こんな時間になってしまった…。
三輪、風間が任されたのは柿崎隊の柿崎、照屋の相手だった。
こちらは風間、三輪のA級部隊の隊長2人に加え、遠くからはNO.1狙撃手、当真が目を光らせている。
嵐山隊との戦闘で三輪は片腕を失っていたが、相手はB級。
有利なのはこちらだ。
…と風間、三輪は考えていた。
しかし、戦闘が始まってみれば、その認識は間違っていたと痛感する事になる。
まず、三輪の鉛弾と柿崎のエスクードの相性が悪く、尽く防がれてしまう。
そして、なにより計算外だったのが、前シーズンのランク戦からの照屋の成長であった。
メテオラでの陽動の中繰り出される鋭い弧月の一振。
どうにか反応した風間が後ろに引くも、後ろにはいつの間にかせりあがったエスクードの大きな盾が。
エスクードが退路を塞ぎ、風間の頬からトリオンが漏れ出す。
「くっ…!」
(くそ、三輪が片腕削がれているのが災いしたか…。)
それを差し引いても風間は風間隊以外での連携など、あまり経験は無い。
しかし、今の柿崎隊の柿崎、照屋の連携はA級3位である、風間隊に匹敵するほどのものであった。
元NO.1攻撃手、小南桐絵に師事して数ヶ月。
学び舎が玉狛支部だったこともあり、目立たず、それでも着実に腕を磨いていた照屋と、サポートと防御に重きを置いて、特訓をしてきた柿崎。
その連携力は間違いなくA級と言われても遜色無い程であった。
そして、それはオペレーターである、宇井真登華にも同じ事が言えた。
B級上位とのランク戦のあとは、積極的に他の部隊とも関わり、そこのオペレーターから戦略、機器操作の技術、処理能力などを吸収。
中でも、射線管理に関しては、チームメイトである、綾瀬川に師事しており、ボーダーでもトップクラスの腕となっていた。
「ちっ、隙がねえな…。ここまで徹底的に対策されると笑っちまうねぇ…。」
遠くから戦場を見ていた当真は、宇井、柿崎のエスクードの連携による徹底的な射線潰しに、思わず笑みを見せる。
綾瀬川には太刀川による絶え間無い連撃、迅の未来予知によるサポート。
それにより、戦場はブラックトリガー防衛側の有利に思えた。
だがここで、怪物が動き出した。
──トリオン供給機関破損、緊急脱出。
「っ…!!」
太刀川が光となって空に上がる。
「はは…まるで反応出来てないじゃん…太刀川さん…。」
迅は苦笑いを浮かべて、綾瀬川に視線を向け、風刃を構え直す。
「抵抗はやめておけ、ブラックトリガー。アンタでも俺は止められない。」
綾瀬川は無機質な冷たい瞳を迅に向ける。
「…どうだろうな。ここまで視えてたかもしれないぜ?」
そう言って迅は風刃を振る。
壁を伝って、斬撃が綾瀬川の首目掛けて飛び出す。
綾瀬川は少ない動きでそれを避ける。
「未来予知のサイドエフェクト…か。…くだらない。たとえアンタに未来が見えようと…
…オレはアンタが
踏み込み1回。
迅の懐から弧月を振る。
まるでテレポーターでも使っているのかと疑いたくなる程の速度。
「!」
迅はサイドエフェクトをフル活用してそれを避ける。
(速い…!!)
しかし、いつの間にか、腰に着けていたハンドガンを抜いていた綾瀬川は迅に銃口を向けていた。
もちろん、迅はこの未来が見えていた。
しかし、速すぎる。
と、言うよりは
見えた未来が来るのが早すぎて、その未来に対応できない。
「くっ…!」
こんな経験は初めてだった。
予知した未来はすぐにやってくる。
ならば対策は1つ。
さらに遠くの未来を見る事。
今見えている未来のさらに未来。
(視えた。弧月での連撃。
…その隙を狙ったモールクロー!)
迅は足元に視線を向ける。
…だがそこで未来は切り替わる。
「──
振り抜かれた弧月で、肩を切り裂かれる。
「っ?!」
「出水、お前は風間さんと三輪のサポートに入れ。
…迅さんはオレ一人でも問題なさそうだ。」
「…りょーかい。」
ついに牙を向いた、城戸派の最終兵器。
その実力を知っていた出水でも、驚愕する。
過去に綾瀬川の本気とやりあった際の100本勝負の戦績は、95対5。
出水が取った5回というのは、撃ち合いと言う縛りだった。
それも撃ち合いをしたのは、100本中10本。
撃ち合いのうち半分は取られた事になる。
まさに化け物。
それでも、ブラックトリガーには及ばない…。
そう思っていた。
「…どうした?この未来は見えてなかったのか?」
挑発するような言葉。
しかし、表情、声色は全くもって変わらない。
「…嫌になるぜ、こんな化け物隠しといて何がブラックトリガー捕獲作戦だよ全く…。」
迅は肩を抑えながら立ち上がる。
「ならこっちもフルスロットルで行く。」
迅の持つ風刃の帯が輝く。
そして、地面を光の筋が走る。
綾瀬川は後ろに後退しながら、5m程後ろで上に飛び退く。
「ちっ、お見通しか。」
綾瀬川が飛び退いた地面から、風刃の斬撃が飛び出す。
「でも、空中じゃ躱せないだろ?」
迅はさらに風刃を振り、家屋の壁を斬撃が伝う。
「!…おいおい嘘だろ…?」
綾瀬川は弧月とスコーピオンで斬撃を受け流す。
そのまま家屋の壁を踏み台に、迅に切りかかった。
「今のを避けるか?普通。」
「未来を知れるのが自分だけだと思ってるのか?」
綾瀬川の飛び退く位置を予測した、風刃の斬撃。
しかし、綾瀬川は分かっているようにそれを避け、ハンドガンを抜く。
迅の
(右脚…!)
迅は飛び退く。
しかし、飛び退いた場所で、トリオンキューブが光り輝く。
「は…?」
「言ったはずだ。アンタにオレは止められないと。」
綾瀬川はハンドガンを手の上で弄りながら無表情で告げる。
「アンタには未来が視えるんだろ?だったらアンタが視た未来を予測すればいい。…その未来の先にアンタは必ずいるからな。
…バイパー。」
「っ…本当に…化け物だな…。」
そのまま、撃ち出されたバイパーが迅に襲いかかった。
「あれを避けるのか。化け物だろ、迅さん。」
目の前で膝を突く迅。
片腕は吹き飛び、体は穴だらけ。
しかし、トリオンの供給機関は上手く外れていた。
「はは…お前にだけは言われたくないな。」
それと同時にもう1つの戦場から緊急脱出の光が3本上がる。
柿崎、照屋、そして風間のものだった。
出水の介入により柿崎が削られ、そのまま押し切られるように柿崎は緊急脱出。
そして、照屋は最後、風間を道連れにしての緊急脱出となった。
「…これがアンタの視えてた未来か?」
「お前が介入した時点でどうしようもなかったよ、綾瀬川。」
そう言いながら迅は諦めたようにその場に寝転ぶ。
「お前ほどの奴がいながら城戸さんは何のためにあいつのブラックトリガーを狙うんだ?」
「…」
「答える気無しか。…でも…
…未来はまだ決まってない。」
迅は笑みを見せると、風刃を地面に走らせる。
「「!」」
出水、三輪の首が飛ぶ。
綾瀬川は予測していたようにそれを避ける。
「…無意味な抵抗だな。その状態で何ができるんだ?」
「俺はあいつを守る1つの砦に過ぎない。玉狛にはまだあいつを守る盾が待ち構えてるんだよ。」
綾瀬川は足音の方向に目を向ける。
「遅くなった。」
「…すいません、迅さん。」
「…綾瀬…川…?なんで…あんたがここにいんのよ…。」
「小南か。…まあ対象が玉狛にいる時点である程度予測はしていたがな。」
現れたのは玉狛支部の木崎、烏丸、そして小南だった。
「ナイスタイミングだ、3人とも。」
綾瀬川は視線を迅に移す。
「理解に苦しむな。何故ここまでしてブラックトリガーを守る?」
「ふっ、俺は実力派エリート。
…見てるのは常に未来だ。
…トリガー、OFF!」
迅は笑みを見せると換装を解き、走り出す。
「…オレが生身だからって攻撃しないと思ったか?」
綾瀬川は走り出した迅に弧月を振るった。
ギィン…!!
「何…してんのよ…?!あいつは今生身なのよ?!今の振り…全力だったわね?!」
間一髪。
小南が前に躍り出て、綾瀬川の弧月を受け止める。
「…知ってるか?小南。
…生身ってのはトリオン体より切りにくいんだ。
…
現在の柿崎隊の2人のトリガーセット
柿崎国治
メイン:レイガスト、スラスター、メテオラ(アサルトライフル)、シールド
サブ:ハウンド(アサルトライフル)、エスクード、シールド、バックワーム
照屋文香
メイン:弧月、スコーピオン、メテオラ(ハンドガン)、シールド
サブ:スコーピオン、ハウンド(ハンドガン)、バックワーム、シールド
※変更点
柿崎 サブ:アステロイド(アサルトライフル)→ハウンド(アサルトライフル)
照屋 メイン:旋空→スコーピオン、メテオラ→メテオラ(ハンドガン)
サブ:アステロイド(ハンドガン)→ハウンド(ハンドガン)
各キャラからの印象&各キャラへの印象
迅悠一→化け物。勘弁してくれ。
迅悠一←ブラックトリガー使い。
次回くらいで黒鳥編終わると思われる。
感想、評価等お待ちしております!
幕間何読みたいんじゃワレェ!
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誰かの独白。多分榎沢か三輪。
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掲示板形式のやつ。(作者無知)
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日常小話。
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if(綾瀬川VSボーダー)
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住民税高すぎ。