の剣を学習し、太刀川を圧倒する綾瀬川。

 

 

「俺だってテメーの剣とはあの時の敗戦から何度もイメージで戦ってんだよ。勝った気でいるんじゃねえよ。」

 

そんな綾瀬川に対して、そう言って太刀川は笑みを浮かべると、唇を舐める。

 

「お楽しみはまだまだこれからだろーが。余計なこと考えんな…。

 

 

 

…俺との戦いに集中しろ…俺との戦いを楽しみやがれ…!」

 

 

「!」

 

太刀川の剣撃は更にスピードを増し、鋭くなる。

 

 

綾瀬川は目を見開き、すぐに弧月で受け、飛び退くが、避けきれなかった弧月が、綾瀬川の腕を捉え、トリオンが漏れる。

 

 

 

「…なるほどな。ログや、記憶だけじゃ分からない事もあるらしい。」

 

 

 

そう言って綾瀬川は腕から漏れたトリオンを手で拭った。

 

「太刀川さん…

 

 

 

 

…あんたはオレに敗北を教えてくれるのか…?」

 

そう言って綾瀬川は無表情のまま、人差し指を立てると、挑発するように動かす。

 

それを見て、太刀川は怒りもせず、ただ好戦的な笑みを浮かべた。

 

 

「…おもしれえ…!!」

 

 

 

そしてついに、勝敗を分ける一撃が振り下ろされる。

 

サイドエフェクトにより見切られた太刀川の弧月。

それらを避け、綾瀬川の弧月は太刀川の右腕を捉え、切り落とす。

だが、太刀川は左手に持ち替え、弧月を振る。

 

「終わりだ。そっちの腕でオレに勝てると思ってるのか?」

 

トリオンが漏れ、ボロボロの手。

指は数本落ち、握るのもままならなかった。

 

綾瀬川は手首から下を切り落とす。

 

 

 

 

「終わってねえよ、バーカ。」

 

「っ…ちっ…!」

 

太刀川は、肘の間で弧月をキャッチすると、綾瀬川に飛び込んだ。

 

正真正銘、最後の攻撃。

そしてお互いの弧月がぶつかりあった。

 

 

 

 

 

 

「ハハッ…

 

 

…アハハハハッ!!

 

 

 

…バケモンが。」

 

 

そのまま太刀川のトリオン体にひびが広がり始める。

 

 

 

「…猛獣(あんた)に言われたく無いな。」

 

そう言った後、ちぎれかけていた、綾瀬川の左腕が落ちた。

 

 

綾瀬川の左胸目掛けて迫る、太刀川の決死の刃を綾瀬川は弧月を持つ右手では間に合わないと判断し、左腕で外に逸らした。

その結果、左腕の伝達系は切断。

しかし、逸らすことに成功。

そのまま太刀川に弧月を振り下ろした。

 

 

 

「…楽しかったですよ、太刀川さん。」

 

「ハッ…だったら少しは表情変えやがれ、マネキン野郎。」

 

 

そのまま太刀川は光の道筋を残し、緊急脱出。

 

 

NO.1攻撃手VS怪物の模擬戦は、無機質な怪物の勝利で幕を閉じた。




各キャラからの印象&各キャラへの印象

太刀川慶→俺との戦いを楽しみやがれ。バケモン。
辻新之助→やってらんねー。いつか超える。友人。

太刀川慶←戦闘狂。強い。楽しかったのは割と本音。
辻新之助←ライバル。優秀な攻撃手。友人。


綾瀬川の未来演算とかのメカニズムはこんな感じです。
常人じゃ処理できません。

綾瀬川のことは歩くコンピューターだとでも思ってもらえればいいと思います。
高性能レンズ(目)とマイク(耳)付きの。
綾瀬川以外は多分使いこなせません。

感想、評価等お待ちしております。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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