白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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幕間です。

こなせんと宇井ちゃんですね。


幕間 日常小話③ 〜無機質なボーダー隊員のバレンタイン その1〜

 

「あの…さ、清澄先輩って甘いもの好き?」

 

今シーズン、ROUND4。

相手は二宮隊、玉狛第二、東隊の3チーム。

 

その対策に向けた会議の後、柿崎隊オペレーター、宇井真登華はオレにそう尋ねた。

 

「…甘いもの?そうだな…まあ、甘すぎないものだったら。」

 

「ふ、ふーん。じゃあチョコレートとかなら少し苦い方が好きな感じ?」

 

真登華は追加でそう尋ねた。

 

「そうだな。前にスーパーにカカオが多く入ってるチョコレートがあったんだが…それくらいが丁度よかった。」

 

「へ、へー。」

 

そう言って真登華はメモ帳に何やら書き込む。

 

「ちなみに何パーセント?」

 

「確か72だった気がする。」

 

「72ね!」

 

そう言ってまた何かを書き込む。

 

「チョコレートの好みなんか聞いてどうするんだ?」

 

「別に何もー。じゃ、遅いし帰ろ?清澄先輩、虎太郎。」

 

「ああ。」

 

そう言って真登華は足早に出口に歩く。

それを見てオレは隣にいる虎太郎に視線を向けた。

 

「何だったんだ?」

 

「あはは、楽しみにしとけばいいと思います。」

 

「?」

 

 

──

 

「その…真登華、少しいいかしら。」

 

柿崎隊攻撃手、照屋文香は私に話しかけた。

 

「んー?どした?」

 

そう言って私は文香の隣に座る。

 

「その…そろそろバレンタインじゃない?」

 

「あー。ザキさんにあげるの?」

 

「そうなんだけど…。」

 

「いいんじゃない?毎年あげてるでしょ?」

 

そう言うと文香は私にジト目を向ける。

 

「え?何?」

 

「はぁ…真登華も清澄先輩にあげるんでしょ?」

 

「ま、まあ…。義理的な?」

 

「いや、隠さなくていいから。清澄先輩、ボーッとしてる割にモテるじゃない?」

 

酷い言い様。

 

「小南先輩、黒江さん…他にも清澄先輩にあげる人はいるんじゃない?」

 

「それは…そうかも。」

 

そう言って肩を落とす。

 

「落ち込んでる暇ないわよ、真登華。」

 

そう言って文香は私の肩に手を置く。

 

「1番美味しいチョコを渡して清澄先輩にアピールするのよ。」

 

「文香…もしかして私が毎年バレンタインの度に茶化してるの根に持ってる?」

 

 

 

その後冒頭へ。

 

 

 

──

 

・小南桐絵の場合

 

「…あ、綾瀬川。」

 

2月14日。

時刻は早朝8時30分。

B級ランク戦ROUND4を翌日に控えた綾瀬川に、本部基地入口の前で声がかかる。

 

「…びっくりした。…こんな所で何してるんだ?小南。」

 

綾瀬川に声をかけたのは、玉狛第一の攻撃手、小南桐絵だった。

 

「お前が本部にいるなんて珍しいな。」

 

「っ…。」

 

しかし、小南は何も言わずに俯いていた。

 

「?、どうしたんだ?」

 

綾瀬川はそう言って小南の顔を覗き込む。

 

「っ…こっ!これ…!!」

 

小南は思い切り顔を上げると、持っていた紙袋を勢いよく綾瀬川の前に差し出す。

 

「昨日の余りのカレーよ!勿体ないからあんたにあげるわ!」

 

「カレー?」

 

綾瀬川は小南から紙袋を受け取ると、中身を覗こうと広げる。

 

「そういう訳だから感謝して食べなさいよ!!」

 

そう言って小南は玉狛支部の方へ走って行く。

 

「?」

 

「感想…!聞かせなさいよ!」

 

小南は立ち止まりそう言うと、今度こそ走り出した。

 

「あいつ…オレが連絡通路使ってたらどうする気だったんだ…?」

 

寒空の下ずっと待つことになる。

綾瀬川はここを通って良かったと思いながら紙袋の中身を見た。

 

そこには小南の言った通りカレーの入った大きめのタッパー。

そして隠すように何やらラッピングされた箱が。

 

 

「これは…チョコレート…か?」

 

 

──

 

・宇井真登華の場合

 

「…という訳で小南にカレーと一緒にチョコの差し入れもらったんですよ。美味しそうなんで皆で食べません?」

 

柿崎隊作戦室に着いた綾瀬川は、作戦室で待っていた柿崎にそう提案する。

 

 

 

「清澄…お前マジか。」

 

 

 

柿崎は笑みを消した表情でそう言う。

心無しかドン引きしている。

 

「面白い顔してどうしました?」

 

「今日は2月の14日だぞ?」

 

「?…はい。明日ROUND4っすね。」

 

「っ…はぁ…お前…。頭良い癖になんでそんな世間知らずなんだ…?…いや、いいか。そのチョコは小南がお前のために作ったんだよ…。お前が1人で食え。」

 

柿崎は天を仰いで顔を手で覆い、疲れた様子でそう言った。

 

「?、分かりました。」

 

 

 

「清澄先輩。そのチョコ…小南先輩からですか…?」

 

 

後ろからの悪寒。

綾瀬川は肩を弾ませ振り返る。

 

「なんだ…真登華か。おはよう。」

 

「おはようございます。それで?そのチョコは?」

 

「あ、ああ。入口の所で小南に貰ったんだよ。」

 

その言葉を聞いた柿崎隊オペレーター、宇井真登華は脱力したようにしゃがみ込んだ。

 

「大丈夫か…?」

 

 

「先越された…。」

 

 

真登華はそう言ってしゃがみながら付けていたマフラーの中に顔を埋めた。

 

「越された?何をだ?」

 

「今日バレンタインじゃないですか…。」

 

そう言いながら宇井は綾瀬川に紙袋を差し出す。

 

「私が1番だと思ったのに…。」

 

宇井は肩を落としながらそう言った。

 

「…バレンタインってあれか。豊臣秀吉が…」

 

「それはバテレン追放令です、清澄先輩。」

 

宇井に続いて入って来た柿崎隊攻撃手、照屋文香がそうつっこんだ。

 

「おはようございます。清澄先輩。柿崎さん。ハッピーバレンタインです。」

 

そう言って照屋は柿崎、綾瀬川にチョコを手渡す。

明らかに柿崎のチョコのラッピングの方が豪華だった。

 

「ま、毎年悪いな…。」

 

「いえ。感想聞かせてくださいね。あ、虎太郎もおはよう。はいこれ。」

 

そう言って照屋は後から入って来た柿崎隊万能手、巴虎太郎にもチョコを手渡した。

 

 

 

 

 

 

「バレンタインって言うのは女性が男性にチョコレートをプレゼントする特別な日なんですよ。」

 

「へえ…。」

 

文香の説明を聞き、オレは小南がチョコをくれた理由を知る。

 

 

「知らなかったんですか…?」

 

文香は呆れたように尋ねる。

 

「と言うより経験が無いな。…知る機会があれば知っていたさ。」

 

「?」

 

物心付いた時からあの部屋にいた。

そんな経験あるはずが無い。

 

「それは分かったが…真登華はなんであんなに落ち込んでるんだ?」

 

「ま、まあちょっとした事情で…。」

 

虎太郎が苦笑いで濁しながらそう言った。

 

「どーせ私は2番目ですよーだ。」

 

落ち込んでいたかと思うと、今度は不貞腐れながら真登華は作戦室のソファーに寝転がる。

 

 

「…真登華の…今食べていいか?」

 

「え…?」

 

オレは真登華にそう尋ねる。

 

「その…あれだ。貰ったのは小南のが1番だが…食べるのはお前のが最初だ。」

 

その言葉を聞いて真登華は勢いよく起き上がる。

 

「た、食べてください!」

 

「じゃ、ありがたく。」

 

そう言って紙袋から、チョコレートの入った袋を取り出す。

中にはハート型のチョコレートと、カップケーキが入っていた。

 

「こ、これは違うんですよ!家に型がこれしかなくて!!」

 

「?、何も言ってないが?」

 

何故か慌てる真登華にオレはそう言う。

 

「と、言いつつ柿崎さんと虎太郎のは猫の形ね。」

 

「文香…!!」

 

クスリと笑いながらそう言う文香に、真登華が顔を真っ赤にして声を上げた。

 

「冗談よ。」

 

 

「じゃあ…いただきます。」

 

オレはチョコレートを口に運び歯を突き立てる。

ゴクリと、真登華から息を飲む音が聞こえる。

 

「…そんなに見られると恥ずかしいんだが。」

 

オレはチョコレートから口を離し、真登華にそう言う。

 

「なんのフェイントですか!早く食べて下さいよ!」

 

「分かったって。」

 

何故か怒った真登華に急かされ、オレはチョコレートを1口齧った。

その瞬間、カカオの風味が鼻を抜ける。

舌には最初に甘みが来るが、直後にカカオ特有のほろ苦さがやって来る。

丁度いい。

チョコレートは口内の熱で5回噛むまでもなく溶け、更に口の中一杯に味を広げた。

 

美味い。

 

 

「美味いな。苦さが丁度いい。」

 

「…ほんとですか…?」

 

何故か真登華は疑るような目でそう尋ねた。

 

「嘘なんかつかない。本当に美味い。」

 

そう言ってオレはもう一口齧る。

 

「そ、そっか…。清澄先輩顔変わらないから分かんないや…。カカオも72パーセントにしてみたんですけど…。」

 

「ああ。あの時の。…丁度いいな。滅茶苦茶美味い。カップケーキも食べていいか?」

 

「!、はい!」

 

真登華は嬉しそうに頷いた。

 

 

 

 

 

「…ふふ、じゃあ作戦会議の前にお茶にしましょうか。」

 

 

そう言って文香は立ち上がった。




幕間を2話に分けるという鬼畜の所業。
だって後書く予定の人達が、双葉ちゃん、加古さん、月見さん、にれぴか、那須さん、みかみかがいるから分けないと1万文字超えちゃいそうなんだもん。
気分によって増えるかも。

ま、楽しみは分けた方がね?
いいよね?

感想評価等お待ちしております。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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