白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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宇井ちゃんの独白ですね。
どうぞ。


幕間 宇井真登華の独白 〜笑顔〜

 

こんなに表情が変わらない人っているんだなぁと。

先輩との初対面で私が抱いた感想はそれだった。

ピクリとも吊り上がらない口角。

何よりその無機質で、ビー玉のような瞳。

 

それは時が経っても一緒。

 

試合に勝った時。

負けた時。

美味しい焼肉を食べた時。

B級のトップに立った時だってそう。

 

 

この人が笑うのはどんな時なんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…誰の隣で笑うんだろうか。

 

 

 

 

──

 

 

「結局真登華ちゃんってさ…

 

 

 

…綾瀬川くんとどうなの?」

 

 

ROUND8、最終戦を終えて2週間。

どら焼きを齧りながらそう尋ねてきたのは私の先輩であり、師匠の嵐山隊オペレーター、綾辻(あやつじ) (はるか)だった。

 

「どうって…?」

 

「またまた〜。噂になってるよ?」

 

「噂?」

 

「うん。話題の天才万能手、綾瀬川清澄は後輩のオペレーターと毎日一緒に帰ってるとか、学校でも一緒にいるのを見た、とか、ボーダー帰りにデートしてるとか。」

 

「デートって。一緒に帰ってるのはザキさんが帰り道危ないから一緒に帰ってやれって清澄先輩に言って、帰り道途中まで一緒だから一緒に帰ってるだけですよ。学校はボーダーの用事の伝言だったり、勉強教えてもらったりですよ。それにほら、ヒカリ先輩と清澄先輩仲いいんで。それにデートって言うかただ帰りにご飯食べに行っただけですよ?…あ、それで思い出した。聞いてくださいよ、綾辻先輩、この前清澄先輩と防衛任務帰りにご飯食べに行ったんですけど。」

 

「うんうん。」

 

「清澄先輩、タピオカ飲んだこと無かったんですって。だから試しに飲んでみようってなって飲んだら、タピオカが喉に飛び込んだみたいで…人が大勢いる前でむせて…ぷっ…ふふ…、ダメだ、思い出しただけで笑える…!」

 

「綾瀬川くんがむせるって…何その絵。私も見てみたい。」

 

「その写真ありますよ。」

 

そう言ってタピオカを持ってツーショットの写真を見せる。

清澄先輩はむせたあとの為、少し涙目だ。

 

「あ、これ猫カフェ行った時の写真です。」

 

猫をまじまじと見る清澄先輩の写真を見せる。

 

「へー、綾瀬川くん猫カフェとか行くんだ。」

 

「隠岐先輩んちの猫の写真見たらしくて。触ってみたいって言ってたんで。」

 

「…へー。」

 

そう言って綾辻先輩は含みのある笑みで私を見つめる。

 

「…何ですか?」

 

「いや、仲良いなって思って。最初は1人増えて私に不安そうに相談してきたのに。」

 

「さ、最初は…まあ…。でも今は面白くて頼りがいのある先輩です。」

 

口にすると恥ずかしい。

 

「ふふ、良かったぁ。」

 

「何がですか?」

 

「ほら、柿崎さんの隊を真登華ちゃんに薦めたの私だし。今じゃB級1位のオペレーターだもんね。師匠として鼻が高いなって。」

 

「ま、まだまだですよー。清澄先輩に頼ってばっかだし…。これからも色々教えてください…。」

 

「もちろん。でも凄いよねー。綾瀬川くん。あの二宮さんに勝っちゃうんだもん。」

 

綾辻先輩は続ける。

 

「今度ボーダーの高2組何人かでチーム戦やろうって話になってさ。ほら、里見くんとかスカウト旅で暫く会えなくなるじゃない?私綾瀬川くんが隊長やる隊のオペレーターやる事になってるんだよねー。」

 

「あー、なんか清澄先輩そんな話してたかも。だから私に清澄先輩の事聞いてきたんですか?」

 

「それもあるけど…謎じゃない?綾瀬川くんって。」

 

「謎…ですか?」

 

「うん。まずあの三輪くんと仲良いってだけで謎だよね。」

 

三輪先輩。

A級三輪隊の隊長であり、清澄先輩が1番仲のいい先輩だ。

清澄先輩は三輪先輩の紹介で柿崎隊に入ってきた。

 

「綾瀬川くんと話してる時って三輪くんたまに笑うんだよねー。」

 

「へぇ⋯。」

 

失礼な話だがあの三輪先輩が笑ってるところは想像つかない。

 

「清澄先輩は笑わないですけどね。」

 

「確かに見たことないかも。笑わない同士気が合うのかな?…でもそれがミステリアスでいいって言う人が多いんじゃない?」

 

「…そうなんですか?」

 

「うん。知らないの?綾瀬川くんって結構女子隊員とか、オペレーターに人気なんだよ?」

 

「えぇ?!」

 

私は勢いよく立ち上がる。

 

「あの天然KY表情筋死んでる清澄先輩がですか?」

 

「酷い言い草だね…。ほんとだよ?何より強いし。夏凛ちゃんとか最近よく綾瀬川くんのこと聞いてくるし。歌歩ちゃんもこの前綾瀬川くんと初めてお話したって喜んでたよ。」

 

「あー…結束先輩は私のところにも来ました。三上先輩は分からないけど結束先輩はそう言うのじゃない気がします。」

 

「私もそう思う。それにほら、綾瀬川くんって結構イケメンじゃない?」

 

「イケメン?清澄先輩が?」

 

「そうそう。ボーダーのイケメンランキング5位にいたよ。」

 

「…なんですか?そのランキング。」

 

「出処は私もわかんない。あ、根暗ランキングにもいた。」

 

「それは分かります。」

 

そう言って私は考え込む。

 

 

…そっか。

 

清澄先輩って結構モテるんだ。

確かにイケメンと言われればイケメンな気がする。

強いし、KYだけど気は利くし優しい。

私のワガママに付き合ってくれるし面倒見もいい。

勉強はまあ私に教えるくらいにはできるし、運動もできる…はず?

 

あれ?清澄先輩ってハイスペックなんじゃ…?

 

それに清澄先輩は結構異性との関わりもある。

小南先輩や、加古さん、ヒカリ先輩。

その隣にいる清澄先輩を想像する。

 

いや、よくある光景だな。

 

 

綾辻先輩と別れたあと、そんなことを考えながら作戦室に着く。

 

 

「…あれ?清澄先輩いるじゃん。」

 

作戦室にはソファに腰掛ける清澄先輩が。

 

「清澄先輩…?」

 

近付くも返事は無い。

代わりに規則的な息遣いが聞こえる。

 

「…寝てる。」

 

目の前には何やら資料が広げられている。

 

「…」

 

私はそれとなく清澄先輩の隣に座る。

 

別にやましい気持ちがあるわけじゃない。

 

誰にでもない言い訳をするがそれは本当だ。

 

…ただ気になるのだ。

 

 

私はそっと清澄先輩の顔に手を伸ばす。

そしてほっぺを両手でつまむと上にあげる。

 

 

「…あ。」

 

 

瞬間、清澄先輩と目が合う。

 

「…何やってるんだ?」

 

「き…」

 

「き?」

 

 

 

 

 

「きゃぁぁぁ!!」

 

 

 

 

そして私は清澄先輩の頬を思い切り叩いた。

 

 

 

 

 

「…ほんと…ごめんなさい、清澄先輩。」

 

「いや別に。あそこで寝てたオレも悪いだろ。…で?オレの頬をつまみ上げて何がしたかったんだ?」

 

「えっと…その…」

 

恥ずかしさのあまり私は目をそらす。

 

 

なんてことは無い。

私がやりたかった事はただ1つ。

 

清澄先輩の頬をつまみ上げて強制的に笑顔にしたかっただけだ。

 

…あれ?これ説明したら私かなりやばいやつじゃない?

 

 

 

「…なんでもないです…。」

 

「?」

 

「そ、それよりそれは?勉強ですか?」

 

「まあな。前にも言ったろ?今度同級生何人かでチーム戦をすることになったんだ。どう言うわけか隊長にされてな。色々作戦を考えてるところだ。」

 

「そういえばどんなメンバーなの?」

 

「オレの隊の1回戦目のメンバーはオレと綾辻、里見と隠岐だな。」

 

「普通に強そう。」

 

「まあ悪くないメンバーだが…相手に天敵がいるからな。」

 

清澄先輩はそう言って考え込む。

 

「天敵…ですか?」

 

「ああ。奈良坂だ。1km先から当ててくる。意識外からの狙撃はさすがに演算しきれない。」

 

「…もしかしたら弱点バレちゃうかもですね。」

 

「ああ。どうにかなればいいんだけどな。」

 

「…ふーん…。」

 

──

 

清澄先輩は最近各マップの射線を調べてるらしい。

ザキさんがそう言っていた。

きっと1人でどうにかしちゃうのかな。

 

そう思うとちょっと寂しい。

 

 

「ね、ねえ清澄先輩。清澄先輩の弱点だって言う意識外からの狙撃なんだけどさ…。仮に私が清澄先輩のいる位置からの射線を全部把握しといて清澄先輩に伝えればどうかな?」

 

気付いたらそう口にしていた。

 

「それは願ってもない話だが…かなりの手間だぞ?把握しきれるのか?綾辻だって全部は把握してないだろ。」

 

「射線管理が綾辻先輩より上手い人は私の前にいるからね。」

 

「…」

 

「清澄先輩、私に射線管理、教えてくださいっ!」

 

私は清澄先輩に頭を下げる。

 

「はあ…分かった。やるからには徹底的にだぞ?」

 

「!…はいっ!」

 

きっと私は悪い顔をしてる。

清澄先輩に色々2人きりで教えて貰える。

それに清澄先輩の役に立てる。

 

 

一石二鳥だ。

 

そう考える私は悪い女なんだろうな…。

 

 

───

 

自覚したのは本部長の命令で、玉狛にあるというブラックトリガーを守ると言う任務を受けた時だった。

清澄先輩は何故か不参加となる。

 

しかし、清澄先輩は現れた。

 

城戸派最強の刺客として。

 

 

その圧倒的な強さはまさに圧巻だった。

 

嵐山隊、諏訪隊を瞬く間に緊急脱出させると、ブラックトリガーを使った迅さん、太刀川さんを圧倒。

ボーダー最強部隊と言われる玉狛第一も1人で手玉に取る実力。

 

目が離せなかった。

 

 

驚愕。

恐怖。

実力を隠していた事への憤り。

 

 

色んな感情が入り混じる中、1番強く感じたのは…

 

…かっこいい。

 

 

ザキさんも文香も色んな感情で清澄先輩の戦闘を見ていただろう。

私はモニターを見ながら興奮してた。

 

 

これが本当の清澄先輩。

 

表情を変えず、ただ淡々と敵を屠っていく。

 

いつもと同じ無機質な瞳だ。

 

 

 

 

 

…それを堪らなく愛しいと思ってしまった私はきっとどうかしてる。

 

 

 

 

───

 

季節は巡り、新シーズンがやってくる。

 

清澄先輩は相変わらずだ。

 

 

 

 

…ムカつくけど相変わらず女の人と仲がいい。

 

 

 

それでも…

 

 

『真登華、射線。』

 

『今やってる!もうっ!人使い荒いんだから!』

 

 

清澄先輩のオペレーターは私だけだ。

 

 

 

 

 

 

榎沢さんにも小南先輩でもない。

 

 

 

 

 

清澄先輩の笑顔を見るなら私の隣がいい。




宇井真登華→先輩。敬愛。

宇井真登華←後輩。信頼出来るオペレーター。替えの効かない駒。


書くかどうかは読者の皆様次第の17歳組チーム戦
計3試合

1試合目

綾瀬川1番隊

メンバー
AR 綾瀬川清澄
GN 里見一馬
SN 隠岐孝二
OP 綾辻遥


佐伯2番隊

メンバー
AR 佐伯竜司
AT 米屋陽介
AT 辻新之助
OP 氷見亜季


那須3番隊

メンバー
ST 那須玲
SN 奈良坂透
GN 若村麓郎
OP 三上歌歩


三輪4番隊

メンバー
AR 三輪秀次
ST 出水公平
AT 熊谷友子
OP 仁礼光



2試合目

綾瀬川1番隊

メンバー
AR 綾瀬川清澄
SN 出水公平
AT 熊谷友子
OP 綾辻遥


佐伯2番隊

メンバー
AR 佐伯竜司
AT 辻新之助
SN 奈良坂透
OP 氷見亜季


那須3番隊

メンバー
ST 那須玲
SN 隠岐孝二
AT 米屋陽介
OP 三上歌歩


三輪4番隊

メンバー
AR 三輪秀次
GN 里見一馬
AT 若村麓郎
OP 仁礼光


3試合目


綾瀬川1番隊

メンバー
AR 綾瀬川清澄
AT 熊谷友子
AT 辻新之助
OP 綾辻遥


小南2番隊(那須の体調を考えて急遽乱入)

メンバー
AT 小南桐絵
GN 里見一馬
AT 米屋陽介
OP 三上歌歩


佐伯3番隊

メンバー
AR 佐伯竜司
GN 若村麓郎
SN 奈良坂透
OP 氷見亜季


三輪4番隊

メンバー
AR 三輪秀次
ST 出水公平
SN 隠岐孝二
OP 仁礼光


こんな感じで考えてます。

書くかわからんけどw


感想、評価等お待ちしております。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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