白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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幕間です。


幕間 日常小話①(無機質なボーダー隊員の誕生日)

 

「清澄せんぱーい?どうして黙ってたんですかー?」

 

ハイライトの無い目でオレに詰め寄るのは、柿崎隊オペレーターであり、後輩の宇井真登華。

何故かオレは正座させられている。

 

「いや、聞かれなかったし…。」

 

「聞いてないですけど…チームメイトじゃないですか!」

 

「なんで教えてくれないんですか!」

 

真登華に加えて、虎太郎もオレに詰め寄る。

 

「いや、だから聞かれなかっ「だから、自分から言うっていう選択肢は無いんですか?!」」

 

「すいません…。」

 

オレは助け舟を求めるべく、柿崎に視線を向ける。

 

「今回ばかりは擁護できないな、清澄。大人しく夜食べたいもの決めとけ。」

 

「そうです!それで…これもつけてくださいっ!」

 

そう言って真登華はオレに襷をかける。

 

「は、おま、どこから出したんだ?これ。」

 

「いいから!」

 

そこにはこう書かれていた。

 

 

「本日の主役」

 

と。

 

 

今日は10月20日。

オレがこの世に生を受けて、丁度17年の日だった。

 

 

 

事の発端はこうだった。

 

「そう言えば今日、緑川が誕生日らしいですよ。ランク戦ブースで「本日の主役」って書かれた襷つけてました。」

 

虎太郎が課題を解きながらそう話す。

 

「へー。駿くん今日なんだー。」

 

真登華も課題を解きながらそう返した。

 

「ここ、途中式ミスってるぞ。」

 

オレは虎太郎の間違いを指摘してやる。

 

「えっ!?」

 

「…そういや前に三輪の誕生日を祝った時に次は俺の番とか言ってたな。…途中式はそれであってるぞ。」

 

「ありがとうございます。…そう言えば清澄先輩の誕生日っていつなんですか?聞いたこと無かったなーって。」

 

「あ、私も気になるー。」

 

「10月20日だな。」

 

「「ん?」」

 

「10月20日だ。

 

 

 

 

…ああ、今日か。駿と誕生日同じみたいだな、オレ。」

 

 

 

 

 

 

 

───その後何故か正座させられ、冒頭へ。

 

 

 

 

 

 

 

・三輪秀次の場合

 

「お前…この前俺の誕生日を祝ってくれただろう?なぜその時に言わない…?」

 

そう言いながら三輪はオレの胸ぐらを掴んだ。

 

「え、いや、別に聞かれなかったからな。」

 

「っ…お前…」

 

三輪は何かを言いかけてやめる。

そして、呆れたようにため息を吐いた。

 

「いや、お前はこういう奴だったな…。聞かなかった俺が悪い…か。…来い。」

 

そう言ってオレは三輪に自販機の前に連れてこられる。

 

「好きなものを選べ。」

 

「…いいのか?」

 

「当然だろう。俺の時もそうしてもらったからな。今日は柿崎隊で誕生祝いをやるんだろう?…だったら明日空けておけ。陽介達には俺が声を掛けておく。」

 

「あ、ああ。ありがとう。」

 

 

 

・3バカの場合

 

「「綾瀬川ー!」」

 

「あやせせんぱい!」

 

 

三輪と別れたあと、ラウンジに愉快な声が響く。

声の方向に視線をやるとそこには米屋、出水、そしてオレと同じ襷を付けた駿がいた。

 

「秀次から聞いたぜ、お前今日誕生日なんだって?」

 

米屋はオレに肩を組む。

 

「てめっ、なんで言わねーんだよっ!」

 

出水は米屋とは逆方向から肩を組んだ。

てか出水には言ったことあるような気がする。

 

「あやせせんぱい!俺も今日誕生日!祝って祝って!」

 

そして駿は正面からオレに飛びついて来た。

 

 

 

 

…騒がしすぎる。

 

 

 

その後何故か、

 

「綾瀬川、緑川を祝う誕生日ランク戦」なるものが開催。

通りすがりの隊員達がこぞって参加した。

 

米屋、出水曰く、

 

 

 

「「俺たちからの誕生日プレゼント。」」

 

 

らしい。

 

 

 

 

嬉しくない。

 

 

 

・小南桐絵の場合

 

玉狛支部

 

「そう言えば今日、綾瀬川先輩の誕生日らしいッスね。」

 

防衛任務から帰った烏丸京介はポツリとそう呟いた。

 

 

「…は?」

 

烏丸のその言葉に小南桐絵はキッチンで持っていた包丁を落とす。

 

「ちょ、こなみ、危ない。」

 

宇佐美栞は慌てて包丁を拾う。

 

「ちょ、とりまる、それホントなの?」

 

「?、はい。本部で緑川達と誕生日ランク戦してましたよ。なんでも今日は誕生日だから好きなだけ戦えるらしいです。」

 

「…多分綾瀬川くんそれ嬉しくないよね…。」

 

 

「…小南先輩知らなかったんですか?」

 

「き、聞いてないわよ!

 

 

…あ、あいつぅ〜!!」

 

 

 

 

 

・辻新之助の場合

 

「今日一日それ付けてるの…?」

 

弧月を交えながら、辻はオレの襷尋ねた。

 

「真登華に外したら殺すって言われた…。めっちゃ怖かった…。」

 

「ははは…。明日もそれ、付けてきてね。」

 

「明日はもう誕生日じゃないだろ…。」

 

「黙ってた綾瀬川が悪い。なんか欲しいものある?」

 

そう言って辻は体勢を低くして、切り込む。

 

 

「…ポイント。」

 

 

そう言って辻の弧月を避けると、辻の手を蹴り、弧月を落とさせる。

 

「っ…?!」

 

 

そしてそのまま、辻のトリオン体を切り裂いた。

 

 

 

・黒江双葉の場合

 

「綾瀬川先輩!誕生日おめでとうございます…!」

 

ランク戦の休憩中、黒江は行儀よく頭を下げた。

 

「…黒江か。ああ、ありがとう。」

 

「その…次は私が申し込んで良いですかっ?」

 

「構わない。」

 

「えー…双葉、次俺が予約してんだけどー。」

 

駿が唇を尖らせた。

 

「お前とは5回目だろ。譲ってやれ。」

 

そう言って出水が緑川の頭を叩く。

 

「ちぇー。双葉の次俺だからねー?」

 

 

 

『ランク戦終了。9-1、勝者綾瀬川。』

 

 

アナウンスがオレの勝利を告げる。

 

 

「ふう、また韋駄天の制御が上手くなってるな。」

 

「ありがとうございます!…その…なんかアドバイスとかありますか?」

 

「…そうだな…韋駄天は上手くなってる。後は剣術じゃないか?まあこれに関しては経験あるのみだからな。オレだけじゃなくて色んな奴とやってみるといい。お、丁度いい所に辻が…」

 

言いかけた瞬間辻は物凄い速さで逃げていった。

 

「ちっ、逃げたか…。」

 

「あの…これからも色々教わって良いですか…?」

 

黒江は目を逸らしながらそう尋ねる。

 

「構わないが…オレなんかでいいのか?」

 

「綾瀬川先輩が良いです!」

 

「まあ模擬戦に付き合うくらいなら。」

 

「!、よろしくお願いします!

 

 

 

 

…ししょー!」

 

 

「待て。その呼び方については異議がある。」

 

 

 

・柿崎隊の場合

 

「じゃ、清澄先輩の誕生日を祝ってー…カンパーイ!」

 

「「「乾杯!」」」

 

そう言ってジュースの入った紙コップを優しく合わせる。

 

「清澄先輩、誕生日おめでとうございます。」

 

そう言って文香が頭を下げる。

 

「ああ、ありがとう。」

 

「これプレゼントです。」

 

そう言って文香はオレに紙袋を渡した。

 

「…いいのか?」

 

「はい。お世話になってますから。如何せん急だったので喜ぶか分かりませんが。」

 

文香はジト目でオレにそう言った。

 

「悪かったって。…これは…?」

 

「包丁です。」

 

「…はい?」

 

オレは文香に尋ねる。

 

「お料理をされると聞いたので。」

 

「いや、すごい高そうなんだが。」

 

「?…安物を贈る訳にもいきませんし。」

 

 

そう言えば文香の家って…。

 

 

…これだから金持ちは。

 

 

「…大事に使わせてもらう。」

 

 

 

「私はちょっと待ってください!今度ちゃんとしたの用意しますから!」

 

そう言って真登華はオレの紙皿にピザを乗せる。

 

「…もうっ!もっと早く言ってくれれば今日に間に合わせたのにっ!」

 

「面目ない。でも、プレゼントなんて気にしないでくれ。気持ちだけで嬉しい。」

 

「…は?」

 

そう言って真登華は持っていたピザカッターをこちらに向ける。

 

「怖いって。」

 

「…真登華先輩って清澄先輩が絡むと性格変わりますよね…。」

 

「これに関しちゃ清澄が悪い。」

 

何故か頷き合う虎太郎と柿崎。

 

「にしてもこんなジャンクフードなんかで良かったのか?」

 

柿崎が作戦室のテーブルの上に並んだピザやチキンなどのジャンクフードを見てオレに尋ねた。

 

「最近ジャンクフードにハマってて。」

 

「太りますよー?」

 

返す言葉もない。

以前学校帰りに隠岐と里見に誘われて行った、某ハンバーガーチェーン店のポテトを食べてからジャンクフードにハマった。

そろそろ城戸さんに何か言われそうなので控えようと思っているが、誕生日くらいは別にいいだろう。

 

「まあお前がいいならそれでいいけどよ。つーか、ほんと、もっと早く言えよな…?買い出し大変だったんだぞ…?」

 

「すんません。…でも聞かれな…たうわっ!?」

 

真登華に脇腹を突かれる。

 

「来年はもっと早く言います。」

 

「誕生日は変わらないですからね…?」

 

 

こうしてオレの誕生日は過ぎて行く…

 

 

 

 

柿崎隊での誕生日パーティーが終わり、真登華を家に送った後、オレは帰路に就く。

 

 

帰り道、携帯のバイブが震えた。

 

 

『誕生日おめでとう。清澄にとっていい一年になることを祈っている。今度時間を作って食事でも行こう。』

 

城戸さんからメールが届いていた。

 

 

「…」

 

少し冷たくなってきた三門市の夜。

 

 

誕生日を祝われる経験など初めてだった。

 

 

オレは歯痒い気持ちを紛らわすように、帰路を急いだ。




ちなみに誕生日翌日の三輪主催の誕生日会の参加者は、

三輪、米屋、出水、緑川、里見、佐伯、仁礼、隠岐、三浦、熊谷、奈良坂、辻、です。
小南には数日後噛みつかれました。


各キャラからの誕生日プレゼント
柿崎:バスケットボール(今度やろう。)
照屋:包丁(料理すると聞いたので。)
巴:万年筆(清澄先輩に似合いそうな色でした!)
宇井:マフラー(これから寒くなるので。)
出水、米屋:ランク戦(好きだよな?)
緑川:ランク戦いつでもやってあげる券(同じの俺にもちょーだい!)
三輪:コート(風邪は引くな。)
小南:カレー(タッパーいっぱいに入れといたわ!)
隠岐:猫カフェサービス券(うちの猫見てや。)
城戸:お小遣い(と言うには大きな額。無駄遣いはしないように。)
辻:ハンカチ(恐竜の柄。)
黒江:弟子(ししょー!)

ちなみにイコさんから自作のバースデーソングを貰ったらしい。

感想、評価等お待ちしております。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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