白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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コロナの味覚への症状の影響か濃い味のものばかり食べている今日この頃です。
皆さんは私のようにコロナにならないように気をつけてくださいね。

さてさていよいよ決着です。


B級ランク戦ROUND7 VS影浦隊、生駒隊④

どうしよう…。

動かなきゃ…。

 

目の前では影浦先輩、生駒さん、そして清澄先輩による高レベルの戦いが繰り広げられている。

 

「隙だらけじゃねえか…!」

 

私が動かなきゃ…。

 

影浦先輩のマンティスが私の喉元目掛けてうねる。

 

ギンッ!!

 

それを清澄先輩の弧月が砕く。

 

「チッ!!」

 

「エスクード。」

 

私を囲むように清澄先輩のエスクードが展開される。

 

「旋空弧月…!!」

 

それを見越した生駒さんの旋空がエスクードに迫る。

 

「旋空弧月。」

 

しかしそれは清澄先輩の旋空に相殺された。

 

「バイパー。」

 

清澄先輩の目の前に張られたエスクードの影から生駒さん目掛けて放たれるバイパー。

生駒さんがシールドで受けている間に清澄先輩は影浦先輩に組み付いた。

 

 

 

…ダメだ。

私が完全に足を引っ張ってる。

清澄先輩は何も言わずに私を庇いながら戦ってくれているんだ。

 

…このままじゃ…。

 

でも…

 

 

 

勝てるわけない。

トップクラスのスコーピオン使いとトップクラスの弧月使い。

清澄先輩はそんな2人相手に私を庇いながら引けを取らずに戦ってる。

 

遠すぎる。

 

こんなの…普通に戦ってる清澄先輩がおかしい。

 

 

『文香、動けるか?』

 

『!』

 

『バイパーで2人まとめて狙う。どうにか隙を着いて虎太郎みたいに離脱させる。相打ちまで持ってけば生存点はうちに入る。生駒さんとカゲさんどっちかが生き残ってもお前は緊急脱出すればいい。』

 

『…私は…』

 

 

 

『どうする?文香。

 

 

…いや、エース。』

 

震えが止まるのが分かった。

 

『!』

 

 

腹が立つ。

 

いらない気を遣ってくる清澄先輩に。

 

 

 

…でもそれ以上に腹が立つのは清澄先輩にそんな気を遣わせた私に…だ。

 

 

思い出せ。

これまで特訓してきたことを。

 

 

『見くびらないでください。』

 

私は弧月とスコーピオンを構え直す。

 

 

『清澄先輩は生駒さんを。

 

 

 

 

…影浦先輩は私が倒します。』

 

『…分かった。頼むぞ。』

 

 

──

 

『さて、満を持して始まったエース対決は人数の差に反して柿崎隊が押されているか!』

 

『照屋ちゃんが気負いすぎてるわね。清澄くんがどうにかカバーしてるみたい。』

 

『なんで名前呼びなんですか?』

 

木虎は呆れたように尋ねた。

 

『だって下の名前だとKが入るじゃない?だからスカウトしても良いような気がしない?』

 

『知りませんけど…加古さんはそれでいいんですか?』

 

『ふふ、冗談よ。』

 

『…照屋先輩、動くみたいですよ。』

 

『これは、照屋隊員、影浦隊長に仕掛けるつもりか!』

 

『清澄くんが当たり前のように躱すから薄れがちだけど…影浦くんのマンティスはA級の頃から1対1の状況じゃほぼ無敵の技だったわ。照屋ちゃんに相手が務まるかしら?』

 

──

 

「エスクード。」

 

「「!」」

 

綾瀬川のエスクードが戦場を分断する。

 

生駒と綾瀬川、影浦と照屋。

1対1になるように分断された。

 

「…あぁ?綾瀬川のヤロー何考えてやがる。お荷物に俺の相手させる気か?」

 

「お荷物じゃありません!柿崎隊エース照屋文香です!」

 

そう言って照屋は弧月を構え直す。

 

「…」

 

今の照屋からは先程感じられた恐怖や不安の感情は感じられなかった。

ただ勝つと言う気迫のみ。

 

「…おもしれぇ。相手してやるよ…。」

 

──

 

「なんやなんや、きよぽんと1対1か?!」

 

「約束通り旋空対決…しましょうか?」

 

綾瀬川は抜刀の構えを取る。

 

「!…乗った。負けへんで…!」

 

そう言って生駒は距離をとる。

 

 

 

 

「「旋空弧月。」」

 

 

 

お互いの渾身の一振り。

 

弧月と弧月がぶつかり激しい火花が飛び散った。

 

 

──

 

『綾瀬川隊員のエスクードにより戦場が分断された!生駒隊長VS綾瀬川隊員!影浦隊長VS照屋隊員の一騎打ちとなった!』

 

『迷いは無くなったって感じの顔ね、照屋ちゃん。』

 

『…でもそれだけじゃ実力差は埋められませんよ…。』

 

──

 

影浦先輩のマンティスが絶え間なく繰り出される。

私はどうにか弧月で受け流すが防戦一方となってしまう。

 

 

 

 

 

(「俺相手でカゲさんのマンティス対策…か。それは構わないが本番相手にするなら気を付けろよ?あの人のマンティスは俺の覚えたてのマンティスとは格が違うぞ。」)

 

 

 

問題ない。

ROUND3での雪辱…影浦先輩に背中を見せてしまったあの時から影浦先輩のマンティスの鋭さは何度もログで見た。

 

捌ける。

 

 

連撃の隙を見て私は影浦の足元にメテオラのトリオンキューブを転がした。

 

「!」

 

影浦は飛び退きながらも連撃の手はやめなかった。

 

「メテオラッ!」

 

爆風が私と影浦先輩の視界を奪う。

 

 

「旋空弧月。」

 

 

私は爆風を切り裂くように旋空を放った。

 

──

 

「旋空弧月!」

 

生駒は抜刀の構えを取る。

 

綾瀬川が生駒と向き合ってからもう何度目かと言う光景だ。

 

 

綾瀬川は視覚情報を絞る。

生駒の視線、弧月の傾き具合。

 

 

…そして頭の中でこれまでの生駒との戦闘の経験を加味して生駒が旋空を放つであろうルートを演算する。

生駒が抜くよりも早く動き出す。

 

 

 

まるで軌道が見えているかのように生駒の旋空は綾瀬川の頭上スレスレを通り抜ける。

 

 

「アカンわ。当たる気せえへん。」

 

「バイパー。」

 

綾瀬川のバイパーが生駒目掛けて放たれる。

生駒は全面にシールドを展開する。

 

 

「エスクード。」

 

「!」

 

しかしバイパーと同時に下からせりあがった盾に生駒はバランスを崩す。

いくつかの弾を防ぐがいくつかの弾はシールドを無視して通り抜ける。

 

 

「旋空弧月。」

 

崩れた体。

どうにか起こして視線を向けると綾瀬川は弧月を振りぬこうとしていた。

 

「っ?!」

 

ノーモーションで弧月を振る。

どうにか旋空を放ち、旋空と旋空がぶつかり合った。

 

 

だが…

 

 

「後手後手やな。俺の負けや。」

 

先程生駒を無視して通り抜けたバイパー。

生駒の後ろで軌道を変えると生駒目掛けて引き返したのだ。

 

シールドも間に合わず生駒の体はバイパーに貫かれた。

 

 

──

 

 

 

「カゲさんのサイドエフェクトの対策?

 

 

 

…知るか。」

 

「え?でも清澄先輩は影浦先輩とのランク戦で普通に攻撃当ててますよね?」

 

「まあ俺はカゲさん相手には相性がいいからな。…まあ1つ言えるとしたら…

 

 

 

…あの人は感情が向けられた箇所が刺すように分かるらしい。なら簡単な話だ。攻撃するって言う感情を向けなければいい。」

 

 

 

 

 

 

簡単に言ってくれる。

 

でも清澄先輩ならきっと卒なくこなすんだろうなぁ…。

 

本当に敵わない。

心ではわかってる。

柿崎隊の絶対的なエースは清澄先輩だ。

ボーダートップレベルの回避能力、バイパーの腕、旋空の長さ、スコープを覗かない狙撃。

まさに万能手の理想形。

それだけじゃない、戦況を見通す戦略眼。予想外の事態に対する対応力。

どれをとっても私が勝てる所なんてない。

 

 

 

…でも…

 

 

柿崎隊のエースで在りたいという気持ちは清澄先輩にだって負けてない…!!

 

 

続けて旋空を放つ。

もちろん影浦先輩の事なんて見えてない。

影浦先輩のサイドエフェクトに対する対策…。

 

それは私と影浦先輩両方の視界を塞ぐこと。

影浦先輩に当たるかは分からない。

だけど今の私に出来ることはこれだけだった。

感情を消して攻撃するなんて私には無理だ。

 

爆風の煙の中2つの光が見える。

 

視覚支援の目の光だ。

 

渾身の攻撃だった。

でも敵わない。

これがボーダートップクラスの攻撃手の実力。

 

爆風を掻き分けてスコーピオンを振り回す影浦先輩の姿が映る。

 

 

凄い。

あの視界の中、サイドエフェクトが効かないあの攻撃を避けたんだ。

この局面で勝ちにいけるそんなエース。

 

私もこうなりたい。

私が最後に影浦先輩に向けた感情。

 

それは他ならない、『憧れ』であった。

 

 

そのまま私はスコーピオンに貫かれ緊急脱出する。

 

 

最後に目に映ったのは目を見開き、硬直する影浦先輩の姿であった。

 

 

 

…そして私のメテオラの置き玉が光り輝いた。

 

 

──

 

「照屋ちゃん…落ちたみたいやな。」

 

「そうみたいですね。」

 

オレの目の前で息を着く生駒さんのトリオン体に亀裂が入り始める。

 

「剣術には自信があったんやで?…ほんま化け物やな…きよぽん。」

 

「あなたとこれまで戦闘した経験があったからですよ。…おかげであなたの攻撃はほぼ完璧に演算できた。」

 

「なるほど。でもきよぽんとのランク戦はやめへんよ?楽しいからな。」

 

「いつでもお待ちしてますよ。」

 

そう言ってオレは弧月を振り抜く。

 

「…食堂のナスカレーおすすめやでー!!」

 

最後によく分からない事を言い残して生駒は緊急脱出した。

 

 

 

「…どうです?強いでしょ、うちのエースは。」

 

 

エスクードの影から這うように影浦が現れる。

両足、左腕が吹き飛ばされていた。

 

 

──

 

しくじった。

最後の最後だ。

 

俺のクソサイドエフェクトは敵の最後の感情をも感じ取る。

大抵の人間は「恐怖」「悔恨」だ。

どれもチクチクと突き刺さりやがる。

 

だがあの女から感じられた感情は『憧れ』。

 

初めての事に動揺した俺は置き玉に気付かず手傷を食らってしまった。

 

 

──

 

「…ハッ!まだまだ足りねえな。まだまだ弱ぇ。…だがおもしれぇ。今回はあいつの…あいつらの勝ちなんだろ。」

 

影浦のトリオン体はさらに亀裂が入る。

 

「てめえとやり合えなかったことが心残りだぜ。」

 

「それは文香に言ってください。あんたを落としたのは文香だ。」

 

「抜かせ。次はその余裕そうにひけらかした喉元かっ捌いてやるよ。」

 

影浦もここで緊急脱出。

 

 

 

混沌のB級ランク戦ROUND7はこうして幕を閉じた。

 

 

 

 

柿崎隊

 

 

柿崎 0P

照屋 1P

巴 1P

綾瀬川 2P

生存点+2P

 

合計 6P

 

 

 

影浦隊

 

 

影浦 2P

北添 1P

絵馬 0P

 

合計 3P

 

 

 

生駒隊

 

 

生駒 1P

水上 0P

隠岐 1P

南沢 1P

 

合計 3P

 




各キャラからの印象&各キャラへの印象

照屋文香→頼れるチームメイト。高すぎる壁。超えたい。、
生駒達人→ライバル。旋空仲間。笑わせるの諦めてへんからな。ナスカレーおすすめ。
影浦雅人→ライバル。良い奴。次は絶対サシで勝つ。


照屋文香←頼れるチームメイト。後輩。スコーピオンの弟子。
生駒達人←旋空仲間。面白い。ナスカレー今度食ってみます。
影浦雅人←ランク戦仲間。見かけによらずいい人。


感想、評価等お待ちしてます。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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