──5-3、模擬戦終了。勝者、綾瀬川。
そんな機械音が響き、モニターにも綾瀬川の勝利が表示された。
「本当に勝つとはな…。」
冷や汗を浮かべながら嵐山がそう言った。
「っ…。」
木虎は俯く。
分かっていた。
綾瀬川の本性を見たあの時から。
常人離れした技術。
そして何より、敵に対して一切の躊躇いを見せない冷酷さ。
自分が一方的にライバル視しているが、綾瀬川は自分など眼中に無いのだろう。
今の木虎が太刀川に勝つのは無理だ。
見せつけられた実力差。
「うえ?!まじで綾瀬川と太刀川さんやってるじゃねえか!」
「てかもう終わってない?!」
「まじかー…。」
そんな空気を壊すように、3馬鹿の間の抜けた声が響いた。
──
「おかえりなさい、清澄先輩。」
仮想空間から戻ってきたオレを労ったのは、虎太郎だった。
「…ああ。」
「本当に勝っちゃうなんて…さすが清澄先輩ですね!」
そう言って虎太郎は、無邪気に笑う。
可愛いやつだな。
「ま、ブレード1本縛りだからな。」
そう言ってオレは立ち上がると、虎太郎の頭を撫でる。
…目立ちすぎただろうな。
そう言ってオレはゆっくり部屋の扉を開けると、ランク戦ブースは多くの人間がごった返しており、オレと太刀川さんの戦闘を見て、興奮していた。
「虎太郎。オレは帰る。…伝言頼めるか?」
「はい?」
──
ゾワリと。
その何も映していない様な無機質な瞳を見た瞬間、全身の毛が逆立つような悪寒に襲われた。
その直後に、太刀川慶の身体は緊急脱出用のベッドに投げ出された。
「…ちっ…。」
舌打ちした後、太刀川慶はゆっくりと起き上がる。
「お疲れ様です。太刀川さん。」
「最後惜しかったっすねー!」
そんな太刀川の元に、笹森と小荒井が近付いてくる。
「太刀川さんに勝つなんてきよぽんやばいなー。次きよぽんの所とやるんやけど…どないしょ。」
「うちもですよ…。」
「うっしゃ、次は俺や。」
そう言って生駒は綾瀬川のいる部屋に、模擬戦の申請を送ろうとする。
「待て生駒。」
そんな生駒に太刀川が待ったをかけた。
「…もう一回俺がやる。」
「えー!ズルですやん!」
「やるったらやる。リベンジだぜ…。」
「あ、あのー…。」
そんな生駒と太刀川に恐る恐る話しかけたのは、綾瀬川と同じ部屋で観戦していた、巴虎太郎。
「清澄先輩帰っちゃったんですけど…。」
「「あ?」」
「で、伝言預かってて…。
…偶然だよ偶然。旋空やそれこそサブトリガーの弧月ありだったら太刀川さんが勝ってた。…だそうです。」
「…あ?」
──
『清澄先輩、今どこですか?』
虎太郎からの電話を取ると、虎太郎はヒソヒソ声でそう尋ねた。
『作戦室に向かってるが…何かあったのか?』
『太刀川さんが清澄先輩の事血眼で探してますよ。』
『は?伝言は?』
『伝えましたけど…怒るに決まってるじゃないですか。』
『…まじ?』
『まじです。生駒さんとか米屋先輩達も巻き込んで一緒に探して『おっ、虎太郎…電話の相手は綾瀬川か?』あっ、ちょ太刀川さ…』
虎太郎の声が遠くなる。
『よぉ、綾瀬川。何帰ってやがんだ?ああ?』
『いや、模擬戦終わったんで。』
『終わってねえよ。誰が1回なんて言ったんだ?』
『…』
これだから戦闘狂は…。
『これだから戦闘狂は。』
『あ?』
やべ、声に出てた。
『まあいいや。伝言預かったぜ?お望み通り次はフル装備でぶった切ってやるよ。みんなで探してるからよ…せいぜい逃げ切れよ。』
そう言って通話は切れた。
「おい、この近くで綾瀬川見なかったか…?」
そんな声が聞こえた気がして、オレは咄嗟に自販機の裏に隠れた。
米屋の声だ。
「綾瀬川ここ通んなかった?」
出水の声も聞こえる。
「おい、綾瀬川を見なかったか…?」
…ん?この声…
…二宮さんじゃないか?
「…どうやって釣ったんだ?」
「あっ!ししょー!!」
次の瞬間、自販機を指さして黒江が駆け寄ってくる。
「やべ…。」
そう言ってオレは駆け出す。
「!、ししょー!なんで逃げるんですか!!」
そんな声を他所に、オレは角を曲がる。
だって後ろに太刀川さんいるから。
二宮さんも走ってる。
レア過ぎて写真撮りたい。
曲がり角。
その先には何やら資料を持った、A級2位、冬島隊オペレーター、真木理佐が立っていた。
「丁度いいところに。これからあんたの所に行こうと思ってた。」
よく見ると、すぐ近くには冬島隊の作戦室が。
「今日こそは口説きおとしてやるから。逃がさないよ。」
「…聞いてやるから匿ってくれないか?」
「…はい?」
──
「よう、真木…。綾瀬川がどっちに行ったか分かるか…?」
太刀川は真木にそう尋ねた。
「…20歳にもなって廊下走り回るなんて…馬鹿じゃないの?」
その言葉は、太刀川の後ろにいた二宮にも刺さり、二宮は何も言えなくなる。
「さっきここ走って行ったよ。出口の方向だから帰ったんじゃないの。…あいつ何したの?」
「俺に勝ち逃げしやがったんだよ…ぶった斬る。」
「…へぇ…。ま、とにかくどこに行ったかは分からない。邪魔だから散ってくれる?」
「行ったよ、あの馬鹿共。」
「それには二宮さんも入ってるのか?」
太刀川達を見届けた後、冬島隊の作戦室に戻った真木に、綾瀬川はそう尋ねた。
「助かった…。」
「じゃあ約束通り。」
そう言って真木は綾瀬川の前に座り、資料を広げる。
「聞いてって貰うよ。あんた模擬戦で太刀川をボコったんだって?」
そう言って笑みを浮かべ、真木は髪を耳にかけた。
──
玉狛支部
「えー?!ヒュースくんもうB級になったの?!」
そう声を上げたのは、玉狛支部オペレーター、宇佐美栞だ。
「ああ。」
「すごいすごい!最速記録じゃない?」
「当然だ。…そのついでに何人かの正隊員と手合わせしてきた。」
「へえ、だれと?」
そう尋ねたのは空閑遊真。
「名前はうろ覚えだが、コアライ、ミウラ、ササモリ、トモエ、イコマとアヤセガワとタチカワだ。」
「結構戦ってきたね…。」
「む、あやせがわせんぱいと、たちかわさんとやってきたのか。」
「ああ。シオリ、アフトクラトルの遠征チームに老人の剣士がいただろう。」
ヒュースは宇佐美にそう尋ねた。
「戦ったのはアヤセガワか?」
「ヒュースくん、一応捕虜って自覚ある?ま、これくらいは誰でも知ってるからいいか。…そうだよ。」
「やはりか。」
そう言ってヒュースは考え込む。
「何かあったのか?」
三雲修が尋ねた。
「…俺の剣を見切っていた。」
「!」
「…問題ない。今回はあくまで手合わせ。下見だからな。…そっちはどうだったんだ?次の対戦相手…エノサワとの模擬戦は。」
ヒュースが空閑と三雲に尋ねた。
「完敗だったよ。6-4で俺の負け。」
そう言って空閑は口を尖らせる。
「攻撃手と榎沢ちゃんは相性悪いからねー。4本も取れたならすごいよ。」
宇佐美はそうフォローする。
「いやいや、前半はメインしか使ってなかったから…手、抜かれてた。4本取れたのはそのおかげ。最初からやる気だったら1本も取れてなかったかも。」
「ハンドガンでの早撃ちに、ハウンドが加わって手強くなったからねー。火力も二宮さん並みだし。」
「ROUND6まで時間が無い…。ヒュースもボーダーのトリガーに少しでも慣れておいてくれ。」
「無論だ。」
──
『皆さん、こんにちは!海老名隊オペレーターの武富桜子です!B級ランク戦ROUND6上位、昼の部!元気に実況していきたいと思います!』
あっという間に時は流れ、ROUND6当日がやって来た。
『実況席にはROUND5に引き続き、太刀川隊射手出水先輩、そして嵐山隊万能手の木虎隊員をお招きしております!』
『『どうぞよろしく。』』
『なになに、やっぱ木虎は綾瀬川のランク戦が気になる感じ?』
『…スケジュールが空いていただけです。』
木虎は出水の言葉をそう一蹴する。
『ROUND6上位昼の部は柿崎隊、二宮隊、生駒隊の三つ巴対決になります!解説のお2人から見て見所はどこだと思いますか?』
武富が尋ねる。
『ま、色々あるけど…柿崎隊と二宮隊の対決は気になるかな。二宮さんも柿崎隊…て言うか綾瀬川にはやられっぱなしだから柿崎隊から直接点を取りたいだろーし。』
『なるほど…。木虎隊員はどうでしょう?』
『私も概ね同じです。…そこに生駒隊がどう介入するかだと思います。』
『…なるほど。MAPの選択権は生駒隊にあります。果たしてどのMAPが選ばれるとでしょうか…!』
ガロプラを退けたボーダー。
そんなボーダーに、ランク戦の日常が戻って来た。
B級ランク戦ROUND6
昼の部 柿崎隊VS二宮隊VS生駒隊
夜の部 影浦隊VS諏訪隊VS玉狛第二VS王子隊
各キャラからの印象&各キャラへの印象
太刀川慶→勝ち逃げしやがって…ぶった斬る。
木虎藍→強い。ライバル視。
真木理佐→口説き落としてやる。
太刀川慶←戦闘狂。
木虎藍←何かいつも機嫌悪い。オレなんかした?
真木理佐←恩人。話は聞く。
ちなみに黒江は普通に師匠を見つけて声をかけただけ。
逃げられて泣いてると思います。
原作ではROUND6は玉狛は昼の部なのですが、マッチアップが変わったので、夜の部にしました。
感想、評価等お待ちしております。
幕間何読みたいんじゃワレェ!
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誰かの独白。多分榎沢か三輪。
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掲示板形式のやつ。(作者無知)
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日常小話。
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if(綾瀬川VSボーダー)
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住民税高すぎ。