白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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投稿します!

「俺」→「オレ」の誤字報告待ってます。←そろそろ自分でやれ。




綾瀬川清澄⑥

「じんさん、あの人誰?」

 

空閑遊真は来客を見て、迅に尋ねた。

 

「小南の友達。遊真はまだ会うべきじゃないな。…ほら、メガネくんと一緒に走り込みに行こうぜ。」

 

「ふむ…。じんさんが言うならそーする。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…小南。」

 

「な、何よ!」

 

 

 

 

「…もう一度オレに怒ってみてくれないか?」

 

「…は?」

 

玉狛支部のリビング。

突如そう切り出した綾瀬川に小南は素で聞き返す。

 

「オレはあの時お前の攻撃を食らうつもりはなかった。…だが…事実オレは攻撃を食らった。…その理由を知りたい。」

 

「そ、それでわざわざ玉狛に来たわけ…?」

 

小南は俯きながら綾瀬川に尋ねる。

 

「?…ああ。」

 

「謝るとか…そう言うのじゃなくて?」

 

「?」

 

「っ〜!!」

 

小南は勢いよくテーブルを叩き、立ち上がる。

 

 

 

 

「私と模擬戦しなさい!!」

 

 

 

 

 

──

 

「本気でやりなさいよ?!」

 

「…何を言ってる。オレはいつも「うるさい!いいから本気でやるのよ!!」」

 

「…はい。」

 

──1本勝負…スタート。

 

 

「メテオラッ!!」

 

小南は駆けながら、トリオンキューブを8分割。

綾瀬川目掛けてメテオラを放つ。

 

爆風が綾瀬川を包み込んだ。

 

──コネクターON。

 

機械音と共に、小南の双月が連結し、大斧に変わる。

 

それを振り下ろそうと、綾瀬川に視線を向ける。

 

綾瀬川は弧月で双月を受け止める。

 

「!…折れるわよ?」

 

綾瀬川の弧月にヒビが入る。

その瞬間、綾瀬川は弧月を傾けた。

 

「!」

 

双月の一撃は地面に流される。

 

そのまま足から生えたスコーピオンで小南に蹴りかかる。

 

「っ!!」

 

小南はどうにか体を捻ってそれを避ける。

しかし、片腕が切り飛ばされる。

 

小南は片腕を抑えながら飛び退く。

 

「っ…メテオラ!」

 

それでも小南は旧ボーダーの時代からいる最古参隊員。

歴戦の猛者。

すぐさまメテオラで視界を奪い距離をとる。

 

 

…しかし、その爆風をかき分けるように、綾瀬川が小南に突進してきた。

 

 

「メテオラが奪うのは何も相手の視界だけじゃない。」

 

「私のメテオラを利用したのね…!」

 

綾瀬川の今までとは比にならないパワー。

片手の小南は徐々に押されて行く。

 

「仕返しよ…!」

 

小南は双月を持ち替えて綾瀬川の弧月を滑らせる。

 

 

 

「…だろうな。」

 

綾瀬川のバランスが崩れる。

 

…小南の視界には光り輝くトリオンキューブが映った。

 

綾瀬川はバランスを崩したと言うよりも、しゃがむように避けている。

 

 

「バイパー。」

 

 

「っ…シールド…!」

 

慌てて張ったシールド。

しかし、それはしゃがんだ綾瀬川が振った弧月に簡単に割られてしまった。

そのまま、バイパーは小南に四方八方から襲いかかった。

 

 

──模擬戦終了、勝者綾瀬川。

 

 

無機質な音声が綾瀬川の勝利を告げた。

 

 

 

 

 

 

「これで満足か?」

 

「…」

 

そう尋ねた綾瀬川に小南は俯く。

 

「…これまで私とやってた時は…あんな動きじゃなかった。一撃も軽かったし、遅かった。」

 

「…」

 

「馬鹿にしてたわけ?弱い私を哀れんで…わざと負けてたのね。」

 

小南は軽蔑した目で綾瀬川を見る。

 

「…わざと負けてたのは否定しない。」

 

そんな小南から目を逸らしながら綾瀬川は答えた。

 

「っ…。」

 

「だが…オレはお前を弱いと思った事は無い。馬鹿にするつもりも無い。」

 

淡々と話す綾瀬川。

 

「だったら…なんでわざと負けてたのよ?!本気でやってた私が馬鹿みたいじゃない…!私1人だけあんたとの戦いを楽しんで!それなら、私じゃ相手にならないって言って…断ってくれた方が良かった…。」

 

「…」

 

小南はそのまま俯く。

声は震えていた。

 

「…悪い…。…信じて貰えないかもしれないが…お前だけじゃない、オレもお前との戦いが楽しかった。戦いだけじゃない、玉狛でお前の馬鹿な話を聞いたり、オレが玉狛に来る度お前が作ってくれるカレーが大好物だった。

 

 

 

…オレはお前といる時間が楽しくて好きだった。」

 

 

 

「っ…いつもみたいに…騙されると思ってそんなこと…。」

 

「嘘じゃないさ…嘘じゃない。」

 

表情はやはり変わらない。

瞳だっていつもと同じビー玉のように空っぽで、無機質だった。

 

それでも…これが綾瀬川清澄と言う男だった。

 

 

「そう言う時の顔…出来ないわけ…?」

 

「嘘ついてるように見えるか?」

 

「見えるに決まってるでしょ。そんな感情の籠ってない顔で言われても。」

 

「…」

 

「今度…手、抜いたら許さないから。」

 

「!」

 

 

「…言ったでしょ?負けっぱなしは性にあわないって。これからも模擬戦…付き合いなさいよ…。」

 

小南は顔を赤くして目を逸らしながらそう言った。

 

「小南…。」

 

「私だってあんたの事…なんも知らなかったから。わざと負けてたのは腹立つけど…何も知らないのに勝手なこと言って…悪かったわね…。」

 

「…」

 

そう言う小南を綾瀬川はまじまじと見つめる。

 

「な、何よ…!何か言いなさいよ!」

 

「いや、素直なお前は珍しいなと思って。」

 

「なっ…!なんですって!?」

 

そう言って小南は綾瀬川の胸ぐらを掴む。

 

「悪い、冗談だ。」

 

「反省してないわね?!いい度胸じゃない!模擬戦よ、模擬戦!」

 

「それは構わないが…いいのか?ポイントを賭けない模擬戦は代わりにトリオン体の身長を賭けてるらしい。…縮むぞ?」

 

「…え?!そーなの?!た、確かにあんたとやる前と比べてちょっと視線が下がったような…「嘘だけどな。」…え…?」

 

 

「だから嘘だ。」

 

 

 

「だ、騙したわね?!」

 

 

 

 

 

 

──

 

「はぁ…!はぁ…!迅さん…どれだけ…走らせるんですか…!」

 

すっかり日も落ちて星が見え出した頃。

迅、修、遊真の3人は走り込みから帰って、息を整えていた。

 

「メガネくんは体力つけないと。」

 

「うむ。そうだぞオサム。…あれ?こなみ先輩?」

 

玄関に目を向けると、小南が立っており、誰かと話している。

そして手を振って別れていた。

 

「あの人は…」

 

「うーん…メガネくん達がA級を目指すなら1番の障害になる奴かな。」

 

「「!」」

 

迅の言葉に目を見開く。

 

「まぁすぐに挨拶できるよ。」

 

話していると小南は3人に気付きこちらに視線を向けた。

 

「お疲れ様。…ご飯出来てるわよ。」

 

「おー、今日は何?」

 

 

 

 

 

 

「…カレーよ。」

 

スッキリした笑みで小南は答えた。

 

──

 

「小南とは無事仲直り出来たみたいだな。」

 

帰り道。

オレは後ろから話しかけられる。

 

「迅さん…。」

 

「お前も小南の事は偉く気に入ってたみたいだな。」

 

その言葉にオレは考え込む。

 

「…なんでオレが小南の一撃を食らったのか…、なんでオレが小南の表情を見て動揺したのか…。オレはそれが知りたい。

 

 

…それを知るためにはこれからも小南との関係はあった方がいい。そう思っただけだ。」

 

「…そうか。」

 

「あんたには借り1つだ。…いつか返す。」

 

そう言ってオレは振り返る。

 

「よくゆーよ。唐沢さんも俺も城戸さんも、全員利用してたくせに。」

 

その言葉にオレは足を止める。

 

「お前が遊真のブラックトリガーを回収しようと思えばとっとと俺たちを全滅させて回収出来たはずだ。なのにお前はわざと俺に時間を与えた。あの時のバイパーも…急所は狙ってなかっただろ?」

 

「…外しただけですよ。」

 

「…ここまで来てしらばっくれるのかよ?」

 

迅が呆れたように尋ねる。

 

まあこの人に隠す意味もないか。

 

「…天羽の投入が防衛戦力を全て除外してからと決まった時点でオレは迅さん、あんたの時間を稼ぐように動いていた。混乱してた小南も…生身のあんたに斬り掛かる事で本気にさせた。」

 

「おいおい、俺に当たってたらどーすんだよ…?」

 

オレは無視して続ける。

 

「あんたが風刃を手放すのは予想外だったが…どんな形であれあんたはこの作戦の裏を知り、この作戦を中止という形で終わらせた。…恐らくその後かな…あんたは見た訳だろ?オレがホワイトルームに戻される未来を。その時点でオレは城戸さんに頼んで唐沢さんも待機させておいた。…後はあそこで起きたままだ。」

 

「…全部お前の手の上だった訳だ。でも気になるな。そうまでしてお前はどうして親父さんを敵に回したんだ?」

 

迅が尋ねる。

 

「さあな。まあでも…これ以上邪魔されたくなかったからかもな。」

 

そう言ってオレはボーダー基地に目をやった。

 

「借りの件は気にすんなよ。後輩の願いは叶えるのが実力派エリートだ。」

 

「いや、返す。

 

 

 

 

 

…あんたに少しでも借りがあるのは気に入らない。」

 

そう言ってオレは今度こそ三門市の寒空の下を歩き出した。

 

──

 

「…よろしかったのですか…?」

 

三門市を走る車の車内。

 

秘書の男が尋ねた。

 

「…清澄様をボーダーに奪われた形になりましたが…。」

 

「…ふん、ボーダー内に既に布石は打ってある。」

 

綾瀬川の父親は吐き捨てるように言った。

 

「不良品が…私を裏切った事を後悔させてやろう…。」

 

 

 

 

──

 

ボーダー本部諏訪隊作戦室前

 

「C級かァ?こんなところで何してんだ?」

 

作戦室の前にいた、紫髪のツインテールの女性隊員に諏訪は声をかけた。

 

「迷子か?」

 

「あっ…えっと〜、ちょっと人を探してて〜。」

 

「誰だ?嵐山か?」

 

「?…誰ですかソレ?」

 

頬に人差し指を当ててあざとく首を傾げる少女に諏訪は冷や汗を流す。

 

「嵐山を知らねえのかよ…。」

 

「あっ、てかおじさん。」

 

「まだ21だ!おじさんじゃねェよ!!それに諏訪だ。」

 

「諏訪さんって…あっ!諏訪隊の隊長さんだ!」

 

「そーだよ…。」

 

話してて疲れた諏訪は頭を抱える。

 

「なら丁度良かった。諏訪さんの隊結構負けてるでしょ?」

 

「てめぇ…まあ否定はしねーがよォ。」

 

諏訪は青筋を浮かべながら答える。

 

「しかも諏訪さんの隊って銃手が2人の中距離特化でしょ?」

 

「こだわってるつもりはねーけどな。で?何が言いてえんだ?」

 

 

 

「…あたしはB級フリーの榎沢(えのさわ) 一華(いちか)!今の状況を変えてくれる優秀な銃手ならここにいるけど?」




オリキャラ登場でした。
誰モチーフかはよう実読んでる人なら分かるかw


感想、評価等お待ちしております。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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