白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

61 / 161
投稿致します!
今回で決着です!


B級ランク戦ROUND8 VS二宮隊、弓場隊、王子隊⑥

「太刀川さん、どう思います?この勝負。」

 

米屋が太刀川に尋ねた。

 

「綾瀬川の奴が何考えてるかは知らねーが…弧月使わねえってんなら勝つのは二宮だろ。撃ち合いじゃ不利すぎる。」

 

「あいつ…。」

 

出水は呆れたように苦笑いを浮かべていた。

 

「お前はどーよ、出水。弾バカとしてはどっちが勝つと思う?」

 

「…さあな。だがまあ…撃ち合いが不利ってのはあいつも分かってるだろ。それでもあいつは二宮さんに撃ち合いを仕掛けた。ブラフか策があるのかそれとも…。

 

 

 

…そういう感情を抑えきれなくなったか…だな。」

 

「やっぱお前、綾瀬川となんかあるのか?」

 

「何もねーよ。…始まるぜ。」

 

 

──

 

先に仕掛けたのは綾瀬川だった。

 

バイパーを二宮目掛けて放つとそのバイパーに合わせて縦横無尽に駆け出す。

 

それを見た二宮も応戦。

フルアタックのバイパーをメインのアステロイドのみで撃ち落とすと、サブのアステロイドで綾瀬川を狙う。

 

「さすがトリオン14。」

 

まるでパルクールかのように障害物を利用しながら駆ける綾瀬川は走りながら二宮の攻撃を避けると、さらにトリオンキューブを生成。バイパーを撃ち出す。

 

複雑な軌道を描きながら、バイパーは二宮に襲いかかる。

 

「ハウンド。」

 

しかしトリオンの差は小細工すら受け付けない。

ハウンドで簡単にかき消してしまった。

 

「小細工など通じない。お前は撃ち合いでは俺には勝てない。分かったらとっとと弧月を抜け。」

 

「…」

 

綾瀬川は建物の陰に身を潜めながらもトリオンキューブを生成した。

 

──

 

「本当に強いんですか?あの人。二宮さんに撃ち合いを挑むなんて。まるで歯が立たないじゃないですか。」

 

菊地原はパックジュースを啜るとそう呟く。

 

「綾瀬川の戦い方は単純だが強力だ。バイパーでシールドを広げた所にノーモーションで最速の旋空が放たれる。逆に旋空で相手のシールドを固める、もしくはレイガスト、弧月で旋空をいなそうと思わせた所に自分の背中、死角からのバイパー。しかも綾瀬川の旋空の射程は生駒程ではないが35mと攻撃手トリガー使いの中でも生駒に次ぐ長さ。中距離にも対応出来るはずだ。…それでも綾瀬川は弾トリガーで二宮と撃ち合う事を選んだ。何か策があるのか…。」

 

「二宮さんに似てますね、戦闘スタイル。」

 

「…そうだな。」

 

──

 

「駿、あの人本当に大丈夫なの?」

 

「どーかな~。あやせセンパイは強いし頭も良いから…無策って事は無いんじゃない?」

 

緑川は黒江の問にそう答える。

 

「それにあやせセンパイにはサイドエフェクトがあるし。」

 

「あら?緑川くんは清澄くんのサイドエフェクト知ってるの?」

 

黒江の隣に座っていた加古が緑川に尋ねた。

 

「ちらっと聞いたよ。俺馬鹿だからよく分からなかったけど…。」

 

「ふーん。私としては撃ち合いで二宮くんが負ける所は見たいけど想像出来ないわ。」

 

「アハハ、そーだね。でも…俺としてはこの状況であやせセンパイが負ける所の方が想像出来ないかな。あやせセンパイって結構負けず嫌いだから。ほら…

 

 

 

 

…そろそろ見切り始める頃だよ。」

 

 

──

 

二宮の連撃は続く。

アステロイドのフルアタックがじわじわと綾瀬川を追い詰め、遮蔽物を砕いていく。

 

「いつまで下らん鬼ごっこを続ける気だ?」

 

物陰から放たれたバイパーをアステロイドで相殺する。

 

「俺はお前のことを高く見すぎていたようだ。とっとと弧月を抜け。穴だらけにされる前にな。」

 

「…それはこっちのセリフですよ。オレはアンタの事を高く見すぎていたみたいだ。」

 

「…あ?」

 

「オレがただ逃げていただけだとでも?二宮さんの弾を見て確信した。

 

 

 

…二宮さんの攻撃はもうオレには当たらない。

 

 

…アンタじゃ…オレには勝てない。」

 

 

「図に乗るなよ。」

 

二宮はトリオンキューブを分割。

無数の弾を容赦なく綾瀬川に撃ち込む。

 

「…」

 

「!」

 

刹那綾瀬川の姿を見失う。

放ったアステロイドは虚空を通り抜け、家屋を倒した。

 

 

『二宮さん、上です!』

 

氷見の通信に二宮は空を見る。

 

空中で綾瀬川はトリオンキューブを分割。

バイパーが二宮目掛けて放たれる。

 

「舐めるな。」

 

バイパーを相殺しようと二宮が放ったアステロイド。

 

 

…バイパーはそれを避けるように二宮に襲いかかる。

 

「っ…!」

 

二宮はシールドを展開し、バイパーを防ぐ。

 

そのまま綾瀬川はトリオンキューブを分割すると、グラスホッパーを展開。

バイパーとともに二宮目掛けて駆け出す。

 

二宮も負けじとアステロイドで綾瀬川を狙う。

 

しかし、綾瀬川はシールドを張るでも無く、巧みにアステロイドの合間を抜け、避けきれない弾はバイパーで相殺する。

 

──

 

『綾瀬川隊員、二宮隊長との距離を一気に詰める!』

 

『なんつー回避力してんだよ…。シールド使わずに二宮さんとの距離を詰めやがった。』

 

『いや…シールドがあっても普通は二宮さん相手に距離を詰めるなんてこと出来ないですよ。』

 

里見は冷や汗を浮かべながらそう言う。

 

「見ろよ、二宮さんも余裕が無くなってきたぜ。フルアタックを止めてサブはシールドで手一杯になってやがる。」

 

──

 

速すぎる。

 

二宮は狙いを綾瀬川に設定してハウンドを放つ。

 

しかし綾瀬川は放った弾がハウンドであるのを分かっているかのように、グラスホッパーで引き付けてハウンドを避ける。

 

放つバイパーは二宮の弾を受けるためではなく、二宮を狙ったもの。

 

ガードのためのシールドなど張らない。

アステロイドなら強引に避け、ハウンドならグラスホッパーで引き付けて躱す。

 

あったはずの間合いはいつの間にか先程の半分になっていた。

 

(ならば…視界を奪う…!)

 

二宮はメテオラのトリオンキューブを生成する。

 

 

 

 

「…メテオラ…か。だろうな。オレでもそうする。」

 

 

『右!警戒!!』

 

氷見の叫び声に、二宮は右方に目をやる。

 

そこから2発のバイパーが二宮のトリオンキューブを刺した。

 

 

メテオラはそこで暴発。

二宮の左腕が吹き飛んだ。

 

 

(2発だけ俺の死角に回り込んで…!)

 

どこまで見えているのか。

 

爆風の中を切り裂きながら迫る綾瀬川に二宮は後ろに飛び退きながらハウンドを放つ。

 

「近距離のハウンドは悪手だぞ。NO.1射手。」

 

綾瀬川は体を傾けて、ハウンドを躱すと、グラスホッパーで二宮を飛び越え、後ろに着地する。

 

「!」

 

そして二宮の目前からは、綾瀬川を追うように引き返してきたハウンドが綾瀬川への通り道にいる自分目掛けて迫ってくる。

 

「っ…!」

 

二宮は転がるように避ける。

 

綾瀬川はそのハウンドをシールドで受けると、トリオンキューブを分割。

 

バイパーの凶弾が体勢を崩した二宮に襲いかかる。

 

「くっ…!」

 

二宮は片膝をつきながらシールドを固定。

 

バイパーを受け切った。

 

──

 

「…あやせセンパイのサイドエフェクトはこっちの攻撃、守りを無力にする。攻撃力が高いとか防御力が高いとかそう言うのは関係ないんだって。攻める時は相手の防御を読んだ軌道でバイパーを撃ってくるし、シールドを広げたら弧月で割られる。こっちの攻撃もそう。あやせセンパイにはどこを狙ってくるかが分かってるから避けるのだって簡単。相手の癖をランク戦や、戦闘中に見切ってそこを突いてくる。ランク戦するごとにあやせセンパイには当たらなくなるし、あやせセンパイの攻撃が避けれなくなるし、防げなくなる。はっきり言ってカゲセンパイとかむらかみセンパイのサイドエフェクトよりもタチが悪いんだよね。」

 

「何それ…未来予知?」

 

「あやせセンパイのサイドエフェクトは『情報の調律』?だって。未来予知じゃなくて…未来を予測してるんだよ。」

 

「「!」」

 

黒江、加古は目を見開く。

 

「相手の視線、動き、ログなんかから相手の動きを分析して、次どの手を使ってくるか演算してる。」

 

「そんなの…!」

 

声を上げそうになって黒江は口を閉じる。

 

(そんな高度な計算をあの戦闘中にやってるって言うの…?!)

 

黒江はスクリーンに視線を戻した。

 

 

 

──

 

「王手だ。」

 

綾瀬川はトリオンキューブをさらに分割。

 

固定されたシールド目掛けて、一点集中攻撃。

 

高いトリオン能力を誇る二宮のシールドだが、一点を狙われては一溜りもない。

 

シールドはその場所から崩れ始める。

 

 

「ふん、認めてやる。確かにお前は俺と撃ち合える程の技量の持ち主だった。出水にも匹敵する。…だが…

 

 

…勝敗は別だ。」

 

 

綾瀬川の視界の端、転がったトリオンキューブが光り輝く。

 

「!」

 

フルガードではなかった。

サブトリガーであの一瞬で置き玉を置いていた。

 

 

「…トリオンの暴力って言うんすよそれ。」

 

「言ったはずだ。勝敗は別だと。」

 

「オレも認めますよ。撃ち合いじゃアンタには勝てない…。」

 

 

 

綾瀬川はグラスホッパーで勢い良く飛び上がり、置き玉を躱すが、数発だけ綾瀬川の足に穴を開ける。

二宮は空中で無防備になった綾瀬川目掛けてさらにトリオンキューブを生成する。

 

「撃ち合いでならオレは今アンタに負けた。

 

 

…でも…

 

 

 

 

…ランク戦の勝敗は別だ。」

 

 

ここで綾瀬川はついに弧月を抜いた。

 

 

 

 

 

 

「旋空弧月。」

 

 

その差は二宮がトリオンキューブを扱う射手であったという点だろうか。

射手は一つ一つのモーションに時間をかける。

 

そのタイムロスが勝敗を分けた。

 

ボーダーでも屈指のスピードを誇る綾瀬川の抜刀。

 

 

…伸びた弧月が二宮のトリオン体を切り裂いた。

 

 

 

 

──

 

『こ、ここで試合終了…!』

 

結束の言葉に、観戦席から小南の嬉しそうな声が上がる。

それに合わせて観戦席はどよめき出した。

 

『最終スコア6対4対3対1!今シーズン最終戦、ROUND8夜の部は、柿崎隊の勝利です…!!』

 

──

 

終わった…か。

 

綾瀬川は空を見上げる。

 

 

 

 

…まだまだ楽しめそうな場所だな…ボーダー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柿崎隊

 

 

柿崎 0P

照屋 1P

巴 0P

綾瀬川 3P

生存点+2

 

合計 6P

 

 

 

二宮隊

 

 

二宮 1P

犬飼 1P

辻 1P

 

合計 3P

 

 

弓場隊

 

 

弓場 2P

神田 1P

外岡 1P

帯島 0P

 

合計 4P

 

 

王子隊

 

 

王子 0P

蔵内 0P

樫尾 1P

 

合計 1P

 




各キャラからの印象&各キャラへの印象

太刀川慶→やっぱおもしれえ。勝負しやがれ。
出水公平→友人。俺とももう一度本気で撃ち合いしやがれ。
菊地原士郎→へー、強いですね。…ほんとに。
黒江双葉→すごい…!
緑川駿→兄貴分。強い。
二宮匡貴→優秀な万能手。お前の勝ちだ。


太刀川慶←苦手。だから知らねえっつってんだろ。
出水公平←友人。理解者。
菊地原士郎←ロン毛サイドエフェクト。
黒江双葉←ツインテ11秒。
緑川駿←弟分。ランク戦仲間。
二宮匡貴←トリオンお化け。撃ち合いじゃ勝てん。


感想、評価等よろしくお願いします!

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。