白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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投稿致します。
原作は大きく飛んで黒トリガー争奪戦になります。
それ以前は綾瀬川くん関わってこないので。
ちなみに黒トリガー争奪戦はオリジナル展開になるのでご了承ください。


(ブラック)トリガー争奪戦 〜怪物〜

「空閑の親父さんが上層部と知り合いって事は…空閑はもう大丈夫って事ですよね?」

 

メガネを掛けたB級隊員、三雲(みくも) (おさむ)は隣を歩く、迅に尋ねた。

 

空閑。

空閑(くが) 遊真(ゆうま)

突如三門市に門を抜けてやってきて、三雲と同じクラスになった近界民。

 

ここ数日のイレギュラー門の原因となった「ラッド」を見つけた張本人だ。

 

先程の三輪隊との戦闘で存在が明るみとなり、ボーダーに近界民として狙われる身となってしまった。

 

それを防ぐべく、動き出したのはS級隊員、迅悠一、そして三雲修。

 

 

「うーん、それはどうかな。」

 

迅は困ったように言う。

 

「メガネくんももう気付いてると思うけど…ボーダーは今3つの派閥に分かれてる。」

 

そう言って迅は三雲の前に指を三本立てた。

 

「1つは近界民に恨みのある人間が多く集まった『近界民は絶対許さない主義』の城戸さん派。」

 

三輪隊などが含まれるのだろう。

 

「2つ目は近界民に恨みはないけど街を守るために戦う『街の平和が第一だよね主義』の忍田さん派。」

 

忍田(しのだ) 真史(まさふみ)

ボーダー本部の本部長だ。

 

「そして、『近界民にも良い奴いるから仲良くしようぜ主義』の我らが玉狛支部。」

 

玉狛と城戸派は仲が悪い。

迅悠一は黒トリガー使い。

そこにもう1人、空閑遊真と言う黒トリガー使いが入れば戦力差はひっくり返ってしまう。

それほどまでに強大なのが黒トリガー。

 

迅の予知は、城戸派の強行を見抜いていた。

 

空閑遊真の持つ、黒トリガーを巡って、ボーダー始まって以来の派閥争いが起きようとしていた。

 

 

 

「…てな訳だから遊真…

 

 

 

 

…お前ボーダーに入らない?」

 

「俺が?」

 

空閑は目を見開いたものの、すぐに冷静になり尋ねた。

 

「ボーダーって言っても本部基地に連れてこうって訳じゃない。うちの支部、玉狛に来ないか?うちの隊員は近界民の世界に行ったことがあるやつが多い。お前がむこう(・・・)出身でも騒いだりしないぞ?…とりあえずお試しで来てみたらどうだ?」

 

「ふむ…。」

 

空閑は少し考えると顔を上げる。

 

「オサムとチカも一緒ならいいよ。」

 

その言葉に迅は三雲、そしてその幼なじみである、雨取(あまとり) 千佳(ちか)に視線を向ける。

 

「…決まりだな。」

 

 

 

 

 

そしてその日、空閑遊真、雨取千佳はボーダーに入隊を決める事になる。

雨取は近界民に攫われた友人、兄を探す為、そして空閑は雨取、三雲の手伝いを。

ここに三雲隊が結成したのだった。

 

 

──

 

『門発生、門発生。付近の隊員は直ちに避難してください。』

 

その3日後。

ボーダートップチーム、太刀川隊、冬島隊、風間隊の3チームが遠征から帰還する。

 

 

 

 

「玉狛の黒トリガー?」

 

帰還した、ボーダートップチームに新たに与えられた任務。

それは玉狛支部にある黒トリガーの回収だった。

ボーダーのパワーバランスを考慮しての策。

 

「三輪隊、説明を。」

 

「はい。」

 

そう言って立ち上がった奈良坂の説明が始まる。

三門市に現れた人型近界民。

 

…そして問題はその近界民が黒トリガー使いである…と言う事だった。

 

 

 

 

 

この作戦の指揮に選ばれたのはA級1位、太刀川隊隊長の太刀川慶。

そして、黒トリガー捕獲作戦は近界民、空閑遊真の持つ黒トリガーの性能を加味して今夜行われる事となった。

 

 

 

──

 

「どうなっている?!迅の妨害のみならず、忍田派の嵐山隊…

 

 

 

 

…B級部隊である、柿崎隊、諏訪隊の介入だと?!」

 

ボーダー開発室長、鬼怒田(きぬた) 本吉(もときち)は声を荒らげた。

 

黒トリガー捕獲作戦決行から数分。

作戦部隊の太刀川隊、No.1狙撃手、当真勇、風間隊、三輪隊の前に立ち塞がったのは玉狛支部所属、S級隊員の迅悠一、そして玉狛と組んだ忍田本部長派の嵐山隊、柿崎隊の柿崎国治、照屋文香、諏訪隊だった。

 

 

 

 

 

 

「アンタはどう思ってるの?この介入について。」

 

モニターを見ながら尋ねるのは、ボーダーのもう1人のS級隊員、天羽(あもう) 月彦(つきひこ)だった。

 

「柿崎隊の介入については知っていた。オレにも声がかかったからな。諏訪隊もある程度は推測出来た。あっちは予知があるんだ、十中八九オレたちの介入を見越しての事だろう。」

 

「ふーん、じゃあどうする?

 

 

 

…清澄さん。」

 

その言葉に、綾瀬川は目を細める。

 

「さあな。今の所オレが城戸さんから受けてる命令は待機…だ。指示を待つだけだな。それはお前もだろ?天羽。」

 

「戦う事になっても良いの?アンタは確かに強いけど…あっちにはアンタの仲間もいる。」

 

「関係ない。オレはただ…

 

 

…オレに課せられた特務を全うするだけだ。」

 

 

その時、城戸からの通信が2人に入る。

 

 

 

『…特務だ、清澄。…天羽の道を作れ。』

 

 

「了解。」

 

そう言って綾瀬川はトリガーを起動すると、鞘に入ったままの弧月を取り出した。

 

『天羽、お前の相手は玉狛の黒トリガーだ。』

 

「…了解。」

 

天羽は不服そうに答えると通信を切る。

 

「…なんで俺もなの?清澄さんがそのまま回収すればいいじゃん。」

 

「あのなぁ…このままだと俺迅さんと玉狛の黒トリガー、2人の黒トリガーを相手にしないと行けないんだが?」

 

綾瀬川が呆れたように尋ねる。

 

「…とにかく、オレに与えられた任務はお前の為の道掃除。とっとと終わらせるぞ。」

 

 

 

そうして、戦場に、無機質な怪物が投入されたのだった。

 

 

 

 

──

 

黒トリガー捕獲作戦。

当初の予定より、それははるかに難航していた。

 

玉狛、迅の介入。

そして、それをサポートする、A級5位嵐山隊、B級1位柿崎隊の2人、B級11位諏訪隊。

忍田本部長派による助っ人だった。

 

 

「おいおい、嵐山さん…数の暴力って言うんだぜ?それ…。」

 

太刀川隊射手、出水公平は苦笑いを浮かべる。

 

出水、三輪、米屋、当真の前に立ちはだかるのは嵐山隊、諏訪隊の2部隊だった。

 

嵐山隊による連携、それをサポートするように、諏訪、堤の弾幕。

隙を突いた笹森の奇襲に手を焼いていた。

それに見つからない嵐山隊狙撃手の佐鳥に当真も迂闊に狙撃は出来ないと言う現状だった。

 

 

それは反対側も同じ。

太刀川、風間隊、三輪隊の狙撃手2人の前には風刃を抜いた迅、そしてB級トップチームの2人が立ち塞がったのだ。

 

特に序盤で、風間隊の菊地原が風刃の奇襲により落とされ、風間隊の代名詞である、菊地原の耳を使ったカメレオンのステルス戦闘が封じられた事が戦力差を引き離す要因となってしまった。

その後も、太刀川、風間を1人で押さえ込んだ迅、柿崎、照屋の連携により、風間隊の歌川(うたがわ) (りょう)が落とされてしまう。

 

それは三輪隊サイドの方も同じで、序盤にリーチのある攻撃手、米屋を嵐山隊の時枝と同じタイミングで落とされてしまった。

 

戦局は玉狛、忍田本部長派の合同部隊の圧倒的有利。

 

撤退も視野に入れなければならない状況に陥ってしまったのだ。

 

 

 

 

「…1つ聞かせろ、迅。」

 

トリオンの漏れた腕。

それを抑えながら、太刀川は迅に尋ねる。

 

「これほどの戦力差を作ったのは何故だ?そして…B級1位の攻撃手照屋、柿崎の連携、そこにお前の予知が合わされば…お前は風刃を抜かなくても俺たちを撤退させることが出来た。…何を企んでやがる。」

 

「…いやー、風刃はどの道使うつもりだったよ。…それに…城戸さんはまだなにか隠してるでしょ?」

 

「…何だと?」

 

風間が顔を顰める。

 

「あんた達にも通達が来てないってことは…秘密にしてるのか。」

 

 

迅は考え込む。

 

 

 

…その時だった。

 

 

もう1つの戦場から緊急脱出の光が上がる。

 

 

 

…その数は5つ。

 

 

 

 

 

「すまん…ザキ。こうなる未来も見えてたんだ。…あいつがお前と一緒に来なかった時点で伝えて置くべきだった。」

 

 

 

──

 

『!、嵐山さん!前方からトリオン反応確認!』

 

『諏訪さん、警戒して!!』

 

綾辻、小佐野の2人のオペレーターから通信が入る。

その通信の後、膠着した戦場に足音が近づく。

 

 

 

「!…綾瀬川…先輩…?」

 

 

そう呟いたのは木虎藍だった。

 

嵐山隊、諏訪隊の前に現れた綾瀬川は目の前の戦力を把握するように目を動かす。

相手は無傷。

こちらは佐鳥の狙撃により、出水、三輪が片手を失っていた。

 

「…綾瀬川…。」

 

三輪は俯きながら呟く。

 

「だから言った。無理はするな…と。」

 

その片手には鞘に入ったままの弧月が握られている。

 

「…出水、状況は?」

 

「こっち側は槍バカが死んであっちはとっきーが落ちてる。太刀川さん達の方は風間隊の菊地原、歌川が落とされた。奈良坂達は撤退の準備をしてる。」

 

出水は淡々とそう答える。

 

「…そうか。」

 

そう言うと綾瀬川は視線を嵐山隊、諏訪隊に向ける。

 

「綾瀬川くん…何故君がここに…。」

 

「…上からの命令なんで。」

 

「隠れた刺客…という訳か。」

 

嵐山はこちらにアサルトライフルを向ける。

 

「出水、三輪。お前らは太刀川さんの方に行け。」

 

「!…ふざけてるんですか?この数相手に1人で戦うなんて…!」

 

木虎は綾瀬川を睨みつけながらそう言った。

 

「…まァ、お前は確かに強ェが…これだけ数がいちゃ…出水の言うところの…数の暴力になっちまうな。」

 

そう言いながら諏訪もショットガンをこちらに向けた。

 

「そうだぜ綾瀬川…ここは俺も…」

 

 

 

「聞こえなかったのか?…行け。」

 

 

酷く冷たい声と瞳。

その言葉に出水は黙ってしまう。

 

 

「…分かった。」

 

「っ…。」

 

 

出水と三輪はバッグワームを着て走り出した。

 

「…日佐人。」

 

「はい…!足止めだけでもしてみせます!」

 

笹森はカメレオンを起動。

走り出した、三輪、出水を追う。

 

そして弧月を振り抜こうとした時だった。

 

 

!!

 

 

弧月の柄を綾瀬川は足1つで止めていた。

 

だがそれよりも…。

 

 

「…いつ移動しやがったんだ…?」

 

 

「数の暴力…か。だが、その言葉を使えるのはアンタ達全員の力がオレを上回っている必要がある。その事を分かっているのか?」

 

「…あァ?」

 

その言葉に諏訪は顔を顰める。

諏訪だけでは無い、木虎も見るからに怒っている。

それもそのはず。

佐鳥を含め6対1なのだから。

それもA級5位、嵐山隊を含む…だ。

にもかかわらず、綾瀬川は表情1つ変えない。

それが嵐山にとっては堪らなく不気味だった。

 

 

 

 

…連携、戦術。

それらを嘲笑うように、怪物は弧月を抜いた

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここにいるアンタ達だけじゃ…オレは止められない。」




各キャラからの印象&各キャラへの印象

天羽月彦→先輩。強い。

天羽月彦←生意気な後輩。S級隊員。


感想、評価等お待ちしております。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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